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2020年1月

2020年1月 8日 (水)

令和二年 年頭所感 渡辺由美子 子ども家庭局長

令和二年 年頭所感

 

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厚生労働省子ども家庭局長 渡辺 由美子

 

謹んで、新年の御祝辞を申し上げます。

皆様には、日頃より子ども・子育て支援の推進に御理解と御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。

 

さて、昨年四月時点の待機児童数は、一万六千七百七十二人と、調査開始以来最少の調査結果となりました。しかしながら、現在も保育所等に児童を預けられない方がいらっしゃる事実を真摯に受け止め、引き続き、各自治体における待機児童の特性に応じた、きめ細やかな支援を行ってまいります。あわせて、「子育て安心プラン」に基づき、二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受け皿整備に取り組みます。

また、保育人材の確保を更に進めてまいります。保育士の処遇改善については、二○一三年度以降、月額四万一千円、約十三パーセントの改善を実現しました。これに加えて、技能・経験に応じた月額最大四万円の改善も行っております。さらに、保育士資格の取得促進、就業継続のための環境づくり、離職者の再就職の促進について、引き続き、総合的に取り組んでまいります。

昨年十月から実施している幼児教育・保育の無償化については、関係省庁とも緊密に連携し、円滑な施行に努めるとともに、保育の質の確保・向上についても一層取り組んでまいります。

 

放課後児童対策については、子どもの小学校入学後に仕事を辞めざるを得なくなる「小1の壁」を打破するとともに、次代を担う人材を育成するため、「新・放課後子ども総合プラン」に基づき、二〇二三年度までに約三十万人分の更なる受け皿の整備や育成支援の内容の向上に取り組んでまいります。あわせて、放課後児童支援員の処遇改善等を通じた人材の確保と子どもへの質の高い支援を実現するための施策の充実を図ります。

 

子どもたちの健やかな成育を確保するため、昨年十二月に施行された成育基本法に基づき、成育医療等協議会を設置し、成育医療等基本方針の策定に向け、関係省庁と連携して検討を進めてまいります。

また、安心して妊娠、出産、子育てができる環境づくりに向けて、同法に基づき、妊娠期から子育て期まで切れ目ない支援を提供するため、二〇二〇年度末までに「子育て世代包括支援センター」の全国展開を進めるとともに、昨年十一月に成立した母子保健法の改正法を踏まえ、産後ケアの充実を図ります。また、若年妊婦等や多胎家庭、不妊治療への支援等にも取り組みます。

さらに、乳幼児健診等の健診情報の利活用について、骨太の方針二〇一九に基づき、二〇二〇年六月の運用開始に向けた取組みを推進してまいります。

 

児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数は年々増加し、昨年度は約十六万件となりました。子どもの命が失われる痛ましい事件も後を絶たず、児童虐待の現状は依然として深刻な状況が続いています。

児童虐待の防止については、子どもの命を守ることを最優先に、全力を尽くしてまいります。具体的には、昨年六月に成立した児童福祉法等の改正法や昨年三月に決定された「児童虐待防止対策の抜本的強化について」等に基づき、保護者等による体罰の禁止、児童福祉司等の増員や児童相談所の設置基準の策定などの児童相談所の体制強化・設置促進、転居時の情報提供やDV対策との連携といった関係機関の連携強化などに取り組みます。

 

虐待などの事情により、親元で暮らせない子どもたちも、温かい家庭的な環境で育まれるようにする必要があります。里親のなり手を増やすため、里親制度の広報啓発や里親家庭に対する相談・援助体制の充実に努めます。また、児童養護施設等の小規模・地域分散化や職員配置基準の強化などを推進してまいります。

 

子どもの貧困の問題に対しては、昨年十一月に閣議決定された「子供の貧困対策に関する大綱」等に基づき、全ての子どもたちが、置かれた環境に左右されることなく、夢や希望を持って健やかに育っていくことができる社会の構築を目指していく必要があります。今後、新たな大綱を踏まえ、支援が届きにくい家庭の早期発見や特に厳しい経済状況にあるひとり親家庭等の支援を含め、関係施策の一層の充実に向けてしっかりと取り組んでまいります。

 

なお、東日本大震災等により被災した子どもの心のケアについても、引き続き支援を実施してまいります。

 

本年が皆様にとりまして幸多き年となりますよう御祈念申し上げ、新年の御挨拶とさせていただきます。

    

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令和二年 年頭所感 宮嵜雅則健康局長

令和二年 年頭所感

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厚生労働省健康局長 宮嵜 雅則

 

新年を迎えるに当たり、謹んでご挨拶を申し上げます。

皆様方には日頃から健康行政に対して格段のご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。

 

健康局は、人生一〇〇年時代を見据え、健康寿命の延伸を図り、国民一人ひとりができるだけ長く、元気に暮らすことができるよう、健康づくり、疾病の予防や重層化予防、健康危機管理対応などを担っています。今年7月のオリンピック・パラリンピックの開催に伴う訪日外国人の増加や、生産年齢人口の減少が加速化する二〇四〇年を展望し、健康寿命の延伸を図ることで社会保障の担い手を確保していかなければならないことを考えると、当局は、個人の生活のみならず、社会保障制度の基盤づくりや国家プロジェクトへの対応においても重要な役割を担うこととなり、本年は、いっそう気を引き締め、健康行政の舵取りに当たっていかなければならないと考えています。

 

昨年は、台風十五号や台風十九号など、多くの災害が発生しました。災害時こそ保健衛生が重要です。災害発生時には、自治体との連携を強化し、住民の皆様の健康の保持を支援するため、災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)や保健師等の応援派遣の調整を迅速に実施するなど、地域における健康危機管理について万全の体制を期すよう取り組んでいきます。

 

感染症対策については、二〇一八年から、コンゴ民主共和国でエボラ出血熱の流行が続いており、世界保健機関(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」に該当すると宣言しています。感染症対策は国境を超えた、かつ、国内での徹底した対応が必要になります。引き続き、感染症に関する正しい知識や予防接種などの国民への普及啓発のほか、感染症発生時に迅速かつ適切な対応が取れるよう対策に万全を期していきます。

 

結核については、結核の高まん延国の出生者が日本滞在中に結核を発症する事例が増加していることを踏まえ、結核を発病していないことを確認する入国前の結核スクリーニングの運用開始に向けて、法務省、外務省など関係省庁と連携して取り組んでいきます。

 

風しんについては、二〇一八年十二月にとりまとめた追加的対策に基づき、抗体保有率が約八十%と他の世代に比べて低い、現在四十歳から五十七歳の世代の男性について、予防接種法に基づく定期接種の対象とし、二〇二二年三月まで全国で原則無料で抗体検査及び定期接種を実施しています。事業者健診の機会等を利用して抗体検査を受けられる環境を整えることや、対象者本人や周囲の方に啓発を図ることで、二〇二〇年七月までに、まずは当該世代の男性の抗体保有率を八十五%以上に引き上げることを目指します。

 

薬剤耐性(AMR)対策については、国民や医療従事者に対する普及啓発活動や医療従事者向けガイドラインの見直し等を通じて抗菌薬適正使用の取組強化を図るとともに、令和二年度診療報酬改定で小児外来診療における抗菌薬の適正使用を評価する対象年齢の拡大を検討しています。また、国際協力の観点から、今年二月には、世界保健機関西大西洋事務局(WPRO)との共催で第三回AMRワンヘルス東京会議の開催を予定しており、アジア諸国で一丸となってAMR対策を進めていきます。

 

東京オリンピック・パラリンピックに向けては、昨年八月にとりまとめられた「東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた感染症対策に関する推進計画」に基づき、海外における感染症の発生動向を踏まえた検疫体制を強化するとともに、国内で発生した感染症に関するサーベイランス機能の強化に引き続き関係省庁や世界の国々とも連携して取り組んでいきます。

 

予防接種施策については、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において、近年の諸課題を踏まえ、予防接種の一層の信頼性向上等に向け、引き続き総合的な検討を行っていきます。また、ロタウイルスワクチンについては、同分科会において定期接種に位置づけることとされたことから、本年十月からの円滑な施行に向け取り組んでいきます。

 

受動喫煙対策については、二○二○年の東京オリンピック・パラリンピック等を契機に、国民の健康増進を一層図るため、本年4月の改正健康増進法の全面施行に向けた準備や普及啓発の促進等を進め、望まない受動喫煙のない社会の実現を目指します。

 

生活習慣病対策については、「健康日本21(第二次)」の中間評価を踏まえ、最終年度である二〇二二年度までに目標が達成できるよう、健康無関心層を含めた疾病の発症予防や重症化予防に向けた取組をさらに推進していきます。上昨年5月に厚生労働省の「二〇四〇年を展望した社会保障・働き方改革本部」においてとりまとめた「健康寿命延伸プラン」に基づく取組も着実に進めていきます。次期健康づくり運動を見据えた国民健康・栄養調査の実施や、フレイル対策も視野に入れた新たな食事摂取基準を活用した取組、国民の健康を支える保健師や管理栄養士等の更なる育成にも取り組んでいきます。

また、二〇二〇年に開催予定の栄養サミットでは、我が国の栄養政策に関する経験や知見を国際社会と共有し、栄養に関する更なる国際貢献に取り組んでいきます。

さらに、PHRについては、国民・患者の保健医療情報として、まずは健康(健診)等情報について、本人自身が予防や健康づくりに活用するとともに、それを患者の同意のもとに医療・介護現場で役立てる仕組みの構築に向けて取り組んでいきます。

 

がん対策については、第3期のがん対策推進基本計画に基づき、がん検診の受診率向上、がんゲノム医療提供体制の強化等に取り組むとともに、同計画について、今年、中間評価を実施する予定です。また、企業及び医療機関とそれらをつなぐコーディネーターによるトライアングル型のサポート体制の構築など、がんになっても自分らしく生きることのできる地域共生社会の実現を目指します。

 

循環器病対策については、昨年十二月に施行された「循環器病対策基本法」に基づき、循環器病対策推進基本計画を定め、予防や発症直後からリハビリを経て社会に復帰するまでの幅広い対策を推進していきます。腎疾患対策については、昨年から開始した慢性腎臓病診療連携構築モデル事業等を活用し、腎疾患対策の都道府県における好事例の横展開等を推進していきます

 

アレルギー疾患対策については、アレルギー疾患対策基本指針を踏まえ、都道府県における拠点病院の整備を進め、地域の実情に応じた対策を推進します。リウマチ対策については、平成三十年十一月に取りまとめられたリウマチ等対策委員会報告書を踏まえ、一層の対策を進めていきます。

 

肝炎対策については、平成二十八年六月に改定した肝炎対策基本指針に基づき、肝硬変、肝がんへの移行者を減らすことを目標に、肝疾患治療に対する医療費助成や肝炎検査の体制整備、肝がん・重度肝硬変の治療研究と患者の支援などを総合的に推進していきます。

 

B型肝炎訴訟については、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法に基づき、和解手続が適正かつ迅速に進むよう、引き続き取り組んでいきます。

 

難病・小児慢性特定疾病対策については、昨年五月から、法施行後五年の検討規定に基づき、関係審議会において、医療費助成にとどまらず、医療提供体制の整備や治療方法の開発に向けた疾病の調査・研究、就労支援の充実、小児慢性特定疾病児童等に対する自立支援など幅広い事項について検討を進めており、その結果を踏まえ、必要な対策を講じてまいります。

 

 

原爆被爆者対策については、原爆投下から75年を迎える中で、原爆症の認定について引き続き迅速な審査に努めるなど、原爆被爆者の方々への支援を進めていきます。

 

臓器移植対策については、臓器提供施設間の連携構築などの体制整備に取り組むとともに、臓器提供に関する意思表示を促すための普及啓発を進めてまいります。造血幹細胞移植対策については、患者の疾病の種類や病状に応じ適切な移植術を選択し、実施できる医療体制を整備することにより治療成績の向上を図るとともに、移植後の患者の長期フォローアップ体制を充実させるための施策を推進していきます。

 

最後に、ハンセン病対策については、安倍総理の熊本地裁判決を受け入れる決断を契機に、原告団や弁護団の皆様との協議や、議員懇談会のご尽力の下、先の臨時国会で関連法が成立しました。厚生労働省としても、かつて採られた施設入所政策の下で、ハンセン病の元患者のみならず、ご家族の皆様も、偏見と差別の中で、長年にわたり多大の苦痛と苦難を強いられてきたという事実を深刻に受け止め、関連法に則り、昨年十一月に施行されたハンセン病元患者のご家族への補償制度の着実な実施に万全を期してまいります。あわせて、ハンセン病元患者の方々の社会復帰の支援や、元患者とそのご家族の名誉の回復、家族関係の回復の支援及び偏見・差別の解消などに全力で取り組みます。

 

国民一人ひとりが健康で質の高い生活を安心して送り、それぞれの能力を発揮できる社会の実現に向け、これらの課題のすべてに真摯に取り組むことをお誓い申し上げ、私の新年の挨拶とさせていただきます。

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令和二年 年頭所感 高橋俊之年金局長

新年を迎えて(年頭御挨拶)

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厚生労働省年金局長 高橋 俊之 

 

令和二年の新春を迎えるに当たり、謹んでお慶び申し上げます。

また、日頃からの年金制度・事業運営へのご理解とご協力に、厚く御礼を申し上げます。

近年は、働き方の多様化、平均余命の伸長による高齢期の長期化が進んでおり、現役世代の人口が減少する一方で、高齢者や女性の就業率が上昇し、これまでよりも長く多様な形で人々が就労する社会となっています。こうした時代の変化を年金制度に反映し、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図ることができるよう、制度の見直しを行っていくことが必要です。

公的年金については、昨年八月に発表した財政検証結果では、現行制度でも、経済成長と労働参加が進むケースでは、引き続き所得代替率五十パーセント以上を確保できることが確認されました。また、財政検証で実施したオプション試算では、被用者保険の適用拡大等が、更に年金水準を充実させることが明らかとなりました。

これを踏まえ、①多様な就労を年金制度に反映する短時間労働者等への被用者保険の適用拡大、②就労期間の延伸による年金の確保・充実のための在職老齢年金制度の見直しや、在職定時改定の導入、年金受給開始時期の選択肢の拡大、③その他の制度改正・業務運営改善事項について、社会保障審議会の年金部会において、議論を行うとともに、与党の年金委員会等でご議論をいただきました。本年は、その議論の結果等を踏まえ、年金制度改正法案を、令和二年通常国会へ提出してまいります。

こうした制度改正には、国民の皆様のご理解とご納得が不可欠です。年金制度の役割や意義、制度改正案の内容や必要性について、分かりやすい説明に努めます。また、国民の皆様がご自身の年金をご理解していただくことができるよう、分かりやすい通知類やホームページの改善等、年金広報の充実に取り組んでまいります。

老後の生活についての国民の皆様の希望やニーズは多様であり、公的年金が老後生活の基本を支えるとともに、それぞれのご希望やニーズに対応する私的年金の普及、促進が重要です。企業年金・個人年金については、確定拠出年金の加入可能要件の見直しや、受給開始時期の選択肢の拡大、中小企業向け制度の対象範囲の拡大、手続の改善等について、社会保障審議会の企業年金・個人年金部会において、議論を行ってまいりました。また、与党のご議論を経て、税制上の措置の要望が認められました。これらを踏まえ、公的年金とともに、制度改正法案を、今通常国会に提出してまいります。

年金積立金の運用については、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うこととされており、二〇〇一(平成十三)年度の自主運用開始以来、昨年九月末までに、累積で六七・九兆円の運用収益を確保しております。今年四月から開始するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の次期中期目標・中期計画に則り、引き続きGPIFの業務が適切に運用されるよう、取り組んでまいります。

年金事業の運営については、厚生労働省と日本年金機構の一体的な連携の下、昨年三月に策定した第三期中期目標・中期計画に基づき、国民年金保険料の収納対策、厚生年金保険の適用促進、お客様へのわかりやすい情報提供、迅速で正確な事務処理、効率的効果的な業務運営(ビジネスプロセス改革)、情報システムの改善等に着実に取り組んでまいります。また、年金生活者支援給付金制度については、昨年十月に施行されたところであり、引き続き着実な実施に努めてまいります。

社会保障協定については、昨年七月にスロバキア、九月に中国との協定が発効し、これまでに協定が発効した国の数は二十カ国となりました。また、昨年四月にはスウェーデン、九月にはフィンランドとの協定が署名されましたが、同協定の早期発効を目指し、引き続き両国政府とも協力しつつ作業を進めていきます。さらに、現在交渉や協議を行っている三カ国を含め、今後とも、協定締結国の一層の拡大に向けて取り組んでまいります。

年金制度には、取り組むべき多くの課題がありますが、長期的な視野に立って全力で取り組んでいく所存です。結びに、本年が皆様方にとって実りある年となることを祈念いたしまして、御挨拶といたします。

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令和二年 年頭所感 定塚由美子人材開発統括官

年頭所感

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厚生労働省人材開発統括官 定塚 由美子

 

 

 謹んで新春の御挨拶を申し上げます。

 令和二年の年頭に当たり、日頃からの人材開発行政への多大なる御理解と御協力に御礼を申し上げますとともに、所信の一端を述べさせていただきます。

 

 少子高齢化が進展し、人生百年時代を迎える中、第4次産業革命による技術革新に対応しつつ、全ての方がその能力を存分に発揮できる社会を実現することが重要です。

 このためには、個々人の主体的なキャリア形成をすすめるとともに、生産性の向上を図っていくことが不可欠であり、幾つになっても、誰にでも学び直しと新しいチャレンジの機会を確保するリカレント教育の充実や、高齢期を見据えたキャリア形成支援等を推進していく必要があります。

 また、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行ったいわゆる就職氷河期世代の方々への支援は、我が国の将来に関わる、社会を挙げて取り組むべきまったなしの課題であり、不本意ながら不安定な仕事に就いている方、長期間無業の状態にある方、また、社会参加に向けた支援を必要とする方など、個々の様々な状況に応じたきめ細かな支援を行い、働くことや社会参加を支援していく必要があります。

 本年も、このような重要課題を踏まえ、人材開発行政に寄せられている期待を受け止め、働く方々をとりまく社会・経済情勢の変化に対応し、様々な方々がその能力を十分に発揮できるよう、人材開発政策を推進してまいります。

 

 まず、公的職業訓練については、地域、産業等のニーズに応じた多様な訓練機会を提供するため、都道府県労働局、都道府県、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構、民間教育訓練機関の連携を更に強化し、効果的に実施してまいります。特に、人手不足が顕著な中小企業等に対し、労働者への職業訓練を通じた生産性向上のための支援を引き続き実施してまいります。

 また、障害者職業能力開発校等における職業訓練の着実な実施を通じて、障害者の職業能力の向上にも取り組んでまいります。

 更に、民間教育訓練機関における職業訓練の質の向上を図るため、引き続き、職業訓練サービスガイドラインの普及に努めるとともに、「職業訓練サービスガイドライン適合事業所認定」制度の一層の活用促進を図ってまいります。

 こうした多様な公的職業訓練については、より多くの方々にその存在、機能をご理解いただき、ご活用いただけるよう、愛称(ハロートレーニング)・キャッチフレーズやロゴマークも活用して積極的な広報に努めており、人材開発施策のさらなる活用促進を図ってまいります。

 

 次に、若者の安定した雇用を確保する視点から、「学卒者全員正社員就職」実現に向け、大学等との連携による支援対象者の確実な把握、新卒応援ハローワークへの誘導、特別支援チームの活用等による就職実現までの一貫した支援を図ってまいります。

 また、若年無業者等への支援については、「地域若者サポートステーション」を拠点に、地方公共団体と協働した専門的な相談等の支援の充実を図るとともに、就職氷河期世代等の無業者の支援のため、対象年齢を四十九歳まで拡大するとともに把握・働きかけのための福祉機関等へのアウトリーチ展開等に着手してまいります。

 

 そして、労働者のキャリア形成支援等については、生涯を通じたキャリア・プランニング及び職業能力証明のツールであるジョブ・カードを活用して、高齢期も見据えた労働者のキャリアプラン再設計や企業内のキャリアコンサルティング導入等を支援する拠点(キャリアサポートセンター(仮称))の整備、昨年度拡充した専門実践教育訓練、今年度新たに指定基準を設けた特定一般教育訓練をさらなる広報の実施等により活用を促進し、一層効果的に推進してまいります。

 

 人材開発に取り組む事業主等の支援については、その雇用する労働者の職業能力の向上や企業の労働生産性の向上に資する職業訓練を積極的に実施する事業主等に対し、人材開発支援助成金によって訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を支援することにより、企業内における人材育成の推進を引き続き図ってまいります。

 

 職業能力評価については、技能検定について職種の統廃合を進めつつ、サービス系等の職種について、業界団体等による検定制度の構築を進めてまいります。

 また、職業能力評価基準を活用し、ホワイトカラー職種に求められる能力情報等を調査・研究する事業を開始しており、その結果を踏まえて、職業能力診断を支援するツールの開発に向けた検討を進めてまいります。

 さらに、若者の技能の向上及び技能尊重気運の醸成を図るため、技能五輪全国大会、国際大会の参加者の裾野を広げ、選手強化の取組を進めてまいります。

 

 人材開発分野における国際協力として、開発途上地域等への技能等の移転を目的とする技能実習制度については、悪質な送出機関の排除等に取り組むとともに、外国人技能実習機構等の実地検査能力の強化等により、運用の適正化に努めていくほか、ASEANの開発途上国を中心に日本の技能検定や職業訓練の移転の協力に取り組んでまいります。

 

 これらの取組を含め、人材開発行政に対する皆様の御理解と御協力をお願い申し上げるとともに、皆様の御多幸を祈念いたしまして、私の新年のご挨拶といたします。

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令和二年 年頭所感 藤澤勝博雇用環境・均等局長

令和二年 年頭所感

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            厚生労働省雇用環境・均等局長

藤澤勝博

 

 新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 皆様には、日頃から雇用環境・均等行政の推進に御理解と御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。

 昨年は、女性活躍推進法等の一部改正法が成立し、その施行に向けた準備を進めたほか、同一労働同一賃金の施行に向けた周知啓発に取り組むなど、労働者がより活躍できる職場環境の実現に尽力した一年でした。

 新たな元号で初めて新春を迎えるに当たり、これらを受けて、更なる発展過程にある雇用環境・均等行政を一層充実させる年にするべく、職員一丸となって取り組んでまいります。

 

 具体的には、働き方の多様化がますます進んでいる状況の中で、女性活躍の推進や職場におけるハラスメントの防止、同一労働同一賃金の実現、育児休業の取得促進といった仕事と生活の両立支援、雇用類似の働き方の検討、勤労者の福利厚生の充実など、いずれも重要かつ差し迫った課題であると考えています。雇用環境・均等局においては、今年も、これらの課題や施策の実現に総力を挙げて取り組んでまいります。

 

 急速な少子高齢化の進展や社会経済情勢の変化に対応していくためには、女性をはじめとする多様な労働者がその能力を十分に発揮して活躍できる就業環境を整備することが重要です。こうした観点から、昨年五月末に、女性の活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律が成立しました。改正法では、女性活躍に関する一般事業主行動計画の策定や情報公表義務の対象企業の拡大、情報公表の強化、プラチナえるぼし認定の創設等を行うとともに、社内方針の明確化と周知啓発、相談体制の整備等といった、パワーハラスメント防止のための事業主の雇用管理上の措置義務の新設やセクシュアルハラスメント等の防止対策の強化といった内容を定めております。来年度からの施行が円滑に進むよう、取組を進める事業主に対する必要な支援を行っていきたいと考えています。

 

 働き方改革における大きな柱の一つが、同一労働同一賃金の実現です。同一企業内でのいわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を解消し、どのような雇用形態を選択しても納得感をもって活躍できる社会を目指します。本年四月(大企業と派遣労働。中小企業は令和三年四月)からの施行に向けて、特に中小企業・小規模事業者の方に改正内容を十分理解していただく必要があります。関連省令、指針等の周知とともに、全都道府県に設置している働き方改革推進支援センターによる相談援助、業種別の同一労働同一賃金導入マニュアルや業種横断的な取組手順書、キャリアアップ助成金などによる支援にしっかりと取り組んでまいります。

 

 さらに、男性が積極的に育児を行うことは、女性の活躍推進や子育て環境の充実の観点から重要です。そのため、男性の育児休業取得を推進するために、イクメンプロジェクトの実施や両立支援に取り組む企業への助成金を支給するとともに、男性の育児休業取得を一層強力に推進するための対応策について検討を進めてまいります。

 また、子の看護休暇制度及び介護休暇制度の一時間単位での取得を可能とする法令改正を昨年末に行ったところであり、令和三年一月一日からの円滑な施行に向けて、改正内容の周知に取り組んでまいります。

 

 併せて、中小企業等における働き方改革を定着させるためには、短納期発注など長時間労働につながる商慣行の見直しを進めなければなりません。このため、昨年六月に策定された「大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への『しわ寄せ』防止のための総合対策」(しわ寄せ防止総合対策)に基づき、労使団体への要請やセミナーの実施等を通じ、中小企業が働き方改革を進められる環境整備に取り組んでまいります。

 

 また、「働き方改革実行計画」では、いわゆるフリーランスの方など、雇用類似の働き方に関する保護等の在り方について中長期的に検討することとされています。二〇一八年十月に立ち上げた検討会において、その法的保護の必要性を含めて、引き続き、特に優先すべき検討課題を中心に、検討を進めてまいります。

 

 勤労者生活の向上に関しては、中小企業退職金共済制度の安定的運営、勤労者財産形成促進制度の利用促進に取り組むなど、勤労者の福利厚生の充実を図ります。また、労働金庫の適正な運営のため、引き続き、指導・監督を行ってまいります。

 

 このように、雇用環境・均等局は、社会の関心の高い多くの課題を担っておりますが、本年も労使をはじめとする国民の皆様の期待に応えられるよう全力で取り組んでまいります。本年が皆様にとりまして幸多き年となりますよう御祈念申し上げ、新年の御挨拶とさせていただきます。

    

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令和二年 年頭所感 村山誠安全衛生部長 

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厚生労働省労働基準局安全衛生部長 村山 誠

 

新年を迎え、心からお慶び申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。令和二年の年頭に当たり、改めて日頃の労働安全衛生行政への御理解と御協力に感謝申し上げます。

 

はじめに、労働災害防止に向けた基本的な考え方について申し上げます。

我が国の人口は、減少に転じておりますが、出生率の低下を背景に、いわゆる団塊ジュニア世代が六十五歳以上となる二千四十年頃に向けて、十五歳から六十四歳層の人口の減少が加速すると見込まれています。こうした人口構造の変化の中で、働く人一人ひとりが心身ともに健康を保ちながら、意欲や能力を一層発揮できる環境づくりが重要な課題となることから、労働災害の防止に向けた取組が一層強く求められております。

近年の労働災害による死亡者数は、長期的に減少しているものの、労働災害による休業四日以上の死傷者数は、六十歳以上の労働者数の増加やサービス産業化の進展などの就業構造の変化等により、むしろ増加傾向にあります。このため、具体的に以下の施策を中心に、労働災害防止対策に全力で取り組んでまいります。

 

まず、働く人の安全確保対策について申し上げます。

「経済財政運営と改革の基本方針2019」において、「サービス産業で増加している高齢者の労働災害を防止するための取組を推進する」とされたことなどを受け、有識者会議の御提言も踏まえつつ、事業者が講ずべき措置を盛り込んだガイドラインの作成・周知や、高年齢者の労働災害防止に取り組む中小企業に対する新たな支援を図ってまいります。

また、外国人労働者の受入れが進み、外国人労働者の労働災害が増加傾向にある中で、日本語に不慣れな外国人労働者に対する安全衛生教育の重要性が増していることから、雇入れ時などに活用できる視聴覚教材を作成し、その普及等に努めてまいります。

 

次に、働く人の健康確保対策について申し上げます。

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」に盛り込まれ、昨年四月に施行された産業医・産業保健機能の強化や長時間労働者に対する面接指導の強化について、各事業場で適切に実施されるよう、履行確保を図ってまいります。

また、職場におけるメンタルヘルス対策を推進するため、ストレスチェックの実施の徹底、集団分析の結果を活用した職場環境改善の取組の促進、ストレスチェックの実施率が低調な労働者数五十人未満の事業場に対する支援を図ってまいります。

さらに、「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」の周知や両立支援コーディネーターの育成・配置等を進めることにより、企業・医療機関の患者に対する支援ノウハウの強化を図るとともに、地域両立支援推進チームの取組等を通じて、がんや難病等と仕事との両立に向けた地域における相談支援体制の構築等を進めてまいります。

 

加えて、化学物質をめぐる対策として、石綿使用建築物の解体工事の増加が見込まれるとともに、石綿含有の事前調査が不十分な事案が見られることなどから、事業者による石綿のばく露防止対策等が徹底されるよう、その周知・指導等を図るとともに、環境省における大気汚染防止に向けた法規制の強化と歩調を合わせて石綿障害予防規則の見直しを進めてまいります。

また、化学物質管理をめぐる国際的な動向、災害発生状況等を踏まえ、化学物質対策の在り方の見直しに向けた検討も進めてまいります。

 

こうした施策を中心に、労働災害防止団体や労使団体をはじめ関係団体の方々と連携し、働く人の日々の仕事が安全で健康的なものとなり、働く人にとって、より良い将来の展望を持ち得るような社会づくりを進めてまいる所存です。今後とも、労働安全衛生行政への一層の御理解と御協力を賜りますよう、お願い申し上げまして、新年の挨拶とさせていただきます。

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令和二年 年頭所感 小林洋司職業安定局長

 

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         厚生労働省職業安定局長 小林 洋司  

 

 新年を迎え、謹んでお慶び申し上げるとともに、職業安定行政へのご理解とご協力に感謝申し上げます。

 

 少子高齢化や人口減少が進む我が国において、経済社会の活力を維持し向上していくために、すべての方々がその特性や強みを活かし活躍できることが必要となっています。職業安定行政におきましては、働く意欲のある高齢者、女性、障害のある方、就職氷河期世代、外国人、派遣労働者など、様々な特性や働き方をする方の誰もが、その能力を十分に発揮できるよう、就業機会の確保、多様化する就業ニーズに対応したセーフティーネットの整備などを通じて、引き続き、多様な人材の活躍促進に全力で取り組んでまいります。

 このため、労働政策審議会において、七十歳までの就業確保措置を企業の努力義務とすること、中途採用による雇入れ状況の公表を大企業の義務とすること、雇用保険の保険料率等の時限的な引下げの継続、六十五歳以上の複数就業者について雇用保険を適用すること等について議論し、昨年中に取りまとめを行いました。これらについて、次期通常国会への改正法案の提出を目指します。

 

 我が国の雇用情勢は改善が進む中、求人が求職を大幅に上回って推移しており、特に中小・小規模企業において人手不足が深刻化しています。こういった中で、引き続き女性・高齢者などの多様な人材の活躍促進を図るとともに、ハローワークによるマッチング支援、事業主等が雇用管理改善や生産性向上の取組を行った場合の支援等を実施して参ります。

 ハローワークによるマッチング支援については、支援サービスへのアクセスのしやすさを向上させ、利用者層を広げるとともに、利用者本位のサービス提供が可能となる環境整備に取り組みます。具体的には、求職・求人申込み手続きや求人検索などの機能を強化し、1月6日から運用を開始いたします。今回の機能強化に留まらず、引き続きハローワークのサービス向上に取り組んで参ります。

 また、地域へ目を向けると、日本の各地域がそれぞれ持つ特色、魅力を活かして元気な地域を作りあげていくことが重要であります。そのため、産業政策と一体となって良質で安定的な正社員雇用の確保に取り組む都道府県への支援や、雇用機会が不足している地域や過疎化が進んでいる地域等の創意工夫を活かした雇用や人材の維持・確保の取組への支援等を引き続き、実施して参ります。

 

 多様な人材が活躍できる社会の実現に向けて、障害者雇用については、昨年成立した改正障害者雇用促進法のうち、公務部門における障害者活躍推進計画の作成・公表義務、障害者雇用に関する取組が優良な中小事業主に対する認定制度等が、4月1日から施行されます。一昨年の国の行政機関における障害者雇用に係る事案を重く受け止めつつ、新制度の円滑かつ適切な施行により、引き続き、障害者が希望や能力に応じて活躍できる社会の実現に向けて取り組んで参ります。

 

 雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った就職氷河期世代の方々をさらに支援するため、ハローワークに専門窓口を設置し、担当者によるチーム支援を実施することや、民間事業者のノウハウを活かした不安定就労者の就職支援、就職氷河期世代に特化した求人の開拓、マッチング、助成金の活用促進等について取り組んで参ります。

 

 外国人雇用については、今後、特定技能制度による受入れが本格化し、我が国で就労する外国人労働者がさらに増加することが見込まれている中、ハローワークによる外国人労働者の適正な雇用管理の確保に取り組むこと等により、その能力を有効に発揮できる環境を整備し、職場定着を推進して参ります。

 

 派遣労働者については、いわゆる同一労働同一賃金の制度が4月1日から施行されます。引き続き、派遣元事業主及び派遣先に対して、説明会等を通じて制度の趣旨等を丁寧に周知するなど、適切な派遣労働者の待遇が確保されるよう取り組んで参ります。

 

 全ての方々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を推進し、深刻な人手不足に対応するため、職業安定局としても全力で取り組んで参りますので、皆様方には、一層のご指導、ご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

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2020年1月 3日 (金)

令和二年 年頭所感 坂口卓労働基準局長

 

令和二年労働基準局長年頭所感

 

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厚生労働省労働基準局長 坂口 卓 

 

 あけましておめでとうございます。

 新年を迎え、心からお慶び申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。

 令和二年の年頭に当たり、改めて日頃の労働基準行政への御理解と御協力に感謝申し上げますとともに、今後の労働基準行政の展開について述べさせていただきます。

 労働基準行政の主な役割は、労働時間や賃金など労働条件の確保、労働者の健康と安全の確保、労災保険の適正かつ迅速な給付、労使関係の調整でございます。

 本年も、働く方々が安心して安全に働くことができるよう、次の施策を中心に取り組んでまいります。

 

 第一に、働き方改革についてです。

 働き方改革は、一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジとして位置づけられておりますが、平成三十年、第百九十六回国会において、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律が成立しました。年次有給休暇の年五日の確実な取得や、大企業における時間外労働の上限規制等については、昨年四月から施行されており、中小企業における時間外労働の上限規制については、本年四月から施行されることとなっております。法律の内容について、大企業はもとより全国各地の中小企業まで浸透するよう、四十七都道府県に設置した「働き方改革推進支援センター」の活用や、経済界と協力した説明会の開催など、丁寧かつ集中的な周知を行い、円滑な施行に取り組んでまいります。

 

 第二に、長時間労働の是正についてです。

 長時間労働の是正については、これまで、残業が月八十時間を超えていると考えられるすべての事業場や長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場に対する監督指導を実施してまいりました。本年も、引き続き、これら事業場に対する監督指導を徹底することとしております。また、本年四月より、中小企業に対しても時間外労働の上限規制に係る規定が適用されることから、きめ細やかな対応に努めてまいります。

 

 第三に、・賃金の引上げについてです。

 経済の好循環を実現するためには、最低賃金を含めた賃金の引上げが重要であり、最低賃金については、昨年、全国加重平均で二十七円引上げの九百一円となり、昭和五十三年度に目安制度が始まって以降で最大の引上げ幅となりました。

今後も、昨年の骨太の方針にも記載されたとおり、中小企業・小規模事業者が賃上げしやすい環境を整備することなどとあいまって、地域間格差にも配慮しながら、最低賃金が「より早期に」全国加重平均千円となることを目指してまいります。そのために、今年も中央・地方の最低賃金審議会での真摯な議論を促すとともに、賃金引上げに向けた助成措置や専門家による相談支援など、中小企業・小規模事業者の賃金引上げの環境整備に向けて、しっかりと取り組んでまいります。

 

 第四に、労働安全衛生対策についてです。

労働災害による死亡者数は、長期的に減少しているものの、労働災害による休業四日以上の死傷者数は、六十歳以上の労働者数の増加やサービス産業化の進展などの就業構造の変化等により、増加傾向にあります。

 このため、サービス産業で増加している高齢者の労働災害を防止するための取組の推進、産業医・産業保健機能の強化やメンタルヘルス対策の推進を図ることなどにより、労働災害防止対策に取り組むとともに、疾病を抱える方が治療を受けながら安心して働き続けることができるよう、治療と仕事の両立支援を進めてまいります。

 

 以上の施策を中心に職員一同、全力を挙げて取り組んでまいりますので、今後とも、一層の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。

 

 

 

 

 

 

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令和二年 年頭所感 鈴木俊彦厚生労働事務次官

年頭所感

 

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(はじめに)

新年を迎え、謹んで年頭の御祝辞を申し上げます。

年の初めに当たり、改めて皆様の日頃からの厚生労働行政への御理解と御協力に感謝申し上げますとともに、今後の厚生労働行政の展開につきまして述べさせていただきます。

 

(全世代型社会保障への改革)

昨年十月の消費税の引上げ及びそれに伴う社会保障の充実によって、二〇二五年を念頭に進められてきた社会保障・税一体改革が一区切りとなりました。今後は、二〇二五年、さらには、団塊ジュニア世代が高齢者となる二〇四〇年頃を見据え、全ての世代が安心できる社会保障の実現に向けて取り組んでまいります。

昨年九月に、安倍総理を議長とする「全世代型社会保障検討会議」が設置され、年末には中間報告をとりまとめました。まずは、この中間報告を基に、次期通常国会に高齢者雇用や年金の関連法案の提出を目指すとともに、医療についても、関係審議会での議論を本格化し、今夏の最終報告に向け、検討を進めてまいります。

 

(多様な就労・社会参加の促進、健康寿命延伸、医療・福祉サービス改革)

少子高齢化が進む中で、多様化する就業ニーズに対応したセーフティネットの整備、高齢者の就業機会の確保等を図ることが重要です。このため、七十歳までの就業機会の確保、中途採用比率の公表義務化、雇用保険制度の見直し等について、次期通常国会に改正法案の提出を目指します。また、高齢者が安心して安全に働けるよう、増加する転倒災害の防止等の労働安全衛生対策にも取り組みます。

いわゆる就職氷河期世代の方々に対しては、一人ひとりの状況に応じた支援を行うことにより、同世代の正規雇用者を三年間で三十万人増やすことをはじめ、働くことや社会参加を支援します。

健康寿命の延伸を図るため、ナッジ理論などの行動経済学の知見も活用し、予防・健康づくりを推進します。

また、生産年齢人口が減少する中で、医療・福祉分野においても、専門人材が能力を最大限発揮することができるよう、研修制度の推進にも取り組みつつ、役割分担の見直しや効率的な配置の推進、AI・ロボット・ICT等のテクノロジーの徹底活用や組織マネジメント改革等を進めます。

あわせて、ゲノム医療・AI等の最先端技術の活用など、データヘルス改革を推進します。特に、昨年成立した健康保険法等改正法に基づき、医療保険のオンライン資格確認の導入、医療と介護のレセプト情報等のデータベースの連結などの円滑な施行を進めていきます。さらに、本年四月に予定されている診療報酬改定に向けて、昨年末に決定した改定率や改定の基本方針を踏まえて、中央社会保険医療協議会で議論を進めていきます。

 

(年金制度改革)

年金制度については、老後生活の基本を支える公的年金の安定的運営と充実に努めるとともに、老後生活の多様なニーズに対応する私的年金の普及・促進を図ってきましたが、高齢期でも働く意欲が高い方が増えるなど、社会・経済の変化に対応した制度を構築する必要があります。昨年の財政検証結果を踏まえ、被用者保険の適用拡大、在職老齢年金制度の見直し、年金受給開始時期の選択肢の拡大等を図るとともに、確定拠出年金の加入可能要件を見直すなど、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るための改正法案の提出を目指します。

年金事業運営については、日本年金機構の第三期中期目標・中期計画に基づき、国民年金保険料の収納対策、厚生年金保険の適用促進など、事務の適切な実施に引き続き努めるとともに、年金生活者支援給付金制度を着実に実施します。

 

(地域共生社会の実現に向けた社会福祉制度・介護保険制度改革)

人口減少、地域社会の変容が進む中で、地域社会とのつながりを失い孤立するケースや、一つの家庭の中で複合的な生活課題を抱えるケースが生じています。こうしたケースに対応するため、「断らない相談支援」、「参加支援」、「地域づくりに向けた支援」の三つの支援を内容とする包括的な支援体制の構築を推進し、地域共生社会の実現に向けて取り組みます。

社会福祉法人については、社会福祉法人を中核とする非営利連携法人制度の創設等、希望する法人が円滑に連携・協働化に取り組めるような環境整備を進めます。

介護保険制度については、地域包括ケアシステムを推進するとともに、介護保険制度を基盤とした地域共生社会を実現するため、介護予防・地域づくりと認知症施策の推進や、地域特性等に応じた介護基盤整備、生産性向上等に取り組みます。

こうした取組を推進するため、次期通常国会に関連法案の提出を目指します。

さらに、介護の受け皿を五十万人分増やすとともに、介護職員の処遇改善、アクティブシニア等の介護就労への参入促進、介護という仕事の魅力発信などの総合的な人材確保対策や、仕事と介護の両立が可能な働き方の普及に取り組み、「介護離職ゼロ」を目指します。

 

(地域医療体制の整備等)

医療分野では、二〇二五年の地域のニーズをしっかりと把握し、地域における病床機能の最適化を目指す「地域医療構想」、医療現場で常態化している長時間労働を是正する「医師の働き方改革」、医師の最適な配置により地域間、診療科間の医師偏在解消を目指す「医師偏在対策」を一体的に進めます。

医薬品・医療機器産業については、革新的な医薬品等の開発を促進する環境の整備に取り組むとともに、後発医薬品の使用促進やベンチャー企業への支援を実施します。また、「先駆け審査指定制度」や「条件付き早期承認制度」の法制化、薬剤師による継続的服薬指導の義務化、患者自身が自分に適した薬局を選択しやすくするための薬局の認定制度導入等、医薬品医療機器等改正法の円滑な施行に向け、準備に万全を期してまいります。

 

(働き方改革の推進)

一億総活躍社会の実現に向けて、二〇一八年六月に成立した働き方改革関連法の円滑な施行に努めます。特に、本年四月からは、大企業において同一労働同一賃金に関するルールが、中小企業において時間外労働の上限規制が施行されます。このため、制度改正に関する丁寧な周知に加え、生産性向上に取り組む中小企業に対する支援等を行います。なお、長時間労働が疑われる事業場については、監督指導の徹底等をします。

経済の好循環を実現するためには、賃金の引上げが重要です。最低賃金については、昨年、全国加重平均で二十七円引き上げて九百一円となり、昭和五十三年度に目安制度が始まって以降で最大の引上げ幅となりました。また、最低賃金の格差について、十六年ぶりに改善しました。今後も、中小企業・小規模事業者が賃上げしやすい環境を整備するとともに、地域間格差にも配慮しながら、最低賃金がより早期に全国加重平均千円となることを目指します。

また、全ての方がその能力を存分に発揮できる社会や個々人の主体的なキャリア形成が可能となる社会を実現するため、リカレント教育をはじめとした人材育成の強化、女性・若者・高齢者・障害者等の就労支援、ハラスメント対策の推進、柔軟な働き方がしやすい環境整備の推進、雇用類似の働き方の検討等に取り組みます。

我が国で就労する外国人労働者が増加する中で、その能力を有効に発揮できる環境を整備するとともに、技能実習制度については、運用の適正化に努めます。

 

(子ども・子育て支援、児童虐待防止)

待機児童の解消に向けて、「子育て安心プラン」に基づき、二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受け皿を整備し、保育人材の確保等を行うとともに、市町村の特性に応じた支援の重点化・強化を行います。

放課後児童対策についても、待機児童の解消に向けて、「新・放課後子ども総合プラン」に基づき、二〇二三年度末までに約三十万人分の受け皿を整備します。

幼児教育・保育の無償化について、関係省庁とも緊密に連携し、円滑な実施に努めるとともに、保育の質の確保・向上についても一層取り組みます。

子どもたちの健やかな成育を確保するため、成育基本法に基づく基本方針の策定に向けた検討を進めるとともに、妊娠期から子育て期まで切れ目なく支援するため、子育て世代包括支援センターの全国展開を進めます。また、昨年成立した母子保健法改正法を踏まえた産後ケアの充実や、不妊治療への支援等にも取り組みます。

児童虐待の防止については、子どもの命を守ることを最優先に、全力を尽くします。具体的には、昨年成立した児童福祉法等改正法や、昨年三月に関係閣僚会議で決定された「児童虐待防止対策の抜本的強化について」等に基づく取り組みを着実に進めます。

虐待などの事情により、親元で暮らせない子どもたちも、温かい家庭的な環境で育まれるよう、里親制度の広報啓発や里親家庭に対する相談・援助体制の充実に努めます。また、児童養護施設等の小規模・地域分散化や職員配置基準の強化などを推進します。

子どもの貧困対策については、「子供の貧困対策に関する大綱」等に基づき、関係施策の一層の充実に向けてしっかりと取り組みます。

 

(受動喫煙対策、がん対策、感染症対策等)

受動喫煙対策については、本年四月の改正健康増進法の全面施行が円滑に行われるよう、国民や事業者への周知啓発、設備の整備に対する支援等に取り組みます。

がん対策については、「第三期がん対策推進基本計画」に基づき、がんゲノム医療の体制整備、治療と仕事の両立支援等を推進します。また、循環器病対策基本法に基づき、循環器病対策推進基本計画の策定に向けて議論を進めます。さらに、難病対策についても、法施行後五年の検討規定に基づき、関係審議会における議論の結果を踏まえ、必要な対策を講じます。

感染症対策については、風しんの抗体検査及び予防接種を着実に実施するため、企業への働きかけや国民の皆様に向けた広報の強化に取り組みます。

国際保健の分野においても、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進のほか、薬剤耐性菌を含む感染症対策等のグローバルな課題に的確に対応します。

二〇二〇年は、世界保健機関において、「看護師と助産師の年」と制定されたことから、「Nursing Now」キャンペーンとして関係団体と連携しながら周知活動に取り組みます。

また、改正食品衛生法に基づき、広域的な食中毒事案への対策強化等に引き続き取り組みます。

昨年十月に施行された改正水道法に基づき、広域連携、水道事業者の適切な資産管理、多様な官民連携の推進により、水道の基盤強化に取り組みます。

ハンセン病の元患者の御家族の皆様については、昨年十一月に施行されたハンセン病元患者の御家族への補償の着実な実施や偏見差別の解消に全力で取り組みます。

 

(障害者支援、生活困窮者自立支援、生活保護等)

障害のある方々が生き生きと地域生活を営むことができるよう、日常生活の支援、グループホームの整備、文化芸術活動や視覚障害のある方々等の読書環境の整備の推進などに取り組むとともに、引き続き雇用と福祉の一体的展開を推進し、重度の障害がある方々の通勤や職場等における支援を含め、労働施策と福祉施策において切れ目のない支援の確立を目指します。また、精神障害のある方々が地域の一員として自分らしい暮らしができるよう、包括的な支援を受けられる仕組みづくりを進めます。さらに、障害福祉人材の処遇改善を着実に進めます。

アルコール健康障害やギャンブル等依存症をはじめとする依存症対策については、医療・相談体制の整備や民間団体の活動支援等に取り組みます。

生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度については、それぞれの改正法に基づき、就労、家計、住まい等に関する包括的な支援体制の強化に向けた取組等を着実に進めます。

また、自殺総合対策大綱等に基づき、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向けた取組を推進します。

成年後見制度の利用促進については、基本計画に基づき、昨年五月に設定したKPIを踏まえ、中核機関の整備や市町村計画の策定等の取組を推進します。

 

(援護施策)

援護施策については、日本人でない遺骨が収容された可能性が指摘されながら、長年適切な対応が行われてこなかったこと、それによって遺骨収集事業への信頼性を問われていることについて真摯に反省し、遺骨収集事業に関する有識者会議からの意見等を踏まえて、遺骨収集の方法等の改善に努めます。また、慰霊事業を着実に行うとともに、戦傷病者や戦没者遺族に対する年金等の支給、中国残留邦人等に対する支援策について、引き続き、きめ細かく実施します。

 

(各地の災害への対応、東日本大震災への対応等)

昨年は、台風や記録的な大雨等による甚大な被害が全国各地で発生しました。関係省庁とも連携しつつ、被災地の状況変化を踏まえ、スピード感を持って先手先手で対応するとともに、相次ぐ自然災害から国民生活を守れるよう、医療・福祉・水道施設等の強靱化に取り組みます。

東日本大震災の発生からもうすぐ九年が経過します。引き続き、被災者の心のケア、医療・介護提供体制の整備、雇用対策などに全力で取り組みます。

 

(厚生労働省改革、統計改革)

社会経済の変化に対応しつつ、適時・的確に政策を展開し、厚生労働省に対する国民の要請に応えることができるよう、ガバナンス強化や業務改革など、厚生労働省改革に全力で取り組みます。

また、「厚生労働省統計改革ビジョン二〇一九」に基づき、統計業務の改善やリテラシーの向上に着実に取り組みます。

 

 以上、山積している課題に全力で取り組んでまいりますので、国民の皆様には、一層の御理解と御協力をお願い申し上げ、年頭にあたっての私の挨拶といたします。

 

 

令和二年元旦

 厚生労働事務次官 鈴木 俊彦

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2020年1月 1日 (水)

令和二年 年頭所感 加藤勝信厚生労働大臣 

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(はじめに)

令和二年の新春を迎え、心よりお慶び申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。

厚生労働大臣就任から約四ヶ月が経過しました。この間、国民の皆様の安全・安心の確保に万全を期すべく努力してまいりました。引き続き、私自身が先頭に立ち、厚生労働省一体となって様々な課題に全力で取り組んでまいります。

 

(災害への対応等)

 昨年は、台風や記録的な大雨による甚大な被害が全国各地で発生しました。改めまして亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様にお見舞い申し上げます。被災された方々が一日も早く安心・安全な生活を取り戻せるよう、スピード感をもって対策を講じるとともに、相次ぐ自然災害から国民生活を守れるよう、医療・福祉・水道施設等の強靱化に取り組みます。

 

(戦没者遺骨収集事業を巡る問題等)

 援護施策において、日本人でない遺骨が収容された可能性が指摘されながら、長年に渡り適切な対応が行われてこなかったことや、公的統計を巡る不適切な取扱いなど、行政に対する信頼を損なう事案が生じたことに対し、改めてお詫び申し上げます。深い反省と、二度と繰り返さないという強い信念の下、厚生労働省のガバナンス強化や業務改革等に全力で取り組みます。

 

(全世代型社会保障への改革)

昨年九月に、安倍総理を議長とする「全世代型社会保障検討会議」が設置され、年末に中間報告を取りまとめました。まずは、この中間報告を基に、次期通常国会に高齢者雇用や年金の関連法案の提出を目指すとともに、医療についても、関係審議会での議論を本格化し、今夏の最終報告に向け、検討を進めます。

 

(多様な就労・社会参加の促進)

少子高齢化が進む中で、多様化する就業ニーズに対応したセーフティネットの整備や、高齢者の就業機会の確保などを図るため、次期通常国会に関連法案の提出を目指します。また、高齢者が安心して安全に働けるよう、増加する転倒災害の防止等の労働安全衛生対策にも取り組みます。

いわゆる就職氷河期世代の方々に対しては、一人ひとりの状況に応じた支援を行うことで、働くことや社会参加を支援します。

 

(年金制度改革)

年金制度については、老後生活の基本を支える公的年金の安定的運営と充実に努めるとともに、老後生活の多様なニーズに対応する私的年金の普及・促進を図ってきましたが、働く意欲の高い高齢者が増えるなど、社会・経済の変化に対応した制度を構築する必要があります。昨年の財政検証結果を踏まえ、被用者保険の適用拡大、在職老齢年金制度の見直し、年金受給開始時期の選択肢の拡大等を図るとともに、確定拠出年金の加入可能要件を見直すなど、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るための改正法案の提出を目指します。

 

(地域共生社会の実現に向けた社会福祉制度・介護保険制度改革)

人口減少、地域社会の変容が進む中で、地域とのつながりを失い孤立したり、一つの家庭の中で複合的な課題を抱えるケースが生じています。こうしたケースに対応するため、包括的な支援体制の構築や社会福祉法人を中核とする非営利連携法人制度の創設等を通じて、地域共生社会の実現に向けて取り組みます。

また、地域包括ケアシステムを推進するとともに、介護保険制度を基盤とした地域共生社会を実現するため、介護予防・地域づくりと認知症施策の推進や、地域特性等に応じた介護基盤整備、生産性向上等の取組を進めます。

こうした取組を推進するため、次期通常国会に関連法案の提出を目指します。

 

(地域医療体制の整備等)

医療分野では、二〇二五年の地域の医療ニーズを把握し、病床機能の最適化を目指す「地域医療構想」、医療現場で常態化している長時間労働を是正する「医師の働き方改革」、医師の最適な配置により地域間、診療科間の医師偏在解消を目指す「医師偏在対策」を一体的に進めていきます。また、健康寿命の延伸を図るため、ナッジ理論などの行動経済学の知見も活用し、予防・健康づくりを推進します。

 

(働き方改革の推進)

本年四月から、大企業に同一労働同一賃金のルールが、中小企業に時間外労働の上限規制が適用されます。制度改正に関する丁寧な周知に加え、生産性向上に取り組む中小企業に対する支援等により、円滑な施行に努めます。

経済の好循環の実現のためには賃金の引上げが重要です。中小企業・小規模事業者が賃上げしやすい環境を整備するとともに、地域間格差にも配慮しながら、最低賃金がより早期に全国加重平均千円となることを目指します。

また、全ての方がその能力を存分に発揮できる社会の実現に向けて、リカレント教育を始めとした人材育成の強化、女性・若者・高齢者・障害者等の就労支援、ハラスメント対策の推進、柔軟な働き方がしやすい環境整備等に取り組みます。

 

(子ども・子育て支援)

待機児童の解消に向けて、「子育て安心プラン」に基づき、二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受け皿を整備し、保育人材の確保等を行います。また、関係省庁と連携し、幼児教育・保育の無償化の円滑な実施に努めるとともに、保育の質の確保にも一層取り組みます。さらに、全ての子どもたちが夢や希望を持てる社会を目指し、児童虐待防止対策や子どもの貧困対策に取り組みます。

 

そのほか、社会経済の変化に対応しつつ、厚生労働省に対する要請に適時・的確に応えることができるよう、医薬品・医療機器施策、感染症対策、障害者福祉、社会福祉等、山積する課題に果断に取り組んでまいります。

 

 おわりに、本年が、国民の皆様お一人おひとりにとって、実り多き素晴らしい一年となりますよう心よりお祈り申し上げ、年頭にあたっての私の挨拶といたします。

 

 

令和二年元旦

厚生労働大臣 加藤 勝信

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