令和三年 年頭所感 【田村憲久厚生労働大臣】
年頭所感
(はじめに)
令和三年の新春を迎え、心よりお慶び申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。
厚生労働大臣に再び就任し、三か月余りが経ちました。この間、国民の皆様の安全・安心の確保に万全を期すべく努力してまいりました。引き続き、私自身が先頭に立ち、厚生労働省一体となって様々な課題に全力で取り組んでまいります。
(感染症対策等)
取り組むべき喫緊の課題は新型コロナウイルス感染症の対策です。直近の感染状況ですが、依然として厳しい状況が続いています。厚生労働省としても、国民の皆様の命と健康を守るため、引き続き最優先で取り組んでまいります。
昨年来の対策の経験を活かして、感染リスクや重症化リスクに応じたメリハリの利いた感染対策を講じるとともに、医療機関への支援や保健所の体制強化、検査体制の確保等を進めてまいります。加えて、行政検査については、感染拡大防止のため、高齢者施設等への積極的な検査に引き続き取り組んでまいります。
季節性インフルエンザによって、発熱患者等が大幅に増え、検査や医療の需要が急増する場合に備え、身近な医療機関に直接電話相談し、地域の診療・検査医療機関を受診する仕組みの整備を都道府県とともに行いました。
併せて、病床の確保については、各都道府県の病床・宿泊療養施設確保計画に基づき、引き続き都道府県のご協力をいただきながら、医療提供体制の整備を図ってまいります。
感染拡大地域の保健所への国からの専門家派遣や専門人材等の都道府県間の広域的な応援派遣の調整を行うなど、引き続き機動的に現場を支える体制を強化してまいります。
ワクチンについては、本年前半までに全ての国民の皆様に提供できる数量の確保を目指すとともに、昨年施行された予防接種法及び検疫法の改正法に基づき、円滑、迅速な接種を実施するための体制の整備等に取り組みます。
また、新型コロナウイルス感染症対策について確実な取組を推進するため、制度改正も見据えて議論を進めます。併せて、国際的な人的往来の段階的な再開に向けて、空港等における検疫体制を強化してまいります。
加えて、感染症の影響を踏まえた産業政策と、雇用政策が、車の両輪となり実施されることが必要です。昨年十二月にとりまとめた経済対策に基づき、雇用の維持・確保や、新たな分野への円滑な労働移動の支援、求職者向け支援の拡充等の雇用対策パッケージに取り組んでまいります。
今年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、人類がウイルスに打ち勝った証として開催するものです。日本国内の皆さんはもちろん、海外から集まるアスリートや観客にも安全・安心な大会を実現するため、関係省庁と連携し、万全を期してまいります。
(災害への対応等)
近年、台風や記録的な大雨による甚大な被害が全国各地で発生しております。改めまして亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様にお見舞い申し上げます。被災された方々が一日も早く安全・安心な生活を取り戻せるよう、対策等を講じるとともに、相次ぐ自然災害から国民生活を守れるよう、「防災・減災・国土強靱化のための五か年加速化対策」として、重点的かつ集中的に医療・福祉・水道施設等の強靱化に取り組みます。
また、本年は東日本大震災の発生から十年という節目となります。私自身も復興大臣であるとの強い意識の下、被災者の心のケア、医療・介護提供体制の整備、雇用対策などに全力で取り組みます。
(全世代型社会保障制度への改革)
全世代型社会保障検討会議において「全世代型社会保障改革の方針」が取りまとめられ、昨年末に閣議決定されました。
この方針に沿って、全世代対応型社会保障制度の構築のため、不妊治療の保険適用や待機児童の解消といった少子化対策、後期高齢者の医療費の窓口負担割合の見直し等の医療制度改革を進め、次期通常国会に関連法案の提出を目指します。
(地域医療体制の整備、地域包括ケアシステムの構築等)
医療分野では、今般の新型コロナウイルス感染症対応で得られた知見を踏まえつつ、人口構造の変容に伴う地域の医療ニーズの変化に対応した病床機能の分化・連携を目指す「地域医療構想」、医療現場における長時間労働の是正を目指す「医師の働き方改革」、医師の適切な配置により地域間、診療科間の医師偏在解消を目指す「医師偏在対策」を一体的に進めます。また、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を構築する観点から、次期通常国会に関連法案の提出を目指します。さらに、オンライン診療の在り方について、安全性と信頼性をベースに検討を進めていきます。
また、本年四月に予定されている介護・障害福祉サービス等の報酬改定による対応など、新型コロナウイルス感染症下においても、地域において継続的に介護・障害福祉サービス等が提供されるよう、しっかりと支援してまいります。
(子ども・子育て支援)
不妊治療への支援については、昨年末に策定した工程表に基づき、保険適用に向けた検討を進めます。また、保険適用の実現までの間の不妊治療に対する助成金の大幅な拡充や、不妊治療を受けやすい職場環境整備の推進等を行ってまいります。加えて、不育症患者や小児・AYA世代のがん患者等に対する支援を推進します。
待機児童解消について、昨年末に定めた「新子育て安心プラン」に基づき、保育の受け皿確保に取り組んでまいります。
また、全ての子どもたちが夢や希望を持てる社会を目指し、児童虐待防止対策や子どもの貧困対策に取り組みます。
(働き方改革の推進、多様な就労・社会参加の促進)
一億総活躍社会の実現に向けて、働き方改革関連法の円滑な施行等に努めるとともに、リカレント教育をはじめとした人材育成の強化、女性・若者・高齢者・障害者等の就労支援等に取り組んでまいります。
また、男性の育児休業取得促進のため、出生直後の休業の取得を促進する新たな枠組みの導入や、個別の労働者に対する休業制度の周知の措置を事業主に義務付けるなど、審議会での議論を踏まえ、次期通常国会に関連法案の提出を目指します。
併せて、最低賃金の全国的な引上げに取り組みます。
(難病対策等)
難病対策について、法施行後五年の検討規定に基づき、関係審議会において議論を進めるとともに、総合的な支援策を推進します。また、B型肝炎ウイルスに感染した方々への給付金の支給の請求の状況等を勘案し、当該給付金の請求期限を延長する等の措置を講ずるため、次期通常国会に関連法案の提出を目指します。
そのほか、社会経済の変化に対応しつつ、厚生労働省に対する要請に適時・的確に応えることができるよう、医薬品・医療機器施策、年金制度改革、社会福祉、援護施策等、山積する課題に果断に取り組んでまいります。
おわりに、本年が、国民の皆様お一人おひとりにとって、実り多き素晴らしい一年となりますよう心よりお祈り申し上げ、年頭に当たっての私の挨拶といたします。
令和三年元旦
厚生労働大臣 田村 憲久
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