「特集/今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会報告書」「労働判例解説/日本政策金融公庫事件(平成26年7月17日・大阪高裁判決)」~労働基準広報2015年9月11日号の内容~
労働基準広報2015年9月11日号のコンテンツです
●特集/今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会報告書
育休の対象となる子の範囲の拡大や介護休業の分割取得などを提言
(編集部)
さる8月7日、「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会」(座長・佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授)は、同研究会における検討の結果をまとめた「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会報告書」を公表した。 同報告書においては、①介護休業について、同一の要介護状態が継続した場合であっても、複数回の介護休業を取得可能とする「介護休業の分割取得」や、②育児休業について、特別養子縁組の監護期間と養子縁組里親についても、法律上の子に準じて育児休業の対象に含めるとする「育児休業の対象となる子の範囲の拡大」──などが提言されている。
今年の秋から、同報告書をもとに、労働政策審議会において審議が行われる予定。育児・介護休業法の改正法案などについては、早ければ、平成28年の通常国会に提出される見通しとなっている。
●労働判例解説/日本政策金融公庫事件(平成26年7月17日・大阪高裁判決)
金融公庫の職員がうつ病を発症し自殺
恒常的な長時間労働なかったとして業務との因果関係を否定
(弁護士・新弘江(あだん法律事務所))
本件は、農林漁業金融公庫(現日本政策金融公庫)に勤務していた夫が自殺したのは、過重な業務によりうつ病を発症したためとして、妻ら遺族が同公庫に損害賠償を求めた事件の控訴審。
一審(平成25年3月6日・大阪地裁)は、時間外労働が月100時間近くになり、心理的負荷による疲労を解消しないまま異動先で勤務を続けうつ病を発症したにもかかわらず、公庫は業務軽減など適切な措置等を採らなかったとして、公庫の安全配慮義務違反を認めた。
これに対し、二審の大阪高裁は、長時間労働が2ヶ月以上継続しておらず、長時間労働が恒常的であったとはいえないとして、業務とうつ病発症との因果関係を否定。男性の心身の不調を予測することは困難だったとして、一審判決を取消し、妻らの請求を棄却した。
●解釈例規物語第72回
第116条関係・家事使用人
(中川恒彦)
「家事使用人」とは本来の業務として家事一般に従事する者をいう。労働基準法第116条第2項は、「家事使用人」については、いわゆる「事業」に使用される労働者と同一の労働条件で律するのは適当でないとして、「この法律は、……家事使用人については、適用しない。」と定めている。すなわち、「家事使用人」には労働基準法が適用されない。今回の2つの解釈例規は、「家事使用人」に該当するか否かすなわち労働基準法の適用が除外されるか否かの判断基準を示したものである。
●労働局ジャーナル
班別討議形式のパワハラ防止セミナーを開催
東北ブロックの総合労働相談員13名も参加
〔秋田労働局〕
秋田労働局(小林泰樹局長)は、7月24日、サンパル秋田(秋田市)にて、事業主や企業の人事労務責任者などを対象にワークショップ形式の「実践研修 職場のパワーハラスメント防止セミナー」を開催した。
このセミナーは、①「いじめ・嫌がらせ」の相談件数が相談内容別で最も多く、5年前に比べ倍以上の件数になっていること、②紛争調整委員会が行うあっせん事案において、パワハラという言葉は知っているもののその定義を知らなかったり、それを防止するための取組みが全く行われていない企業が多いという実態があること――から、パワハラに対する理解とその防止のための社員教育の手法について、実践的に学んでもらうために開催したもの。
当日は、多種多様な業種から48名が参加した。
●NEWS
(中賃審・27年度地域別最賃改定の目安を答申)全国で16円から19円の引上げを提示/
(厚労省・27年の大手の賃上げ結果)前年を0.19ポイント上回る2.38%、7367円に/
(27年8月以降の支給事由に適用)労災年金給付基礎日額の最低・最高限度額を改定/
ほか
●連載 労働スクランブル第227回(労働評論家・飯田康夫)
●わたしの監督雑感 愛知・岡崎労働基準監督署長 北原雅彦
●労務相談室だより
●労務相談室
労働基準法
〔雇入れ時に預ける身元保証金の特約〕賠償予定禁止との関係は
弁護士・岡村光男
休業・休職
〔軽易業務への転換求める診断書提出〕現在より軽易な業務ないが
弁護士・加島幸法
社会保険
〔取得時決定の際の賃金見込額を大幅に上回る〕取得時に遡って訂正は
特定社労士・大槻智之
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