国家戦略特別区域法・研究開発力強化法改正案の審議経過等を報告~第106回労働政策審議会労働条件分科会~
本日(12月17日)の労働政策審議会労働条件分科会では、第185回臨時国会で成立した国家戦略特別区域法・研究開発力強化法改正法案(研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関する法律の一部を改正する法律案)の審議経過等の報告等が行われました。
委員からは、「労働契約法の特例に関する改正が労働政策審議会での公労使の議論を経ないで行われるのは問題がある」、「労働契約法の無期労働契約転換制度の空洞化につながる」旨の意見が出されました。
また、研究開発力強化法改正案の附帯決議にある「雇用労働政策の決定や法律の制定改廃は、労働政策審議会の議を経るというこれまでの原則を変更しないこと」という点について改めて確認を行いました。
国家戦略特別区域法のポイント(雇用関連のみ)
◇ 特区内で、新規開業直後の企業及びグローバル企業等が、優秀な人材を確保し、従業員が意欲と能力を発揮できるよう、以下の規制改革を認める。
雇用条件の明確化
・ 新規開業直後の企業及びグローバル企業等が、我が国の雇用ルールを的確に理解し、予見可能性を高めることにより、紛争を生じることなく事業展開することが容易となるよう、「雇用労働相談センター(仮称)」を設置する。
・ また、裁判例の分析・類型化による「雇用ガイドライン」を活用し、個別労働関係紛争の未然防止、予見可能性の向上を図る。
・ 本センターは、特区毎に設置する統合推進本部の下に置くものとし、本センターでは、新規開業直後の企業及びグローバル企業の投資判断等に資するため、企業からの要請に応じ、雇用管理や労働契約事項が上記ガイドラインに沿っているかどうかなど、具体的事例に即した相談、助言サービスを事前段階から実施する。
有期雇用の特例
・ 新規開業直後の企業やグローバル企業をはじめとする企業等の中で重要かつ時限的な事業に従事している有期労働者であって、「高度な専門的知識等を有している者」で「比較的高収入を得ている者」などを対象に、無期転換申込権発生までの期間の在り方、その際に労働契約が適切に行われるための必要な措置等について、全国規模の規制改革として労働政策審議会において早急に検討を行い、その結果を踏まえ、平成26年通常国会(第186回通常国会)に所要の法案を提出することを目指す。
研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関する法律の一部を改正する法律案(研究開発力強化法改正案)の概要(労働契約法の特例部分のみ抜粋)
第1 研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律の一部改正
労働契約法の特例 (第15条の2関係)
①から④までに掲げる者がそれぞれの有期労働契約を期間の定めのない労働契約に転換させるための申込みを行うために2以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間(第2において「通算契約期間」という。)が5年を超えることが必要とされていることについて労働契約法の特例を定め、10年を超えることが必要であるとすること。(※)
① 科学技術に関する研究者又は技術者であって研究開発法人又は大学等を設置する者との間で有期労働契約を締結したもの
② 研究開発等に係る企画立案等の業務(専門的な知識及び能力を必要とするものに限る。④において同じ。)に従事する者であって研究開発法人又は大学等を設置する者との間で有期労働契約を締結したもの
③ 試験研究機関等、研究開発法人及び大学等以外の者が試験研究機関等、研究開発法人又は大学等との契約により共同して行う研究開発等(④において「共同研究開発等」という。)の業務に専ら従事する科学技術に関する研究者又は技術者であって有期労働契約を締結したもの
④ 共同研究開発等に係る企画立案等の業務に専ら従事する者であって有期労働契約を締結したもの
※本改正項目においては、人文科学のみに係る科学技術を含む取扱いとする。
第2 大学の教員等の任期に関する法律の一部改正
大学の教員等がその有期労働契約を期間の定めのない労働契約に転換させるための申込みを行うために通算契約期間が5年を超えることが必要とされていることについて労働契約法の特例を定め、10年を超えることが必要であるとすること。
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