平成26年度「キャリア・コンサルティング研究会報告書」の取りまとめ ~企業経営からみたキャリア・コンサルティングの意義や効果の現状把握と企業の好事例を収集~
厚生労働省では、「平成26年度キャリア・コンサルティング研究会」(座長:小杉 礼子 独立行政法人労働政策研究・研修機構 特任フェロー)の報告書を取りまとめ、3月31日、公表しました。
この研究会は、キャリア・コンサルティング調査・研究事業(※1)の一環として、学識経験者・実務経験者などをメンバーに平成14年度から継続的に開催されているもの。
職業生活の長期化や働き方の多様化など就業環境が大きく変化する中、労働者一人ひとりが、豊かな職業生活を築いていくために、必要に応じてキャリア・コンサルティング(※2)を受けられる環境の整備が重要になっているとのことです。
平成26年度の報告書では、キャリア・コンサルティングのさらなる導入促進のため、企業経営の視点から見て、企業が人事労務関連施策を進める中でキャリア・コンサルティングがどのような機能や役割を果たすことを期待され、また、どのような効果を発揮しているかについて、現状を把握するとともに、企業がキャリア・コンサルティング導入に当たって参考となる好事例を収集し、取りまとめているとのことです。
厚生労働省ではこの報告書を受けて、今後のキャリア・コンサルティングに関する施策の企画・立案に活用していく方針とのことです。
(※1)委託事業。
平成26年度委託先:三菱UFJリサーチ&コンサルティング 株式会社
(※2)「キャリア・コンサルティング」
個人が、その適性や職業経験などに応じて自ら職業生活設計を行い、これに即した職業選択や職業訓練などの職業能力開発を効果的に行うことができるよう、個別の希望に応じて実施される相談などの支援を言います。
【報告書のポイント】
……………………………………………………………………………………………………
1 企業を対象としたアンケート調査(従業員300人以上の民間企業約5,000社)とインタビュー調査(25社の企業人事部門の課長などを対象)によって、社員の自律的なキャリア形成の意義と課題、各種人事労務関連施策とその中でのキャリア・コンサルティングの実施状況、専門人材(キャリア・コンサルタントなど)の役割、キャリア・コンサルティングの効果などを把握した。
2 インタビュー調査により25社のキャリア・コンサルティングの取組好事例を収集し、それぞれの取組の背景、行っている人事施策、その実施体制とキャリアに関する専門人材の役割、効果などを把握した。
3 調査結果を踏まえて、企業がキャリア・コンサルティングに取り組むにあたって、その活用のイメージができるよう、類型を整理した。
○ キャリア開発型
企業を取り巻く環境変化へ対応するため、若年者・中堅者の育成などを図るもの。キャリアに関する制度の企画などは主に内部の専門人材(キャリア・コンサルタントなど)が行う。個別面談は職場の上司・管理者が行い、専門人材はこの側面的支援をする。集合研修は主に外部のキャリア・コンサルタントなどが講師を務める。
○ 課題解決型
女性社員の活躍推進・登用、中高年層のキャリア再構築、雇用延長による60歳以上の社員の活用など各企業の課題の解決を図るもの。キャリアに関する制度の企画などは主に内部の専門人材(キャリア・コンサルタントなど)、個別面談は主に内部のキャリア・コンサルタントなどが行い、集合研修は主に外部のキャリア・コンサルタントなどが行う。
○ 統合型
キャリア開発型と課題解決型が統合されたもの。
4 企業におけるキャリア・コンサルティングの普及の方策として以下を示した。
○ 本研究会報告書の周知・広報
○ 社員に対するキャリア・コンサルタントの資格取得に向けた支援やキャリア・コンサルティングの基本的な知識・スキルを習得するための企業による支援
○ 中小企業における外部人材の活用
【厚生労働省の今後の方針】
企業やキャリア・コンサルタントなどに対して報告書の周知を行うとともに、企業におけるキャリア・コンサルティングの普及に関する施策に役立てていく。
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