労働組合

2016年2月12日 (金)

「2016年 春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンス調査」の結果【産労総合研究所】賃上げ実施予定企業は6割弱、賃上げ率は「2015年と同程度」が6割

産労総合研究所(平盛之代表)は、2016年の春季労使交渉に先がけ「春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンス調査」を実施し、その調査結果を2月5日に発表しました。

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【調査の結果】

● 今春に賃上げを「実施予定」の企業は6割弱(58.9%)、自社の賃上げ率の予測としては「2015年と同程度」が6割となった。

● また、2016年の年間賞与額は、2015年と比べて「ほぼ同額」が3割(30.1%)、「現時点(201512月)ではわからない」が4割(41.1%)だった。

● 非正社員の処遇見直し状況では、2015年に非正社員の「賃金を増額した」企業は5割(53.4%)にのぼった。

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主なポイント

 

(1)2016年の賃上げ見通し

 

「賃上げ世間相場」の予測では、5割弱の企業が「2015年と同程度」と回答も、大企業で厳しい見通し

「自社の賃上げを実施予定」は6割弱、企業規模が大きくなるほど賃上げ実施予定率は低下

 

(2)2016年の自社の賃上げ予測

 

自社の賃上げ率は「2015年と同程度」が6割、「2015年を下回る」が2割

 

(3)定期昇給制度の有無と今後の取り扱い

 

「定期昇給制度がある」企業は全体の8割、うち「現状の定期昇給制度を維持する」企業は8割

 

(4)賃金改定に向けた経営側のスタンス

 

「定昇もベアも実施する企業」は1割、「定昇のみ実施」は5割

 

(5)業績が向上した場合の配分

 

業績向上分は「賞与にまわしたい」55.5%、「賃上げ(月例給の引上げ)と賞与にバランスよく配分したい」24.7%、「賃上げにまわしたい」6.2

 

(6)2016年の年間賞与の見通し

 

2015年と比較した2016年の年間賞与の見通しは「ほぼ同額」が3割

 

(7)正社員以外の労働者の処遇改善

 

2015年に「非正社員の賃金を増額した」企業は5割、2016年の見通しは「賃金を増額する予定」26.7

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2016年1月25日 (月)

「第1回 組織の変動に伴う労働関係に関する対応方策検討会」開催される! 投資ファンドやホールディングス会社などの使用者性の問題、集団的労使関係の問題についての意見も

座長に東洋大学法学部教授の鎌田耕一氏が就任

今年4月のとりまとめを目指す

 

 

本日(平成28年1月25日(月))、午前9時から、「第1回 組織の変動に伴う労働関係に関する対応方策検討会」が、厚生労働省 共用第8会議室(19階)にて開催されました。


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開催に当たって、安藤よし子政策統括官(労働担当)から、

同検討会は、昨年1120日にとりまとめられた「組織の変動に伴う労働関係に関する研究会報告書」を踏まえた実効性のある政策を実施していくに当たって、労働法等の専門家及び労使関係者の参画を得て、必要な対応方策を議論・検討することが適当であるため、開催するもの

――との開催の趣旨などが説明されました。

 

本日の議題は、

(1)座長の選出について
(2)組織の変動に伴う労働関係の現状等について
(3)講ずべき方策に関する検討項目について
(4)今後の進め方について
(5)その他

 

(1)については、事務局から推薦された東洋大学法学部教授の鎌田耕一氏が座長に就任しました。

 

(2)については、平成12年の商法改正による会社分割制度の創設、労働契約承継法の制定などについても説明がされました。

 

(3)については、事務局から、次のような検討項目(案)が示され

① 会社分割について

〈会社法の制定への対応〉

 ・ 「事業に関して有する権利義務」

 ・ 「債務の履行の見込みに関する事項」

〈裁判例を踏まえた対応〉

② 事業譲渡について

 ・ 労働者との間の手続等

 ・ 労働組合等との間の集団的手続等

――概ね同案にそって検討されることになりました。

 

 また、投資ファンドやホールディングス会社などの使用者性の問題、集団的労使関係の問題についての意見も交わされていました。

 

(4)については、事務局から、今年2月~3月に2回程度開催し、4月頃には「講ずべき方策」についてとりまとめを行う案が示されました。

 

 

 次回の開始は、2月中を目処に調整中とのことでした。

 

 

 

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2015年12月24日 (木)

平成27年「労働組合基礎調査」の結果 ~推定組織率は17.4%で前年のより0.1ポイント低下~

厚生労働省は、平成 27 年「労働組合基礎調査」の結果を取りまとめて、1224日付で、公表しました。

 

この調査は、労働組合、労働組合員の産業別、企業規模別、加盟上部組合別にみた分布状況など、労働組合組織の実態を明らかにすることを目的に実施しています。

 

すべての労働組合を対象とし、毎年6月30日現在の状況について7月に調査を行い、集計しています。

 

調査結果の詳細は、こちら

 

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<調査結果のポイント>

 

 労働組合員数は988万2千人で、前年の984万9千人より3万3千人(0.3%) 増加。

 

 推定組織率(注)は17.4%で、前年の 17.5%より0.1ポイント低下。

 

 女性の労働組合員数は312万人で、前年の305万4千人より6万6千人(2.2%) 増加。 推定組織率(注)は 12.5%で、前年と変わらず。

 

 パートタイム労働者の労働組合員数は102万5千人で、前年の97万人より5万5千人(5.7%)増加。

 全体の労働組合員数に占める割合は、前年の9.9%より0.5ポイント上昇し、10.4%と1割を超えた。

 推定組織率(注)は 7.0%で、前年の6.7%より0.3ポイント上昇。

 

注)推定組織率とは、雇用者数に占める労働組合員数の割合をいい、本調査で得られた労働 組合員数を、総務省統計局が実施している「労働力調査」の雇用者数(6月分の原数値)で除して計算している。

 

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2015年5月20日 (水)

「第1回 トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」開催される 【厚生労働省・国土交通省・全日本トラック協会】

 本日(5月20日)午前10時から、東京・霞が関の国土交通省が入る中合同庁舎3号館において、「第1回 トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」が開催されました。

 

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 同中央協議会は、トラック運送業における「取引環境の改善」及び「長時間労働の抑制」を実現するための具体的な環境整備等を図ることを目的に開催されるもので、平成30年度中までの4年間にわたって設置されることが示されました。
 全国47都道府県においても、地方協議会を設置すること、そのメンバーには、都道府県労働局長、地方運輸局長が委員として参加し、経済団体代表のほか、各都道府県における主要な荷主企業を加えること――などについて説明がありました。
 なお、都道府県労働局長と地方運輸局長宛に、5月11日に、「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」の設置について(平27・5・11 基発0511第3号、国自貨第13号)という通達が出ています。
 岡崎労働基準局は、開会に当たって、労働基準法の改正法案の国会提出が契機になっていることなどを説明しました。

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 同中央協議会の座長には、野尻俊明氏(流通経済大学学長)が選任されました。

 

 今年度は、厚生労働省と国土交通省が共同して「トラック輸送における長時間労働の実態調査」を実施することになりました(調査対象者は地方トラック協会の会員事業者で各都道府県100ドライバー、9月の1週間(6日分)を調査対象期間とする)。

 委員からは様々な意見がありました。

 

【意見の一部】

・ 時間的猶予はない。トレードオフの関係にあるところが多々ある。

・ 従来の慣行を改善していくのは難しいが、荷主側企業の実態把握を。

・ なぜそれ(慣行)が存在しているのか。物流のありかたにかかわることも。

・ 言いぱなしにならないように。この業界では多い。法的な担保をとらなければ…。

・ 労働基準法の改正法案の附帯決議で、一文入れて欲しい。

・ 労働基準法の改正法の成立(の見通し)は? 秋の臨時国会にはぜひ。

・ 物流の効率化につながるのでは。

・ 60時間超(の時間外労働の割増賃金の適用猶予の撤廃)には賛成。

・ 地方協議会に、労働側委員の入らないのか。

  → 入ってもらいたい。

・ 運賃の問題をとりあげなければならない。時間単価1000~1200円では…。

・ 配送だけではなく、商品の陳列などもやらされる。付帯業務については書面で明示を。

・ 荷主は法令など知らない。説明してもなかなか理解されない。

・ トラック業界は、労働力不足、99%が中小企業、平均年齢が高い、中途採用が多い

――など

 

 

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 次回(2回)は、今秋に開催される予定です。

 

 

 
 

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2015年4月16日 (木)

「新実務シリーズ/人事異動の法律ルールと実務Q&A 第3回・企業内人事異動①」「新企業事例/現場に聞く! 障害者雇用の今〈第8回〉 ~リゾートトラスト株式会社~」~労働基準広報2015年4月21日号の内容~

 

労働基準広報

2015年4月21日号

CONTENTS

 

●新実務シリーズ/人事異動の法律ルールと実務Q&A

第3回・企業内人事異動①

~企業の配転命令権とその根拠・配転命令権が制限される場合~

労働契約上で職種・勤務地限定あればそれらの変更には個別の同意が必要に

(労務コンサルタント・布施直春)

使用者が適法・有効に人事異動を行うためのポイントについて、Q&A形式で解説する本企画。今回は、「企業内人事異動①」として、企業の配転命令権とその根拠、配転命令権が制限される場合について解説する。

同一企業内の人事異動となる配置転換(配転)については、就業規則に明確な根拠規定を設けておけば、原則として、企業は従業員本人の個別的同意(承諾)を得ることなく、配転を命令することが認められている。

ただし、配転命令権は、①労働契約による制限、②権利濫用法理による制限――の2つの制限を受ける。例えば、その従業員との労働契約で、職種・勤務地等が限定されている場合には、その従業員の同意を得ることなく、それらを変更する配転を命ずることは認められない。

 

●新企業事例/現場に聞く! 障害者雇用の今〈第8回〉

~リゾートトラスト株式会社~

障害者が80種類を超える業務に従事し

全体のサービス向上とコスト削減に貢献

(編集部)

 障害者雇用に積極的に取り組む企業を紹介する本企画。第8回となる今回は、リゾートトラスト株式会社の東京事務支援センターの取組を紹介する。同社東京本社内に設置されている東京事務支援センターでは、障害者が80種類超の業務に従事している。これらの業務は、手間のかかる反復業務や外部へ委託していた業務を担う形で創出されており、専門業務に従事する社員の本来業務への集中や外注コストの削減に貢献している。

 

●転ばぬ先の労働法〈紛争予防の誌上ゼミ〉

21 講 刑事事件として告訴・告発する場合①

業務上横領など重大事案については刑事告発も含めた対応が求められる

(北海学園大学法学部准教授・弁護士 淺野高宏)

業務上横領事案などが発覚しても、社会的な信用低下を恐れて会社が、揉み消したり、告訴や被害届をしない場合は少なくない。しかし、会社内部の犯行で会社の信用の基礎である「会社財産」が棄損されているのに、これを放置したり秘匿することは、株主や会社債権者等に対する裏切り行為であるといえる。会社が社会において信頼を得て活動する上で、社内不祥事に対して厳然たる態度で臨み、再発防止に取り組むことが重視される。業務上横領などの重大事案については刑事告発も含めた対応が求められるといえよう。

 

●特別企画/平成26年度 特定最低賃金の決定状況

全国加重平均828円(13 円増)

(厚生労働省・労働基準局労働条件政策課賃金時間室)

特定最低賃金は、平成26年度に201件の改正、7件の廃止が行われて全235件となり、このうち全国を適用地域として定める1件を除く234件の全国加重平均額は828円(対前年度13円増)となりました。

 

●労働局ジャーナル 

管内の運輸交通業では23.7%の事業場で月80時間超の時間外労働が

(東京労働局管内・青梅労働基準監督署)

 青梅労働基準監督署(古賀睦之署長)が公表した平成2610月実施の労働時間をはじめとする労務管理の実態を把握するためのアンケート調査の結果によると、直近1年間で最も長い労働者の1ヵ月の時間外・休日労働時間数が80時間超100時間以下である事業場は2.8%、100時間超の事業場は4.0%であった。これを業種別でみると、運輸交通業では45時間超が45.8%、80時間超が23.7%で、他業種に比べ長時間労働を行っている事業場が大幅に多かった。

 

NEWS

(派遣法改正案・前回と実質同内容で国会提出)今回法案は改正法施行後の検討規定を強化/

(介護雇用管理改善等計画を改正)魅力ある職場づくりを力強く支援する施策を展開/

(厚労省・今年6月から申請受付開始)安衛優良企業の要件を自己診断するページを追加/ほか

 

●労務資料 平成26年賃金構造基本統計調査結果④~都道府県別の賃金~

●連載 労働スクランブル第213回(労働評論家・飯田康夫)

●わたしの監督雑感 兵庫・淡路労働基準監督署長 山本博一

●今月の資料室

 

●労務相談室

労務一般

〔マイカー通勤社員が免停で通勤できない〕他の通勤手段ない場合は

弁護士・岡村光男

 

賃金関係

〔地方勤務者に勤務地手当支給しない〕単身赴任者の扱いは

弁護士・新弘江

 

労働組合法

〔賃金から組合費控除するチェック・オフ〕ある組合員が中止要求

弁護士・小川和晃

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2015年4月 9日 (木)

『これってあり?まんが 知って役立つ労働法Q&A』を作成 【厚生労働省】就職前やアルバイトをする学生・生徒などの皆さんに労働法の理解促進を図る新たなハンドブック 全29ページ!

 

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 厚生労働省は、学生・生徒などの皆さんを対象に、就職して働き始める前やアルバイトをする際に知っておくべき労働に関する基本的なルールをまとめたハンドブック『これってあり?まんが知って役立つ労働法Q&A』を作成しました(4月8日発表)。

 

 

 『これってあり?まんが 知って役立つ労働法Q&A』は、学生・生徒などの皆さんが就職先を選択する際や働いている中で参考になるよう、平成22年9月に作成したハンドブック『知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識~』を基に、新たに作成したものとのことです。

 

 

今回のハンドブックは、学生・生徒、学校関係者、労使団体などの皆さんが幅広く利用できるよう、ホームページに掲載し、どなたでも自由にダウンロードして使える形で提供されています。また、各都道府県労働局やハローワークの主催するセミナーなどを通じて、配布も行っていくとのことです。

 

 

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『これってあり?まんが知って役立つ労働法Q&A』の主な特徴

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● 学生・生徒の皆さんが理解できるように、分かりやすさを重視して作成しました。また、まんがを取り入れることで興味を持ってもらうよう工夫しています。

 

● 働くときに最低限知っておいてほしい基本的なルールと、困ったときの相談窓口がわかるようになっています。

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 詳しくはこちら

 

 

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2015年2月 3日 (火)

【労働政策審議会】電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律の在り方に関する部会 報告 「スト規制法について、現時点では存続することでやむを得ない」など提言

厚生労働省の労働政策審議会電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律の在り方に関する部会(部会長 勝 悦子 明治大学副学長(国際交流担当))は、報告書を取りまとめ、2月2日付で公表しました。

 

 同報告書は、同部会において、平成26年9月11日から議論を重ね、「今後の電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律(電気事業関係)の在り方について(報告)」として取りまとめられたものです。

 

 

 報告書の全文はこちら

 

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報告書より抜粋

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4.今後の方向性

 

今後のスト規制法の方向性を考えるに当たって、憲法上規定された労働基本権の保障の 観点が重要であることは言うまでもない。

しかしながら、電気の安定供給と特殊性、今後 の電力システム改革の影響も踏まえると、以下の方向性が適当である。

 

(1) 現状では、電力需給が逼迫し、供給への不安が残っていること、電力システム 改革の進展と影響は不透明であることから、引き続き注視することが必要である。

このため、スト規制法について、現時点では存続することでやむを得ない。

 

なお、労働者代表委員からは、スト規制法は電気事業の労働者の憲法上の労働基本 権を制約している上、既に労働関係調整法の公益事業規制がある中で更に規制を設け る根拠は存在しないと考えられることから、同法は廃止すべきとの意見があった。

 

(2)  一方、スト規制法第2条において禁止される争議行為に関する解釈通知については、 現在の電気事業の状況や、今後の電力システム改革等に伴い業務内容の変化が見込ま れることも踏まえて必要な見直しを行うべきである。

 

(3) スト規制法の在り方については、電力システム改革の進展の状況とその影響を十分 に検証した上で、今後、再検討するべきである。

 

 

 

 

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2015年1月 8日 (木)

石井淳子厚生労働省政策統括官(労働担当) 平成27年 年頭所感

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明けましておめでとうございます。

新春を迎えるにあたり、年頭のご挨拶を申し上げますとともに、日頃の厚生労働行政へのご理解とご協力に心から御礼申し上げます。

 

最近の雇用・失業情勢等については、個人消費などに弱さはみられましたが、景気は緩やかな回復基調が続く中、完全失業率が三%台半ばまで低下し、有効求人倍率が二十二年半ぶりの水準まで改善するなど、一部に厳しさがみられるものの、着実に改善が進みました。また、賃金についても、春季労使交渉の結果、賃上げ率が十三年ぶりに二%を超えるなど、緩やかに増加しました。本年も、景気は緩やかに回復していくことが期待されており、雇用情勢についても、改善傾向が続くことが期待されます。

 

 こうした中、経済の好循環を持続的な成長軌道につなげていくため、昨年六月、政府は「『日本再興戦略』改訂2014」を取りまとめました。この戦略では、人口減少社会への突入を前に、女性や高齢者が働きやすく、意欲と能力のある若者が将来に希望を持てるようにするために、労働力人口を維持し、また労働生産性を上げていくべきであるという観点から、働き方改革や女性の活躍促進、外国人材の活用等の施策が盛り込まれています。これを受け、厚生労働省では、労働政策の重点事項として、働き方改革の実現、女性・若者・高齢者等の活躍推進、地域に応じた良質な雇用機会の確保・創出等を定めており、これらの事項を着実に実施してまいります。

また、経済の好循環を確固たるものとするため再開された政労使会議での議論等を踏まえ、賃金上昇等による継続的な好循環の確立に向けた環境の整備や休み方と働き方改革を通じたワーク・ライフ・バランスの推進等に取り組みます。

さらに、人口減少という大きな課題に対し、各地域がそれぞれの特徴を活かした自立的で持続的な社会を創生できるよう、政府は「まち・ひと・しごと創生本部」を設置し、課題の解決に向け一体的に取り組むこととしています。厚生労働省としても、少子高齢化対策はもとより、若者の東京への流出を止め、各地域で、若い世代が充実した職業生活を営み、子どもを育て、次世代へと豊かな暮らしをつなげるようにするため、創生本部と密接に連携し、地域しごと創生プランなどに取り組んでいきます。

 

他方、これらの労働政策を的確に進めるためにも、労働関係の法制度を働く方や経営者の方に広く知っていただくことは欠かせないと考えます。厚生労働省では、労働法に関する基本的な知識をまとめたハンドブック「知って役立つ労働法」を作成し、その周知を図る取組を進めてきました。今後、学生や生徒向けの、より分かりやすい資料を作成し、若者を中心に労働関係の法制度の周知をさらに進めていきます。

 

このことに加え、労働政策の推進に当たっては、安定的な労使関係の維持・発展に向けた取組みの積み重ねが不可欠です。我が国は、これまでも良好な労使関係の下で様々な難局を乗り越え、経済の発展と国民生活の向上を図ってきました。現在、労働行政としては全ての人々が生きがいを持って働き、能力を発揮できる社会の構築を強力に進めているところですが、実効性ある政策の推進のためには、働く現場における労使の協力と安定した労使関係がますます重要と考えます。労使関係の形成の重要性については、今後とも発信していきたいと考えております。

 

 

本年も国民の皆様の声に耳を傾け、労働政策の積極的な展開、より良い労使関係の実現に努めてまいりたいと考えております。本年が皆様にとりまして幸多き年となりますようご祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。


 

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2015年1月 1日 (木)

「新春対談/どうなる今年の労働基準行政!労働時間法制の見直しに関し年初頭にも建議とりまとめを」(岡崎淳一厚生労働省労働基準局長×労働評論家・飯田康夫氏)「新春企業訪問/正社員の多様な働き方を支える制度」「新春特別鼎談/障害者雇用を“俯瞰”する」~労働基準広報2015年1月1・11日付新年特別合併号の内容~

 
労働基準広報2015年1月1・11日付新年特別合併号のポイント
 
●新春対談/どうなる今年の労働基準行政 
 
労働時間法制の見直しに関し年初頭にも建議とりまとめを
 
(岡崎淳一厚生労働省労働基準局長×労働評論家・飯田康夫氏)

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  厚生労働省労働基準局長の岡崎淳一氏と、本誌「労働スクランブル」の執筆者で労働評論家の飯田康夫氏が、平成27年の労働基準行政について新春対談を行った。
 安倍政権の「『日本再興戦略』改訂2014」の「働き方改革」を受けて、現在、労働政策審議会において、裁量労働制の新たな枠組みの創設やフレックスタイム制の見直し、時間ではなく成果で評価される制度の創設など、労働時間法制の見直しが議論されている。
 対談の中で、岡崎氏は、今年出来るだけ早い時期に建議のとりまとめを頂き、今年の通常国会に改正法案を提出したいとの考えを明らかにした。
 
 

●新春企業訪問/正社員の多様な働き方を支える制度
 
勤務地限定や短時間勤務制度が優秀な人材の確保と定着につながる
 
〈取材企業〉
 ① 株式会社ファンケル
契約社員店長の正社員化と同時にエリア限定制度を新設
 ② 株式会社リコー
短時間勤務制度などの両立支援により男女の平均勤続年数の差がほぼ解消
 (編集部)
 
 企業の成長には、そこで働く人のキャリアアップが欠かせない。働く人のスキルやノウハウは、継続的な勤務を通じて育まれる面が多分にあるが、その一方で、育児や介護、配偶者の転勤などの事情により離職を余儀なくされる人も多い。今年の「新春企業訪問」では、就労継続の妨げとなっているものは何か、優秀な人材の離職を防ぐためにはどうすれば良いか――などの課題に取り組み、正社員の多様な働き方を支える制度を導入・運用している企業2社を取材した。
 株式会社ファンケルでは、2014年度から転居を伴う配置転換がない正社員の区分を新設するとともに店舗の店長職を務める契約社員の正社員化を実施。生活環境の変化という不安を解消した。また、同社の産前産後休業と育児休業からの復職率は、原職復帰を基本に休業前のポストを復職まで空位とする運用などにより100%を誇る。
 株式会社リコーでは、育児休業法の施行前に短時間勤務制度を導入。以来、従業員のニーズを的確に捉えて、仕事と生活の両立支援などに関する様々な制度の導入と改訂を繰り返している。同社では、これらの両立支援策などにより、男女の平均勤続年数の差は1年以内にまで縮まった。
 
 
●新春特別鼎談/障害者雇用を“俯瞰”する 

障害者の雇用者数が増加する中で目指すは障害者雇用が当たり前の社会
 
・松永久氏(厚生労働省職業安定局雇用開発部障害者雇用対策課調査官)
・長澤京子氏(独立行政法人国立がん研究センター東病院 ジョブコーチリーダー・障害者職業生活相談員)
・須藤シンジ氏(有限会社フジヤマストア、ネクスタイド・エヴォリューション代表取締役社長、NPO法人ピープルデザイン研究所代表理事)
 
 今、国内では40万人を超える障害者が働いており、障害者雇用数は11年連続で過去最高を更新している。一方、平成30年度には改正障害者雇用促進法に基づく法定雇用率の算定基礎が見直されることとなっており、企業は今後、より一層障害者雇用を推進していかなければならない。ここでは、障害者雇用に対して異なる視点を持った3名による、障害者雇用の現状や今後に関する鼎談の模様を紹介する。
 
 

●弁護士&元監督官がズバリ解決!~労働問題の「今」~  
 
第5回・事業場外みなし労働時間制②
 
端末機により労働時間把握できるとして
遡及是正額約5億円を支払わせた事案も
 
(弁護士・森井利和&特定社会保険労務士・森井博子)
 今回は「事業場外みなし労働時間制②」として、事業場外みなし制に関する行政の考え方や判断基準について解説してもらった。
 労基署の監督指導では、事業場外みなし制の対象労働者が業務のため所持している端末機により労働時間を把握することができることから、労働時間の算定が困難と認められないとして、端末機の記録等による実労働時間に基づき対象労働者約530人に遡及是正額約5億円を支払わせたケースがあった。
 端末機により労働時間を把握することができるとされたことは、注目すべき点といえる。昨今は携帯端末が加速度的に進歩しており、労働時間の把握は以前に比べると格段に容易になっている。これを踏まえて各会社は、自社の事業場外みなし労働時間制の見直しをする必要がでてきたといえよう。
 
 

●企業税務講座/第49回 通勤手当の非課税限度額の引上げ
 
平成26年4月1日以後に支払われる通勤手当に適用
 
(弁護士・橋森正樹)
 
 平成26年10月17日付で所得税法施行令の一部を改正する政令が公布され、同年10月20日から、マイカーなどの交通用具を使用して通勤している給与所得者に対する通勤手当の非課税限度額が引き上げられた。この改正後の施行令は平成26年10月20日からの施行とされているものの、平成26年4月1日以後に支払われるべき通勤手当について適用されることになっている。
 
 

●企業事例連載/「ポジティブ・オフ」で企業価値の向上を<第16回>
 
 
ポジティブな休暇活用で仕事での能力発揮につなげる
 
~アサヒビール株式会社~
 
(国土交通省 観光庁)
 
 今回は、アサヒビール株式会社の取組を紹介する。
 私生活の充実があってこそ仕事で最大限の能力を発揮できる、との考えのもと、同社では、休暇取得を積極的に促進している。社会貢献を目的とした特別休暇であるアサヒナイスライフ休暇もそのひとつ。この休暇はボランティア活動・環境整備活動・スポーツ振興活動など、会社が認めた社会貢献活動を行う際に取得できるものとなっている。
 東日本大震災においては、物資運搬などのボランティア活動に加え、全国から集まったボランティア希望者と被災地との間で、ニーズをマッチングするための“地域ボランティアセンター”の運営にも、応援として入り、約250名の社員が活動した。
 
 

●労働局ジャーナル
 
 
島根大学と連携した公開セミナー
「あなたのバイトはブラックですか?」を開催
 
〔島根労働局〕
 
 島根労働局(古田宏昌局長)は、11月12日、アルバイトに従事している学生を中心に、労働法制の基礎知識を習得させることで、将来、社会人になった際のトラブルを未然に防止することを目的とした公開セミナー「あなたのバイトはブラックですか?」を開催した。同セミナーは、島根大学からの依頼を受けて、同局労働基準部監督課の綿貫直(わたぬきすなお)課長を講師として島根大学構内において開催したもの。
 
 

●労働局ジャーナル
 
北関東4局合同で無料電話相談を実施
過重労働などに関する 30 件の相談が
 
〔茨城労働局 栃木労働局 群馬労働局 埼玉労働局〕
 
 茨城労働局(中屋敷勝也局長)、栃木労働局(堀江雅和局長)、群馬労働局(内田昭宏局長)、埼玉労働局(阿部充局長)の北関東4労働局が合同で実施した「過重労働解消相談ダイヤル」には、過重労働や労働基準法などに関する30件の相談が寄せられた。寄せられた30件の相談のうち、最も多かった相談は長時間労働・過重労働に関するもので23件。次いで、賃金不払残業に関するものが15件であった。
 
 

●連載 労働スクランブル第203回(労働評論家・飯田康夫)
●NEWS
●労務資料 平成26年就労条件総合調査結果①~労働時間制度~
●わたしの監督雑感 秋田・横手労働基準監督署長 金谷繁夫
●編集室
 
 

●労務相談室
 
 

休業・休職
 
〔出産予定日6週間前から年休を取得〕産休取得とどちらが得か
特定社労士・飯野正明(いいの経営労務管理事務所)
 
 

解雇・退職
 
〔業務上災害で休業中の者が行方不明〕退職扱いとしてよいか
弁護士・荻谷聡史(安西法律事務所)
 
 

労働基準法
 
〔離れた駐車場にある社用車で通勤させる〕労働時間になるか
弁護士・加藤彩(石嵜・山中総合法律事務所)
 
 

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2014年12月18日 (木)

労働組合員数は984万9千人で前年より2万6千人減少 平成26年「労働組合基礎調査」の結果【厚生労働省】

厚生労働省は、このほど、平成26年「労働組合基礎調査」の結果を取りまとめ公表した。
この調査は、労働組合の産業別、企業規模別、加盟上部組合別にみた組合員の分布状
況など、労働組合組織の実態を明らかにすることを目的に実施しているもの。すべての労
働組合を対象とし、毎年6月30日現在の状況について7月に調査を行い、集計している。
 
<調査結果の概要>
 
●単一労働組合の労働組合数は2万5279組合で、前年の2万5532組合より253組合減少(1.0%減)。
 労働組合員数は984万9千人で、前年の987万5千人より2万6千人減少(0.3%減)。
 
●推定組織率(雇用者数に占める労働組合員数の割合)は17.5%で、前年の17.7%より0.2ポイント低下(4年連続の低下)。
 
●女性の労働組合員数は305万4千人で、前年の303万4千人より2万人増加(0.7%増)。
推定組織率は12.5%で、前年の12.6%より0.1ポイント低下。
 
●労働組合員数(単位労働組合)を産業別にみると、「製造業」が262万8千人(全体の26.9%)と最も多く、次いで、「卸売業,小売業」が128万2千人(同13.1%)、「公務(他に分類
されるものを除く)」が88万9千人(同9.1%)など。
 対前年差についてみると、増加幅が大きかった産業は、「卸売業,小売業」2万6千人増(2.0%増)、「宿泊業,飲食サービス業」1万7千人増(10.9%増)など。一方、減少幅が大きかった産業は、「製造業」3万5千人減(1.3%減)、「公務(他に分類されるものを除く)」1万9千人減(2.0%減)など。
 推定組織率についてみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」が66.5%で6割以上と高く、「農業,林業、漁業」2.2%、「不動産業,物品賃貸業」2.9%で低くなっている。
 
●民営企業の労働組合員数(単位労働組合)は830万5千人で、前年に比べて9千人の減(0.1%減)。
 これを企業規模別にみると、1,000人以上規模が533万7千人(全体の64.3%)と6割以上を占め、300~999人規模が116万3千人(同14.0%)、100~299人規模が62万9千人(同7.6%)など。
●パートタイム労働者の労働組合員数は97万人で、前年の91万4千人より5万6千人増加(6.2%増)。
 全体の労働組合員数に占める割合は9.9%で、前年の9.3%より0.6ポイント上昇。
 推定組織率は6.7%で、前年の6.6%より0.1ポイント上昇。
 
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