特集は業務上災害認定の実務Q&A、好評・労働判例解説は日本IBM事件(退職勧奨の違法性)、解釈例規物語は〔賃金の口座振込み等〕~労働基準広報2013年8月11日号の予告~
労働調査会発行 労働基準広報2013年8月11日号の予告です
●特集/ここが知りたい! 業務上災害認定の実務Q&A
交通事故では自賠責保険への請求を先行させるのが原則
(編集部)
業務上災害とは、業務が原因となって発生した負傷、疾病、障害又は死亡のことである。発生した災害が業務上と認められるためには、災害に業務遂行性および業務起因性が認められることが必要とされている。労働者が事業主の支配下にあれば業務遂行性が認められ、労働者が労働契約に基づき、事業主の支配下にあることに伴う危険が現実化したものと経験則上認められれば業務起因性が認められることとなる。今回は、業務上災害について、Q&A形式でみていく。
●労働判例解説/日本IBM事件~平成24年10月31日 東京高裁判決~
違法な退職強要を受けたとして会社に損害賠償請求
退職に関する意思決定権を侵害するものでなく退職勧奨は違法はない
(弁護士・新弘江(あだん法律事務所))
本件は、会社が通常の退職金に加えての特別加算金及び再就職支援サービスなどによる「RAプログラム」に基づいて退職勧奨を行ったところ、Xら4名が違法な退職強要であり、これにより精神的苦痛を被ったとして、損害賠償を請求した事件の控訴審。
一審、本件控訴審判決は、いずれも、結論として、違法な退職勧奨があったとはいえないとして、Xらの請求を棄却した。控訴審は、一審の判断に加え、退職勧奨を定めた「RAプログラム」につき、その目的及び対象者選択の方法は不合理であるとはいえず、退職勧奨の具体的な態様も、対象者の退職に関する自由な意思決定を困難にするものであったとはいえず、Xらの退職に関する意思決定権が侵害されたものと認められないと判断した。
本判決は、退職勧奨の目的・方法と、これに対し従業員の意思が尊重されたかについて詳細に分析している点が参考となる。
●特別企画/拡充された「受動喫煙防止対策助成金」の活用について
すべての業種の中小企業事業主における喫煙室設置費用を2分の1助成
(厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課)
「受動喫煙防止対策助成金」は、喫煙室の設置または換気装置の設置などを行う飲食店・ホテル・旅館を支援してきたが、このたび、中小企業事業主における受動喫煙防止対策をより一層推進するために、対象事業主をすべての業種の中小企業事業主に拡大し、助成率を4分の1から2分の1に引き上げることを主な内容とする改正が行われた。
●解釈例規物語/第49回・第24条関係〔賃金の口座振込み等について〕
賃金の口座払いには労働者の同意が必要であり
同意ない場合は現金で支払わなければならない
(中川恒彦)
クレジットカード、ネット支払いがひろく普及し、キャッシュレス時代といえる現在において、賞与はおろかひと月分の賃金にしても、ポケットに入れて持ち帰るようなことはほとんど見られなくなっている。そのようなことから、賃金の支払いは当然のように口座払いによって行われており、通常の状態において賃金の口座払いに関して問題が発生することはほとんどないといってよいであろう。しかし、賃金の支払いについて定めた労働基準法第24条、労働基準法施行規則の定め方が若干明瞭さを欠くこともあり、賃金の口座払いの要件について必ずしも正確に理解されていない面があるように思われる。労働協約は単なる過半数代表者等との協定と異なり法的効力が強いことから、賃金の口座払いに関し労働協約を締結すれば労働者個人の同意がなくても実施可能とするような見解がそうである。そこで、今回は、賃金の口座払いに関する要件について、上記2つの解釈例規を引用しながら、考えてみることとした。
●知っておくべき職場のルール<第19回>「出来高制の保障給」
就業させた以上は労働時間に応じ一定額を保障する義務がある
(編集部)
「出来高払制」とは、手工業で製品1個当たり○円、外回り営業が契約1件につき○円、タクシー乗務員が売上の○%──の支払を受けるケースなど、「労働者の製造した物の量・価格や売上げの額などに応じた一定比率で額が定まる賃金制度」をいう。労働基準法第27条では、出来高制その他の請負制で使用される労働者の賃金について、労働者が就業した以上は、たとえその出来高が少ない場合でも、労働した時間に応じて一定額の保障を行うことを使用者に義務づけている。したがって、賃金のすべてが歩合給とされるいわゆる「フルコミッション制」は認められず、労働者を就業させた以上は、一定額の賃金を支払う必要がある。
●NEWS
(平成24年の定期監督・法違反の状況まとまる)法違反率は3年連続で上昇し68.4%/
(厚労省・腰痛予防対策指針を改訂)対象を福祉・医療等の介護・看護作業全般に拡大/(雇用保険基本手当日額を変更)最低額は1856円から8円引下げの1848円/
(厚労省・25年5月の集計結果)「再就職援助計画」の認定事業所2ヵ月ぶり増加/ほか
●連載 労働スクランブル第154回(労働評論家・飯田康夫)
●わたしの監督雑感 愛知・瀬戸労働基準監督署長 東井清治
●労務相談室だより
●労務相談室
社会保険
〔学生をインターンシップで受け入れ〕社会保険等の扱いは
特定社労士・大槻智之
個人情報
〔労働者名簿に家族情報含めたい〕任意提出なら問題ないか
弁護士・加藤彩
労働基準法
〔週の所定労働日数を上回る勤務実態〕年休の比例付与どうする
弁護士・荻谷聡史
見本誌の送付、ご購読の申込み等はこちらから
http://rouki.chosakai.ne.jp/
| 固定リンク
「掲載号予告」カテゴリの記事
- 『労働基準広報』2019年1月1日・11日は、労働基準局長インタビュー、入管法改正、退職代行業者への対応など全88ページの 新年特別合併号です!(2018.12.27)
- 特集は「改正労働基準法(時間外上限規制・年休)の省令等」 『労働基準広報』№1971 2018/9/21号(2018.09.13)
- ご愛読誠にありがとうございます。 小誌編集部のブログが40万PV達成(2017.05.25)
- 労働基準広報2017年3月1日号のポイント~特集/「同一労働同一賃金ガイドライン案」の内容②(2017.02.08)
- ●特集/有期労働者の円滑な無期転換のために●弁護士&元監督官がズバリ解決!~労働問題の「今」~ 第28回 過労死白書①~労働基準広報2016年12月1日号のポイント~(2016.11.14)
「労働行政ニュース」カテゴリの記事
- 厚労省・第1回「労働市場における雇用仲介の在り方に関する研究会」を開催 IT化等による新しい事業モデル・サービスに対応した制度の在り方などを検討【令和3年1月6日】(2021.01.07)
- 『労働基準広報』2020年12月1日号の特集は「政府のテレワーク関係『令和3年度予算概算要求』」(2020.11.25)
- 令和元年12月13日「第136回 労働政策審議会 職業安定分科会雇用保険部会」開催される(厚生労働省) 自己都合離職者の給付制限期間の短縮、マルチジョブホルダーへの適用など多岐にわたる改正項目が示される (2019.12.13)
- 令和元年10月29日(火)「第133回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会(ペーパーレス)」開催される(厚生労働省) (2019.11.11)
- 令和元年10月28日(月)「第21回 労働政策審議会雇用環境・均等分科会(ペーパーレス)」開催される(厚生労働省)(2019.11.05)
「賃金」カテゴリの記事
- 「平成31年 就労条件総合調査」勤務間インターバル制度を導入している企業は3.7% 【厚生労働省】(2019.11.28)
- 厚生労働省・平成31年4月分の毎月勤労統計調査の結果確報を公表(2019.06.21)
- 「2018年度 決定初任給調査」の結果を発表(産労総合研究所)(2018.07.24)
- 厚生労働省が「黄」と「紫」の賃金引上げに向けた生産性向上の2冊の事例集を作成(平成30年5月17日)(2018.05.23)
- 不当解雇の金銭解決制度、「設計を検討すべき」にとどめる ~厚労省の検討会が報告書案~(20170529)(2017.05.30)
「労働基準法」カテゴリの記事
- 【2019年 年頭所感】 安全衛生部長 椎葉茂樹(2019.01.08)
- 『労働基準広報』2019年1月1日・11日は、労働基準局長インタビュー、入管法改正、退職代行業者への対応など全88ページの 新年特別合併号です!(2018.12.27)
- 特集は「改正労働基準法(時間外上限規制・年休)の省令等」 『労働基準広報』№1971 2018/9/21号(2018.09.13)
- 厚生労働省「第1回 柔軟な働き方に関する検討会」を開催(平成29年10月3日)今年度中にガイドラインを策定予定(2017.10.04)
- 厚生労働省が「第2回同一労働同一賃金部会」と「第134回労働条件分科会」を同日開催 「働き方改革実行計画」が共通テーマ(2017.05.15)
「労災保険法」カテゴリの記事
- 『労働基準広報』2020年12月1日号の特集は「政府のテレワーク関係『令和3年度予算概算要求』」(2020.11.25)
- 令和元年10月16日(水)「第15回 過労死等防止対策推進協議会」開催される(厚生労働省)(2019.10.17)
- 労災保険の追加給付の額はメリット収支率には反映させないことに【厚生労働省】(2019.06.18)
- 【厚生労働省 3月1日】受動喫煙防止対策の強化について基本的な考え方の案を公表(2017.03.02)
- 「働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動」を初めて実施します【厚生労働省】平成28年12月19日(2016.12.20)
「社会保険」カテゴリの記事
- 厚生労働省・平成26年度 国民医療費の概況~40兆8,071 億円、人口1人当たり32万1,100円~(2016.09.28)
- 政府・年金制度改革関連法案を閣議決定し国会に提出~500人以下の企業も労使合意に基づき企業単位で短時間労働者への適用拡大が可能~(2016.03.14)
- 塩崎大臣閣議後記者会見概要(平成28年3月8日(火曜日)8:22~8:28 ぶら下がり)【厚生労働省・広報室】GPIFの運用先開示の方針、介護施設の実地指導、労働移動支援助成金の問題について(2016.03.10)
- 「新実務シリーズ/人事異動の法律ルールと実務Q&A・第11回・企業間人事異動(出向、転籍)②」「裁判例から学ぶ予防法務〈第16回〉南淡漁業共同組合事件(大阪高裁 平成24年4月18日判決)」~労働基準広報2016年1月21日号の内容~(2016.01.13)
- 平成28年度・診療報酬改定に関する最新情報~厚生労働省が平成28年度診療報酬改定の基本方針を公表~(2015.12.15)
「助成金」カテゴリの記事
- 厚生労働省が「黄」と「紫」の賃金引上げに向けた生産性向上の2冊の事例集を作成(平成30年5月17日)(2018.05.23)
- 厚生労働省・平成28年熊本地震の発生に伴い「地域雇用開発奨励金」の特例措置(2016.10.19)
- 厚生労働省・「65歳超雇用推進助成金」創設へ~66歳以上の継続雇用制度の導入措置を実施した場合に一定額を助成~(2016.08.31)
- 塩崎大臣閣議後記者会見概要(平成28年3月8日(火曜日)8:22~8:28 ぶら下がり)【厚生労働省・広報室】GPIFの運用先開示の方針、介護施設の実地指導、労働移動支援助成金の問題について(2016.03.10)
- キャリアアップ助成金の助成額が拡充~正社員や多様な正社員への転換等の支援を拡充~(2016.01.28)
「違反」カテゴリの記事
- 厚生労働省・平成26年度 国民医療費の概況~40兆8,071 億円、人口1人当たり32万1,100円~(2016.09.28)
- 71.4%の実習実施機関で労働基準関係法令違反が~厚生労働省・外国人技能実習生の実習実施機関に対する平成27年の監督指導・送検状況を公表~(2016.08.17)
- 厚生労働省・本省かとくを設置~重点監督対象の残業時間を「月100時間超」から「月80時間超」に拡大(2016.04.05)
- 厚生労働省・大学生等に対するアルバイトに関する意識等調査結果について(2015.11.10)
- 長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表【厚生労働省】4月から6月に対象とした2,362事業場の約6割(1,479事業場)で違法な時間外労働を摘発(2015.09.29)
「調査」カテゴリの記事
- 「平成31年 就労条件総合調査」勤務間インターバル制度を導入している企業は3.7% 【厚生労働省】(2019.11.28)
- 令和元年10月31日(木)「第2回 今後の人材開発政策の在り方に関する研究会」開催される(厚生労働省)(2019.11.01)
- 令和元年10月16日(水)「第15回 過労死等防止対策推進協議会」開催される(厚生労働省)(2019.10.17)
- 令和元年9月17日(火)認定NPO法人キャリア権推進ネットワークが「第5回キャリア・コロッキアム」を開催(2019.10.04)
- 厚生労働省・平成31年4月分の毎月勤労統計調査の結果確報を公表(2019.06.21)
「Q&A」カテゴリの記事
- 【FM78.1MHz・ラジオカロスサッポロ】7月20日(木曜日)夜10時から小誌好評連載中の井澤慎次氏、淺野高宏氏が所属するユナイテッド・コモンズ法律事務所のラジオ番組がスタート(2017.06.23)
- 【本日発行!オススメ新刊書籍】「迷ったら使う!マイナンバー実践ガイドQ&A」~図解・ガイドライン等からみる運用上の留意点~【弁護士・弁理士 野中武 著/労働調査会 発行】「あると心強い一冊」です(A5判 全304ページ 定価2500円+税)(2016.02.15)
- 「新実務シリーズ/人事異動の法律ルールと実務Q&A・第11回・企業間人事異動(出向、転籍)②」「裁判例から学ぶ予防法務〈第16回〉南淡漁業共同組合事件(大阪高裁 平成24年4月18日判決)」~労働基準広報2016年1月21日号の内容~(2016.01.13)
- ●新春対談/どうなる今年の労働基準行政(山越敬一労働基準局長&労働評論家・飯田康夫氏)、 ●新春訪問/「働き方改革」に取り組むイキイキ職場~労働基準広報2016年1月1・11日号のポイント~ (2015.12.25)
- 「特集/若者雇用促進法等の詳解・10月1日から若者雇用の新認定制度創設 認定受ければ助成金増額等のメリットが」「労働判例解説/コンチネンタル・オートモーティブ事件・「勤務可能」の診断書は労働者の強い意向により書かれたものと認定」~労働基準広報2015年11月11日号の内容~(2015.11.05)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント