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2013年3月15日 (金)

「印刷事業場で発生した胆管がんの業務上外に関する検討会」が報告書

昨日(14日)、印刷業労働者の胆管がんの労災認定を検討してきた厚生労働省の検討会が報告書をとりまとめました。

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1 検討会の報告書について

厚生労働省では、平成24年3月に、大阪府の印刷事業場で、化学物質の使用により胆管がんを発症したとの請求がなされたことを受け、平成24年9月から「印刷事業場で発生した胆管がんの業務上外に関する検討会」(座長:産業医学振興財団 理事長 櫻井治彦)において業務との因果関係について検討し、本日、大阪府の印刷事業場に従事する労働者に発症した胆管がんの発症原因について、現時点での医学的知見を報告書としてとりまとめました。

報告書のポイントは以下のとおりです。
(1) 胆管がんは、ジクロロメタン又は1,2-ジクロロプロパンに長期間、高濃度ばく露することにより発症し得ると医学的に推定できること
(2) 本件事業場で発生した胆管がんは、1,2-ジクロロプロパンに長期間、高濃度ばく露したことが原因で発症した蓋然性が極めて高いこと

2 厚生労働省の対応について

本報告書を踏まえ、厚生労働省においては、以下のとおりの対応を行うとしています。
(1) 労災請求事案の決定手続等
 大阪の印刷事業場の労働者等から請求のあった16件については、大阪労働局に対し、速やかに事務処理を行い、3月中に決定を行うよう指示しました。
 なお、同事業場については、本年2月に、上記以外に1件の労災請求がなされていますが、現在、化学物質のばく露状況等を調査中であることから、調査が整い次第速やかに決定に向けた検討をすることとしています。
 また、その他の労災請求事案についても、本検討会で検討することとしています。
 1,2-ジクロロプロパン又はジクロロメタンにより胆管がんを発症したとする労災請求の時効については、本日まで進行しない取扱いになります。

(2) 化学物質のばく露防止対策の強化
 化学物質のばく露防止については、これまでも、洗浄作業等を行う事業場に対する一斉点検、全国の印刷事業場に対する通信調査とその後の指導等を行ってきたところですが、今後、以下の取組を強化します。
ア 迅速な法令の整備
 1,2-ジクロロプロパンについては、早急にばく露の実態を踏まえ必要なばく露防止措置を検討し、夏頃を目途に結論を得て、速やかに特定化学物質障害予防規則等の改正を行います。
イ 化学物質のばく露防止の指導
 アの法令改正を待たずに、1,2-ジクロロプロパンについては原則として使用を控えるよう、事業者に対して指導します。その他の化学物質についても、労働者に高濃度のばく露のおそれのある洗浄や拭取りの業務について、労働者の化学物質へのばく露を防止するよう指導します。
ウ 現行法令の遵守徹底
 ジクロロメタンについても、有機溶剤中毒予防規則に基づくばく露防止措置の遵守を徹底させます。

Tankan

櫻井治彦座長

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