調査

2019年11月28日 (木)

「平成31年 就労条件総合調査」勤務間インターバル制度を導入している企業は3.7% 【厚生労働省】

 厚生労働省がとりまとめた「平成31年 就労条件総合調査」によると、平成30年の年次有給休暇の取得率は52.4%で、前年に比べて、前年に比べて1.3ポイント上昇したとのこと。

平成31年就労条件総合調査 結果の概況 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/19/index.html

 

 Photo_20191128103801 同調査では、

1 労働時間制度

2 賃金制度

3 資産形成

――の各項目について、平成31年1月1日現在の状況について調査を行っている。ただし、年間については、平成30年(または平成29会計年度)1年間の状況について調査を行っている。

 その概要は以下のとおり。

 

……………………………………………………

1 労働時間制度

…………………………………………………

 

(1) 所定労働時間

 1日の所定労働時間は、1企業平均7時間46分(平成30年調査7時間46分)、労働者1人平均7時間45分(同7時間45分)となっている。

 週所定労働時間は、1企業平均39時間26分(同39時間31分)、労働者1人平均39時間03分(同39時間02分)となっている。

 週所定労働時間の1企業平均を企業規模別にみると、「1,000人以上」が39時間00分、「300999人」が39時間07分、「100299人」が39時間17分、「3099人」が39時間32分となっている。産業別にみると、「金融業,保険業」が38時間18分で最も短く、「宿泊業,飲食サービス業」が39時間57分で最も長くなっている。

 

 

(2) 週休制

 主な週休制の形態をみると、「何らかの週休2日制」を採用している企業割合は82.1%(平成30年調査84.1%)となっている。

 「完全週休2日制」を採用している企業割合は44.3%(同46.7%)となっている。これを企業規模別にみると、「1,000人以上」が63.6%、「300999人」が56.3%、「100299人」が51.0%、「3099人」が40.3%となっている。

 

 週休制の形態別適用労働者割合をみると、「何らかの週休2日制」が適用されている労働者割合は85.3%(平成30年調査86.5%)、「完全週休2日制」が適用されている労働者割合は57.0%(同59.4%)となっている。

 

(3) 年間休日総数

 平成30年(又は平成29会計年度)の年間休日総数の1企業平均は108.9日(平成30年調査107.9日)、労働者1人平均は114.7日(同113.7日)となっている。

 1企業平均年間休日総数を企業規模別にみると、「1,000人以上」が115.5日、「300999人」が113.7日、「100299人」が111.1日、「3099人」が107.5日となっている。

 

(4) 年次有給休暇

 平成30年(又は平成29会計年度)1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数を除く。)は労働者1人平均18.0日(平成30年調査18.2日)、そのうち労働者が取得した日数は9.4日(同9.3日)で、取得率は52.4%(同51.1%)となっている。

取得率を企業規模別にみると、「1,000人以上」が58.6%、「300999人」が49.8%、「100299人」が49.4%、「3099人」が47.2%となっている。

 

(5) 特別休暇制度

 夏季休暇、病気休暇等の特別休暇制度がある企業割合は59.0%(平成30年調査60.3%)となっており、これを特別休暇制度の種類(複数回答)別にみると、「夏季休暇」42.9%(同44.5%)、「病気休暇」25.7%(同25.5%)、「リフレッシュ休暇」13.1%(同12.4%)、「ボランティア休暇」4.5%(同4.3%)、「教育訓練休暇」5.8%(同4.2%)、「左記以外の1週間以上の長期の休暇」14.4%(同14.8%)となっている。

 

 特別休暇制度がある企業について、休暇中の賃金を全額支給する企業割合をみると、「夏季休暇」81.3%、「病気休暇」45.5%、「リフレッシュ休暇」95.9%、「ボランティア休暇」79.4%、「教育訓練休暇」90.8%、「上記以外の1週間以上の長期の休暇」82.6%となっている。

 

 1企業平均1回当たり最高付与日数をみると、「夏季休暇」4.4日、「病気休暇」128.1日、「リフレッシュ休暇」5.5日、「ボランティア休暇」24.5日、「教育訓練休暇」17.6日、「上記以外の1週間以上の長期の休暇」8.8日となっている。

 

(6) 変形労働時間制

 変形労働時間制を採用している企業割合は62.6%(平成30年調査60.2%)となっている。企業規模別にみると、「1,000人以上」が78.4%、「300999人」が69.8%、「100299人」が65.5%、「3099人」が60.4%となっている。

 これを変形労働時間制の種類(複数回答)別にみると、「1年単位の変形労働時間制」が35.6%、「1か月単位の変形労働時間制」が25.4%、「フレックスタイム制」が5.0%となっている。

 

 変形労働時間制の適用を受ける労働者割合は53.7%(平成30年調査51.8%)となっており、これを変形労働時間制の種類別にみると、「1年単位の変形労働時間制」は21.4%、「1か月単位の変形労働時間制」は23.9%、「フレックスタイム制」は8.2%となっている。

 

(7) みなし労働時間制

 みなし労働時間制を採用している企業割合は14.2%(平成30年調査15.9%)となっており、これをみなし労働時間制の種類(複数回答)別にみると、「事業場外みなし労働時間制」が12.4%、「専門業務型裁量労働制」が2.3%、「企画業務型裁量労働制」が0.6%となっている。

 

 みなし労働時間制の適用を受ける労働者割合は9.1%(平成30年調査9.5%)となっており、これをみなし労働時間制の種類別にみると、「事業場外みなし労働時間制」が7.4%、「専門業務型裁量労働制」が1.3%、「企画業務型裁量労働制」が0.4%となっている。

 

(8) 勤務間インターバル制度

 1年間を通じて実際の終業時刻から始業時刻までの間隔が11時間以上空いている労働者が「全員」の企業割合は32.9(平成30年調査40.5)、「ほとんど全員」の企業割合は35.0(33.5)となっている。また、「ほとんどいない」の企業割合は3.0(2.1)、「全くいない」の企業割合は10.7(6.8)となっている。

 

 勤務間インターバル制度の導入状況別の企業割合をみると、「導入している」が3.7%(平成30年調査1.8%)、「導入を予定又は検討している」が15.3%(同9.1%)、「導入予定はなく、検討もしていない」が80.2%(同89.1%)となっている。

 

 勤務間インターバル制度の導入予定はなく、検討もしていない企業について、導入予定はなく、検討もしていない理由(複数回答)別の企業割合をみると、「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」が53.0%(平成30年調査45.9%)と最も多く、次いで、「当該制度を知らなかったため」が19.2%(同29.9%)となっている。

 

…………………………………………………

2 賃金制度

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(1) 時間外労働の割増賃金率

 時間外労働の割増賃金率を「一律に定めている」企業割合は84.0%(平成30年調査82.7%)となっており、そのうち時間外労働の割増賃金率を「25%」とする企業割合は94.9%(同93.0%)、「26%以上」とする企業割合は5.0%(同6.1%)となっている。

 時間外労働の割増賃金率を「26%以上」とする企業割合を企業規模別にみると、「1,000人以上」が19.5%、「300999人」が14.1%、「100299人」が6.2%、「3099人」が3.3%となっている。

 

(2) 1か月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率

 時間外労働の割増賃金率を定めている企業のうち、1か月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を定めている企業割合は27.3%(平成30年調査30.1%)となっており、そのうち時間外労働の割増賃金率を「2549%」とする企業割合は38.5%(同40.3%)、「50%以上」とする企業割合は60.6%(同56.2%)となっている。

1か月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を定めている企業割合を中小企業該当区分別にみると、「中小企業」が22.5%、「中小企業以外」が54.4%となっている。(第16表)

 

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3 資産形成

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(1) 貯蓄制度の種類

 貯蓄制度がある企業割合は42.0%となっている。企業規模別にみると、「1,000人以上」が79.7%、「300999人」が71.0%、「100299人」が54.9%、「3099人」が33.8%となっている。

 これを貯蓄制度の種類(複数回答)別にみると、「財形貯蓄」が38.1%と最も多くなっている。

 また、財形貯蓄の種類(複数回答)別をみると、「一般財形貯蓄」が36.9%と最も多くなっている。

 

(2) 住宅資金融資制度

 住宅資金融資制度がある企業割合は3.6%となっている。企業規模別にみると、「1,000人以上」が25.1%、「300999人」が11.6%、「100299人」が5.1%、「3099人」が1.7%となっている。

これを住宅資金融資制度の種類(複数回答)別にみると、「社内融資」が2.5%と最も多くなっている。

 

 

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  •  調査の概要

 日本標準産業分類(平成25年10月改定)に基づく16大産業に属するに常用労働者30人以上を雇用する民営企業から、産業、企業規模別に一定の方法により抽出した6405企業等であり、そのうち有効回答数4127企業等から有効回答(有効回答率64.4%)を得て集計している。

 

  •  調査の時期

 平成31年1月1日現在の状況について調査を行っている。ただし、年間については、平成30年(または平成29会計年度)1年間の状況について調査を行っている。

 

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2019年11月 1日 (金)

令和元年10月31日(木)「第2回 今後の人材開発政策の在り方に関する研究会」開催される(厚生労働省)

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受講者数は減少傾向にある

 

ハロートレーニングの約75%は民間教育訓練機関により実施されている

 

IT分野の講座は応募倍率が高いが就職率は低め

介護分野の講座は応募倍率が1倍を下回るケースが多いが就職率は高い

埼玉県では、介護分野とIT分野の受講者数割合が逆転

 

「第4次産業革命に対応した職業訓練のあり方に係る調査研究」

 

――などが報告される

 

 

「第2回 今後の人材開発政策の在り方に関する研究会資料」

 

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 令和元年1031日(木)9:5812:00

 中央労働委員会講堂(東京都港区)にて、

「第2回 今後の人材開発政策の在り方に関する研究会」が開催された。

 

 同日の議題は、

① 公的職業訓練について

② 高齢・障害・求職者雇用支援機構における第4次産業革命に対応した職業訓練について

 

 

 の冒頭では、 JILPTの関家委員が、《資料2》の「2019年度に厚生労働省が実施する公共職業訓練政策の体系と政策参加者数・予算構成」を解説した。

 委員からは、教育訓練給付の全国民に対する活用の度合いは? などの質問が出ていた。

 

 《資料3》の「公的職業訓練について」に関しては、

事務局から、

「公的職業訓練」全体としては、受講者数は減少傾向にあるが、在職者訓練は増加傾向にあること

ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)の約75%は民間教育訓練機関により実施されていること

――などの説明があった。

 

 委員からは、

「公的職業訓練」と「公共職業訓練」、「民間委託職業訓練」の意味、違いについての質問などがあった。

 

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 の「関係者からのヒアリング」では、

 

吉野繁雄 埼玉県産業労働部産業人材育成課副課長

 

増田吉則 静岡県経済産業部職業能力開発課長

 

――が登壇し、埼玉県と静岡県の取組みを報告した。

 

 

 埼玉県の吉野副課長からは、

 

 施設内訓練【一般求職者】の課題として、

「金属系、機械系科目 → 求人は多いが応募者が少ないこと」

「応募者が年々減少しており、指導が困難な訓練生の入校が増えていること」

 

 施設内訓練【在職者】の課題として、

「介護系の講座は受講者が少ないこと(メニュー型の応募倍率(平成30年度):全体0.84倍、介護系0.58倍)」

12時間未満で実施できるカリキュラムへの要望に対応できないこと」

 

 委託訓練【一般求職者】の課題として、

「<IT分野>の受講者数は横ばい、割合は増加し、分野別で最高(33%→42%)であるが、就職率は低め(70%前後)であること」

「<介護分野>の受講者数は、5年間で1,000人減。全体の受講者数が減少する中で、割合も減少(36%→25%)。就職率は高い(84.1%:平成30年度)。民間教育訓練機関の撤退があること」

 

――などが説明された。

 

 

 静岡県の増田課長からは、主に

「静岡県立職業能力開発短期大学校の設置について」

「静岡県の在職者訓練の状況について」

――が報告された。

 

 

 

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 の「関係者からのヒアリング」では、

原 裕之 高度ポリテクセンター所長

原 圭吾 職業能力開発総合大学校教授

――が登壇した。

 

 原 裕之 高度ポリテクセンター所長は、主に

「高度ポリテクセンターの在職者訓練の取組み」について報告し、

 

 原 圭吾 職業能力開発総合大学校教授は、

「第4次産業革命に対応した職業訓練のあり方研究会」の概要などを報告した。

 

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 同日のヒアリングについて、委員からは、

 

(埼玉県において)介護の民間教育訓練機関が撤退しているのは受講者が減っているからか?

 

(埼玉県と静岡県の)職業訓練の提供者数(実施側、講師数)は? 講師は常勤か? 非常勤が増加する傾向はあるか?

 

(埼玉県と静岡県において)

産業構造変化に伴う訓練の転換は?

レディ・メイドの職業訓練のあり方を変えていくことの課題は?

訓練のツールも変わってきているか?

 

在職者訓練に両県(埼玉県と静岡県)とも力を入れている。

在職者訓練は労使の評価が高い。波及効果がある。官民連携の核となる。

 

(静岡県の)信用金庫との人材育成連携では、どのようなことを行っているのか?

 

《原圭吾教授の報告について》

全般に第4次産業革命が強調されていたかと思う。

自分の仕事を失なわないための職業訓練が重要な課題である。

 

(第4次産業革命に伴う技術要素等)これからは様々な要素の統合が大切であるが、
カリキュラムに実際落としていくと「要素」、「要素」とブツ切りになる懸念がある。
「統合」をどう教えていくか?

 

(最終ページの「今後の取組みについて」)

この取組をぜひ加速していただきたい。

ボトルネックになるものは?

 

――など多数の質問や意見が出ていた。

 

次回は、11月下旬に開催される予定。

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2019年10月17日 (木)

令和元年10月16日(水)「第15回 過労死等防止対策推進協議会」開催される(厚生労働省)

「過労死等防止対策白書」及び「令和2年度概要要求」が報告される

各省の「過労死等の防止対策の実施状況」などに多数の質問や意見が

(令和元年1016日(水)14591655

7

 

 「過労死等防止対策推進協議会」(会長・中窪裕也一橋大学大学院法学研究科教授)は、過労死等防止対策推進法に基づき厚生労働省に設置された協議会(第1回は平成261217日に開催)。

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 令和元年1016日に5ヵ月ぶりに開催された第15回の協議会では、まず、厚生労働省から「令和元年版 過労死等防止対策白書」(令和元年10月1日閣議決定)及び「過労死等防止対策の推進(令和2年度概要要求の概要)」の説明があり、その後、厚生労働省、人事院、内閣人事局、総務省、文部科学省から、「令和元年度の過労死等の防止対策の実施状況」の説明があった。

 防止対策の実施状況について、主に民間企業の過労死等防止対策に取り組んでいる厚生労働省からは、「11月の過労死等防止啓発月間における取組事項(過重労働解消キャンペーン、令和元年1027日に実施する無料の「過重労働解消相談ダイヤル」(0120794(なくしましょう)713(長い残業)など)、「労働基準監督行政における長時間労働削減対策の取組状況」、「メンタルヘルス対策の実施状況」──などの説明が行われた。

 

 委員からは、

「若い世代は業務量をコントロールすることが困難」

「若い人達へのメンタルヘルス教育を」

「若い人達のメンタルヘルスを守っていただきたい」

「勤務間インターバルを導入していない業界はどこが多いのか」

「勤務間インターバルの助成金について教えていただきたい」

「勤務間インターバルの努力義務を前に進める政策提言を」

「勤務間インターバル制度の助成金の申請に傾向はあるか」

「長時間労働削減と勤務間インターバル(の導入)は1つのセット」

「勤務間インターバル制度を導入しない理由に「発動しないから(必要性を感じないため)」とあるが、制度を導入しておいて、(超過勤務が)発生したら発動すれば良いのでは」

「マネジメント研修も良いと思うが、職員を含めた意識改革をしていかないと」

「『過重労働解消相談ダイヤル』の周知方法は」

「教師の持ち帰り残業は在校等時間に含まれていない」

「白書はゼネコン系の建設業だと思うが、通信系の建設業もある。時間枠、プレッシャーがある」

「各取組みに対する効果の把握方法は」

「(白書の建設業)発注者側の皆様にも周知を」

「どんな仕事にも働く人がいる」

「(過労死遺児交流会)自分と同じ(境遇の)人とあうだけでも安心する」

「悪いことをしていないのに命を失ったと感じている子どもたち(過労死遺児)。働くことは怖いことではない、働くことは楽しいこと、夢と希望を」

「国の教育はどのようなものか」

「命を削ってまでの国会対応は必要か」

「公務員と国会待機の関係が触れられていない。ぜひ国会待機について議論を」

「国会対応についてトータルの見直しが必要では」

「(学校では)部活等の負担が大きく、公務災害を発生している事例が多い」

「(教師が)仕事を持ち帰った例が20.3%あった」

「在校等時間だけではなく…」

「民間企業では監督署の指導があるが、学校は不夜城と呼ばれる…」

「高校に着目するときは、平均値ではなく1校1校みてほしい」

「採用活動におけるハラスメント、内定後の研修等におけるハラスメントが問題になっている。厚生労働省では、どこが相談窓口になるのか」

――などの様々な意見や質問が出ていた。

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 次回は、来年4月以降に開催され、令和元年度の取組みの総括などが報告される見通し。

 

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2019年10月 4日 (金)

令和元年9月17日(火)認定NPO法人キャリア権推進ネットワークが「第5回キャリア・コロッキアム」を開催

 

島青志氏による「ティール組織」(自律的組織)の講演と全員参加のグループワークを実施

 

 認定NPO法人キャリア権推進ネットワーク(諏訪康雄理事長)は、令和元年9月17日(火)午後7時~午後9時に「第5回キャリア・コロッキアム」を開催した。ここでは、その様子をダイジェストで紹介する。

 第5回の講師は、ティール組織を推進する一般社団法人自然経営研究会の代表理事を務める島青志しま・せいじ)氏。 島氏は、株式会社Salt 代表取締役、経営コンサルタントとしても活躍している。

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 島氏は、冒頭に「ティール組織」(日本で7万部、全世界で20万部を超える売上を記録している)の著者であるフレデリック・ラルー 氏(ちょうど当日(9月17日)まで日本に滞在していたとのこと)とのツーショット写真や島氏が執筆したSF小説「シュレーディンガーの宇宙」の紹介などを行って会場をわかせてから、和やかで楽しげな雰囲気の中で「ティール(Teal)組織」の解説に入った。

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 島氏は、「ティール組織」(自律的組織)について、 現在の日本企業の多くがオレンジ組織(機械的組織) その次のグリーン組織(家族的組織)とは、法政大学の坂本光司教授の「日本でいちばん大切にしたい会社」のような会社であり、その次にくるのが「ティール組織」であることを説明し、

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 「ティール組織」は、

信頼で結びついてる

指示命令系統がない

 

 「自律的組織の3つの誤解」(3つの神話)

組織構造がない

階層構造がない

全てがコンセンサスで決まる

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「自律的組織の歴史」 日本はスクラム経営が多い

それがアジャイル開発、ホラクラシーに

 

日本のやってきたことがティール組織に影響を与えている

 

「自然(じねん)」とは、ネイチャーではなくナチュラル「本来的にそうであること」

 

それでは、自然(経営)モデルとはどうずればいいのか?

キーワードは「自己組織化」

 

自然界における自己組織化の例としては、 雪の結晶 アリの組織(蟻塚)などがある。

人間界の例としては、 自己組織化でできている東京(都市)の街並み キーボードの配列(QWERTY配列) 世界の鉄道の線路の幅(144cm) ビデオテープ VHSとβの件 などがある

――などの数々の実例やキーワード・センテンスを交えて解説した。

 

続いて同日のテーマの本丸と思われる「ティール組織の3つの突破口」に話を進めていった。

 島氏は、「ティール組織の突破口」として、自主経営、全体性(自分だけでなく全体をみる)、存在目的(組織の理念、目的に共鳴すること。ただし作られた経営理念とは異なる)――の3つを示した。

 

 島氏は、日本におけるティール組織の度合いが高いと思われる25社のアンケート結果も発表。参加者からは、「25社の選び方」や「ティール組織のメンバーには誰でもなれるのか」「個人の資質や能力は問われないのか」などの質問が出ていた。

 

 参加者の「ティール組織を詳しく知りたい!」という熱意からか、事務局がエアコンの温度設定を何度も確認・変更する場面もみられた。

 

 講演の予定時間(1時間)はあっという間に過ぎ(少々おしてしまったため、休憩時間を切り詰めて)、続いて、第2部の全員参加のグループワークが開始された。

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 後半のワークショップの開始に当たって、諏訪康雄理事長は、「社員に任せるから会社は進化する 日本版『ティール組織』で黒字になる経営の仕組み」の著者・株式会社日本レーザー 近藤宣之会長の話を紹介した。

 株式会社日本レーザー(東京都・新宿区)では、ティール組織の概念が提唱されるかなり以前から、ティール組織とよく似た組織を構築してきたという。

※ 小誌2014年1月1日・11日合併号『新春企業訪問』では、「多様な働き方を支えるダブルアサインメント&マルチタスク 育児支える1業務2人担当制が会社と社員のリスク対策にも」というテーマで同社の取材記事を掲載している。

 

 ワークショップでは、

① 変容する日本経営は「ティール組織」に近づいていくか?

② どんな業界の、どんな規模や歴史の企業組織が、どれほど近づいていきそうか? (逆にいえば、まるで近づいていきそうもないか?)

――をテーマに各グループで議論が開始された(制限時間30分)。

 

 その後、4つのグループの代表者が発表を行った。

 

 ①については、

近づいていく企業もあると思うが多くなるかは疑問

大企業では難しそう

――などの意見が出ていた。

 

 ②については、

イノベーティブ、クリエイティブな業界が

安全、確実を保証する業界は厳しい

価値観・理念で自主的に動いていくことが必要

理念がわかっていれば

プロジェクトベースでわーっとやるイメージ

軍隊、警察はさすがに無理

(対テロ対策などで、)軍隊でもティール的な組織が必要かと

企業としても魅力を高めるのに取り入れていくのがいいのでは

理念が共通であるという前提がないと組織は無茶苦茶になる

――など様々な意見が出ていた。

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講師をつとめた島青志 氏は、同日の締めくくりに当たって、

「ある論文で、2030年までに世界のトップ1000のグローバルな会社の20%がもしティールになったら、びっくりだろうと。逆に世界の会社の20%が全く自律的なことをしていないということだったら、世界は終わるだろう。という言い方をしているんですね。

 そんなことはないだろうかと。

 なんらかのかたちで、丸々大企業が入れるとかではなくて、部署ごとの動きであったり、色々な形で自律的なものが取り入れられたりとか、その中で、また新しいかたちができたり、ティールじゃないかもしれませんね。

 もし今日を機会に、自分自身の中でまさに考えていく課題のひとつのきっかけにできれば、とても本望かと思っています。私自身もまだまだ模索中ですので、これからも色々とご意見の交換などさせていただければ、今日はありがとうございました。」

――などと述べていた。

 

 

諏訪康雄理事長は、

「今日は、今もっともホットな話題の1つであるティール組織について、島先生からのご報告をいただき、そして、それに沿って、今の日本、近未来の日本の組織はどんなふうになりそうか、ということのご議論をいただきました。

 世の中の変化を考えてみますと、これほどSNSが、例えば色々なところで、世の中を動かしたり、あるいは政治のコミュニケーションのあり方として、これほどツイッターが幅を利かせるなんて、ほとんど我々は想像だにしていなかったのですが、このように変化が色々な形で起きてくるんじゃないか。そのときにティール型が最終目標かどうかとか、そういうことはよくわからない。なぜならば、世の中には色々な組織形態、組織運営のあり方があって、それがモザイク状になりながら、それそれの部分部分で適者生存的なものを繰り返していくんじゃないかなと思います。

 というわけで、ティールが今後、伸びていくかどうかは、ティールをしたら、我が社はすごい利益を挙げた!とか、あるいは、次々従業員が大きな仕事をしていた!だとか、こういった成果というかパフォーマンスというのが、影響を与えていくのだと思います。

 今後も、意識してみていく分野かと思います。

 逆に言えば、まるでティールと関係ないという組織、そっちの方向には動かないという組織も、社会運営の中では残っていくだろうと思います。

 しかし、そうした組織が人材をどんなふうに集めて、育成していくか、などということは、今後また見方は変わっていくのかなぁと思います。

 というわけで今日は、ティール組織をめぐる報告と組織をめぐる議論をしていただきました。我々のキャリア・コロッキアムも、今後とも絶えず、世の中の動きの最先端に近い部分をみなさんと一緒に検証し、そして議論していきたいと思います。

 次回の勉強会にも、機会が、あるいは関心がありましたら、ぜひ、積極的にご参加いただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。お疲れ様でした。」

――と語っていた。

 

 

「第6回キャリア・コロッキアム」の開催は、認定NPO法人キャリア権推進ネットワークのHPhttp://career-ken.org)に告知される予定。

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2019年6月21日 (金)

厚生労働省・平成31年4月分の毎月勤労統計調査の結果確報を公表

現金給与総額は前年同月比0.3%減の27万6551円に

 

 厚生労働省は、令和元年6月21日、平成31年4月分の毎月勤労統計調査の結果確報を公表した。

 調査結果によると、現金給与総額は27万6551円(0.3%減少)となった。

 このうち、一般労働者が35万7840円(0.3%増加)、パートタイム労働者が9万8895円(0.6%減少)となっている。

 パートタイム労働者比率は31.09%(0.70ポイント上昇)となった。

 なお、一般労働者の所定内給与は31万5782円(0.8増加)、パートタイム労働者の時間当たりの給与は1152円(1.9%増加)となった。

 共通事業所による現金給与総額は0.7%の増加となり、このうち一般労働者が0.7%の増加、パートタイム労働者が0.1%の増加としている。

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2019年6月18日 (火)

労災保険の追加給付の額はメリット収支率には反映させないことに【厚生労働省】

 厚生労働省・関係省令を改正し速やかに施行

 

厚生労働省は6月12日、労働政策審議会(会長・鎌田耕一東洋大学名誉教授)に対し、労災保険のメリット制について、毎月勤労統計調査の不適正な調査により過少給付となった受給者への追加給付の額については、メリット収支率に反映させないとする省令改正案要綱を諮問した。


諮問を受けた同審議会は、これを同審議会労働条件分科会労災保険部会(部会長・荒木尚志東京大学大学院法学政治学研究科教授)で審議した結果、厚生労働省案を「妥当と認める」とする答申を取りまとめ、同日、根本厚労相に提出した。


労災保険制度では、個別の事業について、業務災害に関する保険給付等の額と保険料の額との割合(メリット収支率)に応じて、保険料を増減させる仕組み(メリット制)を設けている。


先般、同省が行っている「毎月勤労統計調査」において、平成16年以降の調査が不適正な手法で実施され賃金額が低めに出ていたことで、労災保険等の給付が過少給付となった受給者が多くいることが判明した。


同省では、この過少給付となっていた受給者については、その差額に相当する分等を追加給付として順次支給することとしている。今回の省令改正(案)は、当該追加給付の額について、メリット収支率の算定に反映させないようにするもの。

同省は、速やかに省令を改正し施行する予定(公布日施行予定)。

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2018年7月24日 (火)

「2018年度 決定初任給調査」の結果を発表(産労総合研究所)

引上げ企業は40.8%で、前年度より6.2ポイント増
初任給額は
大学卒(一律)206,333円
高校卒(一律)167,249円
全学歴で対前年比増

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 産労総合研究所(平盛之代表)は、このほど「2018年度 決定初任給調査」の結果を発表した。
 同調査は1961(昭和36)年より毎年実施されている。
 今回は、全国1・2部上場企業と過去に本調査に回答のあった同社会員企業から任意に抽出した3,000社に対して、2018年4月に調査票を郵送で依頼し、321社の回答を得たとのこと。
 
 
 調査の結果、2018年度の決定初任給(2018年4月に確定した初任給)の水準は、大学卒(一律)206,333円、高校卒(一律)167,249円となり、全学歴で対前年比増となった。

 

「初任給を引き上げた」企業は、前年度の34.6%から6.2ポイント増の40.8%となり、2008年度の調査以来、10年ぶりに4割を超えた。引き上げた理由で最も回答が多かったのは「人材を確保するため」56.5%だった。

 なお、引き上げた企業における引上げ額は、大学卒(一律)2,691円、高校卒(一律)2,553円であった。

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2017年12月14日 (木)

実雇用率は前年より0.05ポイント上昇し1.97%~厚労省・29年の障害者雇用状況~

厚生労働省は、平成29年の障害者雇用状況の集計結果をまとめた(平成29年12月12日発表)。

 
それによると、今年6月1日現在における一般民間企業(規模50人以上の企業:法定雇用率2.0%)での身体障害者、知的障害者及び精神障害者の実雇用率は1.97%(前年1.92%)となっており、6年連続で過去最高を更新した。
また、法定雇用率を達成している企業の割合は50.0%(前年48.8%)となっている。 
企業規模別にみた障害者の実雇用率は、50~99人で1.60%(前年1.55%)、100~299人で1.81%(同1.74%)、300~499人で1.82%(同1.82%)、500~999人で1.97%(同1.93%)、1000人以上で2.16%(同2.12%)となっている。
 
また、法定雇用率を達成している企業の割合(規模別)は、50~99人で46.5%(前年45.7%)、100~299人で54.1%(同52.2%)、300~499人で45.8%(同44.8%)、500~999人で48.6%(同48.1%)、1000人以上で62.0%(同58.9%)となっている。
 
 
なお、公的機関、独立行政法人などについては以下のようになった。※( )は前年の値
 
 

<公的機関>

 

(法定雇用率2.3%、都道府県などの教育委員会は2.2%)


○雇用障害者数及び実雇用率のいずれも対前年で上回る。

 
  ・  国  :雇用障害者数 7,593.0人(7,436.0人)、実雇用率 2.50%(2.45%)

 
  ・ 都道府県 :雇用障害者数 8,633.0人(8,474.0人)、実雇用率 2.65%(2.61%)

 
  ・ 市町村 :雇用障害者数 2万6,412.0人(2万6,139.5人)、実雇用率 2.44%(2.43%)
 

  ・教育委員会:雇用障害者数 1万4,644.0人(1万4,448.5人)、実雇用率 2.22%(2.18%)


 

 

<独立行政法人など>


(法定雇用率2.3%)



○雇用障害者数及び実雇用率のいずれも対前年で上回る。

 
  ・雇用障害者数1万276.5人(9,927.0人)、実雇用率 2.40%(2.36%)

 

 


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2017年10月 4日 (水)

厚生労働省「第1回 柔軟な働き方に関する検討会」を開催(平成29年10月3日)今年度中にガイドラインを策定予定

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 座長は日本テレワーク学会会長の松村茂氏

 厚生労働省は、平成2910月3日、「第1回 柔軟な働き方に関する検討会」を開催した。

 本検討会は、働き方改革実行計画を踏まえ、テレワークや兼業・副業の実態を把握しつつ、普及に向けた課題を整理するとともに、ガイドラインの策定に向けて検討を行うもの。

 座長には、日本テレワーク学会会長の松村茂・東北芸術工科大学教授が選出された。

 テレワークでの働き方について松村座長は、雇用型・非雇用型など「所属のスタイルが変わる」とした上で、「教育や様々なトラブルについてどう対応するかが今後の課題」と指摘した。

 

 同省では、今年度のできるだけ早い時期にガイドラインを策定する予定。

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2016年9月28日 (水)

厚生労働省・平成26年度 国民医療費の概況~40兆8,071 億円、人口1人当たり32万1,100円~



厚生労働省は、平成26年度の国民医療費の概況を取りまとめ、公表しました。


【結果のポイント】

○平成26年度の国民医療費は40兆8,071億円(前年度に比べ7,461億円、1.9%の増
加)。人口1人当たりでは32万1,100円(同6,400円、2.0%の増加)。

○平成26年度の国民医療費は40兆8,071億円(前年度に比べ7,461億円、1.9%の増
加)。人口1人当たりでは32万1,100円(同6,400円、2.0%の増加)。

○財源別にみると、公費のうち「国庫」は10兆5,369億円(財源全体に占める割合2
5.8%)、「地方」は5兆3,157億円(同13.0%)。また、保険料のうち「事業主」は8兆3,292億円(同20.4%)、「被保険者」は11兆5,448億円(同28.3%)。さらに、その他のうち「患者負担」は4兆7,792億円(同11.7%)。
 
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