平成26年度「過労死等の労災補償状況」 精神障害の労災請求件数、支給決定件数、ともに過去最多【厚生労働省】今回からタイトルを「過労死等の労災補償状況」とし女性の件数を発表。女性の件数は男性の3分の1~10分の1ほど
厚生労働省は6月25日、平成26年度の「過労死等(※1)の労災補償状況」を取りまとめ公表しました。
厚生労働省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の状況について、平成14年から、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数(※2)などを年1回、取りまとめています。
過労死等防止対策推進法が成立・施行されたことから、今回からは、タイトルを「過労死等の労災補償状況」に変更しています。発表の内容はほぼ同内容ですが、今回は新たに女性の件数を内数で発表しています(総件数から女性の件数を除いたものが男性の件数になります)。
女性の件数は「脳・心臓疾患」で全体の10分の1ほど、「精神障害」では全体の3分の1(自殺については10分の1未満、支給決定件数でみると男性97件に対して女性2件)となっています。
なお、支給・不支給決定までに要する期間は、「脳・心臓疾患」で6.1か月(平成25年度6.2か月)、「精神障害」で7.5か月(同7.4か月)となりました。
(※1)「過労死等」とは、過労死等防止対策推進法第2条において、「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう。」と定義されています。
(※2)支給決定件数は、平成26年度中に「業務上」と認定した件数で、平成26年度以前に請求があったものを含みます。
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【ポイント】
1 脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
(1)請求件数は763 件で、前年度比21 件の減となり、3年連続で減少した。
(2)支給決定件数は277件(うち死亡121件) で、前年度比29 件の減となり、2年連続で減少した。
(3)業種別(大分類)では、請求件数は「運輸業,郵便業」168 件 、「卸売業,小売業」 126 件、「建設業」97件の順で多く、支給決定件数は「運輸業,郵便業」92 件、「卸売業,小売業」35 件、「製造業」31 件の順に多い。
中分類では、請求件数、支給決定件数ともに「運輸業,郵便業」の「道路貨物運送業」 120 件、77 件が最多。
(4)職種別 ( 大分類 ) では、請求件数は「輸送・機械運転従事者」 149 件、「サービス職業従事者」125件、「専門的・技術的職業従事者」 102 件 の順で多く、支給決定件数は「輸送・機械運転従事者」88 件、 「専門的・技術的職業従事者」44 件、「管理的職業従事者」37件の順に多い。
中分類では、請求件数、支給決定件数ともに「輸送・機械運転従事者」の「自動車運転従事者」 143 件、85 件が最多。
(5)年齢別では、請求件数は「 50 ~ 59 歳」 251 件、「40~49歳」 222 件、「60 歳以上」198 件の順で多く、支給決定件数は「 50 ~ 59 歳」 111 件、「 40 ~ 49 歳」 93 件、「30~39 歳」39 件の順に多い。
2 精神障害に関する事案の労災補償状況
(1) 請求件数は 1,456 件で、前年度比47 件の増となり、過去最多。
(2) 支給決定件数は 497 件(うち未遂を含む自殺99件)で、前年度比61 件の増となり、過去最多。
(3) 業種別( 大分類)では、請求件数は「製造業」 245 件、「医療,福祉」 236 件、「卸売業,小売業」213 件の順に多く、支給決定件数は「製造業」81 件、「卸売業,小売業」71件、「運輸業,郵便業」63 件の順に多い。
中分類では 、請求件数は「医療,福祉」の「社会保険・社会福祉・介護事業」140件、支給決定件数は「運輸業,郵便業」の「道路貨物運送業」41 件 が最多。
(4) 職種別(大分類)では、請求件数、支給決定件数ともに「専門的・技術的職業従事者」347件、110件、「事務従事者」336 件、99件、「サービス職業従事者」193 件、63件 の順に多い。
中分類では、請求件数、支給決定件数ともに「事務従事者」の「一般事務従事者」 210 件、56 件が最多。
(5) 年齢別では、請求件数、支給決定件数ともに「40 ~49 歳」 454 件、140件、「30 ~3 9 歳」419 件、138件、「 20 ~ 29 歳」 297 件、104件の順に多い。
(6) 出来事別の支給決定件数は、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」72件、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」69 件 の順に多い。
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