「特集/ストレスチェック制度の詳解・後編 ~ストレスチェック結果の評価&面接指導の実施編~」「労働判例解説/フジスター事件(平成26年7月18日 東京地裁判決)」~労働基準広報2015年7月11日号の内容~
労働調査会発行 労働基準広報2015年7月11日号のコンテンツです
●特集/ストレスチェック制度の詳解
後編 ~ストレスチェック結果の評価&面接指導の実施編~
高ストレス者を対象に面接指導を実施
結果に応じ就業上の措置など講ず義務が
(編集部)
平成27年12月1日に施行されるストレスチェック制度は、労働者に対する心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)や、その結果に基づく面接指導の実施などを事業主に義務づける制度。労働者に対して実施したストレスチェックの結果、高ストレス者と選定され、面接指導を受ける必要があると実施者が認めた労働者から面接指導の申出があった場合には、事業者はその労働者に対し、医師による面接指導を実施する義務を負うこととなる。なお、面接指導を実施した後には、労働者の健康を保持するために必要な措置について医師の意見を聴かなければならないこととされており、その結果によっては、就業場所の変更や作業の転換など、就業上の措置を講じなければならない。前編(本誌第1857号(2015年6月21日付))では、制度実施前の準備やストレスチェックの内容についてみてきた。後編となる今回は、ストレスの程度の評価や面接指導の実施などについてみていく。
●労働判例解説/フジスター事件(平成26年7月18日 東京地裁判決)
賃金・各種手当で女性差別受けたとして賠償請求
役職手当の支給開始時期における8年もの男女差は合理性ない
(弁護士・新弘江(あだん法律事務所))
本件は、衣料品繊維製品の製造・販売を行う会社Yに約20年間、企画職として勤務した原告Xが、在職中、女性であることを理由として、賃金(基本給及び各種手当など)及び賞与において、男性従業員よりも不当に低く抑えられていたとして、差額賃金や慰謝料などの支払を求めたもの。
会社Yでは、Xの入社から退職までの期間を通じ、営業職は男性、企画職は女性がほぼ全員を占め、営業職の者にインセンティブを持たせて販売実績を上げさせるため、営業職について決算賞与を含めた賃金において優遇していた。
判決は、基本給、職務給及び賞与における従業員間の差異は、性別ではなく職務の違いに基づくものであり合理性がないとはいえないとした。一方で、企画職において、役職手当(最初に支給される主任手当)につき、支給開始時期に男女間で勤続年数にして8年もの差異があることは合理性に欠け不法行為が成立するとした。また、住宅手当と家族手当についても性別を理由とした不合理な取扱いとしたが、すでにYとの関係では清算済みであり請求権はないとした。
●労働局ジャーナル(奈良労働局)
死亡災害多発を受け労働局長が緊急要請
6月には建設現場への集中監督を実施
奈良労働局(𠮷野彰一局長)では、管内の労働災害が大幅に増加したことを受けて、(1)関係機関への死亡災害撲滅に向けた緊急要請、(2)建設現場への集中監督、(3)関係機関と連携した取組――を実施している。
(1)の緊急要請は、「死亡災害の撲滅・労働災害の減少に向けての緊急要請」を労働災害防止団体、関係行政機関及び民間団体の合計107機関に対して実施したもの。(2)の集中監督では、死亡災害の約半数が建設業で発生している状況を踏まえ、6月に管内の労働基準監督署による集中的な監督指導を建設現場に対して実施した。特に、6月5日には、𠮷野局長が県内の大規模建設現場に対して安全パトロールを行った。
●特別企画/「キャリア形成促進助成金」の拡充・活用について
日本再興戦略(改訂2014)等に基づき
平成27年度予算において制度創設・拡充
(厚生労働省職業能力開発局育成支援課)
「キャリア形成促進助成金」では、従業員に職業訓練等を行う事業主に対して訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成している。今年4月からは、製造業・建設業の事業主及び事業主団体等が実施する厚生労働大臣の認定を受けたOJT付き訓練について「ものづくり人材育成訓練」の創設をするとともに、女性の活躍推進の観点から、「育休中・復職後等能力アップコース」の助成率を引き上げるなど、従業員の将来にわたる安定的なキャリア形成を更に推進している。ここでは、新たに創設された「ものづくり人材育成訓練」の制度概要を中心に、制度拡充の経緯、訓練の概要、受給手続きなどについて、厚生労働省職業能力開発局育成支援課に解説してもらった。
●転ばぬ先の労働法〈紛争予防の誌上ゼミ〉
第23講 刑事事件として告訴・告発する場合③
起訴するかを決定する権限は会社になく検察官の裁量による不起訴も
(北海学園大学法学部准教授・弁護士 淺野高宏)
会社内金銭不祥事の刑事責任を追及するケースについては、捜査機関が告訴・告発を受理した後、被疑者の逮捕・勾留期間中に取調べや証拠収集が行われる。必要な捜査が終了すると、検察官は、その事件について裁判所の審判を求めるかどうかを決定する。この「検察官が特定の刑事事件につき裁判所に審判を求めること」を「公訴」といい、「公訴の提起」を「起訴」という。起訴するか否かについては、検察官が決定するもので、被害者(会社)にはそれを決定する権限はない。
●NEWS
(生涯現役社会の実現で厚労省の検討会が報告書)65歳以降の就職に雇用保険適用の検討を/
(中賃審の目安協議会が中間まとめ)28年度審議に向けランク区分の見直しを優先議論/
(厚労省・合計で53業種完成)ディスプレイ業の職業能力評価基準を新たに作成/ほか
●連載 労働スクランブル第221回(労働評論家・飯田康夫)
●わたしの監督雑感 大阪・羽曳野労働基準監督署長 尾田透
●労務相談室だより
●労務相談室
出向・転籍
〔定年まで出向先で勤務の可能性ある出向〕規定あれば延長可能か
弁護士・岡村光男(安西法律事務所)
労働基準法
〔所定7時間で休憩前後30分の年休を申請〕2時間の年休と扱いたい
弁護士・山口毅(石嵜・山中総合法律事務所)
雇用保険法
〔高年齢雇用継続給付の申請の期限が経過〕支給申請できないか
特定社労士・大槻智之(大槻経営労務管理事務所)
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