平成25年度 厚生労働省予算案の内容~その④~「戦略産業雇用創造プロジェクト」の創設に41億円を新規要求
平成25年度厚生労働省予算案から、今回は、「成長分野などでの雇用創出、人材の育成の推進」の項目を紹介します。
予算案では、同項目で2071億円(前年度2825億円)を計上しています。
成長分野などでの雇用創出の推進 120億円(54億円)
① 都道府県による産業政策と一体となった雇用創造の支援の抜本的な強化(「戦略産業雇用創造プロジェクト」の創設)【新規】 41億円
良質かつ安定的な雇用機会の創出に向けた取組みを推進するため、製造業などの戦略産業を対象として、産業政策と一体となって実施する地域の自主的な雇用創造プロジェクトを支援する。
② 成長分野での積極的な雇用創出・人材育成・就職支援【新規】 3.1億円
日本の「雇用をつくる」人材(グローバルな視点をもって仕事をして成果を出せる人材、創業・起業や新事業展開を支える人材など)を確保・育成していくため、人材像の明確化や、確保・育成の手法について開発を行う。
また、主要ハローワークで、成長分野への事業展開などを行う企業に対する人材確保や人材育成の支援、求人・求職のマッチングなどを強化する。
③ 成長分野などの中小企業による魅力的な職場づくりの取組みの支援【新規】 45億円
働きやすく、働きがいのある魅力的な職場づくりを進めるため、先駆的な事例を集めたケースブックの作成・普及、新たな助成金の創設など、雇用管理の改善に取り組む中小企業への総合的かつきめ細かな支援を行う。
④ 介護・医療・保育職種の人材確保に向けた支援の強化 30億円(54億円)
人材不足が深刻化する介護・医療・保育職種の人材確保に向け、主要ハローワークにある「福祉人材コーナー」の運営体制の拡充を図るなど、福祉分野の職種を希望する方々に対する支援を強化する。
また、介護・医療現場での勤務環境の改善に向けた取組みを推進する。
成長分野などでの人材育成の推進 1,759億円(2,589億円)
① 成長分野・ものづくり分野での離職者訓練や在職者訓練の推進(一部復興) 1,717億円(2,582億円)
離職者に対して、民間教育機関などを活用し、被災地の求職者への対応も含め、介護、情報通信、環境・エネルギー分野などの成長分野の実践的な公共職業訓練や求職者支援訓練を推進するとともに、訓練修了者に対する就職支援体制を整備し、きめ細かな就職支援を行う。また、地域や産業ニーズに基づき、ものづくり分野の公共職業訓練を実施する。
さらに、在職者に対して、業界団体などと連携し、成長分野へ展開を図る企業の人材育成に資する訓練カリキュラムを開発し、これを基に在職者訓練を実施する。
② 長期の訓練コースの開発・設定【新規】 8.7億円
公共職業訓練で、関係省庁と連携し、成長分野などでの中核人材育成などを可能とする長期の訓練コースの開発や積極的な設定を進める。
③ ものづくり立国の推進【一部新規】 41億円(6.2億円)
企業OB などの優れた技能者(ものづくりマイスター(仮称))が実技指導などを行う「若年技能者人材育成支援等事業(仮称)」により、技能競技大会参加者の拡大や若年技能者のスキルアップ、効果的な技能の継承などへの支援を行う。
また、熟練技能者の技能について、文書や映像などで保存するとともに、優れた技能を紹介するイベントやものづくり体験教室の開催、卓越した技能者への表彰を行う。
④ 新事業展開地域人材育成支援事業の推進 1億円(1億円)
地場産業が集積する地域の業界団体など(事業協同組合など)が教育訓練機関と連携し、これまで培ってきた技能・技術を活かし新たな事業展開を図る企業に対し、必要となる技能を付与するための教育訓練カリキュラムの開発や教育訓練の実施などの人材育成支援を行う。
職業生涯を通じたキャリア形成支援の一層の推進 193億円(182億円)
① 労働者・企業に対する職業能力開発への支援【一部新規】 113億円(95億円)
ア 政策課題に沿った人材育成への支援 105億円(91億円)
事業主が労働者に対して職業訓練を実施する場合に必要な経費などの助成を行うキャリア形成促進助成金を、政策課題(若年者、グローバル人材、成長分野やものづくり分野の人材育成など)に沿った訓練に重点助成する。
また、非正規雇用で働く労働者のキャリア・アップを促進するため、事業主による人材育成を支援する。
イ 中小企業などでのキャリア形成支援【一部新規】 8.1億円(4.1億円)
キャリア・コンサルタントの派遣などにより、非正規雇用や中小企業の若年労働者がキャリア・コンサルティングを受けられるようにするとともに、計画的な人材育成のための助言など中小企業への総合的な支援を強化する。
また、ワーキングホリデーなどの海外経験を希望する若者に対して、キャリア・コンサルティングなどによりキャリア形成を支援する。
② キャリア・コンサルティングの活用促進 1.4億円(1.3億円)
③ ジョブ・カード制度の推進 95億円(105億円)
④ 職業能力評価基準の整備・活用促進 1.8億円(2.5億円)
職種ごとに必要な能力要件を明確化した職業能力評価基準の策定・改訂を推進し、業界ごとの実情に基づいて人材育成・評価のためのツール(キャリアマップ、職業能力評価シート)の開発・導入を進めながら、社内検定や業界検定につなげるなど、職業能力評価基準の一層の活用を図る。
⑤ 技能検定制度の整備 10億円(14億円)
産業技術の高度化などに対応した検定基準・課題の見直し、社会的ニーズに基づいた検定職種の作業などの見直しとともに、国や都道府県、職業能力開発協会、関係団体との連携強化や民間機関の活力の活用促進により、技能検定制度の整備を進める。
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