平成28年5月10日 午後2時から開催された
第8回「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会
では、冒頭に前回の質問に対する回答などが厚生労働省から示されました。
厚生労働省の提出資料として、
就職を希望されない方(
女性 約2275万人)に関するデータ
(60歳以上が全体の約60%、25~44歳では「出産・育児のため」理由が最多)
離職理由に関するデータ
副業に関するデータ
働く方ごとの主な社会保険制度の適用状況
働く方ごとに適用される労働関係法
ニッポン一億総活躍プランに向けた基本コンセプト
――が示されました。
続いて、女性活用ジャーナリスト/研究者である中野円佳氏が
「子育てと仕事の両立 現状と未来」をテーマに40分にわたって、プレゼンテーションを行いました。
【中野氏のプレゼンテーションより(抜粋)】
・ フリーランスでは保育園に入れるのは難しい。保活を勝ち抜けない。
・ ここ(育休世代のジレンマのレイヤー)の話をしたい。
・ 「育休世代」とは「2000年前後の法改正などを経て女性総合職が増え、育休を取るのが「当たり前」になってから総合職正社員として就職した世代
・ 育児と仕事の両立はしなすくなっている。でもそのハードルはより高くなっている。
・ 1995年入社の総合職 20年で86%離職
・ 2005年入社の総合職 10年で59%離職
・ ①バリバリ仕事をする気満々だった人ほど辞めやすい
・ ②残った人は意欲を冷却させていることが多い
→ 【公的領域】意思決定層に女性が増えない
→ 【私的領域】家事育児分担が女性に偏り続ける
・ 離職減少&出産ラッシュで、マミートラック(それまでやっていた責任ある仕事から外れてコピー取りなどの仕事に)飽和・周囲の負担増
→ 1つの部署がママだらけに
→ 独身の若い人に負担がかかる
・ 至る所に隠れる「正社員/フルタイムメリット」(保育園に入れるために続けるなど)
・ 働き続けることはできる。復帰100%を売りにしている企業は多い。でも責任は限定的。意思決定層には少ない
・ 何が問題か→「職場と悪循環が起こっている」
① 長時間労働前提の社会
→ 残業ができない=使い物にならない?→
② 育児中女性の処遇引下げ
→ もともと夫のほうが高所得の傾向 + 育休ブランク、ケア責任などによる比較優位 →
③ 夫婦の所得格差拡大
→ 男性が育児をすると被る不利益が大きい
→ 夫婦として新・性別役割分担(夫は仕事、妻は仕事と家事)が合理的に →
④ 男性が家事・育児を担いにくい
→ ケア責任のない男性、仕事しかしたことがない男性ばかりが意思決定をする社会 →
①につながる悪循環
・ ダイバーシティ&インクルージョンを進めるべき3つの理由
「人材確保」「マーケティング」「イノベーション」
まだまだ実感している会社は少ない
・ どうしたらいいのか
「働き方を変えないと『ケア』の時間は捻出できない」
・ 女性に男性並の働き方を求めるとは無理
・ 男女ともに働く時間の見直し×保育の充実を!
・ ジレンマを脱出する社会設計の提案
◆ 働き方改革の実行
◆ 「休むため」から「働くため」の両立支援へ
◆ 男性稼ぎ主「正社員」と家計補助的「非正規」の前提の打破
◆ 柔軟な労働市場形成と働き方の多様化に合わせた社会保障
自分を守るような知識を学ぶ機会がほとんどない。→個人が自立しない。
◆ 保育・教育環境を含む国としての長期設計
「小学校は足りなくなることはないのに、なぜ保育園は足りなくなるのか」
・ 次世代ということを考えたときに、状況が変わっていないというのは避けたい。
・ 「自分の子どもだけは」と抜け道を探すのではなく、公道を大きくしたい。
・ 数少ない恵まれた企業にたまたま勤めていただけかも…
委員からは、「中野氏の考える理想の働き方とは?」「ジレンマを脱出した海外の事例は? →ヨーロッパのクオーター制」など、多数の意見や質問が寄せられていました。
会議の締めくくり入って、金丸座長が、次回から「目次案のたたき台をつくる」ことを提案しました。
その際には、20年後の確実にわかる技術革新を盛り込むことなども提案されました。
そして、柳川事務局長は、「働き方」に加えて、「新しい会社のあり方」や「新しい稼ぎ方」などバックグラウンドも話し合うことを提案しました。
終始和やかな雰囲気の中、手元の時計をみると2時間があっという間でした。
なお、今回は、WEBによる参加者はいませんでした。
次回(第9回)は、5月24日(火曜日)午後2時からの開催予定とのことです。