労働基準広報2015年8月1日号のポイント
●特集/今年4月~6月施行の労働基準法施行規則等の改正
〈休憩の自由利用、金融商品取引業者、事業附属寄宿舎の寝室の関係〉
いわゆるクラウドファンディングへの払込みによる賃金の支払いはできない
(編集部)
今年4月~6月に改正された労働基準法施行規則等の主な内容は、①居宅訪問型保育事業に使用される家庭的保育者を休憩の自由利用規定の適用除外とするもの(労基則第33条 4月1日施行)、②賃金の支払いの際に労働者が指定する金融商品取引業者から第一種少額電子募集取引業者(いわゆるクラウドファンディング業者)を除くもの(労基則第7条の2第1項第2号 5月29日施行)、③事業附属寄宿舎の3階以上に寝室を設ける際の要件を避難時間に基づくものなどに改めるもの(事業附属寄宿舎規程第9条第2項 6月1日施行)――などとなっている。
●特別企画/最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援事業
〈中小企業を応援する 業務改善助成金〉
業務改善の経費を助成
〈最低賃金ワン・ストップ無料相談〉
中小企業事業主の悩みに専門家が無料でワン・ストップサポート
(厚生労働省労働基準局労働条件政策課賃金時間室)
厚生労働省では、最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援事業として、①対象42道府県の賃金水準の引上げを支援する「業務改善助成金」(個別支援策)、②ワン・ストップ&無料の相談・支援体制を整備する「ワン・ストップ無料相談」(全国的支援策)――などを行っています。
●弁護士&元監督官がズバリ解決!~労働問題の「今」~
第12回 労働災害により療養中の労働者に対する解雇
労災から療養補償受けている者も打切補償により解雇制限が解除に
(弁護士・森井利和&特定社会保険労務士・森井博子)
今回は、業務上疾病により労災保険の療養補償給付などを受けている労働者に対して、使用者が打切補償を支払って解雇した専修大学事件の最高裁判決について解説する。
労基法19条1項では、業務上傷病による休業期間とその後30日間は、労働者の解雇が禁止される解雇制限を定めているが、同項ただし書により、使用者が同法81条による打切補償をした場合、すなわち、同法75条による使用者からの療養補償を受けている者に打切補償をした場合には、解雇制限が解除される。
労基法の使用者による災害補償義務は、実質的に労災保険の労災補償給付にとって代わられているが、本件では、労災保険の療養補償を受けている者が、打切補償により解雇制限が解除される「労基法75条の規定によって補償を受ける労働者」に該当するか否かが主な争点となった。
一審・二審とも、その該当性を否定したが、最高裁は、療養補償給付を受ける労働者も「労基法75条の規定によって補償を受ける労働者に含まれる」として、打切補償を支払った場合には労基法19条1項の解雇制限が外れると判示。そのうえで、労働契約法16条の適用に関して審理を原審に差戻した。
●企業税務講座/第56回 マイナンバー制度
平成28年1月の施行に向けて万全の対策を
(弁護士・橋森正樹)
去る平成25年4月24日、いわゆるマイナンバー法及びその関連法が成立したが、それらの施行がいよいよ平成28年1月に迫っている。行政機関をはじめ企業の多くもその対応に余念がない状況といえる。そこで、本号では、まず、マイナンバー制度の概要について解説してもらった。なお、本コーナー第32回(2013年8月1日付号(№1791)「マイナンバー法の成立」)も併せて参照されたい。
●NEWS
(26年度「過労死等の労災補償状況」まとまる)精神障害の労災認定は過去最多の497件/
(JILPT・紛争解決に関し調査)労働紛争解決の手段は多くの場合「金銭解決」/
(厚労省・地域創生人材育成事業)地域の工夫による新訓練事業に徳島県を追加決定/ほか
●労務資料 平成26年度 帰国技能実習生フォローアップ調査結果
●連載 労働スクランブル第223回(労働評論家・飯田康夫)
●わたしの監督雑感 栃木・足利労働基準監督署長 沼澤敏弘
●編集室
●労務相談室
個人情報
〔日本年金機構から個人の年金情報が流出〕会社として対応は必要か
特定社労士・飯野正明
懲戒
〔売上金を着服した営業社員〕返還させる際の注意点は
弁護士・加島幸法
派遣法
〔派遣労働者が年休取得した場合〕派遣料金の支払義務は
弁護士・岡村光男