【通勤手当の不正受給】東京地検で事務官を懲戒処分――との報道について
背景には自動車運転過失致傷罪、飲酒運転が
東京地検は、10月10日付で、電車通勤だと偽って4年9ヵ月(57ヵ月)分の通勤手当約29万円を 不正に受給していたとして、40代の男性事務官を停職2ヵ月の懲戒処分にした。
――という報道がありました。
この報道のみですと、通勤手当の不正受給のみが、懲戒事由であるように思われますが、他のニュースなどを閲覧してみますと、
今年5月には横浜市内の高速道路で居眠り運転し、追突事故を起こしたとして、横浜簡裁から自動車運転過失致傷罪で罰金60万円の略式命令を受けたこと。
同事故の直後の呼気検査で、基準値以下の微量のアルコールを検出したこと(勤務終了後に飲酒し、都内から横浜市内の自宅に帰る途中だった)。
――ことが伝えられていました。
報道によると、この男性事務官は、民間の駐車場に車を停めていたため、自動車通勤をしていたことは、上司も気付かなかったとのことです。
不正受給自体は、自動車事故があったことから発覚したことであって、
電車通勤と虚偽申請をして、自動車通勤をしていた(そして、追突事故を起こして、自動車運転過失致傷罪に処された)ことも問題とされた
――ものとみられます。虚偽申請と刑事罰が懲戒処分の背景にあるのではないでしょうか。
報道によると、実際にこの男性事務官は、満員電車に長時間乗るのがつらく、飲酒運転も複数回したことと話していたといいます。
金銭目的(1ヵ月当たりだと5000円位になります)よりも、快適な通勤環境が主な目的だったのではないしょうか(ただし、過去にも不正受給で処分されたこともあるとの報道もありました)。
なお、報道によると、男性事務官は、不正受給した手当は全額返済し、同日(10月10日付で依願退職(辞職)しているとのことです。
物事は多方向からみるべきことを教えられる件でもありました。
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