「雇用調整助成金」は予算半減・「労働移動支援助成金」は大幅増!~厚生労働省 平成26年度予算概算要求の内容②~
キャリア形成促進助成金・キャリアアップ助成金による支援を創設
厚生労働省の平成26年度予算概算要求の中から、今回は「失業なき労働移動の実現」の内容を紹介します。
概算要求では、「失業なき労働移動の実現」として、2291億円(25年度1950億円)を計上しています。
安倍政権の「日本再興戦略」では、「行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換(失業なき労働移動の実現)」として、「雇用調整助成金」(24年度実績額約1,134億円)から「労働移動支援助成金」(24年度実績額2.4億円)に大胆に資金をシフトさせることにより、27年度までに予算規模を逆転させるとしています。
これを受けて、概算要求では、転職する場合の費用などを助成し労働者の再就職を支援する「労働移動支援助成金」について、25年度の約2億円から約301億円と大幅増としています。
一方で、解雇回避のための雇用調整をした事業主を支援する「雇用調整助成金」は25年度の約1175億円から約545億円と半減となっています。
この「労働移動支援助成金」の抜本的拡充については、
対象企業を中小企業だけでなく大企業に拡大する。
送り出し企業が民間人材ビジネスの訓練を活用した場合の助成措置を創設する。
支給時期を支援委託時と再就職実現時の2段階にする。
受入れ企業の行う訓練(OJTを含む)への助成措置を創設する。
--の改正が予定されています。
年度内に労働政策審議会で雇用保険法施行規則改正の諮問・答申が行われる予定です。
~厚生労働省 平成26年度予算概算要求の内容②~
失業なき労働移動の実現 2,291億円(1,950億円)
労働移動支援助成金の抜本的拡充など【一部新規】 303億円(3.2億円)
労働者の再就職を支援する労働移動支援助成金について、対象企業を拡大するとともに、支給時期を再就職支援委託時と再就職実現後に2段階化する。また、労働者を送り出す企業が民間人材ビジネスの訓練を活用した場合や労働者を受け入れる企業が訓練(OJTを含む)を行う場合の助成措置を創設する等抜本的に拡充する。
さらに、キャリアチェンジ(新たな職場・職務への転換)を伴う労働移動を成功させるためのツールの標準化、ツールを活用したキャリア・コンサルティング技法の開発、キャリア・コンサルタントの養成を実施する。
若者等の学び直しの支援【新規】 10億円
非正規雇用労働者である若者等が的確にキャリアアップ・キャリアチェンジできるよう、資格取得等につながる自発的な教育訓練の受講を始め、社会人の学び直しを促進するために雇用保険制度の見直しを実施するとともに、従業員の学び直しプログラムの受講を支援する事業主に対してキャリア形成促進助成金・キャリアアップ助成金による支援を創設する。
また、「地域若者サポートステーション」(サポステ)による支援を受けて就職した者に対し、学び直しプログラムに誘導するなどのステップアップ支援を行う事業(「サポステ卒業者ステップアップ事業(仮称)」)を実施する。
産業雇用安定センターの出向・移籍あっせん機能の強化 28億円(21億円)
出向・移籍による失業なき労働移動を支援するため、キャリア・コンサルティングの実施、個人の課題に応じた支援メニューの策定、民間の訓練機関を活用した講習・訓練の実施等、産業雇用安定センターのあっせん機能を大幅に強化する。
成長分野などで求められる人材育成の推進【一部新規】 1,091億円(1,183億円)
民間教育訓練機関等を活用し、情報通信、環境・エネルギー分野等の成長分野の実践的な職業訓練や求職者支援制度の推進を図る。
また、不足している建設専門人材の確保・育成支援の推進を図る。
成長分野などでの雇用創出の推進 131億円(54億円)
製造業等の戦略産業を対象として、産業政策と一体となって実施する地域の自主的な雇用創造プロジェクトへの支援を推進する。
人材不足が顕著な福祉分野(介護・医療・保育職種)の人材確保に向け、自治体等関係機関と連携し、こうした職種への就職を希望する人や人材を求める事業主に対する支援を推進する。
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