労働契約法の無期労働契約転換制度の特例設ける特別措置法を制定~高度専門的知識を有する者・定年後に継続雇用の高齢者が対象~
「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案要綱」で答申
厚生労働省は、昨日(2月20日)、労働政策審議会(会長・樋口美雄慶應義塾大学商学部教授)に対し、有期の業務に就く高度専門的知識を有する有期雇用労働者等について、労働契約法に基づく無期転換申込権発生までの期間に関する特例を設けることを柱とする「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案要綱」を諮問しました。
これを受け、同日、同審議会労働条件分科会有期雇用特別部会と職業安定分科会高年齢者有期雇用特別部会(部会長・岩村正彦東京大学大学院法学政治学研究科教授)において審議が行われ、同審議会から田村憲久厚生労働大臣に対して、「おおむね妥当と考える」との答申が行われました。
平成25年4月1日施行の改正労働契約法により、有期雇用者の無期労働契約転換制度が創設されました。
これは、有期労働契約が通算5年を超えて反復更新された場合、労働者が無期労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は、別段の定めがない限り従前と同一の労働条件で、当該申込みを承諾したものとみなされ、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日の翌日から無期労働契約が成立することを規定したものです。
法案要綱では、この改正労働契約法に基づく無期転換ルールに関して、①一定の期間内に完了する業務に従事する高収入かつ高度な専門的知識などを有する有期契約労働者、②定年後に有期契約で継続雇用される高齢者--について、特例を設ける特別措置法の制定を提言しています。
厚生労働省では、この答申を踏まえて法律案を作成し、平成27年4月の施行を目指し、今通常国会への提出の準備を進めるとしています。
「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案」の概要
臨時国会で成立した国家戦略特別区域法の規定等を踏まえ、有期の業務に就く高度専門的知識を有する有期雇用労働者等について、労働契約法に基づく無期転換申込権発生までの期間(※)に関する特例を設ける。
(※) 同一の労働者との間で有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えた場合は、労働者の申込により、無期労働契約に転換できる。(労働契約法第18条)
主な内容
①特例の対象者
Ⅰ)「5年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務」に就く高度専門的知識等を有する有期雇用労働者
Ⅱ) 定年後に有期契約で継続雇用される高齢者
②特例の効果
特例の対象者について、労働契約法に基づく無期転換申込権発生までの期間(現行5年)を延長
→次の期間は、無期転換申込権が発生しないこととする。
①Ⅰの者: 一定の期間内に完了することが予定されている業務に就く期間(上限:10年)
②Ⅱの者: 定年後引き続き雇用されている期間
※特例の適用に当たり、事業主は、
①Ⅰの者について、労働者が自らの能力の維持向上を図る機会の付与等
②Ⅱの者について、労働者に対する配置、職務及び職場環境に関する配慮等
の適切な雇用管理を実施
施行期日
平成27年4月1日(予定)
厚生労働省の報道発表はこちらから。
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