リカレント教育

2019年12月 6日 (金)

2019年11月22日(金曜日)令和元年の「いい夫婦の日」に中央大学戦略経営研究科「ワーク・ライフ・バランス&多様性推進・研究プロジェクト」が「第11回成果報告会」を開催 ~テーマは「多様な人材が活躍できる企業経営を目指して」

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令和元年の「いい夫婦の日」に中央大学駿河台記念館にて、中央大学戦略経営研究科「ワーク・ライフ・バランス&多様性推進・研究プロジェクト」が、プロジェクトの研究成果を報告する「第11回成果報告会」を開催した。

 

テーマは「多様な人材が活躍できる企業経営を目指して」

令和最初の「いい夫婦の日」(11月22日)に
カップルでの子育て実現のための支援など検討

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 「ワーク・ライフ・バランス&多様性推進・研究プロジェクト」(共同代表・佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授、武石恵美子法政大学キャリアデザイン学部教授)は、平成20年(2008年)10月に東京大学社会科学研究所と民間企業が共同して発足させたもので、ワーク・ライフ・バランス(以下「WLB」)の推進と働き方の関係などについて民間企業と共同研究を行ってきた。平成26年(2014年)4月からは、中央大学の後楽園キャンパスの戦略経営研究科(ビジネススクール)に研究拠点に移し、「多様性」を研究テーマに加えている。

 同プロジェクトは、これまで、人材の多様化へ対応するためのWLB支援の必要性や具体策、WLBと働き方の関係などについて調査研究・情報交換などを行い、成果については、政策提言としてとりまとめて発信している。

 研究成果を社会に幅広く還元することを目指して開催している「成果報告会」には、企業や自治体において人事管理や多様性推進に取り組んでいる担当者が毎年300人程度参加して、活発な議論が行われている。

 令和元年11月22日(いい夫婦の日)に開催された「第11回 成果報告会」では、「多様な人材が活躍できる企業経営を目指して」をメインテーマに、管理職の役割、女性活躍と男性の子育て、高齢者雇用、ダイバーシティ経営などに関する講義やグループディスカッション、パネルディスカッションが展開された。

 「多様な人材が活躍できる企業経営を目指して」

 「第11回 成果報告会」のプログラムは、4つの分科会が開催される第Ⅰ部と、全体会が行われる第Ⅱ部から構成されていた。

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【第Ⅰ部】13:15~16:00 4つの分科会

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第Ⅰ部(13:1516:00)では、ADの4つの分科会が開催された。

 

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分科会A 変わる管理職の役割:「部下を伸ばす」管理職をどう生み出すか

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分科会B 女性活躍と男性の子育て

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 分科会C 高齢者雇用を本気で考える:「福祉的雇用」から「活躍」へ

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分科会D ダイバーシティ経営の基礎を学ぶ:マネジメントの役割

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 上記の4つの分科会では、企業からの事例報告や参加者全員で1つのテーマに対し意見を出し合ってグループの意見としてまとめあげるワークショップ、働き方改革に関するドラマを視聴し自らの考えを発表しあうコーナーなど、様々な趣向を凝らした講習が行われた。

 小誌では、主に分科会Dを取材したが、どの分科会も魅力的な内容で、この身が1つなのが悔しく「分身できたらなぁ」などと思ってしまった。

 

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分科会D

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《前半》佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授が登壇

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 分科会Dの前半では、佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授が、「ダイバーシティ経営の基礎を学ぶ」というタイトルで講義を行った。

 佐藤氏は、「ダイバーシティ経営の基本は『適材適所』だが従来『適材』としてきた『望ましい人材像』の見直しが不可欠。従来の『適材』のみでは必要な人材を質と量の両面で確保できない時代であり、多様な人材が新しい『適材』として活躍できる働き方改革などが不可欠になる」と説明した。

 そして、ダイバーシティ経営を実現するためには、

① 「理念統合」経営(企業の経営理念や行動規範などの社員への浸透と社員の深い関わり合いが不可欠)

② 多様な人材が活躍できる「働き方」の実現(「働き方改革=残業削減」ではない。安易な残業依存体質を変える)

③ 多様な部下をマネジメントできる管理職(WLB管理職)の育成・登用(自分と価値観などが異なることを前提に部下を知ること(仕事以外の生活面などでの希望や課題などを含めて理解すること)

――が重要であるとした。

 また、「定時退社の週2日以上の実現」と「残業を行う場合はまとめて(メリハリワーク)」が「働き方改革と生活改革の好循環」の実現のためには重要であることなどを提言した。

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グループディスカッション

『働き方改革を成功させる ダイバーシティマネジメント』

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 佐藤氏は、グループディスカッションに先立ち、

『働き方改革を成功させる ダイバーシティマネジメント』(日経DVD

の第1部(約20分、「ダイバーシティマネジメント」ができない管理職編)を上映した。

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 ディスカッションでは、ドラマの課長(古木課長)のマネジメントの問題(部下の話を聞かないで、思い込みで判断するアンコンシャス・バイアスなど)や自分が当事者だった場合の行動を考えて、その内容をグループ内で意見交換し、望ましい部下マネジメントを考える場となった。

 グループの代表者からは、「古木課長は部下の意向を聴いていない」「コミュニケーションが大事」「全員が7時に帰る必要はない。メリハリが重要」などの意見が出ていた。

 

 その後上映された第2部(約20分、「ダイバーシティマネジメント」ができる管理職編)では、

① 無意識な思い込み(アンコンシャス・バイアス)は無意識な行動を引き起こす。それを解消するためには,日頃から部下の能力や意向を傾聴することが大事

② メリハリをつけて働くことで豊かな生活を実現する

③ 変化対応力を備えることや学習棄却(アンラーニング)が重要

④ 管理職自身が自分の業務を見直すことが大事

――などの働き方改革を成功させるポイントが紹介された。

 

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《後半》高見具広(独)労働政策研究・研修機構 副主任研究員が登壇

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 分科会の後半では、高見具広(独)労働政策研究・研修機構 副主任研究員が「働き方改革を進めるマネジメント ―生産性向上と従業員満足の両立―」をテーマに講義を行った。 

 高見氏は、「何のための働き方改革か。残業削減が自己目的化していないか」「仕事量が減らないならば、残業が数字上減ったとしても、問題は残る(労働強度の上昇、持ち帰り残業、休日就業など)」「時間が限られる中で、特定の者への業務の偏り、教育訓練への影響は生じていないか」――などの働き方改革を進める上で考えるポイントを指摘した。

 そして、「オフの時間の過ごし方は、仕事によるストレスや生産性に関係する」「情報通信機器の発達により、オフの時間に仕事が持ち込まれるケースもあり、オン・オフの境界があいまいに」「常に仕事を気にしなければならない状態だと、豊かなオフは実現しない」――ことなどを示し、「仕事からきちんと離れないといけない」ということを提起した。

 そして、特に営業職などの「社員のオフへの目配り」、「オフの管理」もマネジメントの課題になると指摘していた。

 

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【第Ⅱ部】16:20~17:45 全体会:パネルディスカッション

「カップルでの子育てを実現するために:企業・職場の支援のあり方」

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 第Ⅱ部(16:2017:45)の全体会では、「カップルでの子育てを実現するために:企業・職場の支援のあり方」をテーマに、各分科会の代表者4名が集結。

 佐藤氏の講義の後、パネルディスカッションが行われた。

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《前半》佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授が登壇

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 佐藤氏は、「自社の女性社員がカップルで子育てできるようにするためには女性社員の配偶者(他社に務めている夫)の子育て参加の促進が不可欠。夫が長時間労働だと妻は短時間勤務を長期に選択せざるを得ない」、「短期の『点』としての男性の育休取得を、その後の長い子育て期におけるカップルでの子育ての実現につながるよう『面』としての男性の生活改革や働き方改革につなげることが不可欠」などと述べた。

 男性の育休取得の有給化に関しては、「育休取得の場合は雇用保険から67%の給付+社会保険料免除で収入減になるが、育休取得者の企業側の社会保険料免除分で取得者の収入減の補填もでき100%近くカバーすることも可能」、「育休取得の場合は、育休取得者の賃金相当分で仕事をカバーした他の職場成員にボーナス等で評価することも可能」などを指摘していた。

 そして、男性の育休取得を支援する際の留意点としては、

① 給付金など法定の制度を含め自社の制度に関する情報提供をすること

② その後の長い「面」としての子育て参加につながる支援を行うこと

③ 共働きカップルばかりではない現状への対応をすること

④ 女性社員の配偶者の家事・子育て参加の促進の取組みも同時に行うこと

――などを提示した。

 「男性の子育て参加促進のために育児・介護休業法などの法改正の必要性」については、「育児など両立支援制度の利用期間を分割し、男性のみに割り当てられた期間を設定すること」などを検討点として掲げた。

 そして、「一番大事なのは配偶者である夫、つまり自社の女性社員の夫の子育て参加」であり、「女性社員の夫の会社に、上司や人事がお手紙を出すことで世の中は変わるのでは」と提言していた。

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《後半》パネルディスカッション

「カップルでの子育てを実現するために:企業・職場の支援のあり方」

 

司会進行 武石恵美子 法政大学キャリアデザイン学部教授

〔パネリスト〕

分科会A 坂爪洋美 法政大学キャリアデザイン学部教授

分科会B 池田心豪(独)労働政策研究・研修機構 主任研究員

分科会C 松浦民恵 法政大学キャリアデザイン学部教授

分科会D 高見具広(独)労働政策研究・研修機構 副主任研究員

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 パネルディスカッションでは、司会進行をつとめた武石恵美子法政大学キャリアデザイン学部教授と各分科会からの代表者4名が並んで着席した。

 

 司会進行をつとめた武石恵美子法政大学キャリアデザイン学部教授は、「今日は、いい夫婦の日(後で気づいたのですが)」との旨を述べて、冒頭から会場を沸かせていた。

 

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 まず、「① 男性の子育て支援について」は、

「残業が減り早く帰宅しても子どもと遊ぶだけで家事はしない」

「自分が子育てをして、妻のキャリアを応援したいという夫も」

「妻、上司、人事に加えて、(職場結婚の)夫と夫の上司が参加する5者面談をする企業も」

「育児は私生活、どこまで立ち入るのか」

「何時に帰宅できるかが重要。オフの時間の確保、オフの権利が大事。仕事にメリハリをつけ定時で帰る日をつくるべき」

「カップルの子育てはパートーナーの状態がとても大きい」

「いつかどこかで1人になるかもしれない。1人で生活できる方が良い」

「男性の育休は育児参加のきっかけのはずだが、それで育児が終わったと捉えられることも」

「育児は続くのにどうするかが休業取得後の課題」

――など様々な意見が交わされていた。

 

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「② 職場はどこまで、何ができるのか?」については、

 「統制より対話。対話をすることが基本中の基本」

「若い人の新感覚を経営の活力に」

「対話によって問題が解決していく」

「どう折り合いをつけていくのか」

「場づくり、研修が現実的な落とし所ではないか」

「女性社員も夫にもっと言うべき」

「夫婦の間では感情的にながち。なぜ仕事のように(冷静に)できないのか。仕事だと思えば家事もやるのでは」

「会社がおせっかいをすることに基本的には反対だが必要があることも」

「オフの過ごし方が健康面、心理的な面で、パフォーマンスに影響を与える」

「上司と部下のコミュニケーションに大事なのは会社が『こうあって欲しい』という思いを伝えること」

――など様々な意見が交わされていた。

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 パネルディスカッションは、終始笑みが溢れる(ときに会場が爆笑の渦に包まれる)楽しく温かな雰囲気で進められ、会場は穏やかな熱気で包まれていた。

 ふと手元の時計に目をやると、174243分になっていて、スビーディに締めくくられる展開になった。

 

「職場がやるべき重要なこと」と「育児休業の問題は女性も同じ」

 

 司会進行を務めた武石氏は、締めくくりに

「二点ほど申し上げたいと思います。

 ひとつは、労使のコミュニケーション、職場のコミュニケーションの話が出ました。…話し合いのなかで、一番良い解決、それはカップルの状況によって多様であるはずで、そういうことを支援するということは、職場がやるべきひとつの重要なことではないか、ということ。

 二つ目は、男性の育児休業の話をすると、評価や仕事責任などの問題が出てきます。しかしこの点は女性も同じで、…男性の育児を考えると、女性の育児の課題が、もう一度、浮き彫りになってくるという気がします。もちろん男性特有の問題もありますが、男女共通の課題として、評価や職場のマネジメントを改めて考える必要があるのではないか、と今日の議論を聴きながら感じました」

と述べていた。

 

 

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 終了後も、佐藤氏、武石氏と4名のパネリストのもとには、多くの参加者が列をなしていた。

 

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2019年12月 3日 (火)

令和元年12月2日(月)認定NPO法人キャリア権推進ネットワークが「社会人の学び直し」をテーマに「第6回キャリア・コロッキアム」を開催

「越境」「越境学習者」「水平的学習」

「摩擦・迫害・風化」

「多様で緩やかな学びのコミュニティ」

などが【社会人の学び直し】キーワードに

 

グループワークでは

「どうしたら社会人がもっと学ぶようになるか?」

を参加者全員で検討

 

諏訪理事長からは、「この場は、まさに水平的学習の場」との指摘も

 

 

 令和元年12月2日(月)19002110頃まで

 認定NPO法人キャリア権推進ネットワークは、

講師に齊藤弘通 産業能率大学経営学部准教授を迎えて

「社会人の学び直し」をテーマに

「第6回キャリア・コロッキアム」を開催した。

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 齊藤氏は、基調報告の冒頭に「貧相なジョン・レノンなのでヒンレノン」などと述べ、会場を一気に沸かせていた。

 

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 そして、

○ 「リカレント教育」という言葉は、1969年5月に初めて使われ、その歴史は50年にもなるが、日本では、近年になって政府の提言などで使用されるようになってきたこと。

 

○ 日本では、関係省庁(厚生労働省、経済産業省、文部科学省)が、各々政策を行っていること。

 

○ 企業が、外部教育機関として、大学・大学院等の活用をしないこと。

 

○ 従業員が大学等で学習することに対して、企業は「特に評価はない」という状況。

 

○ 特に地方では学び直しが難しい。

 

――などを報告した。

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 日本における社会人の学び直しの現状については、詳細な国際比較データや各省庁・研究機関などの調査データなどを交えて、

 

○ 日本人は学び直しをあまりしていない。

 

○ 意識は高いが実践してない(掛け声だけで実際やっていない)。

 

○ 社会の学習・自己啓発の状況も悲惨な状況。

 

○ 学ばないことに特に理由はないという状況。

 

○ 労働時間が削減されても、自己学習を始める人の割合が増えるわけではない。

 

○ 自主的な学びの行動をしているのは、専門職(社会福祉専門職、医療技術者、ソフトウェア・インターネット関連技術者等)。

 

○ 当初得た技術は陳腐化していく。新たな知識を身につける必要がある。

 

○ 『忙しいからやらない』は言い訳

 

――などの特徴や傾向があることを述べていた。

 

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 「Society5.0 イノベーション(革新、新機軸、新結合)が求められる社会におけるこれからの学びのあり方」については、「越境」や「水平学習」などをキーワードに解説。

 

 

 「イノベーション」のためには、既存の前提への疑問の投げかけと問題の再構築が必要。そのためには、異質な他者との出会いや協働(=越境)による内省や学習が必要。異質な他者との協働の過程では、自らの前提・価値観との矛盾やコンフリクトも発生するため、アンラーニング(学習棄却)や「塩抜き」が必要となる(塩漬け人材ではダメ)。

 

 企業が得意な「垂直的学習」(熟達による学び)に対して、「水平的学習」(越境による学び)では、境界を超えることで新しい学びが生じる可能性がある。自分が当たり前だと思っていたことが実はそうではない可能性に気付くことで、「水平的学習」が始まる。「水平的学習」がイノベーションを起こす。

 

 越境による学びには、「組織コミットメントの向上」(社外の人々との接触を通じて、自組織の悪いところが見えてくる一方で、自組織の良いところも発見できる、という不思議な効果も。

 

――などと「越境」、「水平的学習」の意味や効果を説明。

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 その後、(多くの人がなんとなく感じていたが、うまく説明できなかったかもしれない)、同日の核心(の1つ)、「越境による学びをめぐる問題 ―摩擦・迫害・風化―」に話が進むと、「おお!」っと前傾姿勢になる参加者も。

 

 

 齊藤氏は、

 

 「越境先での学び」を本業に生かそうとした際に、既存組織(自身が勤務する職場や会社など)との間で、「摩擦」(例えば「お前なにかぶれてんだよ!」と言われる)が発生し(逆カルチャーショック問題)、「越境学習者」は迫害にあう(そして、ある者は坂本龍馬のように「脱藩」(離職)する)。

 

 そのうち、「越境学習者」の越境先での学びの高揚感は薄れ、(美しい過去の思い出として)風化していく。

 

 そのため、「越境学習者」には、そうした迫害を乗り越え、越境先での学びを翻訳し、既存組織に理解させる努力が求められる。

 

――など卓越した越境者になるために、求められる(精神的な)強さなどにも言及した。

 

 さらに、(JILPTの調査から)大学・大学院での学習を職場で秘匿するケースや越境的学習が「迫害」にあうことが示唆されること――などを指摘し、

 

  •  越境学習者(組織にとっては疎ましい存在)が、組織の中で、非正統的な学習活動を継続できるのか?
  •  越境して学んだことを組織に持ち込もうとしたら、迫害されている同僚を観て、自分も「越境」しようと思うのか?

 

――などの問題を提起した。

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 続いて(同日の核心の2つ目)「社会人の学び直しを推進する上での課題」については、

 

 「自助・共助・公助」を上手く組み合わせることが大切であり、

 

 公助(国や公的機関)に関わる部分は、基盤が脆弱であることを再度指摘。

 

 共助(企業)に関わる部分については、「本業以外の活動に対する上司・職場のネガティブな認識と集団圧力が背後にある?」、「ミレニアル世代(19811993生まれ)の旺盛な学び意欲、学び行動を阻害しないマネジメントが必要では?」などと指摘した。

 

 共助(地域社会)に関わる部分については、大学・大学院はハードルが高いので、多様で緩やかな学びのコミュニティが社会に形成されることが望ましいと考えられ、その1つのケースとして、「#シブヤ大学」「#大ナゴヤ大学」「#福岡テンジン大学」(授業は参加者が自分たちでつくるなどの取組み)などの「地域密着型生涯学習大学」の取組みを紹介し、入りやすいコミュニティは、ボランティアスタッフの学び直しなどにつながり、「その後の学びに有効では?」と指摘していた。

 

 

 自助(個人、自分自身)に関わる部分については、

 

①「継続的に学習すべし」(「すぐに役立つものは、すぐに役立たなくなる」リスクが高い社会 など)

 

②「リスク分散すべし」(シングルスキル→デュアルスキル、シングルキャリア→パラレルキャリア など)

 

③「社会関係資本を構築すべし」(「旧友は突然現れない」「本業人脈からは仕事は来ない」など)

 

――と具体的な例などを交えた3箇条を示した。

 

 

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 そして、基調報告の締めくくりには、「社会人の学び直しを促進するために必要だと考えていること」として、

 

★ 社会人が気楽に参加できる緩やかな・裾野の広い学習コミュニティを積極的に立ち上げ、学び直し人口の裾野を広げること(学びのきっかけづくり)

 

★ 「社会人の学び直し」を社会人の枠で完結させるのではなく、例えば、現役の学生と協働するなど、社会人の枠を超えたアプローチを模索すること

 

★ 役職者(上長)の積極的な学び直しと、組織内での情報発信・情報共有(学び直しを促す組織文化の醸成)を促すこと

 

――の3つをあげていた。

 

 

 参加者からは、「キャリアコンサルタントに期待することは?」との質問が出ていた。

 

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 2010頃には、諏訪康雄理事長が「どうしたら社会人がもっと学ぶようになるか?」という課題を提示。

 参加者各自が3分のタイムリミットで、「Q1 What?(何が問題か?)」「Q2 Why?(なぜか?)」「Q3 How?(どうするべきか?)」の「2WH」を配布された回答用紙に記入し、その後、5つの班別のグループワークがスタートした。

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 302050からは、ジャンケンを勝ち抜いた代表者がグループの成果を発表した。

 

 参加者からは、

① 留学のすすめ。リカレント教育に補助金。評価制度の見直し。

② 皆が行う必要があるのか。上の人がどんどん学んで欲しい。すぐ目の前の仕事に役立つようなプログラムによって評価されることに。人生を楽しむために学ぶことを忘れてはいけない。

③ ミレニアム世代の考え方を取り入れる。

④ アウトプットする場を。離職することは悪いことですか?

⑤ 個人がどうしたいのか考えなければならない。生きること、学ぶことをもう1回考える。学ぶきっかけが増えればいい。

 

――などの様々な意見が出ていた。

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 同日の締めくくりに、齊藤氏は、社会人の学び直しについて、

誰がターゲットなのか?

何を学べばよいか分からない。

スペックがよくわかっていない。

大学院の勉強は、すぐに役立たないが…。

上が学び直すことが大切。

――などについて述べていた。

 

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 グループワークと検討結果の発表もとても盛り上がり、気づけば午後9時をとうにすぎていたため、諏訪理事長の総括は理事長自らの判断でオミットされた(会場からは「ききたかったのに~」との残念がる声も)。

 終了後には、齊藤氏から、2種類の追加資料が提供された。

 齊藤氏の前には、午後9時半近くまで、名刺交換や質問をしたい参加者の列ができていた。

 

 次回(第7回)は、ジェロントロジー(高齢学)をテーマに、令和2年2月以降の開催が予定されている。

 

【主催】

認定NPO法人キャリア権推進ネットワーク

http://www.career-ken.org/



【会場】

株式会社ライフワークス

https://www.lifeworks.co.jp/

セミナールーム

東京都港区虎ノ門3丁目4-7 虎ノ門36森ビル10



【事務局担当】

株式会社ウイル

https://www.officewill.co.jp/

 

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