一般事業主行動計画の作成をきっかけに、育児休業制度など新設・拡充、300人以上規模の企業で約4割【JILPT】
「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査」結果
― 次世代法に基づく一般事業主行動計画の作成などに一定の効果 ―
(独)労働政策研究・研修機構(JILPT)はこのほど、ポジティブ・アクションの推進を含め女性役職者の登用上の課題等を見出すとともに、次世代育成支援対策推進法(次世代法)の効果を検証するために実施した調査の結果をまとめ公表した。
○ 調査結果のポイント
Ⅰ 女性正社員の活躍と役職登用
<女性役職者の比率の状況>
<女性役職者の比率の状況>
女性役職者の比率をみると、係長・主任相当職以上(常勤役員を含む)で300人以上規模で9.6%、100~299人規模で10.1%である。課長相当職以上(常勤役員を含む)では、300人以上規模で4.2%、100~299人規模で4.3%と低い水準となっている。
<女性役職者が少ない理由、「採用時点で女性が少ない」「現時点では、必要な知識や経験、判断力などを有する女性が少ない」などが多い>
<女性役職者が少ない理由、「採用時点で女性が少ない」「現時点では、必要な知識や経験、判断力などを有する女性が少ない」などが多い>
女性役職者が少ない理由をみると、「採用の時点で女性が少ない」(300人以上規模52.2%、100~299人規模59.8%)や「現時点では、必要な知識や経験、判断力などを有する女性がいない」(300人以上規模45.6%、100~299人規模49.0%)などが多くなっており、女性役職者の登用を図るためには女性の採用拡大や知識・経験を有する女性社員の育成等が課題となる。
<「女性役職者への登用を促進するための措置」の企業の取り組み、あまり進んでいない>
<「女性役職者への登用を促進するための措置」の企業の取り組み、あまり進んでいない>
「女性役職者への登用を促進するための措置」をとっている企業の割合は、企業規模が大きくなるほど高くなるが、概ね1~3割程度と低い水準にとどまっており、女性役職者登用のための企業の取り組みはあまり進んでいない。
<ポジティブ・アクションなどの取り組み、「女性のモチベーションが上がった」、「女性の勤続年数が伸びた」、「女性の役職者が増えた」など、一定の効果>
<ポジティブ・アクションなどの取り組み、「女性のモチベーションが上がった」、「女性の勤続年数が伸びた」、「女性の役職者が増えた」など、一定の効果>
女性正社員の活躍のための施策やポジティブ・アクションの取り組み数(両者の合計数13個)と企業全体の反応について比較してみると、これらの施策の取り組み数が多い企業の方が、「女性のモチベーションが上がった」、「女性の勤続年数が伸びた」や「女性の役職者が増えた」などで、「そう思う(計)」の企業割合が高まっており、これらの施策にある程度取り組んだ企業において一定の効果が出ていることが窺える。
<女性役職者の登用を図る上で、女性管理職の存在や果たす役割は、重要>
<女性役職者の登用を図る上で、女性管理職の存在や果たす役割は、重要>
管理職(課長及び部長)の女性社員の部下に対する育成の方針・行動についてみると、男性管理職に比べ、女性管理職の方が、「女性に管理職昇進意欲を持つように働きかける」などの方針や行動を積極的にとっており、女性役職者の登用を図る上で、女性管理職の存在や果たす役割は重要である。
Ⅱ 両立支援策と次世代育成支援対策推進法の状況
<「育児のための短時間勤務制度」の導入割合、9割以上。2006年の調査と比較して大きく上昇>
Ⅱ 両立支援策と次世代育成支援対策推進法の状況
<「育児のための短時間勤務制度」の導入割合、9割以上。2006年の調査と比較して大きく上昇>
「育児のための短時間勤務制度」の導入状況については、厳密な比較は困難な面があるが、2006年調査と本調査を比較すると、2006年調査の制度導入割合が75.7%であるのに対し、本調査(300人以上規模)が91.4%となっており、大きく上昇している。
<両立支援策の従業員への周知、協力確保、7割を超える企業で実施>
<両立支援策の従業員への周知、協力確保、7割を超える企業で実施>
両立支援策などの実施状況をみると、「企業全体としての所定外労働(残業)削減の取り組み」、「育児休業などの両立支援制度の従業員への周知」や「育児に係る休業や短時間勤務についての協力の確保」などでは7割を超えて実施されており、これらの方策については多くの企業で取り組みが行われている。
<両立支援策の整備に対する企業の評価、「女性の勤続年数が伸びた」が約6割(300人以上規模)>
<両立支援策の整備に対する企業の評価、「女性の勤続年数が伸びた」が約6割(300人以上規模)>
両立支援策などの整備による企業の反応をみてみると、特に、300人以上の企業では「女性の勤続年数が伸びた」という回答が約6割と高く、両立支援策などの整備について女性の就業継続などに一定の効果があるとみているようである。
<次世代法に基づく一般事業主行動計画、最高4回提出>
<次世代法に基づく一般事業主行動計画、最高4回提出>
一般事業主行動計画を作成した企業が何回提出しているかをみてみると、300人以上規模の企業では1回ではなく、2回、3回、多い企業では4回の提出となっており、多くの企業で一般事業主行動計画が多数回作成され提出されている状況にある。
<次世代法に基づく一般事業主行動計画の作成をきっかけに、育児休業制度、短時間勤務制度などの新設・拡充企業、約4割(300人以上規模)>
<次世代法に基づく一般事業主行動計画の作成をきっかけに、育児休業制度、短時間勤務制度などの新設・拡充企業、約4割(300人以上規模)>
両立支援策などに取り組む理由・きっかけをみると、「次世代育成支援対策推進法で事業主行動計画を作る必要があるため」を挙げている企業が3割(300人以上規模39.6%、100~299人規模34.6%)を超えている。
一般事業主行動計画を作成した企業の内、一般事業主行動計画の作成をきっかけに、育児休業制度や短時間勤務制度などを新設または拡充した企業も概ね3割(順に300人以上規模38.2%、37.9%、100~299人規模35.2%、25.5%)を超えており、一般事業主行動計画の作成が企業における両立支援策の導入・拡充に一定の影響を与えている。
<一般事業主行動計画作成・くるみんマーク認定は、両立支援策の充実、女性の継続就業を図る上で重要>
<一般事業主行動計画作成・くるみんマーク認定は、両立支援策の充実、女性の継続就業を図る上で重要>
一般事業主行動計画の作成や300人以上規模の企業でくるみんマークの認定を受けている企業の方が、両立支援策の充実や女性の継続就業が図られてもおり、さらには、企業も両立支援策の整備に関し積極的な効果を見出すとともに、両立支援制度を実際に利用することが多い子どものいる女性従業員から「育児休業や短時間勤務がとりやすい環境にある」と評価される割合も高くなっている。両立支援策の充実や女性の継続就業を図る上で、企業が積極的に一般事業主行動計画を作成し、くるみんマークの認定を受ける取り組みは重要である。
詳細はこちら↓↓↓
(独)労働政策研究・研修機構
「『男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査』結果」
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「『男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査』結果」
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