マイカー通勤と通勤手当の非課税限度額⑤ (10月20日からの非課税限度額に基づく通勤手当① 160円/1L)
レギュラーガソリン1リットル当たり160円・1ヵ月20日勤務のケース
本日(10月20日)から、マイカー通勤の非課税限度額が引上げになりました(所得税法施行令の一部を改正する政令(政令第338号))。
そこで、ここでは、新しくなった通勤手当の非課税額に基づいて定められた通勤手当で、マイカー通勤をする方のガソリン代をカバーできるかについて、レギュラーガソリン1リットル当たり160円、1ヵ月の勤務日数は20日として計算してみます(あくまで概算です)。
マイカー通勤と通勤手当の非課税限度額③では、レギュラーガソリン1リットル当たり160円として、従前の非課税限度額に基づく計算をしていますが、今回の引上げにより、2キロメートル以上の区分で、100円から7100円の引き上げ(新設の区分を含む)となりましたので、従前よりは、若干の余裕ができるのではと考えられます。
また、新たに通勤距離が「片道55キロメートル以上」の区分(3万1600円)も新設されました。
今回は、通勤距離が
片道2km以上10km未満
片道10km以上~15km未満
片道55km以上の場合【新設】
――の3つのケースで計算してみます。
片道2km以上10km未満で通勤手当が〈4200円〉(※)の場合
※ 今回の改正により100円引上げ
4200円÷160円=約26.2L(リットル) 小数点第2位以下切り捨て
1Lで10km走る車なら約262km走行可能。
→ 1ヵ月20日勤務する場合 → 片道約6.55km以内であればカバーできる。
1Lで15km走る車なら約393km走行可能。
→ 1ヵ月20日勤務する場合 → 片道約9.825km以内であればカバーできる。
1Lで20km走る車なら約524km走行可能。
→ 1ヵ月20日勤務する場合 → 片道約13.1km以内であればカバーできる。
片道10km以上~15km未満〈7100円〉(※)の場合
※ 今回の改正により600円引上げ
7100円÷160円=約44.3L(リットル)小数点第2位以下切り捨て
1Lで10km走る車なら約443km走行可能。
→ 1ヵ月20日勤務する場合 → 片道約11.075km以内であればカバーできる。
1Lで15km走る車なら約664.5km走行可能。
→ 1ヵ月20日勤務する場合 → 片道約16.6125km以内であればカバーできる。
1Lで20km走る車なら約886km走行可能。
→ 1ヵ月20日勤務する場合 → 片道約22.15km以内であればカバーできる。
片道55km以上〈3万1600円〉(※)の場合
※ 今回の改正により【新設】
3万1600円÷160円=約197.5L(リットル)小数点第2位以下切り捨て
1Lで10km走る車なら約1975km走行可能。
→ 1ヵ月20日勤務する場合 → 片道約49.375km以内であればカバーできる。
1Lで15km走る車なら約2962.5km走行可能。
→ 1ヵ月20日勤務する場合 → 片道約74.0625km以内であればカバーできる。
1Lで20km走る車なら約3950km走行可能。
→ 1ヵ月20日勤務する場合 → 片道約98.75km以内であればカバーできる。
上記のように1Lで15km走る車ならば、片道の通勤距離が非課税額の区分ギリギリいっぱいのときでも、通勤手当のみでカバーすることも可能になってくるかと考えられます。
しかし、勤務日数が21日以上になると、通勤手当のみでガソリン代をカバーするのは難しくなってきます。
実際は、年次有給休暇や特別休暇などを取得しない月ならば、22日以上勤務するケースも多いことと考えられますので、1L当たり15km走る車でも、通勤手当だけでカバーするのは難しくなるでしょう。
非課税限度額と同額の通勤手当でガソリン代をカバーしたい場合は、1L当たり17km程度走る車だと安心できるかもしれません。しかし、そのような車種はかなり限定されてしまいます。通勤手当のために、乗り換えるのも、変な話ですし…。やはり、自分の好きな車を、車にも燃料にも周囲にも、やさしく運転するのがよろしいかと思われます。
なお、一定額まで所得税が非課税とされている通勤手当ですが、労働保険・社会保険では、控除をしないで全額賃金や報酬に含めることになります。
『労働基準広報』では、マイカー通勤者(自動車通勤者)等の通勤手当の非課税限度額の引上げについて解説記事を掲載する予定です。
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