塩崎大臣閣議後記者会見概要(H27.4.3(金)10:45 ~ 10:57 省内会見室)【厚生労働省 広報室】 「労働基準法等の一部を改正する法律案」などについて回答
《閣議等について》
(大臣)
おはようございます。4件ございます。まず、本日厚生労働省関係で4法案が閣議決定されました。「社会福祉法等の一部を改正する法律案」、「医療法の一部を改正する法律案」、「労働基準法等の一部を改正する法律案」、「確定拠出年金法等の一部を改正する法律案」で、本国会において速やかに御審議をいただくようお願いしたいと考えております。
それから、本日「第5回まち・ひと・しごと創生本部会合」が開催され、今後の地方創生の取組方針について、石破大臣から御説明がありました。その後、私の方から「厚生労働省まち・ひと・しごと創生サポートプラン」について御紹介するとともに、厚生労働省としては、「このサポートプランを活用しながら、裁量性と責任ある地方主導の政策づくりを全力で支援してまいります」と、発言させていただきましたので御報告いたします。
それから、本日閣議決定されました「労働基準法等の一部を改正する法律案」に関連いたしまして、閣議後の懇談会において、私からお手許の資料のとおり発言をいたしました。詳細については事務方にお尋ねください。
それから本日、いわゆる「国家戦略特区法改正法案」が閣議決定され、この中には、新たに、地域限定保育士制度の創設が入っています。法案成立後、平成27年度から地域限定保育士試験を神奈川県、大阪府、沖縄県および千葉県の4府県で実施する方向で、自治体等との調整を進めています。以上、4件のご報告でございました。
《質疑》
(記者)
労働基準法の改正案が閣議決定されました。昨年の成長戦略に盛り込まれたい わゆる岩盤規制の改革に位置づけられていると思いますが、労基法(労働基準法)の改正はどのように日本経済の成長に資するのかということをお聞かせ願えますでしょうか。
(大臣)
本日国会に提出をいたしました労働基準法等の一部を改正する法律案は、まず、ワークライフバランスの観点から、働き過ぎの是正をするとともに働く方々の多様なニーズに対応する、あるいはまた、経済の新たなニーズにも対応するという、こうした新しい働き方の選択肢を設けるというものでございます。働き過ぎの是正は、政府が掲げます働き方改革の大きな柱であって、改正案には中小企業における月60時間を超える割増賃金率の適用猶予の廃止、それから長時間労働に対する監督指導の強化、年5日について確実に年次有給休暇を取得できる仕組みの創設など、働き方のワーク・ライフ・バランス、これをしっかり実現できる内容を盛り込んでいるところでございます。同時にフレックスタイム制の改革による柔軟な働き方の推進とともに、経済のグローバル化の進展の中で、働く人の意欲や創造性をいっそう発揮させるため企画業務型裁量労働制の対象業務の見直し、それからグローバルに活躍する高度専門職等のニーズに応える高度プロセッショナル制度の創設などを行うこととしております。今般の改正内容は、働き方改革の重要な柱であって、本国会において速やかにご審議をいただき早期に成立させていただきたいと思っておりまして、我々としても努力を重ねていきたいと思っております。
(記者)
昨日官房長官が発表されましたけれども、北朝鮮の第53帰還収容所の死亡者の名簿について公表するということに至ったとのことなんですけれども、遺族の判明につなげるには、単に情報を公開して、遺族からの照会に応じるだけではなくて、モンゴルとか旧ソ連地域でやっているように、故人が判明した場合は、遺族の調査を行って、その方々に資料を郵送するという、旧ソ連とかモンゴルと同じような手続をやってもいいのではないかと思うんですけれども、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
(大臣)
今回このシベリア抑留者への対応が優先されたがために、タイミングが遅れてしまっているということで、可及的に速やかにこれは公表していくことが重要だと思っておりますけれども、そのためにはまず、旧軍の資料と、照会、突き合わせをしていかなければいけないという作業が残っておりまして、順次厚生労働省のホームページに掲載したいと思っておりますけれども、今のようなプロセスを他のロシアのケースと同様にやるべきかどうかということについて、私はまだつぶさには聞いておりませんが、どのようにやるのかということは今後また検討していくことだというふうに思います。
(記者)
今後、モンゴルとか旧ソ連のシベリア抑留中死亡者と同様な扱いをするかどうか検討するという理解でよろしいでしょうか。
(大臣)
それは社会・援護局において検討してまいるというふうに聞いております。
(記者)
あわせて、ちょっとお話があったんですけれども、厚労省として2006年にこの資料を入手していたけれども、今回8年あまりたって公表に至ったわけですけれども、その当時、なぜ公表するという判断に至らなかったのかということと、改めてなぜ今回このタイミングで公表することになったのかということをお尋ねします。
(大臣)
先ほど申し上げたように、約5万件あったシベリア抑留者、こちらへの対応が先になってしまったが故に、北朝鮮の抑留者の方々については後になってしまったということでありますので、このことについては申し訳ない限りでありますけれども、それだけに特に御遺族が御高齢になっておられますので、ここは可及的に対応していくということを反省を持ってやっていかなければならないというふうに思います。
(記者)
今日閣議決定された労働基準法の改正案の絡みで、おうかがいします。今御説明ございました、裁量労働制、あるいはハイプロ、高度プロフェッショナル制の制度がグローバル化の中で、労働生産性を上げるという御説明がございましたが、なぜ、その新しい制度の創設が労働生産性の向上につながるのか、すでに国会でも大臣がいろいろ御説明されているところでございますが、改めて御説明いただければと思います。
(大臣)
いずれも、自らの裁量によって、自分の時間の配分を決めていく中で、短期集中的にお仕事をするとか、そういうことで、一つは高度プロフェッショナル制度の場合には時間と成果を必ずしもリンクさせないという形ですから、短時間で良い結果でるというのが一番理想的だろうというふうに思います。時間をかけてしまう時があるといけないので、健康確保がきっちりと、別に健康管理時間というのを導入して、きちっと健康管理をやっていくということで効率を上げていこうということでありますし、裁量労働制につきましても、先ほど私も申し上げたように、新たな類型として加えていくわけでございますので、それらが自分の裁量でもって、きっちり時間配分を自分でやった上で、良い結果を出すということで生産性を上げていくということだろうというふうに思います。これに関しては、労働時間規制は全て適用であって、みなし時間ということで、この時間外労働の三六協定や割増賃金も、それはそれとしてきっちり適用のあるということでございます。
(記者)
今の労基法の改正に関連してなんですけれども、二つあります。1点、高度プロフェッショナル制度についてですけれども、今大臣がおっしゃたように、自分の裁量で働けるということが背景にあるんですけれども、本質的には、労働時間規制が外されることは書いてありますけれども、自分の裁量で働けるとは書いていないんですね。そこに対する不安というものが広がっています。対象になった人が裁量で働けるという担保はどこにあるのかというのが1点。もう1点は、裁量労働制の拡大ですけれども、裁量労働制の拡大は、年収要件とか、あるいは年齢ですね、経験ですね。そういうものが取られていません。そうなると、すごく広い形で裁量労働が、若い、低賃金の若年層に広がる危険性がありますけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。
(大臣)
後者は、法律で明確に通常支払われる新賃金の3倍ということで。
(記者)
裁量労働制です。
(大臣)
裁量労働制ですか。
(記者)
裁量労働制の方は、年収要件もありませんし、もちろん年齢もないので、例えば営業職でも、25歳の営業職でも、裁量労働制が適用される可能性はあるわけです。そこは高度プロフェッショナルと違うところですけれども、収入でも規定がない点はどう思われるか。
(大臣)
それに対しては、対象は少なくとも、まず第1に、適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者ということを、法律で明確にいたします。それと、法律の後に作られる指針では、少なくても3年ないし5年程度の職務経験を経ることが必要であるということも、はっきりさせるわけでございますし、先ほどお話がありましたけれども、この労働時間規制というのは全て適用になります。
高度プロフェッショナル制度は適用除外になりますけれども、別に、健康管理時間というものを導入した上で、健康管理するという、元々、この労働時間規制というのは健康管理というところが大事なポイントでありますから。
そういう健康を直接管理するような形で、健康管理時間というものを導入するわけですが、いずれにしても、今申し上げたように、対象労働者について、この裁量労働制についてはそういうような形で限っていくということでございますので、今御懸念のようなことはないというふうに、私どもは基本的には、考え方としてはなかなかそういうことはないんじゃないかというふうに思っているところであります。
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