様々な要因が複雑に絡み合っているのでは 【新規学卒者の離職状況(平成22年3月卒業者の状況)】
厚生労働省が、10月29日付で発表した
労働市場レポート 第23号
「新規学卒者の離職状況(平成22年3月卒業者の状況)」
――によると、
卒業後3年以内の離職率
新規学卒者の卒業後3年以内の離職率は、中学 62.1%、高校 39.2%、短大等 39.9%、大学 31.0%となっており、それぞれ前年度から 2.1%ポイント減、3.5%ポイント増、0.6%ポイント増、2.2%ポイント増となっている。
また、新規学卒者の卒業後1年以内の離職率は、中学 41.3%、高校 19.5%、短大等 18.0%、大学 12.5%となっており、卒業後3年以内に離職する者のうち1年以内に離職する者が多い(平成 22 年3月卒業者)。
新規大学卒業者の動向
新規大学卒業者の卒業後3年以内の離職率は、事業所規模別では規模が大きいほど低くなっている。
産業別では、鉱業・採石業・砂利採取業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業・郵便業、卸売業、金融・保険業、複合サービス事業で平均より低くなっている。
新規高校卒業者の動向
新規高校卒業者の卒業後3年以内の離職率は、事業所規模別では新規大学卒業者と同様の傾向である。また、産業別では、鉱業・採石業・砂利採取業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸業・郵便業、金融・保険業、複合サービス事業で平均より低くなっている。
――となっている。
そして、
3年以内離職者が上昇している要因 として、
平成 22 年3月卒業生は、平成21年3月卒業生と比較して
* 規模の小さな企業への就職者割合が上昇したこと
* 離職率の高い業種への就職者割合が上昇したこと
――が、早期離職率の上昇に繋がったものと考えられる。
――としている。
離職率は、景気動向など様々なものから影響を受けるため、
その上昇の要因は、上記の見解だけにとどまらないといえよう。
上昇の要因として考えられるその他の要因としては、
一般に離職率は、景気が悪かった後、
良くなりつつあるときに上がる傾向にあること
産業構造が変化したこと
(離職率が低い産業における採用が減少。
相対的に離職率が高い産業における新規学卒者の採用の割合が増加したこと)
雇用形態の変化したこと
(正社員採用の減少。非正規労働者の増加)
雇用保険の適用が拡大されたこと
(調査は雇用保険の加入届などをもとにしている)
―――などが考えられる。
離職率の上昇は、これらの要因やその他の社会経済情勢が複雑に絡み合っているのではないだろうか(ある現象や傾向、兆候は、一般的に複数の要因に影響を受けるものなので当たり前といえるが)。
なお、下記の離職率の推移をみると、それほど大きな変動はなく、
従来から言われている「卒業後3年以内の離職率」のいわゆる「七・五・三」
つまり、「中学卒」は7割が、「高校卒」は5割が、「大学卒」は3割が3年位内に離職するという傾向は、若干の割合の変化はあるものの、概ね実態をあらわしているといえそうだ。
※ 22年卒業者をみると大体「六・四・三」となっている。
(野球好きの方はダブルプレーを連想しそう)
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