【環境省】「微小粒子物質(PM2.5)に関する専門家会合の報告書」を掲載
昨日、環境省ホームページ「微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報」に
2月27日の「微小粒子物質(PM2.5)に関する専門家会合」において取りまとめられた報告書
「最近の微小粒子状物質(PM2.5)による大気汚染への対応」
――が掲載されました。
【報告書】より抜粋
3.注意喚起のための暫定的な指針の設定について
(1) 位置づけ
昨今の日本国内のPM2.5 濃度の状況については、前述したとおり、今年1 月のデータを昨年、一昨年の同時期と比較すると、高い傾向は認められるものの、大きく上回る状況にはない。しかしながら、社会的な要請を踏まえると、何らかの形で注意喚起のための指針を作成することが適当である。
一方、この指針を大気汚染防止法に基づく緊急時の措置(注意報等)の根拠として位置づけることについては、緊急時の措置が、当該地域における削減対策を必要とする場合がある強制力を伴う措置であり、且つ、越境汚染に対しては直接の効果が期待できないことから、PM2.5 に関する現象解明が不十分な現状の中では困難である。
したがって、当面、人の健康を保護する上で維持されることが望ましい水準である環境基準とは別に、現時点までに得られている疫学知見を考慮して、健康影響が出現する可能性が高くなると予測される濃度水準を、法令等に基づかない注意喚起のための「暫定的な指針となる値」として定めることとし、今後新たな知見やデータの蓄積等を踏まえ、必要に応じて見直しを行うこととする。
なお、今回の注意喚起は、広範囲の地域にわたって健康影響の可能性が懸念される場合に、参考情報として広く社会一般に注意を促すために行うものである。高感受性者については、健常者に比べて短期曝露の影響が出てくる濃度レベルは低いと考えられるが、現段階においてその濃度レベルを明らかにすることは困難である。
また、高感受性者への影響については個人差が大きいと考えられていることから、これらの者に対してある一定の値をもって注意喚起を行うことは適当ではない。さらに、今回定める指針は、中国在留邦人のように日本国内のPM2.5 濃度レベルと比べて極端に高濃度のレベルの状況にある地域を考慮した指針ではないことから、中国在留邦人への対応については、既に在中国日本国大使館から示されている注意喚起に基づき対応することが適当と考える。
(2) 暫定的な指針となる値の設定
注意喚起を行う暫定的な指針となる値については、国内の疫学知見は限られているものの、2.(3)で述べたような現時点での短期曝露に関する知見等、及び米国における大気質指標(Air Quality Index; AQI)においてすべての人に対してある程度の健康への影響を与える可能性があるPM2.5濃度として65.5μg/m3以上が定められていること等を総合的に勘案し、本専門家会合においては、注意喚起のための暫定的な指針となる値として、日平均値70μg/m3 を提案することが適当であると考える。ただし、日平均値70μg/m3 を超えるPM2.5 への曝露によって、すべての人に必ず健康影響が生じるというものではないことに留意が必要である。
なお、前述したとおり、高感受性者は、日平均値70μg/m3 以下の場合であっても短期的な影響がみられる可能性がある。
(3) 暫定的な指針となる値を超えた場合の対応措置
これまでの研究知見から、屋内のPM2.5 濃度は屋外のPM2.5 濃度に比べて低い傾向にあることが知られているため、PM2.5 対策として屋外活動を控えることは有効と考えられる。したがって、PM2.5 濃度が暫定的な指針となる値を超えた場合には、屋外での長時間の激しい運動や外出をできるだけ減らすことは有効である。
その際、屋内においても換気や窓の開閉を必要最小限にするなどにより、外気の屋内への侵入をできるだけ少なくし、その吸入を減らすことに留意する必要がある。特に高感受性者においては、体調に応じて、より慎重に行動することが望まれる。
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