改正社会保険労務士法が今年4月1日施行
平成28年1月から社員が1人の社労士法人の設立が可能に
民間紛争解決手続(ADR)における紛争の目的の価額の上限を120万円に引き上げるなどを柱とする「社会保険労務士法の一部を改正する法律」(平成26年法律第116号)は、平成26年6月13日に第 186回通常国会に提出され、同年11月14日に第187回臨時国会において可決成立し同月21日公布された。ここでは、社会保険労務士法の改正ポイントをみる。
近年、企業組織の再編や人事労務管理の個別化等に伴い、個別労働関係紛争が増加しており、以前にも増して紛争の迅速かつ的確な解決が求められている。そのため、熟達した社会保険労務士の活躍に対する要請は、量的にも、質的にもますます増大しているという(平26・11・21 基発1121第1号、年管発1121第1号)。
紛争上限額120万円は今年4月から
そのため、①個別労働関係紛争に関する民間紛争解決手続における紛争の目的の価額の上限の引上げ、②社会保険労務士が裁判所において補佐人として出頭し陳述できることとする、③社員が1人の社会保険労務士法人の設立を可能とする――などを柱とする社会保険労務士法の改正が行われた。
施行期日は、今年3月6日に公布された政令(第69号)により、①、②は今年4月1日、③は平成28年1月1日と定められた。
①の「個別労働関係紛争に関する民間紛争解決手続における紛争の目的の価額の上限の引上げ(施行期日 平成27年4月1日)」とは、厚生労働大臣が指定する団体(「全国社会保険労務士会連合会」など全46団体)が行う個別労働関係紛争に関する民間紛争解決手続(ADR)において、特定社会保険労務士が単独で紛争の当事者を代理することができる紛争の目的の価額の上限を、現行の「少額訴訟の上限額(60万円)」から、「120万円」に引き上げるもの(社会保険労務士法第2条第1項関係)。
②の「補佐人制度の創設(施行期日 平成27年4月1日)」とは、社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができるものとする改正(同法第2条の2関係)。社会保険労務士法人が上記の事務の委託を受けることができることについても規定された(同法第25条の9の2関係)。
③の「社員が1人の社会保険労務士法人(施行期日 平成28年1月1日)」とは、社員(社会保険労務士)が1人の社会保険労務士法人の設立等を可能とする(同法第25条の6等関係)。なお、現行制度では2人以上の社会保険労務士が必要とされている。
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