改正雇用保険法が成立!~育児休業給付の給付割合を67%に引き上げ~
教育訓練給付金を拡充及び教育訓練支援給付金も創設
本日(3月28日)の参議院本会議で、「雇用保険法の一部を改正する法律」が賛成多数(押しボタン方式:賛成222、反対13)で可決され、成立しました。
「雇用保険法の一部を改正する法律案」は1月31日に閣議決定され、同日、第186回通常国会に提出(衆議院先議)されました。
改正法律案は、衆議院厚生労働委員会で3月14日に可決され、同月18日の衆議院本会議で賛成多数で可決されました。
参議院では、3月27日に厚生労働委員会で可決され、本日、参議院本会議で賛成多数で可決され、成立しました。
今回の改正では、現下の雇用情勢を踏まえ、雇用保険制度において、基本手当、就業促進手当、教育訓練給付及び育児休業給付金の給付の拡充並びに暫定措置の新設及び延長等の措置を講ずることとされています。
具体的には、育児休業給付の充実【平成26年4月1日施行】、教育訓練給付金の拡充及び教育訓練支援給付金の創設【平成26年10月1日施行】、 就業促進手当(再就職手当)の拡充【平成26年4月1日施行】、 平成25年度末までの暫定措置の延長【いずれも3年間の延長】--などとなっています。
本誌「労働基準広報」では、7月1日付号において「特集/改正雇用保険法の解説」(厚生労働省・職業安定局雇用保険課)を掲載します。
「雇用保険法の一部を改正する法律」の内容(概要)
育児休業給付の充実【平成26年4月1日施行】
育児休業給付(休業開始前賃金の50%を支給)について、1歳未満の子を養育するための育児休業をする場合の休業開始後6月につき、休業開始前の賃金に対する給付割合を67%に引き上げる。
教育訓練給付金の拡充及び教育訓練支援給付金の創設【平成26年10月1日施行】
(1) 教育訓練給付(受講費用の2割を支給、給付上限10万円)を拡充し、中長期的なキャリア形成を支援するため、専門的・実践的な教育訓練として厚生労働大臣が指定する講座を受ける場合に、
・給付を引き上げ(受講費用の4割*)、
・資格取得等の上で就職に結びついた場合には受講費用の2割*を追加的に給付する
※1年間の給付額は48万円*を上限とする(給付期間は原則2年。資格につながる場合等は最大3年)
<対象者>2年以上*の被保険者期間を有する者(2回目以降に受ける場合は10年以上*の被保険者期間が必要)
(2) 教育訓練支援給付金を創設し、45歳未満の離職者が上記の教育訓練を受講する場合に、訓練中に離職前賃金に基づき算出した額(基本手当の半額)を給付する。(平成30年度までの暫定措置)
その他
(1) 就業促進手当(再就職手当)の拡充【平成26年4月1日施行】
現行の給付(早期再就職した場合に、基本手当の支給残日数の50%~60%相当額を一時金として支給)に加えて、早期再就職した雇用保険受給者が、離職前賃金と比べて再就職後賃金が低下した場合には、6月間職場に定着することを条件に、基本手当の支給残日数の40%を上限として、低下した賃金の6月分*を一時金として追加的に給付する。
(2) 平成25年度末までの暫定措置の延長【いずれも3年間の延長】
ア解雇、雇止め等による離職者の所定給付日数を60日間延長する個別延長給付について、要件厳格化*の上で延長する。
イ雇止め等の離職者(特定理由離職者)について、解雇等の者と同じ給付日数で基本手当を支給する暫定措置を延長する。
(注) *については、法律成立後に厚生労働省令で具体的に定める事項。
改正雇用保険法は3月31日に公布されました。
〔参考〕
雇用保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(平成26年3月14日・衆議院厚生労働委員会)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 失業等給付に係る積立金の現状にかんがみ、生活安定機能を充実させるための基本手当の改善及び雇用保険料率の引下げについて検討を行うとともに、雇用環境の将来展望を踏まえた雇用保険制度の在り方そのものについて、根本的な検討を行うこと。
二 雇用保険の国庫負担に関する暫定措置については、国庫負担が雇用政策に対する政府の責任を示すものであることにかんがみ、早期に安定財源を確保し、本則に戻すこと。
三 教育訓練給付の拡充については、非正規雇用労働者を含む在職者のより安定した雇用や離職者の早期再就職につながる内容となるよう具体的な訓練内容などについて労働需要に基づいた適切な審査を行うとともに、失業した際の基本手当とのバランスに配慮しつつ、不正受給の防止策を講じること。
四 育児休業給付の拡充に際し、労働者が育児休業を取得しやすいようにするため、特に中小企業における仕事と育児の両立に関する労働者及び使用者の理解の促進や代替要員確保の支援策などの取組を今まで以上に進めること。
雇用保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(平成26年3月27日・参議院厚生労働委員会)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一、雇用環境の将来展望を踏まえ、生活安定機能を充実させるための基本手当の改善等雇用保険制度の在り方そのものについて、根本的な検討を行うとともに、雇用保険料率の在り方及び失業等給付に係る積立金の活用についても検討すること。
二、雇用保険の国庫負担に関する暫定措置については、保険事故である失業が政府の経済対策及び雇用対策とも関係が深く、国庫負担が政府の責任を示すものであることに鑑み、早期に安定財源を確保し、本則に戻すこと。
三、教育訓練給付の拡充については、非正規雇用労働者を含む在職者のより安定した雇用や離職者の早期再就職につながる内容となるよう具体的な訓練内容等について、現在及び将来の労働需要に基づいた適切な審査を行うとともに、制度を利用する労働者等に対して制度の周知に努めること。また、その支給に当たっては、失業した際の基本手当とのバランスに配慮しつつ、不正受給の防止対策を講じること。
四、育児休業給付の拡充については、育児休業の取得率が低い現状に鑑み、労働者が男女共に育児休業を取得しやすい環境の整備に努めること。とりわけ男性の育児休業取得率の向上に向けた具体的方策を立案実施し、その取得率の目標を実現できるよう努めること。また、中小企業における仕事と育児の両立に関する労働者及び使用者の理解の促進、制度内容の周知、好事例の普及及び代替要員確保の支援策などの取組を今まで以上に進めること。さらに、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に基づき育児休業の取得が認められている非正規雇用労働者の育児休業については、取得が妨げられることがないよう必要な取組を強化すること。
五、労働移動支援助成金の支給に当たっては、再就職援助計画の策定に当たり、労働組合等の同意を確実に確認する等により、その離職が真にやむを得ない事情があることを、厳格に見極めつつ実施すること。
六、今回の雇用保険制度の見直しに当たっては、保険料を負担している労働者及び使用者の理解が得られるよう、労使が関与できる形でその効果を検証し、結果を公表すること。
右決議する。
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