「労働安全衛生法の一部を改正する法律案」が国会に提出~ストレスチェック制度の創設 ・受動喫煙防止対策の推進などが柱~
政府は3月11日の閣議で、「労働安全衛生法の一部を改正する法律案」を決定し、本日(3月13日)、第186回通常国会に提出しました。
今回の改正の主な柱は、ストレスチェック制度の創設 、受動喫煙防止対策の推進、重大な労働災害を繰り返す企業への対応――などとなっています。
労働安全衛生法の一部を改正する法律案の概要
化学物質による健康被害が問題となった胆管がん事案など最近の労働災害の状況を踏まえ、労働災害を未然防止するための仕組みを充実
・ 特別規則で規制されていない化学物質が原因で胆管がんの労災事案が発生
⇒ 化学物質のリスクを事前に察知して対応する必要性
・ 精神障害の労災認定件数の増加
⇒ 労働者の健康状態を把握し、メンタル不調に陥る前に対処する必要性
・ 同一企業における同種の災害の発生
⇒ 当該企業の他の事業所における災害発生を未然に防止する必要性 等
改正内容
1.化学物質管理のあり方の見直し
○ 特別規則の対象にされていない化学物質のうち、一定のリスクがあるもの等について、事業者に危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)を義務付け。
2.ストレスチェック制度の創設 【前回提出法案(※)から修正】
○ 労働者の心理的な負担の程度を把握するための、医師、保健師等による検査(ストレスチェック)の実施を事業者に義務付け。ただし、従業員50人未満の事業場については当分の間努力義務とする。
○ ストレスチェックを実施した場合には、事業者は、検査結果を通知された労働者の希望に応じて医師による面接指導を実施し、その結果、医師の意見を聴いた上で、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮その他の適切な就業上の措置を講じなければならないこととする。
3.受動喫煙防止対策の推進 【前回提出法案(※)から修正】
○ 受動喫煙防止のため、事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずることを努力義務とする規定を設ける。
4.重大な労働災害を繰り返す企業への対応
○ 厚生労働大臣が企業単位での改善計画を作成させ、改善を図らせる仕組みを創設。(計画作成指示等に従わない企業に対しては大臣が勧告する。それにも従わない企業については、名称を公表する。)
5.外国に立地する検査機関等への対応
○ 国際的な動向を踏まえ、ボイラーなど特に危険性が高い機械を製造等する際に受けなければならないこととされている検査等を行う機関のうち、外国に立地するものについても登録を受けられることとする。
6.規制・届出の見直し等
○ 建設物又は機械等の新設等を行う場合の事前の計画の届出(法第88条第1項)を廃止。
○ 特に粉じん濃度が高くなる作業に従事する際に使用が義務付けられている電動ファン付き呼吸用保護具を型式検定・譲渡制限の対象に追加。
【前回提出法案(※)と同様の内容】
施行期日:公布の日から起算して、それぞれ6は6月、3・4・5は1年、2は1年6月、1は2年を超えない範囲内において政令で定める日
※ 第179回国会にメンタルヘルス対策、受動喫煙防止対策などを内容とする労働安全衛生法の一部を改正する法律案を提出し、第181回国会で衆議院の解散により審議されず廃案となった。]
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