労働安全衛生法における機械等の回収・改善命令制度のあり方等に関する検討会報告書
平成25年10月18日付で、
厚生労働省労働基準局安全衛生部
労働安全衛生法における機械等の回収・改善命令制度のあり方等に関する検討会 が、
「労働安全衛生法における機械等の回収・改善命令制度のあり方等に関する検討会報告書」
――をとりまとめました(10月21日付で発表)。
報告書の「第1 はじめに」には、
労働安全衛生法(以下「安衛法」という。)第3条2項では、「機械、器具その他の 設備を設計し、製造し、若しくは輸入する者などは、これらの物の設計、製造、輸入に際して、これらの物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するように努め なければならない。」とされている。
昭和 63 年の法改正により安衛法第 43 条の2が新設され、国による機械等の譲渡や貸与を行った製造者・輸入者に対する回収・改善命令制度が創設されたが、近年の状況をみると、この命令制度の対象となっていない機械等で多数一般に流通しているものに欠陥が見つかった事例や、多数の機械等を譲渡していること等により販売先が把握できないため、回収・改善が困難な事例等、現在の制度では十分な対応が図れない事例が見られるところである。
このような背景を踏まえ、第 12 次労働災害防止計画においては、機械の重大な欠陥に より重篤な労働災害が発生し、当該機械の販売先が特定できない等、同種災害を防止する必要がある場合は、発生した労働災害の内容、機械の製造者名等の公表や、製造者による回収、改善を図る制度を検討することとしている。
このため、労働政策審議会安全衛生分科会において、上記に内容についても審議が行われ、その結果、具体的方策について関係業界、専門家等により検討を行うこととされた。これを受け、本検討会が設置され、①欠陥のある機械等の回収・改善命令または要請のあり方、②回収・改善を促進させる方策、③欠陥のある機械等の流通を防止する施策のあり方等について、検討を行った。
――と記されています。
そして、
「第3 今後の機械等の回収・改善命令制度のあり方等について
1 機械等の回収・改善命令または要請のあり方について
(1)基本的な考え方」では、
機械等による労働災害を防止するためには、機械メーカー等による機械の設計、製造または輸入段階で安全化を図ることが重要である。しかしながら、産業機械は、機械メーカー等と、機械を使用するエンドユーザーである事業者(以下「機械ユーザー」という。)の間に流通業者が介在し、流通途中で改造される場合や機械ユーザーが改造する場合があるほか、機械等の仕様の決定について、機械メーカー等よりも機械ユーザーが主導権を持っている場合などがあり、欠陥のある機械の改善を機械メーカー等だけに求めることが適当でない場合も多い。
このため、国による機械等の回収・改善命令または行政指導による要請(以下「回収・改善命令等」という。)が必要となるのは、機械等メーカー等において量産品である機械等の完成品を製造または輸入し、これをそのまま機械ユーザーに一般の流通ルート等を通じて数多く譲渡していた場合が多いと考えられ、実際にこれまで行政が回収・改善命令等を行った機械等もこの範疇のものである。
このようなことから、機械等の欠陥が原因となって労働災害が発生したり、発生するおそれがある場合に、国から機械メーカー等に対し、機械等の回収・改善命令等を行おうするときは、機械等の欠陥がその機械メーカー等の責に帰すべきものか、十分に調査し判断する必要がある。
また、古い機械等で機械メーカー等にも、設計・製造時の情報や譲渡先の情報がないもの等については、回収・改善命令等を行おうとする場合、その実現可能性について十分に調査し、判断する必要がある。
なお、欠陥のある機械等が、企業と一般消費者の両者が使用する可能性があるものであって、一般消費者に消費生活用製品安全法における重大製品事故が発生し、消費生活用製品安全法の枠組みで当該機械等が公表され、企業からも回収・改善が進められる場合は、その枠組みで回収・改善が図られることが適当である。また、これらの機械等については、消費生活用製品安全法による対応と、安衛法による対応について連携を図る必要がある。
――とされています。
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