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2018年1月 5日 (金)

厚生労働省 平成30年(2018年)年頭所感  厚生労働事務次官 蒲原基道

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年頭所感

 

 

(はじめに)

新年を迎え、謹んで年頭の御祝辞を申し上げます。

年の初めに当たり、改めて皆様の日頃からの厚生労働行政への御理解と御協力に感謝申し上げますとともに、今後の厚生労働行政の展開につきまして述べさせていただきます。

 

(働き方改革)

少子高齢化が進む中、高齢者も若者も、女性も男性も、難病や障害を抱える人も、誰もが活躍できる一億総活躍社会の実現は、安倍内閣の最重要課題です。

一億総活躍社会の実現に向けて全力で取り組みます。

その最大のチャレンジである働き方改革は、一人ひとりの意思や能力、置かれた事情に応じた多様な働き方の選択を可能とするため、働く方の視点に立って行う改革です。働き方改革を実現するための法案要綱については、昨年九月には、労働政策審議会から「概ね妥当」という答申をいただいております。「長時間労働の是正」や「同一労働同一賃金」をはじめとする改革を実現するため、法案の早期提出に向けた準備を着実に進めます。

働き方改革の実効性を担保するため、長時間労働が行われている企業に対する監督指導を徹底します。また、非正規雇用労働者の正社員転換や待遇改善等に取り組む企業に対する支援を進めます。さらに、地方自治体等とも協力しながら、全国各地で説明会を開催するなど、地方の中小企業まで働き方改革の取組が浸透するよう努めていきます。

 

(賃金引上げや「生産性革命」に向けた環境整備等)

最低賃金については、働き方改革実行計画等において、年率三%程度を目途として引上げを進め、千円を目指すとされています。本年度は全国加重平均で二十五円引き上げ、時給換算になって以降、昨年度と並んで最大の上げ幅となりました。

賃金引上げの流れを後押しし、「生産性革命」を実現するため、介護・生活衛生・医療・保育分野におけるICT化や業務改善、中小企業事業主による生産性向上に向けた取組の支援、成長分野への労働移動やテレワークや副業・兼業といった柔軟な働き方を促進します。

また、人的投資を強化するため、リカレント教育の抜本的拡充などにより、生涯にわたる学び直しと新しいチャレンジの機会を確保します。加えて、二〇二三年の技能五輪国際大会の我が国への招致を通じ、技能尊重機運の醸成等に取り組みます。

六十五歳を超えた方の継続雇用や定年延長を行う企業に対する支援、ハローワークによる再就職支援の強化など、働きたいと願う高齢者の希望を叶えるための支援を一層進めます。

女性が輝く社会の実現に向け、女性活躍推進法に基づく女性活躍に関する企業の情報の見える化を推進するとともに、仕事と子育て等との両立を図るため、育児休業制度をはじめとした両立支援制度の普及等に取り組みます。

 

(子育て支援、児童虐待の防止)

「人づくり革命」を進めるため、子育て世代、子どもたちに大胆に投資し、お年寄りも若者も安心できる、全世代型社会保障制度を構築します。

待機児童の解消等に向けて、「子育て安心プラン」を前倒しし、二〇二〇年度までに三十二万人分の保育の受け皿を整備するとともに、そのために必要な保育人材の確保等を更に進めます。幼児教育・保育の無償化について、三歳から五歳児については無償化し、〇歳から二歳児についても、所得の低い世帯について無償化します。放課後児童対策についても、量的拡充を進めるとともに、社会のニーズに応じ、子どもの自主性、社会性を育む観点などからその在り方について検討を進めます。

また、妊娠期から子育て期まで切れ目なく支援する「子育て世代包括支援センター」の全国展開、産後ケアの充実、不妊治療への支援等にも取り組みます。

全ての子どもには、適切な養育を受け、健やかな成長・発達や自立等を保障される権利があります。改正児童福祉法の着実な施行を通じ、地域における児童虐待の発生予防から自立支援まで一連の対策を推進するとともに、里親制度の充実強化等を推進します。

さらに、ひとり親家庭を支援し、子どもの貧困に対応するため、児童扶養手当による経済的支援、就職に有利な資格の取得支援等に総合的に取り組みます。

 

(保健医療・介護)

団塊の世代が全員七十五歳以上となる二〇二五年に向けて、地域包括ケアシステムの構築を一層推進していくことが必要です。二〇一八年度は、医療計画、介護保険事業計画、障害福祉計画の新たな計画期間が始まる年であり、また、六年に一度の診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定が行われる重要な節目の年です。このため、医療・介護サービスについては、質が高く効率的なサービス提供体制を構築するとともに、国民一人ひとりがどのような状態にあっても住み慣れた地域で安心して適切なサービスが受けられるよう、報酬改定に取り組みます。また、障害福祉サービスについては、障害者の重度化・高齢化への対応、医療的ケア児への支援などの課題への対応を進めます。あわせて、昨今、革新的であるが非常に高額な医薬品が登場しており、医療保険財政への影響が懸念されているため、国民皆保険の持続性とイノベーションの推進を両立し、国民負担の軽減と医療の質の向上を実現する観点から、薬価制度の抜本改革に取り組みます。

今後、少子高齢化に伴い医療・介護のニーズが増加する中で、質が高く効率的な医療提供体制の構築に向け、地域医療構想の達成に向けた検討が地域で集中的に行われ、医療機関ごとの対応方針の具体化が進むよう、地域の議論の進捗状況に応じた、きめ細かな支援を実施します。また、医師の偏在対策を進めるため、医師偏在指標の導入、医師養成過程における医師の定着策など都道府県が主体的に医師確保対策を推進する仕組みを盛り込んだ改正法案の提出を目指します。

医師の働き方改革については、医師法に基づく応召義務等の特殊性を踏まえ、質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指し、時間外労働規制の具体的な在り方、労働時間短縮策等について平成三〇年度に結論を得るべく検討を進めます。

さらに、我が国では、世界に先駆けて、超高齢社会に直面しており、一人ひとりの健康寿命をどう延ばすか、社会保障制度の持続可能性をいかに確保し続けるかという問題に、国を挙げて取り組んでいかなくてはなりません。ICTの活用は、これらの課題の解決につながる可能性があり、健康・医療・介護に関するデータ利活用基盤の構築を軸に、保険者機能の強化やゲノム医療・AI等の最先端技術の活用等、データヘルス改革を戦略的、一体的に推進していくとともに、審査支払機関の改革を進めます。

医薬品・医療機器産業については、革新的な医薬品等の開発を促進する環境の整備に取り組むとともに、後発医薬品の使用促進やベンチャー企業への支援を実施します。また、医薬品等の製造及び販売における法令遵守の徹底、医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保に努めるとともに、制度見直しに向けた検討を進めます。あわせて、危険ドラッグの撲滅や大麻をはじめとした薬物乱用防止に向けた啓発等にも引き続き取り組みます。

国際保健の分野においても、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進、薬剤耐性菌を含む感染症対策等のグローバルな課題に的確に対応します。

家族の介護のために離職せざるを得ない状況を防ぎ、働き続けられる社会の実現を目指します。このため、介護の受け皿五十万人分の整備を進めるとともに、他の産業との賃金格差をなくしていくための更なる処遇改善や介護分野に就職する前の「入門的研修」の普及を官民一体で進めるなど介護人材の確保に総合的に取り組み、二〇二〇年代初頭までに「介護離職ゼロ」を目指します。

認知症の方ができる限り住み慣れた地域で暮らすことができるようにするため、昨年見直しを行った新オレンジプランに基づき、認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進や、認知症の予防法や治療法等の研究開発及びその成果の普及の推進等に取り組みます。また、若年性認知症の方に対しても、新オレンジプランに基づき、相談窓口を設置し、医療・福祉・就労に関する相談や、就労継続へ向けた企業との調整など、総合的な支援を行います。

 

(受動喫煙対策、がん対策)

受動喫煙による健康影響が明らかとなる中、国民を望まない受動喫煙から守るための対策を徹底することが必要です。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック等を契機に、望まない受動喫煙のない社会の実現に向けて、できるだけ早期に法案を国会に提出できるよう準備を進めるとともに、各種支援策の推進、普及啓発の促進など、総合的かつ実効的な取組を進めます。

がん対策については、「がん予防」、「がん医療の充実」、「がんとの共生」の三つを柱とした第三期のがん対策推進基本計画に基づき、がんゲノム医療の実現や希少がん、難治性がん対策の充実、がん患者の就労支援の推進等、総合的ながん対策を進めます。

 

(生活衛生・食品安全)

いわゆる「民泊サービス」の制度化や昨年十二月に成立した改正旅館業法に基づき、旅館業の規制緩和を進めるとともに、無許可民泊に対する取締りを強化するなど、旅館業の適正な運営の確保に取り組みます。また、生活衛生関係営業の振興にも引き続き取り組みます。

水道施設の老朽化の進行、人口減少等が課題となる中、水道事業の基盤強化を図るため、水道法の改正に向けた準備を着実に進めます。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会等を契機に、我が国の食品衛生管理を国際標準と整合的なものにするとともに、腸管出血性大腸菌O―一五七による広域的な食中毒事案を踏まえた的確な体制整備を進めるなど、食品安全の確保を図るための改正法案の提出に向けた準備を進めます。

 

(地域共生社会の実現、自殺対策の推進)

人口減少や急速な高齢化、地域社会の脆弱化等の社会構造の変化の中で、人々が様々な生活課題を抱えながらも住み慣れた地域で自分らしく暮らしていけるよう、地域の住民や多様な主体が支え合い、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、そして、地域をともに創っていく「地域共生社会」の実現を目指し、包括的な支援体制の構築等を進めます。

自殺対策については、昨年七月に閣議決定された自殺総合対策大綱に基づき、関係府省と連携し、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向けた取組を一層強化します。また、昨年十二月に座間市における事件の再発防止に関する関係閣僚会議において取りまとめられた再発防止策に基づき、若者向けのSNSを活用した相談機会の確保等を進めます。

 

(障害者福祉等)

障害のある方々が自らの望む地域生活を営むことができるよう、生活や就労の支援を充実させるほか、グループホームの整備などに取り組みます。また、措置入院者が退院後に医療等の継続的な支援を確実に受けられる仕組みを整備するなど、精神障害を持つ方々が地域で安心して生活できるようにするため、精神保健福祉法の見直しに向けた準備を進めるなど、必要な対策を進めます。

アルコール・薬物・ギャンブル等の依存症対策については、依存症対策全国拠点機関での研修、地域における専門医療機関の選定や相談体制の整備、民間団体の活動支援等を総合的に推進します。

 

(生活困窮者の支援等)

生活困窮者自立支援制度については、生活保護に至る前の自立支援を強化するため、家計相談支援事業、就労準備支援事業を推進するとともに、生活保護制度については、必要とする人には確実に保護を実施するという基本的な考えの下、医療扶助の更なる適正化や就労支援や大学等への進学を支援するなど、自立支援に向けた改正法案の提出を目指します。さらに、生活保護基準については、検証を踏まえた見直しを行います。

 

(年金制度)

年金制度については、持続可能性を高め、将来にわたる給付水準の確保を図ると同時に、国民一人ひとりに制度の意義や役割を理解していただくことが重要です。

このため、働きたい方が働きやすい環境を整えるとともに、年金などの保障を厚くする観点から、短時間労働者への被用者保険の更なる適用拡大や、高齢期における多様な職業生活に対応した年金制度の在り方等についての検討を進めます。

また、平成三十一年までに行う財政検証にむけた準備を進めます。

さらに、昨年から加入範囲が大幅に拡大されたiDeCo(個人型確定拠出年金)の一層の周知広報を図るとともに、簡易企業型年金制度の創設等の円滑な施行を通じて、私的年金制度の普及・拡大を図り、高齢期の自助努力を支援します。

年金積立金の管理・運用を担う年金積立金管理運用独立行政法人については、国民の皆様から一層信頼される組織となるよう、引き続き体制の強化等を着実に進めます。

年金事業運営については、日本年金機構改革を着実に実施し、事務処理誤り等の総点検で把握した事項を確実に改善するとともに、国民年金保険料の収納対策、厚生年金保険の適用促進、情報セキュリティ対策等に着実に取り組みます。

 

(援護施策)

援護施策については、国の責務として、戦没者の遺骨収集事業の推進を図るとともに、慰霊事業に着実に取り組みます。

また、戦傷病者、戦没者遺族、中国残留邦人等に対する支援策について、引き続き、きめ細かく実施します。

 

(東日本大震災、各地の災害への対応)

東日本大震災の発生からもうすぐ七年が経ちますが、避難生活が長期化している被災者の方々も依然として多くいらっしゃいます。引き続き、被災者の心のケア、医療・介護提供体制の整備と人材確保、雇用のミスマッチへの対応などに、被災者の心に寄り添いつつ、取り組みます。

また、台風による豪雨被害をはじめ、全国各地で相次ぐ自然災害からの一日も早い復旧・復興に向けて、関係省庁とも連携しつつ、スピード感を持って全力で取り組みます。

 

 以上、厚生労働行政には多くの課題が山積しています。国民の皆様には、一層の御理解と御協力をお願い申し上げ、年頭にあたっての私の挨拶といたします。

 

 

平成三十年元旦

 

厚生労働事務次官 蒲原 基道

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