平成25年度 厚生労働省予算案の内容~その③~ 「若者・女性・高齢者・障害者等の就業実現」に1018億円を計上!
平成25年度厚生労働省予算案から、今回は、「若者・女性・高齢者・障害者等の就業実現」に関連する項目を紹介します。
予算案では、1018億円(前年度1001億円)を計上しています。
若者の安定雇用の確保 355億円(296億円)
① 大学などの新卒者・既卒者に対する就職支援の推進(一部復興) 105億円(112億円)
大学などの未就職卒業者を減少させるため、ジョブサポーターの全校担当制や、大学などへのジョブサポーターの相談窓口設置・出張相談の強化を図るとともに、中小企業団体・ハローワーク・大学等間の連携強化・情報共有化などにより、関係省庁一体となって新卒者・既卒者に対する就職支援を促進する。
なお、被災地域の安定雇用の確保を図るため、ジョブサポーターを活用し、被災新卒者などの就職支援を促進する。
② 若者と中小企業とのマッチングの強化【新規】 2.7億円
中小企業とのマッチングを強化するため、若者の採用・育成に積極的な「若者応援企業」の周知や面接会の開催等を行い、若者の就職支援を推進する。
③ キャリア教育の推進 25百万円(14百万円)
教育行政と連携しながらキャリア・コンサルティングの手法を活用し、中学、高校、大学などの段階ごとに、キャリア教育を効果的に指導できる専門人材を養成する。
④ キャリア・コンサルティングの活用促進 1.4億円(1.3億円)
キャリア・コンサルタントの体系的な養成や質の向上を図るため、キャリア・コンサルタントの指導者養成などを行うとともに、キャリア・コンサルタントについての情報提供体制を整備し、キャリア・コンサルティングの活用を推進する。
⑤ フリーターなどのキャリア形成・正社員転換などの就職支援の強化 138億円(65億円)
わかものハローワークなどで、若者雇用支援の専門員による個別指導、トライアル雇用やジョブ・カードを活用した有期実習型訓練により、フリーターなどの就職支援、キャリア・アップを促進する。
また、非正規雇用で働く労働者のキャリア・アップ(正規雇用への転換、人材育成、処遇改善など)に取り組む企業に対して、ハローワークを中心に、総合的な支援を行う。
地域若者サポートステーション(サポステ)の設置拠点の拡充(115 カ所→140カ所)や積極的な周知により、ニートなどの若者の職業的自立支援を強化する。
⑥ ジョブ・カード制度の推進【一部新規】 95億円(105億円)
公共職業訓練や求職者支援訓練でのジョブ・カードの活用促進や、ジョブ・カードを採用面接の応募書類として活用する「ジョブ・カード普及サポーター企業」の開拓、学生用ジョブ・カードを活用している好事例の収集・普及などにより、ジョブ・カードを取得した訓練受講者などの円滑な就職を促進する。
女性の活躍促進 176億円(149億円)
① 企業のポジティブ・アクションの取組促進【一部新規】 6.1億円(5.7億円)
ポジティブ・アクション(女性の活躍促進)を支援するため、企業に対する直接的な働きかけを強力に推進する。
また、専用ポータルサイト等での開示を促進するとともに、企業の労使で男女の均等度合いを把握してポジティブ・アクションにつなげるための事業や、メンター(※1)やロールモデル(※2)の確保・育成が困難な企業がネットワークをつくり女性の相互研鑽、研修などを行う仕組みづくりを支援する。
※1 メンター:後輩からの仕事・キャリア等の相談相手となりつつ助言、指導、支援をし人材育成する人物
※2 ロールモデル:職業人として模範、手本となる、又は目指したい人物
② 女性の就業希望の実現 24億円(23億円)
子育て中の女性などがその能力を発揮できる職場の確保に向け、マザーズハローワーク事業の実施拠点の拡充など一層の強化を図り、一人ひとりの希望や状況に応じた就職の実現を支援する。
③ 仕事と育児の両立支援策の推進【一部新規】 73億円(92億円)
仕事と育児の両立を実現するため、育児・介護休業法の周知徹底、期間雇用者の育児休業や短時間勤務の取得などに関する好事例の収集・普及などを行う。また、両立支援に取り組む事業主への助成について、新たに期間雇用者の継続就業を進める事業主を支援する。
さらに、イクメンプロジェクトの実施などにより、男性の育児休業の取得を促進する。
④ 仕事と介護の両立支援策の推進【新規】 30百万円
労働者の仕事と介護の両立を支援し、継続就業を促進するため、企業向けの両立支援対応策モデルを構築し、その周知を図るとともに、両立支援制度や両立モデルなどを内容とする労働者向け事例集の作成、シンポジウムの開催などを行う。
⑤ パートタイム労働者の均等・均衡待遇の確保と正社員転換の推進【一部新規】 15億円(25億円)
パートタイム労働法制の整備を進め、制度の周知を図る。
また、パートタイム労働者の均等・均衡待遇の確保、正社員への転換を推進するため、パートタイム労働法に基づく指導、専門家による相談・援助、助成措置の活用による支援、職務分析・職務評価の導入支援を行うとともに、パートタイム労働者の活躍を推進する雇用管理改善の取組みの普及促進を図る。
さらに、短時間正社員制度の導入・定着促進のため、ノウハウの提供や助成措置の活用による支援などを行う。
※ 均衡待遇・正社員化推進奨励金(パートタイム労働者の正社員転換等を推進)については、他の非正規雇用対策関連の助成金と整理・統合し、平成25年度からは有期・短時間・派遣労働者等安定雇用実現プロジェクト(仮称)における包括的な助成措置として実施する。
⑥ 改正労働契約法などの円滑かつ着実な施行(有期労働契約に関する新たなルールなどの円滑な実施) 3.6億円(3.4億円)
⑦ 有期・短時間・派遣労働者等安定雇用実現プロジェクト(仮称)の推進【新規】 54億円
高齢者の就労促進など(「生涯現役社会」の実現) 319億円(337億円)
① 年齢にかかわりなく意欲と能力に応じて働くことができる「生涯現役社会」の実現に向けた高齢者の就労促進【新規】 101億円
年齢にかかわりなく働くことができる企業の普及に向けた支援を充実するとともに、高齢期にさしかかった段階で、高齢期の生き方を見つめ直すことを奨励するなど、生涯現役社会の実現に向けた社会的な機運の醸成を図る運動を実施する。
② 高齢者などの再就職の援助・促進【一部新規】 36億円(22億円)
高齢者が安心して再就職支援を受けることができるよう、全国の主要なハローワークで職業生活の再設計に関する支援や担当者制による就労支援を実施するなど、再就職支援を充実・強化する。
③ 高齢者が地域で働ける場や社会を支える活動ができる場の拡大 125億円(124億円)
シルバー人材センターの活用などにより、定年退職後などの高齢者の多様な就業ニーズに応じた就業機会を確保する。
④ 高齢者の有償ボランティア活動への支援など【一部新規】32億円(32億円)
障害者の就労促進(障害者が誇りと生きがいを持って働ける社会の実現)
219億円(219億円)
① 障害者権利条約の批准などに向けた障害者雇用促進制度の見直し【一部新規】
27百万円(11百万円)
障害者権利条約の批准などに対応するため、労働政策審議会の議論を受けて、労働・雇用分野での障害を理由とする差別の禁止、職場での合理的配慮の提供を確保するための措置など、障害者雇用促進制度の見直しについて検討し、必要な措置を講ずる。
② 中小企業への支援の強化や、地域の就労支援の更なる強化【一部新規】87億円(82億円)
職場実習の促進を図るための事業の実施などによる中小企業への支援や、平成25年4月からの法定雇用率引き上げに対応するための雇用率達成指導の強化を行う。
また、雇用と福祉の連携のための「障害者就業・生活支援センター」の拡充・機能強化を図る。
③ 障害特性・就労形態に応じたきめ細かな支援策の充実・強化【一部新規】
36億円(30億円)
ハローワークでの精神障害者、発達障害者、難病患者に対する就職支援体制の充実を図る。
また、医療機関での精神障害者の就労支援の取組み・連携を促進するためのモデル事業を実施する。
④ 障害者の職業能力開発支援の充実【一部新規】 51億円(55億円)
委託訓練について、委託先開拓のための委託費単価の見直しや、担当者制で一貫して支援を行う職業訓練コーチへ支援体制を集約化するなど充実を図る。
また、障害者に対する指導技法の開発・実務演習などを行うとともに、都道府県が中心となって、地域の関係機関との連携・協力体制を構築することにより、障害者職業訓練の強化を図る。
治療と職業生活の両立支援の推進 2.6億円
① 疾病を抱える労働者に対する就労継続支援【新規】 13百万円
疾病を抱える労働者の治療と職業生活の両立を図るため、企業や医療機関向けの就労継続支援の手引の作成、企業からの相談体制の整備などの取組みを行う。
② 長期にわたる治療が必要な疾病を抱えた求職者に対する就職支援【新規】 27百万円
ハローワークと医療機関などとの連携体制の構築に向け、ハローワークに専門の就職支援ナビゲーターをモデル的に配置するなど、長期にわたる治療が必要な疾病を抱えた求職者の就職支援を行う。
③ がん患者などの治療と職業生活の両立【新規】 2.2億円
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