厚生労働省 香取照幸年金局長 平成27年 年頭所感
新年を迎えて(年頭御挨拶)
厚生労働省年金局長 香取 照幸
平成二十七年の新春を迎えるに当たり、謹んでお慶び申し上げます。
年の初めに当たり、日頃からの年金行政へのご理解とご協力に厚く御礼を申し上げますとともに、今後の年金行政につきまして新年に臨む決意を述べさせていただきます。
昨年は、五年に一度の公的年金の財政検証や、一定の制度改正を仮定した場合のオプション試算を実施しました。公的年金制度については、一昨年に成立した「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」に則り、財政検証やオプション試算で得られた結果を踏まえ、労働参加を促進し、年金を支える経済社会の発展に寄与するという観点や、持続可能性を強固にし、セーフティネット機能を強化する観点から、①マクロ経済スライドに基づく年金給付の額の改定の在り方、②短時間労働者に対する厚生年金保険や健康保険の適用範囲の拡大、③高齢期における職業生活の多様性に応じ、一人一人の状況を踏まえた年金受給の在り方、④高所得者の年金給付の在り方や公的年金等控除を含めた年金課税の在り方の見直し、などの課題について、社会保障審議会年金部会において検討を行いました。
これらの検討課題については、本年早々に議論を取りまとめ、必要な取組を進めていくこととしています。
年金の積立金の運用については、自主運用開始以来、年金財政上必要な利回りを確保しており、昨年も内外の経済環境等に恵まれ、一昨年に引き続き、高い収益をあげております。
また昨年は、財政検証の結果を踏まえ、年金積立金管理運用独立行政法人において、デフレからの脱却、適度なインフレ環境への移行など長期的な経済・運用環境の変化に即し、基本ポートフォリオを前倒して見直したところであり、本年四月から開始する新しい中期目標期間にあたっては、体制も整備し、本格的に取り組みます。
また、年金積立金管理運用独立行政法人のガバナンス体制の強化についても、社会保障審議会年金部会で検討を進めてまいります。
今後も専ら被保険者の利益のために、年金積立金管理運用独立行政法人の専門性を十分生かしつつ、安全かつ効率的な年金資金運用の性格に即し、必要な見直し等に取り組んでまいります。
企業年金制度については、確定給付企業年金・確定拠出年金の創設から十年が経過する中で、働き方の多様化が進む現状や、今後の公的年金の中長期的な給付水準等を踏まえ、個々人のライフスタイルに合わせた老後の生活設計を支える仕組みとして全体的な見直しを行う時期にあります。諸外国でも公的年金制度の財政的課題や働き方の多様化に対応し、公的年金と私的年金を組み合わせて国民の老後の所得確保を図る方向性が示されており、我が国においても、こうした視点をベースに、国民の老後の所得確保を一層充実させるべく、企業年金の普及・拡大や、老後に向けた継続的な自助努力の支援等を行っていきたいと考えております。
年金の事業運営については、国民年金保険料の納付率の向上や、関係省庁とも連携した厚生年金保険の適用促進などに着実に取り組んでいくとともに、昨年成立した「政府管掌年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律」に基づき、新たな年金記録の訂正手続等が円滑に実施されるよう取り組みを進め、信頼される公的年金業務の確保に向けて努力を重ねてまいります。
社会保障協定については、昨年十月十日にルクセンブルクとの協定が署名に至り、本年はその国会承認に向けた準備を進めてまいります。これまでに発効した協定国数は十五カ国となっており、また、現在、七カ国との間で交渉や協議を行っているところです。今後とも、協定締結国の一層の拡大に取り組んでまいります。
以上、新年を迎えての私の決意を述べました。年金制度には、取り組むべき多くの課題がありますが、本年も長期的な視野に立って全力で取り組んでまいる所存です。最後に、本年が皆様方にとって実りあるものとなることを祈念いたしまして、御挨拶の結びとさせていただきます。
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