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2021年1月

2021年1月 7日 (木)

厚労省・第1回「労働市場における雇用仲介の在り方に関する研究会」を開催 IT化等による新しい事業モデル・サービスに対応した制度の在り方などを検討【令和3年1月6日】

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求人・求職サイトやアグリゲーター(おまとめサイト)、

人材紹介エージェントなどの多様化する人材サービスについて

「多様化、国際化、求職者保護」などをキーワードに

法的・制度的観点から専門的検討を行う

 

 厚生労働省は、令和3年1月6日、「労働市場における雇用仲介の在り方に関する研究会」(以下「研究会」)の初会合を開催した。

 研究会では、求人サイトなどのIT等を活用した人材サービスへの対応、人材紹介エージェントなどの有料職業紹介事業及び求人メディアなどの募集情報等提供事業などの適正・効果的運営のための制度などについて、「多様化、国際化、求職者保護」などをキーワードに法的・制度的観点から専門的検討を行う。今年4月までは関係者からのヒアリングを実施し、5月から論点整理に入る予定。

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研究会の初会合には、構成員として、

阿部正浩 中央大学経済学部教授

安藤至大 日本大学経済学部教授

大久保幸夫 リクルートワークス研究所 アドバイザー

鎌田耕一 東洋大学名誉教授

武田洋子 株式会社三菱総合研究所 政策・経済センター長

中田るみ子 三菱ケミカル株式会社 取締役常務執行役員

山川隆一 東京大学大学院法学政治学研究科教授

――の7名の学識経験者が出席した(五十音順・敬称略)。

  

 研究会では、新しい時代に対応した労働市場の整備と就労マッチングサービスの発展の観点から、多種多様となっている採用プロセスにおける人材サービスを明らかにした上で、我が国のこれからの雇用仲介制度の在り方を検討する必要があるため、労働市場における雇用仲介の在り方について、法的・制度的な観点から専門的な検討を行うこととしている。

 開催に当たって、田中誠二職業安定局長が「一人ひとりが自分のキャリアを大切にする意識が出てきた。企業もそれを意識しないと…。先生方には忌憚のない意見をいただきたい」を述べ、座長には鎌田耕一東洋大学名誉教授が選出された。

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 同省からは、まず、「労働市場における雇用仲介の現状」について、

ア)転職者の割合の高い産業ほど、広告を経由して入職する者が多い

イ)求人の年収帯を見ると、民間職業紹介事業者の取り扱うものが最も高い一方、ハローワークの取り扱う求人は年収の幅が狭く、おおむね220550万円の間となっている

ウ)民間職業紹介では、保健師・助産師・看護師を中心に専門的職業の求人が多い

エ)飲食関係・接客関係の求人は、コストの高い民間職業紹介よりもハローワークや求人メディアに多く見られる

オ)ハローワークを経由した就職件数が景気動向等を受け2012年度以降減少する一方で、民間職業紹介事業者を経由した就職件数は景気動向に関わらず増加している

カ)雇用仲介の中での単純な求人数では募集情報等提供事業者の規模が大きくなっている

キ)IT技術の進展により、アグリゲーター(おまとめサイト)や利用者DB、SNS(求人企業のダイレクト採用)など新しいサービスが登場している

――などがデータとともに示された。

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 その後には、全ての構成員が発言し、

 

国際的にみて日本の長期失業者の(割合が)高い

 

ITAIの進展によりアルゴリズムを主体としたマッチングが増加し、ブラックボックス化してしまうことをどう考えるか、どのように適正化していくか

 

求職者保護を第一に考えるべき

 

現在の状況は雇調金の影響がある

 

在職中に新しい仕事をみつけ雇用の継続を

 

仲介業はどこからお金をもらっているのか

 

他市場の仲介業を参考にする

 

求職者が仲介業の仕組みを理解していないケースが。事業の特性をみせていく(べき)

 

人材ビジネスは20年で激変した。プレイヤーが変化した。プラットフォーマー、SNS事業者などが

 

1998年に大改革を行った。ハローワークと民間の役割をわけるテーマだった

 

一言で言うと多様化。様々な雇用仲介が拡大している。区分が曖昧になっている。どう整理していくのか。法規制が全く違う。基本は企業と労働者だが仲介事業者の責任は決して少なくない

 

高齢者をどう考えるか

 

転職者が安心して働ける仕組みを

 

就職弱者に雇用機会を本当に提供できているか

 

将来を見据えてどう考えていくか?

① 労働市場の真の目的は何か?人手不足とAIに雇用が奪われるとの相反する意見があるが、問題はミスマッチにある。タスクの変化に対して、変わっていかないと雇用に行き着かない。コロナによりその傾向は加速する

② ではどうすればいいか?

FLAP(フラップ)が必要

F(ファインド)気づきを正して示す

L(ラーン)学び

A(アクト)行動する

P(パフォーマンス)活躍する

フラップを回していくには、マッチングのバラバラな情報をどう共通言語化していくか

 

新しいサービスが出てくることを阻害してはならないが、個人情報、人権に配慮を

 

自分はこの環境下で何のために働いているか?

今はオンライで簡単に面接できる

 

企業側の問題意識として、

①非常に求人には手間がかかる(属人的で時間がかかる)

②インターンシップはマッチングには重要。まずは体験!が増えてくるのでは(出向など)

③仲介事業者の料金が高い。使いにくい。着手金がある

④マーケットに出てくる人が限定されている。登録者しか出てこない。社内失業状態の人が出てくればいいのだが

 

法の目的、マイナス面の除去にプラス面の促進を理念に追加することを

 

市場がより機能するように、労働市場を高度化していくことが課題に

 

国際化への対応を入れていく必要が

 

他国の状況を把握できれば

 

ILOの条約も注目していく

 

求人誌には必ずしも雇用労働者に限らない求人が載っている。どう対応するかという視点も

 

日本は最も転職により賃金が上がらない国

転職すればするほど上のキャリアに上がれない

 

日本の転職者は最も海外に行っていない。ドメスティック

 

ちょっとマッチング機能が弱すぎないか?

どうやってその機能を高めていくか議論を

 

避けられるミスマッチと避けられないミスマッチがある

避けられるミスマッチを避けていない

情報提供を

どう避けられるミスマッチを削減していくか?

 

転職して満足している者も6割以上いる

 

求職者のニーズ、属性のデータを

30代、40代、新卒者のデータがあれば(事務局にお願いしたい)

 

――などの意見が出ていた。

 

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 そして、検討事項として、

①IT化等による新しい事業モデル・サービスに対応した制度の在り方

②有料職業紹介事業及び募集情報等提供事業等をより適正かつ効果的に運営するための制度の在り方

③働き方や職業キャリアの在り方が多様化する中で、需要サイドと供給サイド双方にとって機能的な労働市場を実現するための制度や官民連携の在り方

――の「主な論点(案)」が示されて、了承された。

 今後は、「求人・求職サイト」や「人材紹介エージェント」についての議論も集中して行われる見通し。

 

 検討会では、令和3年2月から4月に関係者((募集情報等提供事業者、職業紹介事業者、有識者等)からのヒアリングを実施し、5月からは、論点整理を行い具体的な議論が行われ、年内のそう遅くない時期にはとりまとめが行われるものとみられる。

 初会合の締めくくりに、鎌田座長は、「多様化、国際化、(個人情報の保護などの)求職者の保護などのキーワードが出てきた。利用者が安心して利用できる雇用仲介事業者(の在り方)を…」との旨を述べていた。

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2021年1月 5日 (火)

令和三年 年頭所感 【田村憲久厚生労働大臣】

年頭所感

 

(はじめに)

令和三年の新春を迎え、心よりお慶び申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。

厚生労働大臣に再び就任し、三か月余りが経ちました。この間、国民の皆様の安全・安心の確保に万全を期すべく努力してまいりました。引き続き、私自身が先頭に立ち、厚生労働省一体となって様々な課題に全力で取り組んでまいります。

 

(感染症対策等)

取り組むべき喫緊の課題は新型コロナウイルス感染症の対策です。直近の感染状況ですが、依然として厳しい状況が続いています。厚生労働省としても、国民の皆様の命と健康を守るため、引き続き最優先で取り組んでまいります。

昨年来の対策の経験を活かして、感染リスクや重症化リスクに応じたメリハリの利いた感染対策を講じるとともに、医療機関への支援や保健所の体制強化、検査体制の確保等を進めてまいります。加えて、行政検査については、感染拡大防止のため、高齢者施設等への積極的な検査に引き続き取り組んでまいります。

 季節性インフルエンザによって、発熱患者等が大幅に増え、検査や医療の需要が急増する場合に備え、身近な医療機関に直接電話相談し、地域の診療・検査医療機関を受診する仕組みの整備を都道府県とともに行いました。

併せて、病床の確保については、各都道府県の病床・宿泊療養施設確保計画に基づき、引き続き都道府県のご協力をいただきながら、医療提供体制の整備を図ってまいります。

感染拡大地域の保健所への国からの専門家派遣や専門人材等の都道府県間の広域的な応援派遣の調整を行うなど、引き続き機動的に現場を支える体制を強化してまいります。

ワクチンについては、本年前半までに全ての国民の皆様に提供できる数量の確保を目指すとともに、昨年施行された予防接種法及び検疫法の改正法に基づき、円滑、迅速な接種を実施するための体制の整備等に取り組みます。

また、新型コロナウイルス感染症対策について確実な取組を推進するため、制度改正も見据えて議論を進めます。併せて、国際的な人的往来の段階的な再開に向けて、空港等における検疫体制を強化してまいります。

加えて、感染症の影響を踏まえた産業政策と、雇用政策が、車の両輪となり実施されることが必要です。昨年十二月にとりまとめた経済対策に基づき、雇用の維持・確保や、新たな分野への円滑な労働移動の支援、求職者向け支援の拡充等の雇用対策パッケージに取り組んでまいります。

今年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、人類がウイルスに打ち勝った証として開催するものです。日本国内の皆さんはもちろん、海外から集まるアスリートや観客にも安全・安心な大会を実現するため、関係省庁と連携し、万全を期してまいります。

 

(災害への対応等)

 近年、台風や記録的な大雨による甚大な被害が全国各地で発生しております。改めまして亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様にお見舞い申し上げます。被災された方々が一日も早く安全・安心な生活を取り戻せるよう、対策等を講じるとともに、相次ぐ自然災害から国民生活を守れるよう、「防災・減災・国土強靱化のための五か年加速化対策」として、重点的かつ集中的に医療・福祉・水道施設等の強靱化に取り組みます。

 また、本年は東日本大震災の発生から十年という節目となります。私自身も復興大臣であるとの強い意識の下、被災者の心のケア、医療・介護提供体制の整備、雇用対策などに全力で取り組みます。

 

(全世代型社会保障制度への改革)

全世代型社会保障検討会議において「全世代型社会保障改革の方針」が取りまとめられ、昨年末に閣議決定されました。

この方針に沿って、全世代対応型社会保障制度の構築のため、不妊治療の保険適用や待機児童の解消といった少子化対策、後期高齢者の医療費の窓口負担割合の見直し等の医療制度改革を進め、次期通常国会に関連法案の提出を目指します。

 

(地域医療体制の整備、地域包括ケアシステムの構築等)

医療分野では、今般の新型コロナウイルス感染症対応で得られた知見を踏まえつつ、人口構造の変容に伴う地域の医療ニーズの変化に対応した病床機能の分化・連携を目指す「地域医療構想」、医療現場における長時間労働の是正を目指す「医師の働き方改革」、医師の適切な配置により地域間、診療科間の医師偏在解消を目指す「医師偏在対策」を一体的に進めます。また、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を構築する観点から、次期通常国会に関連法案の提出を目指します。さらに、オンライン診療の在り方について、安全性と信頼性をベースに検討を進めていきます。

また、本年四月に予定されている介護・障害福祉サービス等の報酬改定による対応など、新型コロナウイルス感染症下においても、地域において継続的に介護・障害福祉サービス等が提供されるよう、しっかりと支援してまいります。

 

(子ども・子育て支援)

不妊治療への支援については、昨年末に策定した工程表に基づき、保険適用に向けた検討を進めます。また、保険適用の実現までの間の不妊治療に対する助成金の大幅な拡充や、不妊治療を受けやすい職場環境整備の推進等を行ってまいります。加えて、不育症患者や小児・AYA世代のがん患者等に対する支援を推進します。

待機児童解消について、昨年末に定めた「新子育て安心プラン」に基づき、保育の受け皿確保に取り組んでまいります。

また、全ての子どもたちが夢や希望を持てる社会を目指し、児童虐待防止対策や子どもの貧困対策に取り組みます。

 

(働き方改革の推進、多様な就労・社会参加の促進)

一億総活躍社会の実現に向けて、働き方改革関連法の円滑な施行等に努めるとともに、リカレント教育をはじめとした人材育成の強化、女性・若者・高齢者・障害者等の就労支援等に取り組んでまいります。

また、男性の育児休業取得促進のため、出生直後の休業の取得を促進する新たな枠組みの導入や、個別の労働者に対する休業制度の周知の措置を事業主に義務付けるなど、審議会での議論を踏まえ、次期通常国会に関連法案の提出を目指します。

併せて、最低賃金の全国的な引上げに取り組みます。

 

(難病対策等)

難病対策について、法施行後五年の検討規定に基づき、関係審議会において議論を進めるとともに、総合的な支援策を推進します。また、B型肝炎ウイルスに感染した方々への給付金の支給の請求の状況等を勘案し、当該給付金の請求期限を延長する等の措置を講ずるため、次期通常国会に関連法案の提出を目指します。

 

そのほか、社会経済の変化に対応しつつ、厚生労働省に対する要請に適時・的確に応えることができるよう、医薬品・医療機器施策、年金制度改革、社会福祉、援護施策等、山積する課題に果断に取り組んでまいります。

 

 おわりに、本年が、国民の皆様お一人おひとりにとって、実り多き素晴らしい一年となりますよう心よりお祈り申し上げ、年頭に当たっての私の挨拶といたします。

 

令和三年元旦

厚生労働大臣 田村 憲久

 

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本年もどうぞよろしくお願いいたします 『労働基準広報』編集部

2021 あけましておめでとうございます
昨年はたいへんお世話になり誠にありがとうございました
皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします
本年もどうぞよろしくお願いいたします

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『労働基準広報』編集部
(1月5日から令和3年の業務を開始いたしました。)

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