「新企画・新実務シリーズ/人事異動の法律ルールと実務Q&A!第2回・人事異動の共通知識②」「解釈例規物語66/長距離出張中の旅行時間は労働時間ではないとする見解が有力?」(中川恒彦)~労働基準広報2015年2月21日号の内容~
労働調査会発行 労働基準広報2015年2月21日号のコンテンツです
●新実務シリーズ/人事異動の法律ルールと実務Q&A
第2回・人事異動の共通知識②
~コース別雇用管理の留意点・男女差別の禁止など~
募集・採用・昇進・職種変更の際の合理的な理由のない転勤要件は禁止
(労務コンサルタント・布施直春)
使用者が適法・有効に人事異動を行うためのポイントについて、Q&A形式で解説する本企画。今回は、コース別雇用管理とその留意点、グループ経営における人事労務管理、男女差別の禁止などについて解説する。
労働者の募集・採用・昇進・職種の変更をする際に、合理的な理由がないにもかかわらず転勤要件を設けることは「間接差別」として均等法で禁止されている。間接差別とは、外見上は性中立的であるものの、一方の性に相当程度の不利益を与え、その要件に業務遂行上の必要など合理性がないものをいう。
均等法では、①募集・採用に当たって、身長、体重または体力を要件とする、②募集・採用・昇進・職種変更に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とする、③労働者の昇進に当たって、転勤の経験があることを要件とする――の措置を合理的な理由なく講じることが「間接差別」として限定列挙されている。
なお、これら以外のケースについても、均等法違反とはならないが、裁判において、間接差別として違法と判断される可能性がある。
●解釈例規物語66/第32条、第35条関係・旅行時間 ─その1─
長距離出張中の旅行時間は労働時間ではないとする見解が有力?
(中川恒彦)
前回(第65回(2015年1月21日付号))においては、「業務遂行に伴う移動時間」について解説した。今回は、そのような一定範囲の営業区域内における移動時間ではなく、長距離出張の場合の移動時間(ここでは「旅行時間」ということにする。)について考えることとする。
東京の場合、飛行機を利用すれば、九州、北海道でも、主要な都市には沖縄を除き2時間以内で移動は可能であるが、それは飛行時間であって、その前後の時間もかなりあり、出張先次第では4時間、5時間あるいはそれ以上要するところもある。 そのような出張のために飛行機に搭乗している時間、新幹線、在来線、リムジンバス、タクシー等に乗車している時間は、労働時間に該当するのであろうか。これらの交通機関に長時間乗っているだけの場合は、何ら具体的業務に従事していないのであるから、労働時間として取り扱う必要はない、という考え方もあり得る。しかし、具体的労働には従事していないかも知れないが、企業の業務を遂行するために移動している時間を労働時間ではないというのも少しおかしいのではないかという気もする。
裁判例には、「労働時間に該当しない」「該当する」の双方があるが、数としては「該当しない」とするものの方が多いように思える。
●裁判例から学ぶ予防法務〈第6回〉 学校法人尚美学園事件
(東京地裁 平成24 年1月27 日判決)
前職でのセクハラ等の不告知を理由とする解雇
前職の退職理由を重視するならば採用選考の段階で確認しておくべき
(弁護士・井澤慎次(ユナイテッド・コモンズ法律事務所))
今回は、大学教授が前職におけるパワハラ等の問題の不告知を理由に解職(普通解雇)された「学校法人尚美学園事件」(東京地裁 平成24年1月27日判決)を取り上げる。採用面接時に企業側が質問しなかった点については、採用の判断材料として必須事項ではなかったとみなされる。前職の退職理由を聞かなかったならば、退職理由は特に問題としない意向であったと判断される。退職理由を重視するなら採用選考の段階でそれを確認しておくべきだろう。
●労働局ジャーナル
奈良労働局が働き方改革推進本部を設置し
長時間労働削減などの「働き方改革」を推進
(奈良労働局)
奈良労働局(荒川あや子局長)は1月8日、荒川局長を本部長とする「奈良労働局働き方改革推進本部」を設置した。同推進本部は、⑴労働局長、労働基準部長による企業経営陣への働きかけ、⑵地方自治体、労使団体等との連携による働き方の見直しに向けた地域全体における気運の醸成──により、企業の自主的な働き方の見直しを推進することをその目的としており、塩崎恭久厚生労働大臣を本部長とする「長時間労働削減推進本部」の下、平成27年1月より順次、全国に設置されている。
●NEWS
(労政審・若者雇用対策の充実を塩崎厚労相に建議)マッチングの向上を図る認定制度の創設を/
(26年の労働災害の速報値まとまる)死亡者数は前年同期比1.5%増の969人に/
(27年度の雇用保険料率は据え置き)一般の事業は1.35%、建設の事業は1.65%に/ほか
●連載 労働スクランブル 第207回(労働評論家・飯田康夫)
●労務資料 平成26年賃金引上げ等の実態調査結果①~賃金の改定状況等~
●わたしの監督雑感 三重・伊勢労働基準監督署長 小野紀孝
●今月の資料室
●労務相談室
労働基準法
〔退職前の年休消化中に新たな年休が発生〕退職日変更を拒否したい
弁護士・新弘江
解雇・退職
〔1年後を退職日とする退職届け〕退職日の前倒しは可能か
弁護士・岡村光男
訴訟・紛争
〔解雇無効の判決出た際の賃金請求権〕得ていた収入控除できるか
弁護士・鈴木一嗣
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