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2015年3月 3日 (火)

「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」で答申~労働者代表の高度プロフェッショナル制度創設への反対意見など付記~

 

厚生労働省・労働基準法改正法案を今通常国会に提出

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  労働政策審議会(会長・樋口美雄慶應義塾大学商学部教授)は、昨日(3月2日)、高度プロフェッショナル制度の創設、企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大などを主な内容とする「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」の労働基準法及び労働時間等設定改善法の一部改正について、「おおむね妥当」とした上で、労働者代表委員からの①企画業務型裁量労働制の対象業務を追加することは認められない、②高度プロフェッショナル制度の創設は認められない、③労働時間の量的上限規制及び休息時間(勤務間インターバル)規制を導入すべき――旨の反対意見を付記した答申を行いました。

  法案要綱には、①中小企業に対する月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率(50%以上)の規定の適用猶予の廃止、②使用者への年5日の年次有給休暇の時季指定の義務づけ、③フレックスタイム制の清算期間の上限の延長、④企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大、⑤特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設――などが盛り込まれています。

  法案要綱では、これら改正規定の施行期日は、①については平成31年4月1日、その他の規定は平成28年4月1日としています。

厚生労働省では、労働基準法の改正法案を今通常国会(第189回国会)に提出する予定です。
 
本誌「労働基準広報」では、「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」の内容について、3月21日付号で特集掲載します。



【法律案要綱のポイント】
1.中小企業における月60時間超の時間外労働への割増賃金率の適用猶予廃止
・  月60時間を超える時間外労働に関する割増賃金率(50%超)について、中小企業への猶予措置を廃止する。(平成31年4月1日施行)
 
2.健康確保のために時間外労働に対する指導の強化
・  時間外労働に関する行政官庁の助言指導に当たり、「労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならない」旨を規定する。
 
3.年次有給休暇の取得促進
・  使用者は、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、そのうちの5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする。ただし、労働者の時季指定や計画的付与により取得された年次有給休暇の日数分については時季の指定は要しないこととする。

4.フレックスタイム制の見直し
・  フレックスタイム制の「清算期間」の上限を1か月から3か月に延長する。併せて、1か月当たりの労働時間が過重にならないよう、1週平均50時間を超える労働時間については、当該月における割増賃金の支払い対象とする。
 
5.企画業務型裁量労働制の見直し
・  企画業務型裁量労働制の対象業務に「事業運営に関する事項について企画、立案調査及び分析を行い、その成果を活用して裁量的にPDCAを回す業務」と「課題解決型提案営業」とを追加するとともに、対象者の健康・福祉確保措置の充実等の見直しを行う。
 
6.特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設
・  職務の範囲が明確で一定の年収要件(少なくとも1,000万円以上)を満たす労働者が、高度な専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、健康確保措置等を講じること、本人の同意や委員会の決議などを要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする。
・  制度の対象者について、在社時間等が一定時間を超える場合には、事業主は、その労働者に対し、必ず医師による面接指導を実施しなければならないこととする(労働安全衛生法の改正)。
 
7.企業単位での労使の自主的な取組の促進
・  企業単位での労働時間等の設定改善に関する労使の取組を促進するため、企業全体を通じて設置する労働時間等設定改善企業委員会の決議をもって、年次有給休暇の計画的付与等に関する労使協定に代えることができることとする(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の改正)。
 
 ※ 施行期日:1について平成31年4月1日、他は平成28年4月1日

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