厚生労働省 土屋喜久安全衛生部長 平成27年 年頭所感
平成27年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。
日頃より労働安全衛生行政の推進に対して多大なるご支援とご協力を賜っておりますことに、厚く御礼申し上げます。
昨年は、上半期の大幅な労働災害の増加を受け、8月に、緊急対策を実施いたしました。昨年11月末時点の速報値では、死亡災害は、866人と前年と比較して0.5%の増加、休業4日以上の死傷災害は、96,900人と前年と比較して0.6%の増加となり、ほぼ前年同というところまではきていますが、昨年から減少するまでには未だ至っていません。
そもそも労働災害はあってはならないものであり、今年こそは、労働災害を減少に転じさせるべく、災害防止に向けた取組を着実に進めることが必要です。
このため、今年は、死亡災害については、「撲滅」をスローガンとして、業種横断的には、交通事故対策を柱とし、併せて製造業においては、機械のはさまれ・巻き込まれ対策、建設業においては、足場からの墜落・転落対策に重点的に取り組んでいきます。また、死傷災害については、業種横断的な取組として、労働災害全体の2割を占める「転倒」災害に着目し、「STOP転倒災害プロジェクト2015」を展開し、第三次産業を含め、転倒災害防止に重点的に取り組んでいきます。
また、昨年6月に、第186回通常国会において、労働安全衛生法の一部を改正する法律(平成26年法律第82号。)が成立しました。
この改正法は、化学物質による健康被害が問題となった胆管がん事案の発生や、精神障害を原因とする労災認定件数の増加など、最近の社会情勢の変化や労働災害の動向に即応し、労働災害発生の未然防止を図ることを目的としたものです。
改正法は改正内容ごとに段階的に施行されることとされていますが、本年は、6月1日に特別安全衛生改善計画制度の創設、受動喫煙防止対策の努力義務化等が、12月1日にストレスチェック制度の創設が施行されることとなっています。
このうちストレスチェック制度の創設については、昨年10月から、ストレスチェックの実施方法、結果の労働者への通知方法、面接指導の実施方法等についての検討会を開催し、昨年12月15日に検討会報告書を取りまとめました。今年も引き続き、関連する省令、指針等を定めるとともに、ストレスチェック及び面接指導等を行う医師、保健師等への研修の実施、制度の周知等を行うこととしています。
改正法に盛り込まれた内容は、いずれも、労働者の安全と健康を確保するため重要なものであり、その円滑な施行のためには、「早めの準備が重要です。制度の周知等を含め、施行に向けた準備をしっかりと進めて参ります。
さらに、昨年11月には、過労死等防止対策推進法が施行されました。この法律において掲げられている過労死等の防止のための対策のうち、「調査研究に関しては、昨年11月から労働安全衛生総合研究所に「過労死等調査研究センター」を設置しており、過労死等の事例分析や過労死等の要因及び防止対策のための医学面、保健面からの調査研究を行うこととしています。また、「相談体制の整備」に関しては、今年4月からメンタルヘルス不調や過重労働による健康障害等に関する労働者等からの相談に対応する電話相談窓口の開設を予定しています。
過労死等防止対策推進法の趣旨を踏まえ、これらの取組を通じて、過労死等の防止対策を進めていきます。
これらに加え、東京電力福島第一原発の廃炉作業、除染作業、復旧復興工事など、被災地の労働者の健康と安全の確保も引き続き重要な課題であり、これらにもしっかりと取り組んでいきます。
以上のように、安全衛生行政として取り組むべき課題は山積しておりますが、労働者の健康と安全の確保、労働災害防止対策の徹底について、都道府県労働局・労働基準監督署も含め、行政一丸となって、災防団体や関係団体とも連携し、全力で取り組んでまいります。引き続き、皆様方の一層のご支援、御協力をお願いします。
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