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2014年12月19日 (金)

平成25年度障害者雇用実態調査の結果公表 5年に1度 障害者の労働時間、賃金、勤続年数などの実態を調査

厚生労働省では、このほど、平成252013)年11月に実施した「平成25年度障害者雇用実態調査」の結果を取りまとめ、12月18日付で、公表しました。

この調査は、民営事業所における障害者の雇用の実態を把握し、今後の障害者の雇用施策の検討や立案に役立てることを目的に、事業所調査と個人調査の2種類の調査を、5年ごとに実施しています。

事業所調査は、常用労働者5人以上を雇用する民営事業所のうち、無作為に抽出した約13,100事業所が対象です。個人調査は、事業所調査の対象事業所から半数を抽出し、それらの事業所に雇用されている身体障害者、知的障害者、精神障害者を対象に実施しました。

回収数は、事業所票が8,673事業所(回収率66.0%)、個人票が9,679票で、内訳は身体障害者7,507人(同62.4%)、知的障害者1,620人(同71.6%)、精神障害者552人(同52.6%)でした。

 

 

 

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【調査結果の主なポイント】

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前回調査(平成20年度)と比較し、総計で雇用者数が増加し、全体的に障害者雇用は着実に進展。特に、知的障害者と精神障害者については、週20時間以上30時間未満の雇用者数の伸びが堅調。

<事業所調査の結果> 

○  従業員規模5人以上の事業所に雇用されている障害者数 631,000 人で、前回調査に比べて 18 3,000 人の増加(平成 20 年度 44 8,000人)。

内訳は、 身体障害者が 43 3,000 人(同 34 6,000人)、知的障害者が15万人(同7万3,000人)、精神障害者が4万8,000人(同2万9,000人)。

 

○ 週所定労働時間が 20 時間以上 30 時間未満の短時間労働者の割合が前回より増加。

・ 身体障害者 12.0%(対前回比2.7ポイント減)

・ 知的障害者 26.5%(同13.3ポイント増)

・ 精神障害者 26.2%(同1.4ポイント増)

<個人調査の結果> 

○ 職場における改善が必要な事項や要望として最も多い項目は次のとおり。

・ 身体障害者「能力に応じた評価、昇進・昇格」28.0

・ 知的障害者「今の仕事をずっと続けたい」52.3

・ 精神障害者「能力に応じた評価、昇進・昇格」31.2

○ 将来に対する不安として最も多い項目は次のとおり。

・ 身体障害者「老後の生活が維持できるか」63.9

・ 知的障害者「親がいなくなったら生活を助けてくれる人がいなくなる」37.3

・ 精神障害者「仕事を続けられるかどうか」71.5

 

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※ 平成23年 生活のしづらさなどに関する調査」によると、18~65歳未満の在宅の障害者数は、身体障害者 約111万人、知的障害者 約40.8万人、精神障害者 約172.4万人――合計324.2万人となっている。

 

 

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調査結果の概要

1 事業所調査

 

(1) 身体障害者、知的障害者及び精神障害者の雇用状況

障害者の雇用状況については、産業別、事業所規模別の回収結果をもとに復元をした推計値を利用して分析を行った。

ア  障害の種類・程度別の雇用状況

身体障害者について、障害の種類別にみると、肢体不自由が43.0%(前回(平成20年度)は36.6%)、内部障害が28.8%(同34.6%)、聴覚言語障害が13.4%(同16.8%)となっている。

知的障害者については、重度が21.7%(同36.3%)、重度以外が69.5%(同45.7%)となっている。

精神障害者については、精神障害者保健福祉手帳により精神障害者であることを確認している者が83.0%(同45.6%)、医師の診断等により確認している者が14.6%(同53.6%)となっている。

精神障害者保健福祉手帳の等級をみると、3級が40.2%で最も多くなっている。また、医師の診断等による確認のうち、最も多い疾病は「そううつ病」で10.8%となっている。

     

     

 

イ 雇用形態

雇用形態をみると、身体障害者は55.9%(前回は64.4%)、知的障害者は18.8%(同37.3%)、精神障害者は40.8%(同46.7%)が正社員となっている。

ウ 労働時間

週所定労働時間をみると、身体障害者は81.8%(前回は82.8%)、知的障害者は61.9%(同79.1%)、精神障害者は68.9%(同73.1%)が週30時間以上となっている。

エ 職業

職業別にみると、身体障害者は事務的職業が31.7%と最も多く、知的障害者は生産工程従事者が25.6%と最も多く、精神障害者は事務的職業が32.5%と最も多くなっている。 

オ 賃金

平成2510月の平均賃金をみると、身体障害者は223千円(前回は254千円)、知的障害者は108千円(同118千円)、精神障害者は159千円(同129千円)となっている。

カ 勤続年数

平均勤続年数をみると、身体障害者は10年(前回は92月)、知的障害者は79月(同92月)、精神障害者は43月(同64月)となっている。

(注) 採用後に身体障害者又は精神障害者であることを承知した者については、身体障害者手帳又は精神障害者保健福祉手帳等により身体障害者又は精神障害者であることを承知した年月(ただし、身体障害者又は精神障害者であることを承知した年月が明らかでないときは、手帳等の交付日)を、それぞれ起点とした勤続年数である。

(2) 障害者雇用に当たっての課題・配慮事項

障害者を雇用する際の課題としては、身体障害者、知的障害者、精神障害者ともに、「会社内に適当な仕事があるか」が最も多くなっている。

また、雇用している障害者への配慮事項としては、身体障害者については、「配置転換等人事管理面についての配慮」が、知的障害者については、「工程の単純化等職務内容の配慮」が、精神障害者については、「通院・服薬管理等雇用管理上の配慮」が最も多くなっている。

(3) 関係機関に期待する取組み

障害者を雇用する上で関係機関に期待する取組みとしては、身体障害者については、「障害者雇用支援設備・施設・機器の設置のための助成・援助」が最も多く、知的障害者及び精神障害者については、「具体的な労働条件、職務内容等について相談できる窓口の設置」が最も多くなっている。

 

2 個人調査

 

(1)身体障害者

ア  就職に際しての相談先

就職に際しての相談先については、「公共職業安定所」が33.6%と最も多く、次いで「自分で探した」が21.3%となっている。

イ 職場における改善等が必要な事項

仕事を続けていく上で、さらに改善・充実・整備が必要とされていることは、「能力に応じた評価、昇進・昇格」が28.0%で最も多く、次いで「調子の悪いときに休みを取りやすくする」(19.6%)、「コミュニケーションを容易にする手段や支援者の配置」(18.0%)となっている。

ウ 仕事に関する相談相手

仕事に関する相談相手については、「家族・親戚」(52.6)、「職場の同僚・友人」(44.4)、「職場の上司や人事担当者」(41.4)が順に多くなっている。

エ 将来への不安

将来に対する不安について、「ある」と回答した者は70.0%(前回は70.4%)おり、不安に思っている事項としては、「老後の生活が維持できるか」(63.9)、「仕事を続けられるかどうか」(60.7)が多くなっている。

(2) 知的障害者

 

ア  就職にあたっての相談相手

就職にあたっての相談相手については、「家族」「学校の先生」が27.0%で最も多く、次いで「障害者就業・生活支援センター」が10.9%となっている。

イ 職場での要望事項

現在の職場での要望事項については、「今の仕事をずっと続けたい」が52.3%と最も多く、次いで「職場で困ったときに相談できる人がほしい」が12.3%となっている。

ウ 職場で困った時の相談相手

職場で困ったときの相談相手については、「職場の上司」(44.3)、「職場でいっしょに働いている人」(34.3)が順に多くなっている。

エ 将来への不安

将来に対する不安について、「ある」と回答した者は47.0%(前回は53.3%)おり、その理由としては、「親がいなくなったら生活を助けてくれる人がいなくなる」(37.3%)、「いまの仕事をつづけていけるかどうかわからない」(23.0%)が多くなっている。

(3)精神障害者

ア 就職に際しての相談先

就職に際しての相談先については、「公共職業安定所」が50.0%と最も多く、次いで「障害者就業・生活支援センター」が24.1%となっている。

イ 職場における改善等が必要な事項

仕事を続けていく上で、さらに改善・充実・整備が必要とされていることは、「能力に応じた評価、昇進・昇格」が31.2%と最も多く、次いで「調子の悪いときに休みを取りやすくする」が23.1%と多くなっている。

ウ 仕事に関する相談相手

仕事に関する相談相手については、「家族・親戚」(40.4)、「職場の上司や人事・健康管理担当者」(37.0)、「医療機関(主治医)」(28.8)が順に多くなっている。

エ 将来への不安

将来に対する不安について、「ある」と回答した者は81.9%(前回は83.3%)おり、不安に思っている事項としては「仕事を続けられるかどうか」(71.5)、「老後の生活が維持できるか」(68.1)が多くなっている。

 

 

 

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【参考】

平成23年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)結果(抜粋)

 

 

◆ 障害者手帳所持者数等(推計値)

 

○ 調査結果によると障害者手帳所持者数は4,792千人と推計される。

障害者手帳の種類別等でみると、身体障害者手帳所持者が3,864千人(前回調査時3,576千人)、療育手帳所持者が622千人(前回調査時419千人)、精神障害者保健福祉手帳所持者が568千人、障害者手帳非所持でかつ障害者自立支援法に基づく自立支援給付等を受けている者(以下、手帳非所持かつ自立支援給付等を受けている者)が320千人となっている。

年齢階級・障害者手帳の種類別の割合をみると身体障害者手帳所持者は、「70歳以上」が57.4%、療育手帳所持者は「3039歳」が20.5%、精神障害者保健福祉手帳所持者は「4049歳」が20.9%と最も多くなっている。

○ 性別にみると、65歳未満の男が1,146千人(55.5%)、女が917千人(44.4)65歳以上は男が1,438千人(47.2%)、女が1,586千人(52.1%)となっている。

(参考)医師から発達障害と診断された者の数及び医師から高次脳機能障害と診断された者の数(推計値)

○ 平成23121日現在における、医師から発達障害と診断された者の数(以下「発達障害と診断された者の数」という。)は318千人と推計される。また、医師から高次脳機能障害と診断された者の数(以下「高次脳機能障害と診断された者の数」という。)は422千人と推計され、発達障害と診断された者の数の77.4%、高次脳機能障害と診断された者の数の65.9%が障害者手帳を所持している。また、障害者手帳の種類別にみると、発達障害と診断された者の数では療育手帳所持者の割合が59.7%と最も高く、次いで身体障害者手帳所持者が17.6%、精神障害者保健福祉手帳所持者が16.4%となっている。高次脳機能障害と診断された者の数では身体障害者手帳所持者の割合が55.1%と最も高く、次いで精神障害者保健福祉手帳所持者が13.4%、療育手帳所持者が6.5%となっている。


 

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