大臣・副大臣・政務官

2020年1月 1日 (水)

令和二年 年頭所感 加藤勝信厚生労働大臣 

 年頭所感

 

Photo_20191231233901

 

(はじめに)

令和二年の新春を迎え、心よりお慶び申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。

厚生労働大臣就任から約四ヶ月が経過しました。この間、国民の皆様の安全・安心の確保に万全を期すべく努力してまいりました。引き続き、私自身が先頭に立ち、厚生労働省一体となって様々な課題に全力で取り組んでまいります。

 

(災害への対応等)

 昨年は、台風や記録的な大雨による甚大な被害が全国各地で発生しました。改めまして亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様にお見舞い申し上げます。被災された方々が一日も早く安心・安全な生活を取り戻せるよう、スピード感をもって対策を講じるとともに、相次ぐ自然災害から国民生活を守れるよう、医療・福祉・水道施設等の強靱化に取り組みます。

 

(戦没者遺骨収集事業を巡る問題等)

 援護施策において、日本人でない遺骨が収容された可能性が指摘されながら、長年に渡り適切な対応が行われてこなかったことや、公的統計を巡る不適切な取扱いなど、行政に対する信頼を損なう事案が生じたことに対し、改めてお詫び申し上げます。深い反省と、二度と繰り返さないという強い信念の下、厚生労働省のガバナンス強化や業務改革等に全力で取り組みます。

 

(全世代型社会保障への改革)

昨年九月に、安倍総理を議長とする「全世代型社会保障検討会議」が設置され、年末に中間報告を取りまとめました。まずは、この中間報告を基に、次期通常国会に高齢者雇用や年金の関連法案の提出を目指すとともに、医療についても、関係審議会での議論を本格化し、今夏の最終報告に向け、検討を進めます。

 

(多様な就労・社会参加の促進)

少子高齢化が進む中で、多様化する就業ニーズに対応したセーフティネットの整備や、高齢者の就業機会の確保などを図るため、次期通常国会に関連法案の提出を目指します。また、高齢者が安心して安全に働けるよう、増加する転倒災害の防止等の労働安全衛生対策にも取り組みます。

いわゆる就職氷河期世代の方々に対しては、一人ひとりの状況に応じた支援を行うことで、働くことや社会参加を支援します。

 

(年金制度改革)

年金制度については、老後生活の基本を支える公的年金の安定的運営と充実に努めるとともに、老後生活の多様なニーズに対応する私的年金の普及・促進を図ってきましたが、働く意欲の高い高齢者が増えるなど、社会・経済の変化に対応した制度を構築する必要があります。昨年の財政検証結果を踏まえ、被用者保険の適用拡大、在職老齢年金制度の見直し、年金受給開始時期の選択肢の拡大等を図るとともに、確定拠出年金の加入可能要件を見直すなど、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るための改正法案の提出を目指します。

 

(地域共生社会の実現に向けた社会福祉制度・介護保険制度改革)

人口減少、地域社会の変容が進む中で、地域とのつながりを失い孤立したり、一つの家庭の中で複合的な課題を抱えるケースが生じています。こうしたケースに対応するため、包括的な支援体制の構築や社会福祉法人を中核とする非営利連携法人制度の創設等を通じて、地域共生社会の実現に向けて取り組みます。

また、地域包括ケアシステムを推進するとともに、介護保険制度を基盤とした地域共生社会を実現するため、介護予防・地域づくりと認知症施策の推進や、地域特性等に応じた介護基盤整備、生産性向上等の取組を進めます。

こうした取組を推進するため、次期通常国会に関連法案の提出を目指します。

 

(地域医療体制の整備等)

医療分野では、二〇二五年の地域の医療ニーズを把握し、病床機能の最適化を目指す「地域医療構想」、医療現場で常態化している長時間労働を是正する「医師の働き方改革」、医師の最適な配置により地域間、診療科間の医師偏在解消を目指す「医師偏在対策」を一体的に進めていきます。また、健康寿命の延伸を図るため、ナッジ理論などの行動経済学の知見も活用し、予防・健康づくりを推進します。

 

(働き方改革の推進)

本年四月から、大企業に同一労働同一賃金のルールが、中小企業に時間外労働の上限規制が適用されます。制度改正に関する丁寧な周知に加え、生産性向上に取り組む中小企業に対する支援等により、円滑な施行に努めます。

経済の好循環の実現のためには賃金の引上げが重要です。中小企業・小規模事業者が賃上げしやすい環境を整備するとともに、地域間格差にも配慮しながら、最低賃金がより早期に全国加重平均千円となることを目指します。

また、全ての方がその能力を存分に発揮できる社会の実現に向けて、リカレント教育を始めとした人材育成の強化、女性・若者・高齢者・障害者等の就労支援、ハラスメント対策の推進、柔軟な働き方がしやすい環境整備等に取り組みます。

 

(子ども・子育て支援)

待機児童の解消に向けて、「子育て安心プラン」に基づき、二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受け皿を整備し、保育人材の確保等を行います。また、関係省庁と連携し、幼児教育・保育の無償化の円滑な実施に努めるとともに、保育の質の確保にも一層取り組みます。さらに、全ての子どもたちが夢や希望を持てる社会を目指し、児童虐待防止対策や子どもの貧困対策に取り組みます。

 

そのほか、社会経済の変化に対応しつつ、厚生労働省に対する要請に適時・的確に応えることができるよう、医薬品・医療機器施策、感染症対策、障害者福祉、社会福祉等、山積する課題に果断に取り組んでまいります。

 

 おわりに、本年が、国民の皆様お一人おひとりにとって、実り多き素晴らしい一年となりますよう心よりお祈り申し上げ、年頭にあたっての私の挨拶といたします。

 

 

令和二年元旦

厚生労働大臣 加藤 勝信

| | コメント (0)

2019年1月 7日 (月)

【2019年 年頭所感】 厚生労働大臣 根本匠

Photo_2

年頭所感

 

(はじめに)

平成三十一年の新春を迎え、心よりお慶び申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。

厚生労働大臣に就任してから約三ヶ月が経過しました。この間、国民の皆様の安全・安心の確保に万全を期すべく努力してまいりました。引き続き、私自身が常に先頭に立ち、厚生労働省一体となって様々な課題に全力で取り組んでまいります。

 

(二〇四〇年を展望した社会保障・働き方改革)

本年十月の消費税率の引上げ及び社会保障の充実によって、二〇二五年を念頭に進められてきた社会保障・税一体改革が一区切りとなります。今後は、団塊ジュニア世代が高齢者となり、現役世代の減少が進む二〇四〇年頃を見据え、全ての世代が安心できる社会保障制度の構築に向けて取り組みます。

このため、昨年十月に、私が本部長となって、「二〇四〇年を展望した社会保障・働き方改革本部」を厚生労働省内に設置したところであり、今後国民誰もが、より長く、元気に活躍できるよう、高齢者をはじめとした多様な就労・社会参加の促進、就労や社会参加の前提となる健康寿命の延伸、労働力の制約が強まる中での医療・福祉サービス改革による生産性の向上などの検討を着実に進めていきます。

まず、働く意欲のある高齢者がその能力を十分に発揮できるようにするため、七十歳までの雇用と就業機会の確保について、しっかりと検討を進めてまいります。

あわせて、働く方々の主体的なキャリア形成や再チャレンジが可能な社会としていくため、中途採用の拡大に取り組んでまいります。

年金制度については、本年に実施する財政検証とその結果を踏まえた制度改正に向け、受給開始時期の選択肢の拡大や短時間労働者への被用者保険の適用拡大、私的年金の充実など、人生百年時代の到来や国民の多様な働き方に対応した年金制度を構築するべく検討を進めてまいります。年金事業運営については、引き続き、事務の適切な実施に努めてまいります。

 

(健康寿命の延伸等)

健康寿命の延伸等を目指し、予防・健康づくりを推進していくことが重要です。「健康日本21(第二次)」に基づき、健康無関心層を含めた疾病の発症予防や重症化予防に向けた取組を進めるとともに、保険者による特定健診・保健指導や糖尿病の重症化予防などの取組について、インセンティブも活用しながら進めます。さらに、認知症予防を加えた認知症施策を進めるとともに、介護予防・フレイル対策と生活習慣病等の疾病予防・重症化予防が市町村において一体的に実施されるよう取組を進めます。

 また、医療・福祉分野において、労働力の制約が強まる中で、専門人材が能力を最大限発揮することができるよう、人材の確保にも取り組みつつ、効率的な業務分担の見直しや効率的な配置の推進、AI・ロボット・ICT等のテクノロジーの徹底活用や組織マネジメント改革等を進めます。

こうした国民の健康寿命の延伸や医療・介護サービスの生産性の向上を図るため、健康・医療・介護に関するデータ利活用基盤の構築を軸に、被保険者の予防・健康づくりなど保険者が果たすべき役割の強化やゲノム医療・AI等の最先端技術の活用など、データヘルス改革を戦略的・一体的に推進します。また、医療と介護のレセプト情報等のデータベースの連携、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施、審査支払機関の改革については、こうした取組を進めるための改正法案の提出を目指します。

さらに、本年十月の消費税率引上げに伴い、診療報酬等の改定を行うとともに、税制上の措置の創設を目指します。

 

(障害者雇用)

障害のある方も含めて、誰もがその能力を存分に発揮できる一億総活躍社会を創り上げることは重要です。昨年は、多数の国の行政機関において障害者の法定雇用率を満たしていない状況にあったことが明らかとなりました。民間の事業主に対し率先して障害者を雇用すべき立場にありながら、このような事態に至ったことは誠に遺憾です。障害者雇用施策を推進する立場として、こうした事態を重く受け止め、関係閣僚会議でとりまとめた「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」に基づき、組織全体として再発防止にしっかり取り組むことはもとより、法定雇用率の速やかな達成と障害者の活躍の場の拡大に向け、政府一体となって取り組んでまいります。あわせて、公務部門及び民間企業における障害者雇用の一層の促進を図るための改正法案の提出を目指します。

 

(各地の災害への対応、東日本大震災への対応等)

昨年の夏は、豪雨被害や地震による被害が多く発生しました。全国各地で相次ぐ自然災害からの一日も早い復旧・復興に向けて、関係省庁とも連携しつつ、スピード感を持って全力で取り組みます。また、前臨時国会で成立した平成三十年度第一次補正予算に基づき、医療施設の災害復旧等の取組を推進します。

さらに、先般の地震等では、老朽化した水道管が多数破損し長期間の断水が発生しました。前臨時国会で成立した改正水道法に基づき、広域連携、水道事業者の適切な資産管理、多様な官民連携の推進により、老朽化した水道施設の更新・耐震化といった水道事業の基盤強化に取り組みます。

東日本大震災の発生からもうすぐ八年が経過します。私はかねてより被災地の復興に取り組んでまいりましたが、引き続き、私自身も復興大臣であるとの強い意識の下、被災者の心のケア、医療・介護提供体制の整備、雇用対策などに全力で取り組みます。

また、前通常国会で成立した改正食品衛生法に基づき、広域的な食中毒の発生時における国と自治体間の連携強化等を着実に進めます。

さらに、昨年六月に施行された改正旅館業法に基づき、いわゆる「違法民泊」の取締り対策を推進してまいります。

 

(子ども子育て)

待機児童の解消に向けて、「子育て安心プラン」に基づき、二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受け皿を整備するとともに、そのために必要な保育人材の確保や処遇改善等を更に進めます。

放課後児童対策についても、待機児童の解消等に向けて、「新・放課後子ども総合プラン」に基づき、二〇二三年度末までに三十万人の受け皿整備をしっかりと行ってまいります。

幼児教育・保育の無償化について、本年十月からの実施を目指して関係省庁とも緊密に連携した上で検討を進めるとともに、その質の確保についても検討を進めます。

妊娠期から子育て期まで切れ目なく支援する「子育て世代包括支援センター」の全国展開、産婦健診や産後ケアの充実、不妊治療への支援等にも取り組みます。

児童虐待の防止については、痛ましい虐待事件が二度と繰り返されることのないよう、昨年七月に関係閣僚会議で決定した「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」の更なる徹底を図ります。また、子どもの命を守る社会づくりを進める観点から、昨年末に策定した「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」に基づき児童相談所と市町村の体制強化を図るとともに、児童虐待に関する相談支援体制の強化等を図るための改正法案の提出を目指します。

虐待などの事情により、親元で暮らせない子どもたちも、温かい家庭的な環境で育まれるようにする必要があります。里親のなり手を増やすため、里親制度の広報啓発や里親家庭に対する相談・援助体制の充実に努めます。また、児童養護施設等の小規模・地域分散化や職員配置基準の強化などを推進してまいります。

子どもの貧困対策については、特に厳しい経済状況にあるひとり親家庭の支援を充実します。児童扶養手当について、本年十一月から、年六回の支払を着実に実施するほか、就職に有利な資格の取得支援等に取り組みます。

 

(働き方改革関連法の施行等)

前通常国会で成立した働き方改革関連法については、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保を着実に推進すべく、関係省令等の整備や制度の周知など、円滑な施行に取り組みます。具体的には、これらの取組の内容が地方の中小企業まで浸透するよう、四十七都道府県に設置した「働き方改革推進支援センター」の活用や、経済界と協力した説明会の開催など、丁寧な周知を行ってまいります。働き方改革の実現・定着に向けて、IT化や業務効率化など生産性向上に取り組む中小企業に対する支援などについて、しっかり取り組みます。また、長時間労働の事業場への監督指導の徹底等の対応を行います。

医師の働き方改革については、医師の健康を守りつつ、地域の医療提供体制が維持できる働き方の実現を目指して検討を行っており、本年三月を目途として、時間外労働規制の具体的な在り方や労働時間の短縮策等についての結論をとりまとめます。

また、全ての人材がその能力を存分に発揮できる社会や個々人の人生の再設計が可能となる社会を実現するため、リカレント教育をはじめとした人材育成の強化、女性・若者・高齢者・障害者等の就労支援等を実施します。

女性の職業生活における活躍を推進するとともに、働きやすい職場環境を整備するため、女性活躍推進法の施行後三年の見直し、パワーハラスメント・セクシュアルハラスメントの防止対策の強化等について、労働政策審議会の建議を踏まえ、改正法案の提出を目指します。

前臨時国会で成立した改正出入国管理法に基づく一定の専門性・技能を有する新たな外国人材の受入れについては、厚生労働省としては、本年四月の施行に向けて、労働条件・安全衛生等に関する雇用管理の改善、適切な社会保険の適用促進、安心・安全に医療機関を受診できる環境の整備などに取り組み、外国人材がその能力を有効に発揮できる環境を整備してまいります。

最低賃金については、「働き方改革実行計画」等において、年率三%程度を目途として引上げ、全国加重平均千円を目指すとされています。昨年度は全国加重平均で二十六円引き上げ、時給換算になった平成十四年度以降、最大の上げ幅となりました。中小企業・小規模事業者が賃上げしやすい環境を整備するため、生産性向上のための支援を進めます。

また、二〇二三年の技能五輪国際大会の我が国への招致を通じた技能尊重機運の醸成に取り組むとともに、我が国産業の基盤である、ものづくり技能の一層の向上に努めます。

 

(障害者支援、社会福祉等)

障害のある方々が生き生きと地域生活を営むことができるよう、生活や就労の支援、グループホームの整備、文化芸術活動の推進などに引き続き取り組みます。また、精神障害のある方々が地域の一員として自分らしい暮らしをすることができるよう、包括的な支援を受けられる仕組みづくりを進めます。さらに、障害福祉人材の更なる処遇改善を行います。

アルコール健康障害対策をはじめとする依存症対策については、医療体制の整備や民間団体の活動支援等に取り組みます。特に、ギャンブル等依存症対策は、ギャンブル等依存症対策基本法の趣旨を踏まえ、関係省庁と共に必要な取組を進めてまいります。

生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度については、前通常国会で成立した改正生活困窮者自立支援法及び改正生活保護法に基づき、就労、家計、住まい等に関する包括的な支援体制の強化に向けた取組等を着実に進めます。

自殺対策については、自殺総合対策大綱や座間市における事件の再発防止策に基づき、若者が利用するSNS等を活用した相談対応の強化を図るなど、関係府省と連携し、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向けた取組を推進します。今後とも、地域住民が抱える様々な生活課題を解決につなげていくための包括的な支援体制の構築等を進めることで、「地域共生社会」の実現を目指します。

 

(地域包括ケアシステムの構築、医療等)

地域包括ケアシステムの構築を一層推進します。質が高く効率的なサービス提供体制の整備や自立支援・重度化防止に資するサービスの実現など、国民一人ひとりに必要なサービスが提供され、地域で安心して暮らすことができる体制の構築を目指します。

また、家族の介護のために離職せざるを得ない状況を防ぎ、働き続けられる社会の実現を目指します。このため、介護の受け皿五十万人分の整備を進めるとともに、他の産業との賃金格差をなくしていくための介護職員の更なる処遇改善のほか、介護分野へのアクティブシニア等の参入促進、介護の仕事の魅力の全国的発信など、介護人材の確保に総合的に取り組み、二〇二〇年代初頭までに「介護離職ゼロ」を目指します。

地域医療構想の実現に向け、医療機関ごとの具体的対応方針の速やかな策定を進めます。前通常国会で成立した改正医療法及び改正医師法に基づき、医師の偏在を可視化できる指標を整備し、都道府県が主体的に医師確保対策を推進する体制を構築するなど、医師の地域偏在・診療科偏在の解消に着実に取り組みます。

外国人による医療保険の利用については、加入要件の確認を厳格に行うなどの取組を行っており、更に、適正な利用に向けて取組を進めてまいります。

 

(医薬品・医療機器、がん対策、受動喫煙対策等)

医薬品・医療機器産業については、革新的な医薬品等の開発を促進する環境の整備に取り組むとともに、後発医薬品の使用促進やベンチャー企業への支援を実施します。また、医薬品等の品質・有効性・安全性の確保、かかりつけ薬剤師・薬局の推進を図るとともに、これらに関する制度の見直しのための改正法案の提出を目指します。さらに、「第五次薬物乱用防止五か年戦略」に基づき、覚醒剤や大麻等の取締りや啓発等に取り組みます。

受動喫煙対策については、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて対策を徹底することが必要です。このため、前通常国会で成立した改正健康増進法の円滑な施行に向けた準備等を進め、望まない受動喫煙のない社会の実現を目指します。

がん対策については、「第三期がん対策推進基本計画」に基づき、がんゲノム医療の提供体制の実現、思春期世代や若年成人世代のがん対策、治療と仕事の両立支援、地域での相談支援体制の充実等を推進します。

昨年七月以降、風しんの患者数が増加しています。昨年は、患者数が多い地域において妊娠を希望する女性の方などに風しんの抗体検査及び予防接種を受けていただくよう環境整備を行ってまいりました。今後は、追加的対策として、抗体保有率の低い世代の男性に対して、抗体検査を原則無料で受けていただいた上で、三年間原則無料で定期接種の実施を行うなど、さらなる環境の整備に取り組んでまいります。

国際保健の分野においても、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進、薬剤耐性菌を含む感染症対策等のグローバルな課題に的確に対応します。

 

(G20関係閣僚会合)

本年、我が国はG20の議長国となります。厚生労働分野においても、九月には愛媛県松山市においてG20労働雇用大臣会合を開催し、十月には岡山県岡山市においてG20保健大臣会合を開催する予定です。開催地の地方自治体と一体となって全力を挙げて取り組み、国際社会に貢献してまいります。

 

(援護施策)

援護施策については、戦没者遺骨収集推進法に基づき、国の責務として、可能な限り多くの御遺骨を収容し、御遺族に引き渡すことができるよう、全力を尽くします。また、慰霊事業に着実に取り組むとともに、戦傷病者や戦没者遺族に対する年金等の支給、中国残留邦人等に対する支援策について、引き続き、きめ細かく実施します。

 

 以上、厚生労働行政には多くの課題が山積しています。国民の皆様には、一層の御理解と御協力をお願い申し上げ、年頭にあたっての私の挨拶といたします。

 

平成三十一年元旦

厚生労働大臣 根本 匠

| | コメント (0)

2017年3月13日 (月)

最優秀賞はディスコ、SCSK、河合電器製作所 第1回「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」表彰式開催(厚生労働省・2017年3月10日)

経営理念、労働生産性の向上、雇用管理の改善、組織成果を

書類審査とインタビューの2段階で審査

厚生労働省は3月10日(金曜日)、第1回「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」の表彰式をイイノホール&カンファレンスセンター(東京都千代田区)で開催した。

001

 

本表彰は、人口減少下においても力強い成長を実現させるため、労働生産性の向上と魅力ある職場づくりを両立させ、優良な取り組みを行っている企業等を表彰し、広く周知することを目的とするもの。

 

表彰式の冒頭、宮川晃・総括審議官が塩崎恭久・厚生労働大臣の挨拶を代読し「一億総活躍社会の実現を図るためにも、働き方改革を推進すると同時に、企業の生産性や競争力の向上、賃金アップ、更には経済全体の成長に繋がる諸施策を強力に進めていくことが重要」と述べた。

 

02

今回は144社の応募があり、主に、①経営理念、②労働生産性の向上、③雇用管理の改善、④組織成果――の4点において、書類審査とインタビューの2段階で審査が行われ、計15社が選定された。

特に「業務内容や仕事そのものを抜本的に改善した点」「従業員や組織が学習し続ける点」「企業・従業員間の信頼関係」が選定企業に共通するポイントとした。

 

受賞企業は以下の通り。

 

■ 最優秀賞(厚生労働大臣賞)

株式会社ディスコ(東京都大田区)

SCSK株式会社(東京都江東区)

株式会社河合電器製作所(愛知県名古屋市)

 

■ 優秀賞(職業安定局長賞)

ダイキン工業株式会社堺製作所(大阪府堺市)

大豊工業株式会社(愛知県豊田市)

旭テクノプラント株式会社(岡山県倉敷市)

ヤマサハウス株式会社(鹿児島県鹿児島市)

 

■ 奨励賞(職業安定局長賞)

味の素株式会社(東京都中央区)

伊藤忠商事株式会社(東京都港区)

株式会社千葉銀行(千葉県千葉市)

富士ゼロックス株式会社(東京都港区)

ヤフー株式会社(東京都千代田区)

国本工業株式会社(静岡県浜松市)

サントリーシステムテクノロジー株式会社(大阪府大阪市)

株式会社リソーシズ(香川県高松市)

03

| | コメント (0)

2017年3月 9日 (木)

「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」が最終回を迎える

昨年12月の中間報告とりまとめ後 同一労働同一賃金の法整備に向けて2回にわたって議論

 

「論点整理」は来週中に示される予定

1

厚生労働省は3月8日、第14回「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」を開催した。

本検討会では、中間報告を取りまとめ昨年12月に公表した後、2回にわたり同一労働同一賃金の法整備に向けて議論を行った。

なお、法整備の議論については、あり得る選択肢が幅広く、政策的な価値判断によるものも大きいため、今回は、法整備の論点において踏まえるべき議論の前提やあり得る選択肢、利害得失等を幅広く挙げ、整理したものを「論点整理」として、来週中に示す予定としている。政府には、これを踏まえて検討を行うことを期待するとしている。

 今回で本検討会が最終回となるにあたり、橋本岳・厚生労働副大臣が挨拶に立ち、塩崎恭久・厚生労働大臣の挨拶を代読した。

2


 
 挨拶では「働く喜びと成長の好循環をより強固なものにするためにも、法整備に向けた論点整理は、今月中に取りまとめる予定の「働き方改革実行計画」へ反映し、今後の検討の土台とさせていただく。同一労働同一賃金を実現する法律案をつくり上げるべく、労働政策審議会での建設的な議論においても、論点整理を活かして参りたい」と述べた。

| | コメント (19) | トラックバック (0)

2017年2月24日 (金)

本日(2月24日) 塩崎恭久厚生労働大臣に日本禁煙学会などから「受動喫煙防止対策に関する要望書」が手渡される

「今回頂いたさまざまな立場からの懸念事項と要望事項をしっかり受け止めて、法案をつくる際の審議にも活かしていきたい」(塩崎大臣)

 

 

塩崎恭久厚生労働大臣は224日、厚生労働大臣室で一般社団法人日本禁煙学会などから受動喫煙防止対策に関する要望書を手交された。

02

塩崎大臣は「今国会冒頭の安倍総理の施政方針演説の中でも、受動喫煙対策の徹底をするという言葉が入っている。これを受けて、政府のなかで、厚生労働省で法案を考えている。政府としてゆくゆくは正式に決めて、今国会に出すというのが私共の方針である。今回頂いたさまざまな立場からの懸念事項と要望事項をしっかり受け止めて、法案をつくる際の審議にも活かしていきたい」と述べた。

01

要望書を手交したのは次の通り。

・一般社団法人日本禁煙学会

25学会禁煙推進学術ネットワーク

・公益財団法人健康・体力づくり事業財団

・公益財団法人日本対がん協会

・全国結核予防婦人団体連絡協議会

・たばこと健康問題NGO協議会

・日本肺がん患者連絡会

・元タクシー運転手 井上準一氏

 ・九州看護福祉大学 川俣幹雄教授

 
 

03

| | コメント (0)

2017年1月18日 (水)

【平成29年 年頭所感】 塩崎恭久厚生労働大臣

年頭所感

 

(はじめに)

平成二十九年の新春を迎え、心よりお慶び申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。

厚生労働大臣に就任してから約二年四ヶ月が経過しました。その間、国民の皆様の安全・安心の確保に万全を期すべく努力してまいりました。引き続き、私自身が先頭に立って、様々な課題に全力で立ち向かう決意を新たにしています。

 

(一億総活躍)

昨年六月、「ニッポン一億総活躍プラン」が閣議決定されました。まずは五十年後も人口一億人を維持し、その一人ひとりの人生を豊かにしていくことを目指し、男性も女性も、高齢者も若者も、障害者や難病のある方も、一度失敗を経験した方も、あらゆる方がそれぞれ活躍できる包摂的な社会の実現に取り組みます。そして、回り始めた経済の好循環を更に加速化させ、経済成長の成果を子育てや介護などの社会保障分野に分配し、更に成長につなげる「成長と分配の好循環」を構築していきます。

 

(働き方改革)

働き方改革は、一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジであり、日本の企業や暮らし方の文化を変えるものです。「働き方改革実行計画」の年度内の取りまとめに向けて、働き方改革担当大臣ともしっかり連携して確実に取り組みます。

長時間労働の是正については、私を本部長とする「長時間労働削減推進本部」において、平成二十八年四月から、監督指導の対象を従来の月一〇〇時間超から月八〇時間超の残業を把握した全ての事業場に拡大するなど、法規制の執行強化に取り組んでいます。今後、働き方改革実行計画において、実効性のある対策が取りまとめられるよう、検討を進めていきます。

 公正な評価に基づく「同一労働同一賃金」の実現は、非正規雇用の方々の処遇改善による女性、若者、高齢者等の能力の発揮につながるとともに、働く個々人の納得性を高めることになり、一人ひとりが輝く社会とするために重要です。このため、どのような待遇差が合理的であるか又は不合理であるかを事例等で示す昨年末のガイドライン案に引き続き、今後は、必要な法改正に向け、躊躇することなく準備を進めていきます。

 企業の生産性向上の実現に向けて、生産性要件の設定や金融機関との連携などの労働関係助成金の抜本改革や、人材育成の充実、成長産業への転職や復職の支援を進めていきます。

 雇用保険制度については、昨年八月に閣議決定された「経済対策」のほか、働き方改革の観点からも人材育成の充実が重要であること等を踏まえ、制度全般の見直しについて議論を行ってきました。職業紹介事業の機能強化や求人情報等の適正化と併せ、必要な制度改正に取り組みます。

生涯現役社会の実現に向けた環境整備のため、今年度中に策定する継続雇用延長・定年引上げのためのマニュアルの普及や、六十五歳以上への定年引上げ等を行う事業主に対する支援を進めていきます。また、ハローワークの高齢者専門窓口の増設などにより、働きたいと願う高齢者の希望を叶えるための支援を一層進めていきます。

さらに、本年一月から施行された改正育児・介護休業法、改正男女雇用機会均等法の周知徹底に取り組むとともに、保育所に入れない場合の育児休業期間の再度の延長や、男性の育児休業取得促進について検討を進めていくほか、女性の活躍を一層推進していきます。

 

(持続可能な社会保障制度の確立)

今後も高齢化が進展していく中で、社会保障制度を持続可能なものとして次世代に引き渡していく「未来への責任」を果たすべく、安定財源を確保して、制度の充実・安定化を図るとともに、重点化・効率化に取り組みます。

平成二十九年四月に予定していた消費税率の十%への引上げは、平成三十一年十月まで延期されることとなりました。そのため、消費税財源を活用して行う社会保障の充実については、その全てを予定どおりに行うことは困難ですが、待機児童ゼロや介護離職ゼロを目指した保育・介護の受け皿整備は、着実に進めます。また、先般の臨時国会において、年金の受給資格期間の十年への短縮を行う法案が成立しましたが、その他の施策についても、優先順位をつけながら、実施していきます。

さらに、経済財政諮問会議において策定された「経済・財政再生計画改革工程表」を踏まえ、引き続き、医療・介護提供体制の適正化や疾病予防・健康づくり、負担能力に応じた公平な負担や給付の適正化等に取り組みます。

 

(医療)

本年は、地域医療構想の実現に向けた取り組みを具体的に始める年です。構想の策定過程で抽出した課題に立ち戻り、地域の医療提供体制をどうしていくのか、地域医療構想調整会議において、関係者の間で協議を行うことが期待されます。厚生労働省としても、地域医療介護総合確保基金により支援していきます。また、本年は、都道府県において、平成三十年度から始まる医療計画を策定する年です。今回の医療計画では、地域医療構想を取り込み、医療提供体制のビジョンを示すものとなります。さらに、新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方のビジョンを策定し、医師・看護職員等の需給推計や、医師の偏在対策、看護職員の養成・確保等について、検討を進めていきます。

平成三十年度に予定されている診療報酬と介護報酬の同時改定に向け、地域包括ケアシステムの構築やAI・IoT、ロボット等の革新的技術について、十分なエビデンスの下に活用を推進すること等の検討を進めていきます。また、国民皆保険の持続性とイノベーションの推進の両立を図り、より一層の国民負担の軽減と医療の質の向上の実現を目指して、医薬品の市場規模拡大による影響や競合品・後発品の収載による影響を機動的に薬価に反映させるとともに、新たなイノベーション評価の仕組みを導入するなど薬価制度の抜本改革に取り組みます。あわせて、平成三十年度に迫った国保の財政運営の都道府県単位化に向けた準備に万全を期していきます。

予防・健康づくりの推進や医療の質の向上により、医療保険制度を持続可能なものとするためには、保健医療のパラダイムシフトを実現し、ICTをフル活用する次世代型の保健医療システムを構築することが重要です。二〇二〇年度からの本格稼働を目指し、その構築に取り組みます。

まずは、膨大な健康、医療、介護データの眠る審査支払機関を今までの「業務集団」から「頭脳集団」に改革し、健診、医療、介護情報を統合し、民間も含めた第三者提供を可能とする総合的な保健医療データプラットフォームの構築に取り組みます。また、それらのビッグデータを活用し、効率的なデータヘルスを推進するとともに、介護保険総合データベースの抜本的改革に向けた調査・研究を行い、重度化防止、自立支援に資する「科学的に裏付けられた介護」の実現に取り組みます。それらの取組によって、保険者の主体的な保険運営を促進し、保険者機能を強化していきます。

さらに、ICTを活用し、医療・介護データの地域及び全国における共有などの取組を進め、個人の症状、体質に応じた迅速かつ正確な治療などの実現に取り組みます。

 

(国際保健)

 国際保健分野については、昨年、様々な国際会議の場で日本のリーダーシップとプレゼンスを発揮してきました。特に、五月のG7伊勢志摩サミットでは重要課題の一つとして「保健」を取り上げ、これに続く九月のG7神戸保健大臣会合では、公衆衛生危機への対応と備えのためのグローバル・ヘルス・アーキテクチャーの強化、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進、薬剤耐性の対応強化の三点について、各国との議論を主導し、具体的な行動を「神戸コミュニケ」として採択しました。また、八月にケニアで開催された第六回アフリカ開発会議や九月の国連総会でも、保健が大きく取り上げられました。私は、厚生労働大臣として初めて、これらの会議に出席し、我が国の経験を踏まえ、積極的に議論に参画しました。本年も、G7、G20、WHO、OECDなどの場で、国際社会の議論を主導し、国際保健分野の課題に対する取組をさらに推進するとともに、それを支えるための国内の人材育成等にも取り組みます。  

薬剤耐性(AMR)は全世界的に共通課題として認識されています。昨年四月に我が国のAMR対策アクションプランを策定し、今後五年間で実施すべき事項をまとめました。本プランにおいては、抗菌薬の総使用量を五年間で三分の二に減少させることを目標に掲げています。その達成に向けて、医療、獣医療、畜水産等の分野が一体となって行動するというワンヘルスの観点から、国民への普及啓発による適切な服薬の推進や、医療機関における抗菌薬適正使用の推進などの取組を、関係省庁と連携して進めていきます。

 

(がん対策)

昨年、難治性がんや希少がんの研究推進、がん患者の就労支援などを内容とするがん対策基本法の改正がされました。この改正を踏まえ、社会全体ががんに対して理解をさらに深めるよう、取組を進めていきます。

また、がん克服のための構想を今夏を目途に策定します。この構想に基づき、国境の壁を越え、官民や研究者が一体となって、人工知能の開発と活用を進め、ゲノム情報等に基づき患者にとって効果が高く副作用の少ないがん治療の実現を図るとともに、臨床データや研究データの標準化や共有化を進めるための基盤整備を行うことにより、免疫療法等の新たな治療法の開発を推進していきます。

 

(受動喫煙防止対策)

 受動喫煙防止対策の強化については、健康増進の観点に加え、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックや、その前年に開催されるラグビーワールドカップを契機に、従来の努力義務よりも実効性の高い制度とし、スモークフリー社会に向けた歴史的な一歩を踏み出せるよう、具体的な制度設計を進めていきます。

 

(安全な医薬品等の提供、食品安全・生活衛生)

今般の化血研における事案を契機として明らかになった、ワクチンと血液製剤の安定的な供給に関する課題に対処するため、これらの産業の在り方や、法令遵守を徹底するための企業ガバナンスの強化等を検討していきます。

医薬品等に関しては、先駆け審査指定制度の運用等により革新的な製品の迅速な提供を推進していきます。また、大規模な医療情報の収集・解析に医療情報データベースシステム(MID―NET)などのICTを活用し、医薬品等の安全性を高めるための検討を進めていきます。

水道施設の計画的更新や耐震化、広域連携の推進等、水道事業の基盤強化に向けた制度改正に取り組むとともに、生活衛生関係営業の振興やいわゆる「民泊サービス」の制度化に併せた旅館業の規制緩和を進めていきます。また、輸入食品に対する監視体制の強化等、引き続き食品の安全性確保等に取り組みます。

 

(子育て支援、児童虐待の防止)

 安全、安心に妊娠、出産、子育てができるよう、総合的子育て支援を推進していきます。待機児童の解消に向け、質の確保を図りつつ保育の受け皿を更に整備するとともに、保育人材を確保するため、技能・経験に応じた処遇改善や離職防止、再就職支援などに総合的に取り組みます。また、妊娠期から子育て期まで切れ目なく支援する「子育て世代包括支援センター」の全国展開、不妊治療への支援なども進めます。さらに、ひとり親家庭を支援し、子どもの貧困に対応していきます。

 全ての子どもには、適切な養育を受け、健全に育つ権利があります。昨年抜本的な改正を行った児童福祉法の着実な施行に取り組むとともに、平成二十三年の「社会的養護の課題と将来像」の全面的な見直しを進めていきます。児童虐待防止対策については、昨年四月から厚生労働省が総合調整を担うこととなったことを踏まえ、関係府省庁と連携して、発生予防から自立支援まで一連の対策に取り組むほか、司法関与の在り方などについても検討を進めていきます。

 

(介護)

介護については、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく包括的に確保される地域包括ケアシステムを深化・推進していくとともに、介護保険制度の持続可能性の確保を図るため、保険者によるデータに基づく課題分析と対応の制度化、認知症施策の推進、給付内容や利用者負担の見直しなど介護保険制度の見直しを進めていきます。

 また、介護人材の確保に向けて、技能・経験に応じた処遇の改善に取り組むとともに、介護福祉士を目指す学生を対象とした修学資金貸付制度や仕事を離れた人が再就職する際の再就職準備金貸付制度などのほか、介護現場におけるICTやロボットの活用を推進していきます。

 

(障害者福祉)

 障害者の皆さんが自らの望む地域生活を営むことができるよう、生活や就労に対する支援を充実させるほか、グループホームの整備などに取り組みます。昨年七月に相模原市の障害者支援施設で起こった殺傷事件に関しては、地域共生社会の推進に向けた取組を進め、措置入院から退院した患者に対する医療等の継続的な支援が確実に行われるよう対応していきます。

 

(自殺対策)

昨年四月から厚生労働省が総合調整を担うこととなった自殺対策については、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向け、自殺総合対策会議において、本年夏頃を目途に新たな自殺総合対策大綱を策定できるよう検討を進めていきます。

 

(生活保護・生活困窮者施策)

 生活保護については、必要とする人には確実に保護を実施するという基本的な考えの下、受給者の自立に向けた就労支援や医療扶助の適正化に取り組むとともに、生活保護基準の検証と、制度全般の検討を行い、必要な見直しに取り組みます。

生活困窮者自立支援制度については、就労準備支援事業や家計相談支援等の任意事業の実施拡大を始めとして効果的な自立支援のノウハウを拡げつつ、さらに包括的な相談支援や就労支援等となるよう、平成二十七年度の施行から三年を目途とした見直しの検討を行います。

 

(地域共生社会の実現)

 今後の保健福祉改革を貫く基本コンセプトとして、地域や個人の抱える課題を多様な主体が「我が事」として受け止め、「丸ごと」支えていく「地域共生社会」の実現を掲げ、取組を加速化していきます。次期介護保険制度の見直しにおける介護保険と障害福祉にまたがる「共生型サービス」の創設等を皮切りに、二〇二〇年代初頭の「我が事・丸ごと」の全面展開に向け、地域住民による支え合い機能の強化や、複合的課題に対応する包括的支援体制の構築など具体的な改革を行っていきます。

 

(年金制度)

 年金制度については、世代間の公平性を確保しながら持続可能性を高め、高齢期の多様な就労を進めることとあわせて、公的年金と私的年金を通じた年金水準の確保を図っていくことが重要です。

このため、昨年成立した年金改革法に基づき、短時間労働者への被用者保険の適用拡大を一層推進していくとともに、年金額改定ルールの見直し等を通じて、制度の持続可能性を高め、将来世代の給付水準の確保等を図っていきます。

また、本年八月より施行される年金受給資格期間の短縮への対応に万全を期すとともに、加入者範囲が大幅に拡大された個人型確定拠出年金の一層の周知・広報に取り組み、高齢期の自助努力を支援していきます。

さらに、年金積立金の管理・運用を担う年金積立金管理運用独立行政法人については、国民の皆様からお預かりした年金積立金を運用する組織としてふさわしい体制を構築するため、昨年成立した年金改革法に基づき、ガバナンスの強化を着実に進めていきます。

年金事業については、更に国民に信頼されるものとするよう、日本年金機構で取り組んでいる改革が確実に実行されるよう監督を行っていくとともに、国民年金保険料の収納対策、厚生年金保険の適用促進、情報セキュリティ対策等にしっかり取り組みます

 

(援護施策)

 援護行政については、昨年成立した戦没者の遺骨収集の推進に関する法律に基づき、戦没者の遺骨収集事業の推進を図るとともに、慰霊事業に着実に取り組みます。また、戦傷病者や戦没者遺族、中国残留邦人等に対する支援策をきめ細かく実施していきます。

 

(東日本大震災、各地の災害への対応)

東日本大震災の発生からもうすぐ六年が経ちますが、避難生活が長期化している被災者の方々も多くいらっしゃいます。引き続き、私自身も復興大臣であるとの強い意識で、被災者の方々の心に寄り添い、医療・介護の体制整備や雇用対策等といった対策を進めていきます。

全国各地での災害対応についても、復旧・復興の加速に向けて全力を尽くしていきます。

 

 以上、厚生労働行政には多くの課題が山積しています。国民の皆様には、一層の御理解と御協力をお願い申し上げ、年頭に当たっての私の挨拶といたします。

 

平成二十九年元旦

厚生労働大臣 塩崎 恭久


Photo


| | コメント (0)

2016年4月14日 (木)

塩崎大臣会見概要(平成28年4月12日(火曜日)10:52~11:06 省内会見室)【厚生労働省・広報室】同一労働同一賃金、待機児童解消に向けて取組み、医療事故の調査制度――などについて

会見の詳細

 

《閣議等について》

 

(大臣)

 おはようございます。特に私からはございません。

(記者)

 同一労働同一賃金の関連で、自民党と公明党が先週提言案をまとめたと思います。例えば、非正規の方の賃金を、正規の方の賃金の6割からヨーロッパ並みの8割に引き上げようという数値目標なども書かれていますが、この提言案についての受け止めと、最終的に一億総活躍プランを政府としてまとめると思いますけれども、最終的に提言案が出てくれば、どのようにプランの中に盛り込んでいくことになるのか、この2点をお願いいたします。

(大臣)

 先ほど「まとまった」というお話がありましたが、これは自民党の「同一労働同一賃金問題検証プロジェクトチーム」、公明党の「同一労働同一賃金の実現に向けた検討小委員会」の両方で、それぞれ4月8日と4月7日に議論をしたという段階で、まとまったということではないようであります。私どもは、正式に受け取っておりません。政府としては、3月23日に「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」を柳川座長の下で議論をしていただいているわけでありまして、本格的な議論はまだ始まったばかりであります。こうした論点整理案、提言案をそれぞれ与党が出して、議論をしていただいている最中でございますが、これを参考にしつつ実効性のある策について、我々としては様々な角度から検討を進めていきたいと考えております。したがって、プランにどのように入れ込むかということは、与党からの案、そして私どもが議論をする案、当然、加藤大臣の一億総活躍の事務局とも議論を深めなければならないと思っておりますので、それがどのようになるかはこれから中身をよく議論した結果で決まってくると思います。自民党の案は、報道によれば、ヨーロッパ並みに非正規の方の賃金を上げるというお考えを示されているということでありますが、我々としては当然、非正規の方の賃金のギャップがヨーロッパなどに比べると格段に大きいということを解消しようというのが、安倍総理の問題意識の端緒でありますから、こういう目標を設けてやるという与党の考え方は十分理解できると私は思っておりますが、どういう表現や水準になるかなどの中身はまだこれからだということではないでしょうか。

(記者)

 一部報道で、千葉県市川市の保育園が、子どもの声がうるさいという住民の声で開園を断念したというものがありましたが、待機児童解消に向けて取り組む中で、こういう問題が起きることについての大臣の受け止めをお願いいたします。

(大臣)

 本来、子どもは社会、国の宝でもありますから、地域の力で、みんなで育てるという考え方、親御さんだけではなくて、地域も育てるということは大事だと思います。したがって、保育園を新たに作るという、待ったなしのニーズに対して、地域の御理解を得るということは極めて大事であって、私どもとしても防音の施設などについての支援をさらに強めるということもやっているわけであります。今回の様なケースが起きないように、現場の責任を持っている市や保育園を運営される主体が粘り強く地域に御理解をいただけるように御努力を願うということでありますけれども、私どもとしても理解を深められるように何らかの支援ができるならば、いろいろ御相談にあずかっていきたいと思います。

(記者)

 待機児童の関連でうかがいたいのですが、先日、国がまとめた緊急対策で、国の保育所配置や面積の基準を上回って設定している自治体に対して、そこの余裕分を活用して子どもを一人でも多く受け入れてほしいという項目がありました。これに対して民間の団体から、最低基準を理由に設備や運営を低下させてはならないとしている厚生労働省令の趣旨に違反するのではないかという指摘がありますが、これに対する大臣の受け止めをお願いいたします。

(大臣)

 御指摘の省令は、昭和23年、最低基準を導入した際に導入された省令です。それまでばらばらだったものに最低基準を導入した際に、それを理由に上回っている所が下げるということはやってはならないということ、つまり、最低基準を口実として個々の施設がサービス水準を低下させてはならないということを規定したものであります。大変古いものでございます。個々の施設におけるサービス水準というのは、最低基準を満たすことを前提とすれば、その施設に置かれた状況を勘案して定めていただくものだということであります。自民党から特に国の基準を上回る部分を活用してということでありましたが、私どもは臨時的な受け入れ強化ということで、待機児童の問題が深刻である状況を鑑みて、一人でも多くの子どもが、質の確保された保育園を利用できるよう臨時的にお願いをするということで、省令に違反をするものではないと考えています。今回、緊急対策でいろいろなものをやらせていただいておりまして、例えば、土地を借りて施設を整備する場合の加算、これは今まで2,100万円だったものを4,200万円まで倍増させておりまして、こういった加算の増額を図ること、この補助の充実を盛り込んでいるわけで、民間保育園等は整備をする、拡張するという時には、こういったものを活用していただく。緊急的かつ臨時的な対応ができて、今の待機児童がいるという状況を解消できるようにということで導入しているわけでございますので、そういったものを活用しながら、それぞれの園がお考えいただくとありがたいということでお願いしたところでございます。

(記者)

 量をいかに確保するかと質をどう維持するかという話だと思うのですが、今、大臣が質の確保された保育施設とおっしゃいましたけれども、その最低基準はかなり古くに作られたもので、そもそも現場からは「質の維持はこれではできない」という声が上がっている中で、その範囲で子どもの受け入れをお願いするということが子どもの発達を保証する観点から適切とお考えかどうかについて教えていただけますか。

(大臣)

 今、お話がありましたけれども、保育の質は確保されるということが大事であり、特に最低基準、いろいろ御意見があることはよく分かっております。現場の保育士さん達が大変だということもよく分かっており、それぞれ工夫してやっていただいているわけであります。先ほど申し上げたとおり、様々な緊急的な対応を予算面の運用でも用意しているわけであります。我々としましては、最低基準を維持するということは当然のことながら、質の確保ということについてはいろいろ工夫していただいてお願いしたいということで、100人以上待機児童がおられる市長さん、町長さんとも生の声を聞かせていただこうという機会も作る予定ですけれども、その中でどんな工夫があるのかをお聞きし、一緒に頭をひねっていきたいと思っています。

(記者)

 先日、病院などで医療事故の調査制度が始まって半年ということで実績が公表されましたが、188件ということで、当初考えられたよりも低調な数字にとどまっているということですが、そのことについてはどうお考えかということと、今後の制度について、各医療団体、支援団体と言われておりますけれども、そういうところがそれぞれガイドラインと呼ばれるものを出していて、それが乱立しているような状況があって混乱を招いているという指摘もあるようですが、そのことについて今後もそのままでよいとお考えなのか、何か修正していく必要があるのかそのあたりをお聞かせください。

(大臣)

 今回、医療事故の調査制度をスタートさせていただきましたが、かつては医療事故情報等収集事業ということでやってまいりました。今、当初の予想よりも案件数が少ないという御指摘がございましたが、当初の予想は医療事故情報等収集事業を前提としたときの数字でございまして、今回の制度の対象範囲が決定される前に、大学病院とか、国立病院機構の病院、つまり、ハイリスクの高度医療をやっていらっしゃる所の事故について報告を受ける、前の報告制度の死亡事故数を基に試算したものでございました。それが1,3002,000件という予想であったわけで、医療事故調査制度が対象とする、管理者が予期しなかった死亡以外も含まれていたわけです。かつては、医療に起因する事故ということと、予期しなかったということのどちらかに引っかかったら、カウントしました。しかし、今度の制度は、両方を満たす場合のケースということになりますので、オアとアンドで、かなり狭くなっているということが言えるということが一つと、今申し上げたように、全ての病院ではなくて、ハイリスクな病院を対象としていたということがございました。そうは言いながら、御指摘があったようにガイドラインなどもいろいろ出て、その整合性がどうかということについては、私も時折、医療関係者からお聞きをするところであります。各医療機関において制度がまだまだ十分理解をされていないということもありますので、制度の定着のために医療機関向けの説明会、研修会、そして今御指摘のようなガイドラインなどについての整合性がとうかというようなこともしっかりと見極めながら、制度の定着と適切な運営が行われるようにしていきたいと考えております。

(了)

 

| | コメント (0)

2016年4月 1日 (金)

【平成28年度の雇用保険料率】平成27年度の料率を引き下げて一般の事業で1.1%に

厚生労働省の労働政策審議会(会長: 樋口 美雄 慶應義塾大学商学部教授 )は3月31日、
 
平成28年度の雇用保険料率を定める告示案要綱
 
を「妥当」と認め、 塩崎恭久 厚生労働大臣に答申しました。

01

113回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会(平成28年3月31日 午後3時から午後3時20分頃まで)の様子

02

 

112回労働政策審議会職業安定分科会(平成28年3月31日 午後4時から5時26分頃まで)の様子

Ce6qmnxuaaauc_wjpglarge


答申を踏まえ、平成28年度の雇用保険料率は、平成27年度の料率を引き下げて、
上記のとおり、一般の事業で1.1%、農林水産・清酒製造の事業で1.3%、建設の事業で1.4%とされて、
本日(平成28年4月1日)から適用されます。

| | コメント (0)

2016年3月30日 (水)

塩崎大臣会見概要(平成28年3月28日(月)17:05~17:31省内会見室)【厚生労働省・広報室】待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策について

 

会見の詳細

 

《待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策について》

(大臣)

すでに皆様方のところに資料はお届けしていると思いますが、待機児童の解消に向けて緊急対策について御説明を申し上げたいと思います。

安倍政権は待機児童問題は最優先課題として位置づけて、平成25年4月に「待機児童解消加速化プラン」ということで発表して、平成29年度末までに40万人分の保育の受け皿を確保するために、それまでの2倍以上のペースで保育園の受け皿拡大に努めてまいりました。昨年末の緊急対策ではすでに40万人から50万人に目標を上積みして、そのための施策に鋭意取り組んでまいったところでございます。

子どもを産み育てる保護者の皆様方を取り巻く環境に対して、これまで以上にきめ細かくニーズに応える施策を迅速に打つために、本日「待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策」というのを公表することといたしました。これに先だって先週末の25日の金曜日には、与党自民党、そして公明党から総理に対して緊急提言が行われたところでございまして、今回の緊急対策はその両党からの提言も十分に踏まえて取りまとめをいたしております。

今回取りまとめた緊急対策は5つの柱、具体的には、1番目には子ども・子育て支援新制度施行後の実態把握と、保育コンシェルジュ設置の促進など、緊急的な対策の体制の強化がまず第1であります。第2に、規制の弾力化、そして人材確保、3番目には保育の受け皿確保のための施設整備の促進、そして4番目にすでにございます事業の拡充・強化を行う。そして、5つ目に企業主導型の保育事業の積極的な活用。この5本柱を中心として、保育の実施、義務を有する市区町村と密に連携して取り組んでいきたいと考えています。

以下、具体的に今の柱立てに従って御説明を申し上げますと、まず1番目の柱は子ども・子育て支援新制度施行後の実態の把握と緊急対策体制の強化でございますが、平成27年4月、この新制度がスタートいたしました。従来までの保育に欠ける方が利用するという保育園の発想を変えまして、保育を必要とする方、例えばパートタイムや夜間働いている方とか、あるいは就業を希望している求職中の方々、これらの方々も保育を利用できることが明確化をされて、入園申込が大幅に増えたわけでございます。新しい制度は、来月から2年目に入るわけでありますから、喫緊の課題への対処として、お手元にあります政策のパッケージの4番目の既存事業の拡充・強化にございます保育コンシェルジュの設置促進の財政支援を厚労省として、特に4月に待機児童の保護者になってしまった方々に寄り添った相談を市区町村ができるようにバックアップしていきたいと考えております。また、国民の皆様方、とりわけ子育ての最中の方々は様々な御意見や多様なニーズも持ってらっしゃるわけでありますので、それらの御意見やニーズを早急にお聞かせをいただくために、まず保育制度全般について、そしていわゆる「保活」と呼ばれているものについて、保育行政を所管する厚生労働省として御意見をお聞きするためのコーナーをホームページに設けたところでございます。もうすでに、1,000件にもなる御意見が来ているところでございます。さらに「保活」につきましては、待機児童が100人以上いる市区町の保育園、あるいは認可外の保育園を利用する保護者の方々に対する調査を早急に行いたいと思っています。これは初めての取組でございますけれども、待機児童が100人以上いる市区町の長、と私との緊急対策会議なども行うことにいたしました。

2番目の柱であります「規制の弾力化・人材確保」でありますけれども、今回規制の弾力化を行うわけでございまして、保育の実施主体であります市区町村が緊急的に受け皿拡大をできるようにいたしたいと思います。例えば、自治体においてこの保育園などの面積基準、これを国が定める基準を上回って設定をしている場合がございます。そういうことで、今回1人でも多くの受入れをしていただくために、この上乗せ部分を活用して、臨時的な受入れを行っていただけるように、地方自治体に強く要請をいたしたいと思っております。ちなみに、都内にございます認可保育所は、2,184、そして認証が700でありますから、主にこの認可の2,184のところが1人増やしていただいても、待機児童が2,184名減るというわけでございます。また、認可化を推進する事業の要件を緩和いたしまして、東京の認証保育園など地方自治体が単独で税金を投入して行っている事業として運営する保育園、これにおける保育料の負担の軽減のために人件費を含めた運営費支援を新たに行いたいと思っています。したがって、認証保育園に行きながら今までより保育料が引き下がるということを狙った政策でございます。さらに定員が19名以下の保育施設、いわゆる小規模保育と言いますけれども、これは全国1,655か所ございますが、定員の弾力化を行って、そこで定員を超えた弾力的な受入れが、定員は19人でありますから、22人まで、プラス3人可能となるようにしていきたいと思っております。単純計算をしますと、都内に小規模保育が219ありますので、3人それぞれ増えたとすれば、約700名弱の方々が増え、また全国でも3人増やしていただければ、約5,000人の待機児童が解消するわけであります。

「保育の受け皿確保のための施設整備の促進」、3番目の柱でありますが、これについては例えば小学校の空き教室、あるいは公営住宅、公園、こういった地域の余裕スペースを活用して保育園などの整備を行う場合の支援を強化したいと思っております。

4番目の既存事業の拡充・強化でありますけれども、保育園などの入園が決まるまでの間、緊急的に預かれるように、いわゆる一時預かり保育ですね、この事業などを拡充するとともに、この一時預かりを定期利用化するとなった場合の利用料の負担というのが、一時的な利用に合わせて設定されていますから、これを継続的な定期利用に合わせるという格好で自治体に財政支援が一部でもできればと思っているところでございます。

5つ目の柱であります「企業主導型の保育事業」、この積極的な活用でありますけれども、企業主導型の保育事業は企業における多様な就労形態に対応して延長保育、あるいは休日保育などを含めた多様な保育に企業が主体的に取り組んでいただこうと、平成28年度予算に初めて提示をされました。現在国会で審議中となっております「子ども・子育て支援法改正案」、この中にも位置づけられているものでございまして、その積極的展開を図ってまいりたいと思っています。保育の受け皿拡大のために認可保育園の単価などを参考に、整備費、運営費を補助することを検討しております。その際、複数企業による保育園の共同利用というものを促すために、企業同士のマッチングを強化する、あるいは既存の事業所内保育園の空き定員枠を上手く活用して、多様な乳幼児の受入れの拡大ができればと考えております。

今回の緊急対策は、特に現在お子さんを預けたくても保育の受け皿がなくて困っておられる子育て中の保護者の方々への早急な対応のために、短期間で実効性のある対策を中心にまとめているところでございまして、待機児童解消に向けては保育の実施主体であります市区町村が責任をもって様々なニーズをくみ上げて、今回の厚労省で用意をします、政府で用意いたします施策メニューを積極的に活用していただいて住民の方々に寄り添って対応していただくことを強くお願い申し上げますとともに、国としては今回の財政支援などの追加的な対策で、市区町村の取組をしっかりと支援してまいりたいと思っております。

さらに、経済界への皆様方へのお願いでありますけれども、保育の確保は優秀な働く方々を会社で確保することにもつながるわけでありますので、平成28年度から新たに創設いたします企業主導形の保育事業には、まず保育所の整備に民間ならではの創意工夫で取り組んでいただくということがまず第1であります。保育と一体的な関係にあります、育児休業、あるいは短時間勤務などについても就業をされている方々のうち、保育園などに入れないでいる方々に対して、格別の御配慮をお願いしたいと思います。今回の緊急対策によりまして、現在保育園に預けたくても預けられないという、そういう子育て中の御家族のニーズに応えられるように、また今後子どもたち、子どもを産み育てる希望を持つ方々が安心できる政府、自治体、そして企業など関係者が一丸となって、社会全体で子育てを支える環境をさらに整備するということで、対策に全力を上げていきたいと思います。少し長くなりましたが、今回の対策につきまして御説明を申し上げたところでございます。以上でございます。

 

 

《質疑》

 

(記者)

 今回の緊急対策の中で、小規模保育の定員の拡大や、自治体の基準を国の基準に合わせる要望をするなど、規制の緩和といいますか、基準の緩和ということがあるのですけれども、これに関して保護者の方からは質の低下というところで不安視する声もあると思うのですが、そのあたりについての御説明をお願いします。もう1点が、今回の緊急対策では保育士の待遇改善については触れられていませんが、この道筋についてよろしくお願いします。

(大臣)

 今回の規制緩和につきましては、与党からの御提言もございまして、多く盛り込まれているわけでございますけれども、今回は現在ある保育園を最大限活用するための国の基準を守りながらの定員の弾力化ということであります。それから、認可の基準を満たした施設を積極的に認可するということには変わりはなく、また小規模保育等の卒園児を円滑に移行できるようにということなどで、この現行の取扱いの範囲内で早急に対応可能なものについて地方自治体に対して改めて要請をしているところでございます。また、一時預かりなどを活用した緊急的な対策は主に都市部での待機児童の多さなどを考慮いたしまして、今後の受け皿改革が行われるまでの緊急的な対策として盛り込んだということで、全国一律にこういうことをやろうということでは決してないということでございます。いずれにしても、今回の措置は国が定める保育の最低水準を下回るもので決してないわけで、最低基準を守りつつも地域の待機児童が多い場合には、現行の取扱いを見直して柔軟な対応を行うということで、地方自治体にお願いしようということでございまして、引き続きこれは保育の利用ニーズに保育の受け皿が応えられるように量を拡大するというのが基本でありますから、40万人から50万人分の受け皿拡大ということは、これは潜在的なニーズを踏まえてのことでありますので、この質の担保も踏まえて、この保育環境を充実していることはなんら変わらない一億総活躍社会づくりの大きな柱だと思っています。
 処遇改善につきましては、今回の緊急的な対応には特に入っているわけでありません。今後、一億総活躍社会づくりでこのプランを春につくるということになっておりまして、この待遇改善につきまして進める、踏み込むということは明らかにしているところでございますので、今回の緊急対策には入っていないということでございます。

(記者)

 緊急対策ですが、元々保育の対策というのは大臣もおっしゃったとおり、一億総活躍プランの中でやっていくということを打ち出したわけですけれども、このタイミングで緊急対策を打ち出した理由を改めて教えてください。

(大臣)

 それは言うまでもなく、4月1日から年度が変わって、この待機児童が出るか出ないかというのはそこで決まるのが基本であります。したがって、そこまでにやれること、そしてその後にただちに対応をして、待機児童になってしまった子どもさんをお持ちの保護者の皆様方への対応をまさに寄り添う形でやるということを含めて、4月に入ってからも今申し上げたような様々な施策は途中からでもできるものが多いわけでありますので、そういったことで一刻も早く待機児童状態を解消するために、このような形で今対応を緊急的に打つということを決めさせていただいたということでございます。

(記者)

 預けたくても預けられない人へのニーズに応えられるようにというお話がありまして、一方で認可保育所の数字、2,184人、あと小規模で5,000人くらい、待機児童が解消するんじゃないかというお話がありましたけれども、4月1日に入りたくても入れない人についてこの対策で解消されるということでよろしいんでしょうか。

(大臣)

 当然のことながら、去年の4月段階で約2万3,000人待機児童がおられるわけでありますから、今回の緊急対策で全てが解消するというわけでは決してないわけでありますが、今申し上げたような最大限仮に今回の緊急対策が機能したとすればキャパシティとしては、先ほど申し上げたような数字があり得る数字であって、そうなるということではないわけであります。しかし、できる限りの御努力をこの緊急事態としてそれぞれの市区町村が対応していただくことに大きな期待を持っているということなので、できる限りの御支援を申し上げながら、御判断をいただきたいということでありますので、強く要請したいと思っているところでございます。

(記者)

 緊急対策ではないのですが、隠れ待機児童の問題で今まで国会でも議論があったかと思うんですが、今回厚労省が初めて育児休業中の人で、カウントされなかった自治体にいる方が5,000人程度いると発表しました。これは自治体によって取り方も様々ですし、厚労省がいわゆる待機児童だけをケアしているわけではないと重々承知なのですけれども、今後の待機児童のカウントの仕方で育児休業中の5,300人の方をカウントするというようなお考えとかは。

(大臣)

 このカウントの仕方は平成13年から一貫して、民主党政権時を含めて定義はこのままで来ているわけでありまして、この定義を変えるという考えは持ち合わせておりませんが、去年の4月から、先ほど申し上げたように、新しい制度になりました。保育に欠けるという概念が、保育が必要な方々は保育園に行っていただくというのが当然ということになりましたし、そういうことであれば、この間国会でも地方単独事業で認証保育の保育園に入っている方々とか、あるいは特定の保育園だけに御希望を持っておられて待機児童のままの方とか、そういう方々も含めて今地方自治体でそれぞれ対応いただいている育児休業の方々、あるいは求職活動を休止をしていると市区町村が御判断された方々を含めて、やはりどういう方々がおられるのかというのはちゃんと数字としては押さえながら、先ほど申し上げたような平成13年度から行われてきた定義の下での待機児童を中心に、さらに市区町村でもいろんな対応がありましょうから、そういったことも踏まえてやっていきたいと思います。一億総活躍社会づくりの中の40万人から50万人への受け皿の拡大は、これも含めて、なおかつ潜在的に女性が活躍されることによって出てくるであろう、潜在的な保育ニーズも含めて50万人ということを想定しておりますので、いずれにしても私どもは全力で保育の環境、子育て環境の整備を急ぎたいと思っているところであります。

(記者)

 処遇改善の部分なんですけれども、先ほど大臣は処遇改善について、今回は特に入っていないとおっしゃったのですが、今回入れなかった理由はなんでしょうか。 それから、今回定員の拡充とかが実際行われれば、小規模保育ではマックスでいっきに3人子どもが増えることになるわけで、保育士の負担が増すことになると思うのですが、もちろんその分のお金は入ってくるとはいえ、保育士確保が難しい現状で忙しくなるということが考えられると思います。これに関してはどうお考えかということと、春につくるプランの実施、こちらに処遇改善を入れ込むということなのですけれども、これはいつごろに実施されることを見込んでいるのか、あとずっと懸案になっている3,000億円の確保への展望があればお願いします。

(大臣)

 まず第1に今回は先ほど申し上げましたように、緊急的な対応だということで、処遇改善については恒久財源がなければできないわけでありますので、数字だけ言うのは簡単でありますけれども、恒久財源を探してきて、毎年度のことですから、この財源をどうするかということは1週間、2週間でできることでは決してないということで、責任をもって私たちはこの対応を今後していきたいと思っていることが1番目の答えだと思います。
 2番目については、今回すでにある(平成)28年度予算の範囲内で対応ができるということが原則でありますので、そういう対応で臨んでいくということが基本であります。
 3番目は、これについては春ということになっておりまして、4月いっぱいはだいたいまだ一億の国民会議をやりますので、もう少し先になろうかと思いますが、いずれにしても今年の春ということで申し上げてきたので、いずれにしても早晩この待遇改善については結論を出すということを申し上げてまいりました。
 3,000億円の問題については、民主党政権時代にできた、我々自公も一緒になって一体改革として決めた約1兆円の子育て支援の財源、このうちの7,000億円は消費税でありますが、あと3,000億円についてどうするかという問題について宿題が残っているので、これも恒久財源ということが大前提でありますので、責任をもって恒久財源を当てるということを前提にこれをできる限り早く対処していくということが大事で、その中で処遇改善については約400億円を3,000億円の中で、一体改革の中で想定されているということで、これは児童養護施設などを含めての数字でありますが、これについてもできる限り早く対応していきたいと思います。

(記者)

 先ほどの質問との関連なんですけれども、これまでの待機児童の定義が新制度の下ではあまり意味がなくなってきているのかなと思うのですか、今回初めて出された待機児童から除外されている4つの類型のこの人数というのは、今後も公表していくというお考えでいらっしゃいますか。

(大臣)

 今回こういうものをにらみながら、ちゃんと対応を厚労省としてもするし、それぞれの市区町村にもしていただくということでありますので、待機児童の数字としては前からの定義のままでいくということであります。

(記者)

 公表をするかどうかは、まだわからないと。

(大臣)

 公表については今回指示したわけでありますから、必要に応じてしていくということになるんじゃないかなと思います。

 

(了)

| | コメント (0)

2016年3月24日 (木)

第6回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 表彰式・記念講演会【写真ダイジェスト】2016年3月23日 法政大学市ヶ谷キャンパス

 昨日(平成28年3月23日)、法政大学 市ヶ谷キャンパスにて、

第6回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 表彰式・記念講演会
が開催されました。
 
 ここでは、当日の模様を写真ダイジェストで紹介させていただきます。
 
 

Imag6255

Imgp1654

Imgp1655

● 主催者挨拶

Imgp1664

実行委員長 事業構想大学院大学学長 清成忠男 氏

Imgp1669

Imgp1673

開催校代表 法政大学総長 田中優子 氏

Imgp1681

審査委員長 法政大学大学院教授 坂本光司 氏

 

● 来賓挨拶

Imgp1723

厚生労働事務次官 二川一男 氏

Imgp1736

中小企業庁次長 宮本聡 氏

 

● 表彰

Imgp1751

【経済産業大臣賞】サトーホールディングス株式会社

Imgp1765

【厚生労働大臣賞】株式会社エイチ・エス・エー

Imgp1779

【中小企業庁長官賞】株式会社日本ロック

Imgp1790

【実行委員長賞】社会福祉法人アンサンブル会

 

 

● 記念撮影

Imgp1802

Imgp1809

Imgp1820_2

Photo

最後列の右から3人目のイケメン&ダンディさんは、株式会社ドゥリームズ(審査委員会特別賞)の「ポップコーンパパ」です。

Imgp1842


続きを読む "第6回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 表彰式・記念講演会【写真ダイジェスト】2016年3月23日 法政大学市ヶ谷キャンパス"

| | コメント (0)

より以前の記事一覧