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2015年7月29日 (水)

労働者派遣法の改正法が成立ぜずに平成27年10月1日を迎えた場合の問題(いわゆる『10.1問題』)とは

労働者派遣法が改正されずに平成2710月1日を迎えた場合には、「労働契約申込みみなし制度」との関係で問題が生じることが危惧されている。

いわゆる『10.1問題』といわれる問題である。

その背景には、現行制度で課題とされている「いわゆる専門26業務の該当の有無がわかりにくい」ことがあるという。

 「労働契約申込みみなし制度」とは、派遣先が違法派遣(禁止業務派遣、無許可・無届出派遣、期間制限違反、いわゆる偽装請負等)を受け入れている場合、違法状態が発生した時点で、派遣先が派遣労働者に対して、当該派遣労働者の派遣元事業主における労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなす制度である。同制度は、今年10月1日からの施行が予定されている。

 労働者派遣法の改正されずに、現行制度のまま「労働契約申込みみなし制度」が施行されると、

① 派遣先が意図せずに26業務ではないと認定されるケース

② 派遣先と派遣労働者との間で解釈に争いがあるケース

――について、「労働契約申込みみなし制度」の施行後(今年10月1日以降)に、派遣先が労働契約申込みみなし制度の適用がないと主張する場合、労働契約申込みみなし制度の発動を認定してもらうため、派遣労働者が裁判所に訴えて、その多くが訴訟につながるおそれあることが指摘されている。これがいわゆる『10.1問題』といわれる問題である。

 この問題を回避するためにも、今国会に提出されている労働者派遣法の改正法案では、この「労働契約申込みみなし制度」の施行日(今年10月1日)より前に改正法を施行することが目指されているようだ。

 なお、労働契約申込みみなし制度の規定(改正後の労働者派遣法第40条の6)は、民事的効力を有するものとされており(行政解釈「労働契約申込みみなし制度について」(平27・7・10 職発0710第4号)、罰則や行政指導などといった公的規制が伴う公法的効力をもたない。そして、その効力が争われた場合には、最終的には司法判断されるべきものとされている(前掲通達)。行政がその適用を判断する制度ではなく、いわば訴訟などを前提としている制度でもあるといえよう(期間制限違反以外の違法派遣について、『10.1問題』は生じないとされている)。

 今国会における労働者派遣法の改正法案の動向が注目されている。

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