雇用保険法の改正法律案要綱は1月上旬にも検討の見通し【雇用保部会】
労働政策審議会職業安定分科会の雇用保険部会(部会長・岩村正彦東京大学大学院教授)は、12月13日、雇用保険制度の見直しの方向性について、職業安定分科会(分科会長・阿部正浩中央大学教授)に「労働政策審議会 職業安定分科会雇用保険部会報告」を報告し了承を得た。
「労働政策審議会職業安定分科会 雇用保険部会報告」では、基本手当の充実として、特定受給資格者のうち被保険者期間が1年以上5年未満の者の所定給付日数を「30歳〜35歳未満」は120日(現行90日)、「35歳〜45歳未満」は150日(同90日)に拡充するとしている。
また、雇用保険料率について、失業等給付に係る原則の率(1000分の12)を平成29年度から3年間は1000分の10に引き下げるとしている。
平成29年初回の雇用保険部会(1月6日予定)で、雇用保険法の改正法律案要綱が示されるものとみられる。
………………………………………………………………………………
「雇用保険部会報告」の概要(平成28年12月13日)
………………………………………………………………………………
1.基本手当の充実
① 倒産・解雇等により離職し、被保険者であった期間が「1年以上5年未満」である「30歳~35歳未満」と「35歳~45歳未満」の者の所定給付日数を引き上げる。
●「30歳~35歳未満」現行制度では90日→ 30日引き上げて120日に拡充
●「35歳~45歳未満」現行制度では90日→ 60日引き上げて150日に拡充
② 賃金日額について、直近の賃金分布をもとに上・下限の引上げを行う。
③ 雇用情勢が悪い地域に居住する者の給付日数を60日延長する暫定措置を5年間実施する。また、震災により離職した者の給付日数を原則60日(最大120日)延長できることとする。
④ 雇止めにより離職し、特定理由離職者と位置づけられた有期雇用労働者の所定給付日数を拡充する暫定措置を5年間実施する(5年間「特定受給資格者」と扱う)。
2.教育訓練給付の充実
① 専門実践教育訓練給付の給付率を、受講費用の最大 70 %に引き上げる。
〔現行:最大60%〕
② 専門実践教育訓練期間中の生活費を賄う「教育訓練支援給付金」(45歳未満の若年労働者に支給される)の額を基本手当日額の80%に引き上げる。
〔現行:50%〕
3.育児休業給付の見直し
育児休業制度の改正議論(※)を踏まえ、育児休業給付の支給期間を延長する。
※ 原則1歳である育児休業を、6ヵ月延長しても保育所に入れない場合等に限り、さらに6ヵ月(2歳まで)の再延長を可能にする。
4.失業等給付に係る保険料率及び国庫負担率の時限的引下げ
失業等給付に係る保険料率及び国庫負担率について3年間(平成29年度から31年度まで)時限的に引き下げる。
具体的には、雇用保険料率を1000分の2引下げ、国庫負担率を本則の10%とする。
● 失業等給付に係る原則の保険料率 現行:1.2%→ 1.0%
(※弾力条項により29年度は0.6%)
● 国庫負担率 現行:本来負担すべき額の55%→ 同10%
(※基本手当の場合13.75%→2.5 %)
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