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2013年8月13日 (火)

均等・均衡待遇について 【今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会 報告書素案】

8月6日に示された 

【今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会 報告書素案】

――では、「第6 派遣労働者の待遇について」において

「均等・均衡待遇について」の見解が示された。

 その詳細は、次のとおりとなっている。





6 派遣労働者の待遇について

1 均等・均衡待遇について

派遣労働者の賃金等の待遇を確保するための仕組みとして、主として欧州の諸国で採用されている均等待遇を我が国で導入することが各方面から提言されている。しかしながら、前出の平成20年の研究会報告書(「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書」(平成20年7月28日))にあるように、欧州諸国では企業を超えた職種別賃金が普及しているのに対し、我が国では職種別賃金が確立しておらず正規雇用労働者の待遇は企業の内部労働市場で決定されている。一方、派遣労働者は一般には外部労働市場における派遣労働者の賃金を反映して待遇が決定されることが多い。そのため、派遣先の正規雇用労働者との比較において均等待遇を実現するには、比較対象となる派遣先の労働者や業務を位置付けにくいことや、同じ派遣元事業主に雇用されている派遣労働者同士の不均衡が生じ得ること等の課題が多い。

均衡待遇に関しては、平成24年の法改正により、派遣元に対して、派遣労働者と派遣先の労働者等との均衡考慮の配慮義務が課された。派遣労働者と派遣先の直接雇用の労働者が同様の業務に従事しているにも関わらず、派遣労働者という理由だけで待遇が低く抑えられていることは不合理であることから、上記の課題を踏まえつつも、今後とも均衡待遇の取組を進めていくべきである。均衡待遇を進めていくことは、派遣労働者の待遇の改善をもたらすだけではなく、派遣先にとっては、派遣料金の引上げ等の派遣労働者受入れコストの増加につながるため、待遇が低いことによる派遣労働者の安易な利用を抑制する効果があると考えられる。

一方で、派遣労働者の均衡待遇を更に進めていくには、派遣先の更なる協力が不可欠である。平成24 年の法改正で、派遣先には均衡配慮のための情報提供についての協力の努力義務が課せられた。ただし、派遣労働者の賃金の均衡待遇を図るための原資は派遣料金であり、派遣先の協力がなければ、派遣元の待遇改善努力にも限界がある。また、派遣先での業務遂行に密接に関連した教育訓練については、派遣先の協力が不可欠である。なお、派遣労働者への教育訓練は、派遣先にとっても業務遂行を円滑にするために必要なものである。さらに、食堂などの福利厚生施設の利用についても、派遣元で対応することは現実的でないことから、今後、派遣労働者の賃金、教育訓練、福利厚生施設の利用などの面でさらに派遣先の役割が期待される(厚生労働省職業安定局需給調整事業課「労働者派遣の実態に関するアンケート調査(派遣先調査)」(201212月実施)によれば、派遣先事業所で行っている派遣労働者の均衡待遇の確保のための取組みとしては、「派遣労働者が他の社員と同じように福利厚生施設を使えるようにしている」が65.5%と最も多く、「特に行っていない」と回答した事業所は3.7%となっている。また、派遣労働者のスキル向上のために行っている取組みとしては、「事業所でのOJT」が67.3%と最も多く、次いで「事業所の従業員と合同でのOff-JT」が30.2%となっており、「派遣労働者に教育訓練は行っていない」と回答した事業所は16.5%となっている。(いずれも複数回答))。

また、均衡待遇の配慮については、現行では、具体的にどのような配慮が行われているかを派遣労働者本人が知る手段が担保されていないことから、派遣労働者の納得性の向上の観点から、派遣元に対し、パートタイム労働法第13 条(待遇の決定に当たって考慮した事項の説明)のような説明義務を設けることも一つの方法として考えられる。



Mimawari

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