« 雇用保険に関する業務取扱要領 【平成25年6月1日以降】 | トップページ | 年頭所感 【安藤よし子 厚生労働省労働基準局労災補償部長】 »

2014年1月 6日 (月)

年頭所感 【半田有通 安全衛生部長】

08_2


 平成26年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。


日頃より労働安全衛生行政の推進に対して多大なるご支援とご協力を賜っておりますことに厚く御礼申し上げます。


平成25年の死亡災害は、昨年10月末時点の速報値で740人と前年同期比78人(9.5%)の減少、休業4日以上の死傷災害は、86,153人と前年同期比で2,167人(2.5%)の減少となっています。休業4日以上の死傷災害の内訳をみると、最重点業種の小売業、社会福祉施設、飲食店の災害件数は計16,995件と前年同期比で97件(0.6%)の減少、重篤な災害を減らすため焦点を当てて取り組んでいる、製造業の「はさまれ・巻き込まれ」災害は5,670件と前年同期比で478件(7.8%)の減少、建設業の「墜落・転落」災害は4,406件と前年同期比5件(0.1%)の増加であり、5年間で15%の災害減少という第12次労働災害防止計画の目標の達成に向けて、引き続き、気を引き締めていく必要があります。

労働者の健康面についてみれば、印刷事業場での胆管がん事案を始め、リスクアセスメントが未実施または不適切だったことにより発生した化学物質による健康障害が少なくありません。また、勤務問題が原因の1つと見られる自殺者数は2,500人近くに達し、精神障害による労災認定件数が3年連続で過去最多を更新するなど、職場のメンタルヘルス対策も依然として大きな課題です。

さらに、東京電力福島第一原発の廃炉作業、除染作業、復旧復興工事など、被災地の労働者の健康と安全も確保しなければなりません。

こうした中、当部では、昨年4月からスタートしている5カ年計画である第12次労働災害防止計画を踏まえ、本年、次の4つの施策を重点として取り組みます。

1 同計画の目標達成に向けて、災害件数を減少させるための取り組みを進めます。最重点業種である小売業、社会福祉施設、飲食店などの第三次産業について、安全担当者の配置とその取り組むべき職務などを示したガイドラインを策定し、指導啓発を行います。同じく同計画の重点業種である陸上貨物運送事業については、陸運業者だけでなく、製造業を始めとした荷主の立場の事業者に対して、「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」の普及を図ります。

2 化学物質による健康障害防止を徹底・促進します。有機溶剤中毒予防規則などにおいて厳格な管理を義務づけている化学物質だけでなく、安全データシート(SDS)の交付対象物質を始めとした全ての化学物質について、安全データシートの入手とリスクアセスメントの実施を徹底・促進します。

3 メンタルヘルス対策については、大臣指針に基づく措置の実施を事業場に対して指導するとともに、事業場の行うメンタルヘルス対策をはじめとする産業保健活動支援事業の充実を図るほか、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」の活用を促進していきます。

4 東電福島第一原発の方を含めた被災地で働く労働者の健康と安全の確保に万全を期していきます。


喜ばしいことに、昨年、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定しました。開催に向けてインフラ整備・建設投資が活発化しますが、働く人の安全という意味でも、世界から賞賛いただけるような大会にすべく、建設業における墜落・転落災害の撲滅などを目指し、安全衛生対策を推進していきます。併せて、製造業におけるはさまれ・巻き込まれ災害などをなくすために欠陥のある機械の流通の防止を図るなど、災害防止計画の理念に沿って重篤な労働災害に着目して対策を進めていきます。


現在、労働政策審議会において、化学物質管理のあり方やメンタルヘルス対策を始め、今後の労働安全衛生対策について検討を進めています。審議会での議論の結果を踏まえ、労働安全衛生法の改正案を早期に国会提出することを目指します。

 

私はこれらの諸問題に全力で取り組んでまいります。引き続き、皆様方の一層の御支援、御協力をよろしくお願い申し上げます。

|

« 雇用保険に関する業務取扱要領 【平成25年6月1日以降】 | トップページ | 年頭所感 【安藤よし子 厚生労働省労働基準局労災補償部長】 »

お知らせ」カテゴリの記事

労働安全衛生法」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 年頭所感 【半田有通 安全衛生部長】:

« 雇用保険に関する業務取扱要領 【平成25年6月1日以降】 | トップページ | 年頭所感 【安藤よし子 厚生労働省労働基準局労災補償部長】 »