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2013年4月26日 (金)

平成25年度 厚生労働省予算案の内容~その⑦「平成25年度予算案における主な非正規雇用関連対策の概要」~

平成25年度予算案における主な非正規雇用関連対策の概要
関連対策要求合計額 2,662億円(3,439億円)

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今回は、平成25年度厚生労働省予算案の中から、厚生労働省が、非正規雇用の労働者の失業予防、処遇改善、正社員化、生活・早期再就職支援、非正規雇用への流入防止等、非正規雇用の労働者の生活・雇用の安定、能力開発、処遇改善などに資する施策を省内横断的に抜粋し、平成24年3月にとりまとめた非正規雇用問題に係るビジョンの柱立てに沿って整理したものを紹介します。

  正規雇用・無期雇用への転換促進 217億円(260億円)
(1)  有期・短時間・派遣労働者等安定雇用実現プロジェクト(仮称)の推進【新規】
54億円

非正規雇用問題に係るビジョン(平成24年3月)や「非正規雇用労働者の能力開発抜本に関する検討会」報告書(同年12月)などに基づき、非正規雇用で働く労働者の企業内でのキャリア・アップを総合的に支援する。
具体的には、正規雇用転換、人材育成、処遇改善などに向けたガイドラインを活用するとともに、事業主のこれらの取組を促進する包括的な助成措置など、ハローワークによる事業主支援体制を強化する。
併せて、非正規雇用の問題についての国民的議論を喚起する。

(2) パートタイム労働者の均等・均衡待遇の確保と正社員転換の推進【一部新規】 15億円(25億円)
パートタイム労働法制の整備を進め、制度の周知を図る。
また、パートタイム労働者の均等・均衡待遇の確保、正社員への転換を推進するため、パートタイム労働法に基づく指導、専門家による相談・援助、助成措置の活用による支援、職務分析・職務評価の導入支援を行うとともに、新たにパートタイム労働者の活躍を推進する雇用管理改善の取組みの普及促進を図る。
さらに、短時間正社員制度の導入・定着促進のため、ノウハウの提供や助成措置の活用による支援などを行う。
※ 均衡待遇・正社員化推進奨励金(パートタイム労働者の正社員転換等を推進)については、他の非正規雇用対策関連の助成金と整理・統合し、平成25年度からは有期・短時間・派遣労働者等安定雇用実現プロジェクト(仮称)における包括的な助成措置として実施する。((1)で予算計上)

(3) 短時間正社員制度の導入・定着の促進(一部前述) 97百万円(3億円)
短時間正社員制度の導入・定着促進のため、ノウハウの提供や助成措置の活用による支援などを行う。

(4) 改正労働契約法などの円滑かつ着実な施行(有期労働契約に関する新たなルールなどの円滑な実施) 3.6億円(3.4億円)
平成24年8月に成立した改正労働契約法の改正内容の周知を行うとともに、有期労働契約から無期労働契約への円滑な転換が可能となるよう、無期転換の好事例の収集や社内制度化に向けた取組モデルの開発・普及を行う。
また、有期契約労働者を雇用する事業主に対し、労働基準法や「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」について、必要な指導などを行う。

(5) 改正労働者派遣法の着実な実施 7.6億円(7.8億円)
施行された改正労働者派遣法を着実に実施するための制度の周知・指導を行う。

(6) フリーターなどのキャリア形成・正社員転換などの就職支援の強化138億円(65億円)
わかものハローワークなどで、若者雇用支援の専門員による個別指導、トライアル雇用やジョブ・カードを活用した有期実習型訓練により、フリーターなどの就職支援、キャリア・アップを促進する。
また、非正規雇用で働く労働者のキャリア・アップ(正規雇用への転換、人材育成、処遇改善など)に取り組む企業に対して、ハローワークを中心に、総合的な支援を行う。

(7) 非正規雇用の労働者へのワンストップによる就労支援 21億円(30億円)
非正規雇用の労働者に対する総合的な就職・生活支援体制を整備するため、全国に「非正規労働者総合支援センター」(キャリアアップ・ハローワーク)及び同コーナーを設置し、担当者制によるきめ細かな就職支援、能力開発支援、住居・生活支援等を一体的に実施する。

 均等・均衡待遇をはじめとする公正な処遇の確保 132億円(98億円)

(1) 有期・短時間・派遣労働者等安定雇用実現プロジェクト(仮称)の推進(再掲)
54億円

(2) パートタイム労働者の均等・均衡待遇の確保と正社員転換の推進(再掲)
15億円(25億円)

(3) 改正労働契約法などの円滑かつ着実な施行(有期労働契約に関する新たなルールなどの円滑な実施)(再掲) 3.6億円(3.4億円)

(4) 改正労働者派遣法の着実な実施(再掲) 7.6億円(7.8億円)

(5) 職業能力評価基準の整備・活用促進 1.8億円(2.5億円)
職種ごとに必要な能力要件を明確化した職業能力評価基準の策定・改訂を推進し、業界ごとの実情に基づいて人材育成・評価のためのツール(キャリアマップ、職業能力評価シート)の開発・導入を進めながら、社内検定や業界検定につなげるなど、職業能力評価基準の一層の活用を図る。

(6) 最低賃金引上げにより最も影響を受ける中小企業への支援や最低賃金の遵守の徹底 32億円(41億円)
最低賃金引上げにより最も影響を受ける中小企業への支援を実施する。
また、最低賃金の遵守の徹底を図る。

(7) 労働問題に関するワンストップ相談体制の整備 16億円(15億円)
依然として高水準で推移し、また「いじめ・嫌がらせ」といった相談が増加するなど、複雑・困難化している個別労働紛争(個々の労働者と事業主との間での職場のトラブル)の円滑かつ迅速な解決の促進を図るため、総合労働相談コーナーの体制の強化を図る。

(8)  働く人のためのルールに関する教育の実施 26百万円(23百万円)
個別労働紛争の未然防止・早期解決を図るため、労働者や事業者などに対し、労働契約法などの労働関係法令の教育、情報提供などを実施する。

 職業キャリアの形成の支援 2,000億円(2,767億円)

「非正規雇用労働者の能力開発抜本強化に関する検討会」報告書(平成24年12月)の内容等も踏まえ、正規・非正規という雇用形態に関わらず、将来に夢や希望を持ちながら安心して生活を送れるような収入を確保できるよう、職業能力形成機会が乏しい非正規雇用の労働者などに対して、国や地方自治体による公共職業訓練の推進、キャリア・コンサルタントの人材育成・配置、ジョブ・カード制度の普及促進や実用的な職業能力評価ツールの整備などを通じて、職業キャリアの形成を支援する。

(1) 成長分野・ものづくり分野での人材育成の推進 1,758億円(2,588億円)
① 成長分野・ものづくり分野での公的職業訓練の推進
1,717億円(2,582億円)
離職者に対して、民間教育機関などを活用し、介護、情報通信、環境・エネルギー分野などの成長分野の実践的な公共職業訓練や求職者支援訓練を推進するとともに、訓練修了者に対する就職支援を強化する。また、地域や産業ニーズに基づき、ものづくり分野の公共職業訓練を実施する。

② 長期の訓練コースの開発・設定【新規】(一部前述) 8.7億円
公共職業訓練で、関係省庁と連携し、成長分野などでの中核人材育成などを可能とする長期の訓練コースの開発や積極的な設定を進める。

③ ものづくり立国の推進【一部新規】 41億円(6.2億円)
企業OBなどの優れた技能者(ものづくりマイスター(仮称))が実技指導などを行う「若年技能者人材育成支援等事業(仮称)」により、技能競技大会参加者の拡大や若年技能者のスキルアップ、効果的な技能の継承などへの支援を行う。
また、熟練技能者の技能について、文書や映像などで保存するとともに、優れた技能を紹介するイベントやものづくり体験教室の開催、卓越した技能者への表彰を行う。

(2)  有期・短時間・派遣労働者等安定雇用実現プロジェクト(仮称)の推進(再掲)
54億円

(3)  職業生涯を通じたキャリア形成支援の一層の推進 105億円(113億円)
① 中小企業でのキャリア形成支援 6.7億円(4.1億円)
キャリア・コンサルタントの派遣などにより、非正規雇用や中小企業の若年労働者がキャリア・コンサルティングを受けられるようにするとともに、計画的な人材育成のための助言など中小企業への総合的な支援を強化する。

② キャリア・コンサルティングの活用促進 1.4億円(1.3億円)
キャリア・コンサルタントの体系的な養成や質の向上を図るため、キャリア・コンサルタントの指導者養成などを行うとともに、キャリア・コンサルタントについての情報提供体制を整備し、キャリア・コンサルティングの活用を推進する。

③ ジョブ・カード制度の推進【一部新規】 95億円(105億円)
公共職業訓練や求職者支援訓練でのジョブ・カードの活用促進や、ジョブ・カードを採用面接の応募書類として活用する「ジョブ・カード普及サポーター企業」の開拓、学生用ジョブ・カードを活用している好事例の収集・普及などにより、ジョブ・カードを取得した訓練受講者などの円滑な就職を促進する。

④ 職業能力評価基準の整備・活用促進(再掲) 1.8億円(2.5億円)

(4)  フリーターなどのキャリア形成・正社員転換などの就職支援の強化(再掲)
138億円(65億円)

 若者の安定雇用の確保 356億円(298億円)

(1)  キャリア教育の推進 25百万円(14百万円)
教育行政と連携しながらキャリア・コンサルティングの手法を活用し、中学、高校、大学などの段階ごとに、キャリア教育を効果的に指導できる専門人材を養成する。

(2) 雇用のミスマッチ解消 122億円(125億円)
① 大学などの新卒者・既卒者に対する就職支援の推進 105億円(112億円)
大学などの未就職卒業者を減?させるため、ジョブサポーターの全校担当制や、大学などへのジョブサポーターの相談窓口設置・出張相談の強化を図るとともに、中小企業団体・ハローワーク・大学等間の連携強化・情報共有化などにより、関係省庁一体となって新卒者・既卒者に対する就職支援を促進する。
また、被災地域の安定雇用の確保を図るため、ジョブサポーターを活用し、被災新卒者などの就職支援を促進する。

② 若者と中小企業とのマッチング強化【新規】2.7億円
中小企業とのマッチングを強化するため、若者の採用・育成に積極的な「若者応援企業」の周知や面接会の開催等を行い、若者の就職支援を推進する。

(3) キャリア・アップ支援 234億円(173億円)
① フリーターなどのキャリア形成・正社員転換などの就職支援の強化(再掲)138億円(65億円)

② ジョブ・カード制度の推進(再掲) 95億円(105億円)

③ キャリア・コンサルティングの活用促進 (再掲) 1.4億円(1.3億円)

 雇用のセーフティネットの強化 1,788億円(2,594億円)

(1)  生活保護受給者などの生活困窮者に対する就労支援の抜本強化(「生活保護受給者等就労自立促進事業(仮称)の創設」)【新規】72億円
「生活保護受給者等就労自立促進事業(仮称)」を創設し、生活保護受給者を含め生活困窮者を広く対象として、自治体にハローワークの常設窓口を設置するなどワンストップ型の就労支援体制を全国的に整備し、早期支援の徹底、求職活動状況の共有化など、就労支援を抜本的に強化し、生活困窮者の就労による自立を促進する。

(2)  公共職業訓練、求職者支援制度による職業訓練や給付金の支給を通じた能力開発や訓練機関とハローワークとの連携を通じた就職支援(再掲)1,717億円(2,582億円)
就職のために能力の向上が必要な者に対し、公共職業訓練や求職者支援制度による職業訓練や給付金の支給を実施する。
労働局と都道府県などとの連携や訓練機関への巡回指導の強化を図るとともに、ハローワークの就職支援体制を強化し、きめ細かな就職支援を行う。

 その他 342億円(279億円)
(1)  ひとり親家庭の就業・生活支援などの推進 98億円(37億円)
母子家庭の母などへの就業支援・生活支援など総合的な自立支援施策を推進する。

(2)  自立を促進するための経済的支援 50億円(50億円)
母子家庭などの自立を促進するため、技能取得などに必要な資金の貸付けを行う母子寡婦福祉貸付金による経済的支援を行う。

(3)  女性の就業希望の実現 24億円(23億円)
子育て中の女性などがその能力を発揮できる職場を確保の確保に向け、マザーズハローワーク事業の実施拠点の拡充など、一層の強化を図り、一人ひとりの希望や状況に応じた就職の実現を支援する。

(4)  外国人の適正な就業の促進【一部新規】 10億円(11億円)
労働局が主体となって関係機関との連携を強化し、適正かつ安定した就労につながるよう、職業相談から定着支援までの一貫した就労支援に取り組む。

(5)  日系人などの定住外国人に対する職業訓練の推進(一部前述)6.6億円(6.5億円)
就労準備研修について、各地域のニーズを勘案しながら、介護などの雇用創出が見込まれる分野の専門コースを拡充する。
また、定住外国人職業訓練コーディネーターの配置など定住外国人に配慮した職業訓練を実施する。

(6)  外国人労働者の労働条件の確保 72百万円(73百万円)
外国人労働者の労働条件をめぐる相談事例を外国語により情報提供するなど、外国人労働者の労働条件の確保を図る。

(7)  都道府県による産業政策と一体となった雇用創造の支援の抜本的な強化(「戦略産業雇用創造プロジェクト」の創設)【新規】41億円
良質かつ安定的な雇用機会の創出に向けた取組を推進するため、製造業などの戦略産業を対象として、産業政策と一体となって実施する地域の自主的な雇用創出プロジェクトを支援する。

(8)  成長分野での積極的な雇用創出・人材育成・就職支援【新規】3.1億円
日本の「雇用をつくる」人材(グローバルな視点をもって仕事をして成果を出せる人材、創業・起業や新事業展開を支える人材など)を確保・育成していくため、人材像の明確化や、確保・育成の手法について開発を行う。
また、主要ハローワークで、成長分野への事業展開などを行う企業に対する人材確保や人材育成の支援、求人・求職のマッチングなどを強化する。

(9)  介護・医療・保育職種の人材確保に向けた支援の強化 29億円(54億円)
人材不足が深刻化する介護・医療・保育職種の人材確保に向け、主要ハローワークにある「福祉人材コーナー」の運営体制の拡充を図るなど、福祉分野の職種を希望する方々に対する支援を強化する。

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