「人事異動の法律ルールと実務Q&A・第8回~適法な配転命令を拒否した者の懲戒解雇を無効とした判決も~」「裁判例から学ぶ予防法務〈第12回〉 八重椿本舗事件(東京地裁 平成25年12月25日判決)」~労働基準広報2015年9月21日号の内容~
労働基準広報2015年9月21日号のコンテンツです
●新実務シリーズ/人事異動の法律ルールと実務Q&A
第8回・企業内人事異動⑥
~昇進・降格、配転命令拒否者に対する懲戒処分~
適法な配転命令を拒否した者の懲戒解雇を無効とした判決も
(労務コンサルタント・布施直春)
今回は、「企業内人事異動⑥」として、「昇進・降格」及び「配転命令拒否者に対する懲戒処分」について解説する。
適法・有効な配転命令を拒否した従業員に対しては、懲戒解雇を行うのが原則となる。ただし、適法な配転命令であっても、その拒否を理由とする懲戒解雇が必ず有効と認められるわけではない。
裁判例では、配転命令自体は有効としながらも、会社が配転を命じる際に、配転後の通勤所要時間・通勤経路など従業員がその配転命令を受け入れるかどうかの判断をするための情報提供をせず、また、配転後の通勤緩和措置を検討していなかったとして、配転命令拒否を理由とする懲戒解雇を権利の濫用として無効としたものもある。
したがって、従業員が配転命令を拒否した場合には、会社は、直ちに懲戒解雇とするのではなく、拒否理由を把握し、その拒否理由を解消するための努力をする必要がある。そのうえで、説明・説得を試みることが重要といえよう。
●裁判例から学ぶ予防法務〈第12回〉
八重椿本舗事件(東京地裁 平成25年12月25日判決)
満60歳で雇止めされた者が無期労働契約などを主張
有期契約なら更新するかしないかの具体的基準を契約書に明記しておく
(弁護士・井澤慎次)
化粧品等販売会社と技術職X(57歳4か月)が締結した労働契約が、有期契約か無期契約なのか――などについて争われた八重椿本舗事件を取り上げる。労働契約の締結時に、労働契約の期間を無期か有期かはっきりさせておかなければ、紛争になりやすいといえる。有期労働契約であるなら、単に「更新することがある」程度の記載ではなく、更新をするかしないかの具体的な基準を労働契約書に明記しておくべきだ。
●転ばぬ先の労働法〈紛争予防の誌上ゼミ〉
第25講 ワークルール教育とは何か
喧嘩慣れしていない労使が権利行使で対立すれば収拾がつかなくなる
(北海学園大学法学部准教授・弁護士 淺野高宏)
ブラック企業の問題などをきっかけに労働法コンプライアンスについて社会的関心が向けられ、ワークルール教育が注目されている。その背景には、①雇用社会の変化、②ワークルール自体の複雑化、③ワークルールの認知度・理解度の低さ、④自主解決能力の低下――などがある。
社会一般に労働法の保護が必要な層ほど労働法の知識に欠けるという実態があり、また、仮に知識があってもトラブルを解決する行動に結びついていないなどといった問題がある。ワークルール教育は労使それぞれの立場で積極的に取り組むべき課題であり、労使双方に様々なメリットがあるという。
●知っておくべき職場のルール
第48回 「安全配慮義務」
労働者の生命や健康などを危険から守るよう配慮する義務
(編集部)
安全配慮義務とは、使用者が、業務の遂行に当たり、労働者の生命や健康などを危険から守るよう配慮する義務のこと。判例では、労働者の心身の健康を損なうことが予見でき、あるいは予見しうる状況にあり(予見可能性)、その結果を回避する手段(結果回避可能性)があったにもかかわらず、結果を回避するための措置をとらなかった、あるいは不十分だった場合に、安全配慮義務違反が認められている。
●NEWS
(26年度の労働保険の適用徴収状況まとまる)保険料収納率は20年ぶり高水準の98.3%/
(26年度・雇用均等基本調査結果)ポジティブ・アクション取組み企業割合が大幅増/
(介護労働者の就業実態調査結果)正社員ホームヘルパーの平均月収は19万6800円/
ほか
●連載 労働スクランブル第228回(労働評論家・飯田康夫)
●労務資料 企業における資格・検定等の活用等に関する調査結果
●わたしの監督雑感 愛知・名古屋東労働基準監督署長 澤田真也
●今月の資料室
●労務相談室
解雇・退職
〔入社前の業務に起因する災害で休業〕解雇制限の適用は
弁護士・新弘江
募集・採用
〔エントリーシートに「賞罰」欄を設ける〕記入任意なら問題ないか
弁護士・荻谷聡史
賃金関係
〔最賃改定により年俸額が最賃下回る契約社員〕再契約必要か
弁護士・小川和晃
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