政府・労働者派遣法改正案を閣議決定~今通常国会に再々提出~
政府は本日(3月13日)午前の閣議で「労働者派遣法改正案」を決定し、同日、今通常国会(第189回)に提出しました。
労働者派遣制度の見直しについては、昨年1月29日、労働政策審議会が労働者派遣制度の改正について田村憲久厚生労働大臣(当時)に建議していました。
特定労働者派遣・一般労働者派遣の区別を撤廃し、すべての労働者派遣事業を許可制とすることなどを柱とする労働者派遣法改正法案は、昨年3月11日に通常国会に提出されましたが、条文に誤りが見つかり、審議未了により廃案となっていました。
その後、改正法案は昨年の臨時国会に再提出される形になりましたが、衆議院解散により廃案となりました。
3度目となる今通常国会への提出で成立を目指します。
今回再々提出された改正法案の施行期日などの修正点については、追って紹介します。
「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案」の概要
平成24年改正時の附帯決議等を踏まえ、派遣労働者の一層の雇用の安定、保護等を図るため、特定労働者派遣事業を廃止するとともに、労働者派遣の役務の提供を受ける者の事業所その他派遣就業の場所ごとに派遣可能期間を設ける等の所要の措置を講ずる。
1.派遣事業の健全化
○ 特定労働者派遣事業(届出制)と一般労働者派遣事業(許可制)の区別を廃止し、全ての労働者派遣事業を許可制とする。
2
.派遣労働者の雇用安定とキャリアアップ
○ 派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップ、雇用継続を推進するため、以下の措置を講ずる。
① 派遣労働者に対する計画的な教育訓練や、希望者へのキャリア・コンサルティングを派遣元に義務付け。
② 派遣期間終了時の派遣労働者の雇用安定措置※(雇用を継続するための措置)を派遣元に義務付け。
(3年経過時は義務、1年以上3年未満は努力義務)
派遣元の義務規定への違反に対しては、許可の取消も含め厳しく指導。
※ ①派遣先への直接雇用の依頼②新たな派遣先の提供③派遣元での無期雇用④その他安定した雇用の継続を図るために必要な措置
3.労働者派遣の位置付けの明確化
○ 厚生労働大臣は労働者派遣法の運用に当たり、派遣就業が臨時的・一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮する。
4.より分かりやすい派遣期間規制への見直し
○ 現行制度では、専門業務等のいわゆる「26業務」には期間制限がかからず、その他の業務には最長3年の期間制限がかかるが、分かりやすい制度と
するため、これを廃止し、新たに以下の制度を設ける。
① 事業所単位の期間制限: 派遣先の同一の事業所における派遣労働者の受入れは3年を上限とする。それを超えて受け入れるためには
過半数労働組合等からの意見聴取が必要。意見があった場合には対応方針等の説明義務を課す。
② 個人単位の期間制限: 派遣先の同一の組織単位(課)における同一の派遣労働者の受入れは3年を上限とする。
5.派遣労働者の均衡待遇の強化
○ 派遣元と派遣先双方において、派遣労働者と派遣先の労働者の均衡待遇確保のための措置を強化する。
6.検討規定
○ 施行3年後の見直し検討に加え、
➀正社員と派遣労働者の数の動向等を踏まえ、能力の有効発揮と雇用安定に資する雇用慣行が損なわれるおそれがある場合は速やかに検討を行う。
➁均等・均衡待遇の確保の在り方を検討するため調査研究その他の必要な措置を講ずる。
●施行期日: 平成27年9月1日
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