【厚生労働省】今年1月27日のFP試験は有効! 事前閲覧者の調査は続行
昨日の厚生労働省の発表によると、平成25年1月27 日実施の国家検定ファイナンシャル・プランニング技能検定試験は、調査結果を検証したことろ、有効と判断され、合格発表は3月7日に予定どおり行われるとのことです。
試験問題が事前に漏洩していた平成25年1月27 日実施の国家検定ファイナンシャル・プランニング技能検定試験(FP技能検定試験)について、厚生労働省は、試験実施団体である一般社団法人金融財政事情研究会(研究会)に対し、原因究明やその後の影響ついて調査を指示したところ、「研究会」から2月4日に報告があったとのことです(「研究会」は、「きんざい」「金財」とも呼称されています)。
厚生労働省は、「研究会」の調査結果を検証したところ、FP技能検定試験は「有効」であると判断しました。
「有効」と判断したポイント
① 合否基準が「絶対評価(満点の6割以上)」であり、不正行為を行った者が合格することにより、本来、合格すべき者が不合格となる不利益が生じないこと。
② 事前に試験問題を閲覧した者がいることによる試験への影響(合格率の上昇等)を認めず、漏洩の範囲が限定的であること。
※1 平均得点率についてみると、漏洩した5試験の総平均得点率45.4%(過去10 回平均46.8%)
※2 合格率についてみると、漏洩した5試験の総合格率31.5%(過去10回平均 35.3%)
③ 試験を無効とすることにより不利益を受ける受検者が非常に多いこと(受検者実人数約12万3千人)。
なお、「研究会」において、試験問題を事前に閲覧した者を特定するため、調査を引き続き行うこととしています。
特定した者の試験結果は、本人の技能を適切に評価したものと言えるか確認した上で、合否が決定されるとのことです。
合格発表後に特定された場合には、本人の技能を適切に評価した結果と言えるか確認した上で、技能検定の合格の取消しが行われるとのことです。
平成25年2月12日 職業能力開発局
ファイナンシャル・プランニング技能検定試験問題の事前漏洩事案について(報告)より
4 「研究会」の報告に対する厚生労働省の判断
(1)試験の有効性について
試験の有効性の判断に当たっては、過去の事例等を踏まえ、以下の要素について検討し、試験は有効であると判断した。
ア 合否基準が「絶対評価」か「相対評価」か不正行為を行った者が合格することにより、本来、合格すべき者が不合格となるといった不利益が生じないかを検討した。本試験は技能検定であり、労働者の有する技能を一定の基準によって検定する「絶対評価」である(漏洩した試験の合否基準は満点の6割以上)。よって合格すべき者が不合格となるといった不利益が生じることはない。
イ 事前に試験問題を閲覧した者がいることによる試験への影響の程度
試験の出題範囲、難易度に過去の試験と比べて差がないことから、今回の試験の平均点及び合格率を過去の試験と比較することができる。
事前に閲覧した者の人数(割合)が多いことで、平均点及び合格率が著しく上昇するなど、漏洩が広範囲にわたっているかを検討した。
今回の5種の試験の総平均得点率及び総合格率をみてみると、
・ 総平均得点率 45.4%(過去10回 平均46.8%)
・ 総合格率 31.5%(過去10回 平均35.3%)
となっていて、技能の程度を公証する技能検定試験の信頼性を損なうなどの傾向を示していない。
この結果は、試験問題を事前に閲覧した人数が限定的であることを裏付ける一つである。
ウ 試験を無効とすることによる受検者の不利益の程度
試験を無効とすることにより、本来、合格すべき者が合格とはならないといった不利益が生じるが、その影響が大きくなる可能性があるかを検討した。
本試験は、受検者実人数は約12万3千人であり、事前に情報に接した人数に比べて非常に多い。
よって、試験を無効とすることにより、不利益が生じる受検者が多く生じる可能性がある。
(2)事前に試験問題を閲覧した受検者への対応
事前に試験問題を閲覧した受検者を特定するための手がかりが、HP運営用サーバーに記録されていたIPアドレスに限られるため、特定には困難が伴うが、「研究会」に引き続き調査を行わさせ、特定できた場合は、当該者が本来持つ技能を適切に評価した試験結果であったかを判断させることとする。
合格発表後に閲覧した受検者を特定できた場合であって、「研究会」が当該者が本来持つ技能を適切に評価していないと判断したときは、厚生労働大臣においても技能検定の合格の取消しを行う。
5 今後の対策
(1)原因究明
今般の「研究会」の報告書により、原因が明らかになってきたところであるが、今後、立入検査を実施し、直接原因ばかりではなく管理的要因等の間接原因についても引き続き把握に努める。
(2)再発防止対策の実施の指導
漏洩に至った管理的要因等も含め、究明した上で、厳正な措置を講ずるとともに、再発防止対策の実施等を求めていく。
(3)他の指定試験機関等に対する指導
他の指定試験機関等に対しては、今般の「研究会」の事案を基に、情報管理を含む再発防止対策の一層の徹底について万全を期していく。
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