労使から求職者支援制度の財源「全額国庫負担を」との声多数 【第90回 雇用保険部会】
雇用保険積立金のソルベンシー・マージン比率(270.7%)
――が初めて示される!
本日、午後1時から午後3時まで開催された
第90回 労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会では、
求職者支援制度の状況等について
マルチジョブホルダーについて
雇用保険のソルベンシー・マージン比率について
――などについての検討が行われた。
については、
訓練受講者の「就職の状況」について、
「基礎コース」で「期間の定めなし」の就職者が62.8%、
「実践コース」では、67.9%――となっているが、
雇用形態をみると、
「基礎コース」の就職者のうち「正社員」が18.7%
「実践コース」では「正社員」は28.5%――となっており、
「期間の定めなし」の雇用の半数以上が「パート・アルバイト」であることになる。
「パート・アルバイト」の多くが雇用期間の定めがないということは、考えにくい。
調査の信ぴょう性が薄い。
もっと精査するべきでは。
聞き方が悪いのではないか。
――などの意見がだされた。
また、求職者支援制度の「財政の状況」については、
法の趣旨に則って、早期に国の財源で運営して欲しい。
全額国庫負担で行うべき。
ヨーロッパなどでは国庫負担であり、雇用保険でまかなっているのは日本だけである。
法律の見直しの検討課題の重要項目である。
――など、労使から「全額国庫負担を」との声が多数寄せられた。
マルチジョブホルダーについては、
マルチジョブホルダー(複数事業所就業者)の現状についての報告に加えて、
先の通常国会で成立した法律に基づく「社会保障・税番号制度の概要」についても説明がなされた。
マルチジョブホルダーの例として、現在放送中のドラマ「Woman」(ウーマン)の主人公があげられていた。
マルチジョブホルダーを雇用保険の加入対象とするためには、
1 労働者が就労しているすべての事業所での労働時間を把握する必要がある
2 仮に適用する場合、失業給付の在り方をどう考えるか。
複数の事業所に就労している者について、何をもって「失業」と判断するのか
(部分失業を認めるのか)
――などが課題となることが示された。
※ なお、複数事業所就業者については、労働基準法の割増賃金を算定する際に、労働時間を通算しなければならないこととされているが、現実的には、他の事業所での労働時間を把握することは困難で、労働時間の把握ができたとしても、いずれの事業所の使用者に割増賃金の支払い義務が生じるのかなどの判断の難しいケースも多い。
雇用保険のソルベンシー・マージン比率については、
雇用保険の積立金の関係で試算をしたものが、初めて示された。
これは、先の国会における質問があったため示されたもの。
ソルベンシー・マージン比率とは、民間保険会社が、大規模災害による保険金支払いの急激な増加や運用環境の悪化など「通常の予測を超える危険に対応する額」に対して、どの程度の自己資本・準備金などの「支払い余力」を有するかを示す経営健全性の指標。保険業法に基づく告示に計算方法が示されている。
そして、ソルベンシー・マージン比率が200%未満の場合は、行政(金融庁)による命令
などが行われる。
(一般社団法人)日本損害保険協会会員26社(23年度決算)の比率(中央値)は564.1%となっている。
平成23年度積立金残高(5兆9089億円)に基づいた雇用保険積立金のソルベンシー・マージン比率は、270.7%――であることが示された。
(積立金残高には、雇用保険二事業に貸し出している額(370億円)が含まれています。)
なお、国の18特別会計中では4特別会計がソルベンシー・マージン比率を公表している。
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