【労働基準法違反容疑】女子高校生等に添い寝や肩もみをさせる「JKリフレ」を一斉捜索(警視庁)
警視庁は1月27日(日曜日)、満18歳に満たない女子高校生等に個室マッサージをさせたとして、労働基準法第62条(危険有害業務への就業制限)違反の容疑で、東京都内の通称「JKリフレ」と呼称される17店舗を一斉捜索した(同種店舗の摘発は全国初)。
「JKリフレ」とは、女子高校生等が個室で男性客に「肩もみ」などのマッサージや「添い寝」などのサービスをする店舗のこと。店舗が女子高校生等を使用して提供するサービスが、労働基準法第62条(危険有害業務への就業制限)で満18歳に満たない者を就かせてはならないとされる業務の範囲を規定した厚生労働省令(年少者労働基準規則第8条)の第45号「特殊の遊興的接客業における業務」に当たるとされたようだ。
労働基準法(危険有害業務への就業制限)違反については、昨年2月、
「女子高生のぞき部屋を一斉摘発」、
「労働基準法違反 「女子高生見学クラブ」 を摘発 警視庁」
「現役女子高生か学生証を確認し採用」
――などのニュースが記憶に新しい方も多いのではないか。
当ブログでも、「労働基準法違反容疑で「のぞき部屋」を摘発 ③ で触れたが、ここでは、今一度、労働基準法の危険有害業務への就業制限の対象となる「特殊の遊興的接客業における業務」についてみてみる。
「労働基準法解釈総覧」(労働調査会発行)によると、2つの解釈例規がある。
【特殊の遊興的接客業における業務】
「特殊の遊興的接客業における業務」とは、カフェー、バー、ダンスホール及びこれに準ずる場所において客に接する業務をいう。
(昭22・11・11 発婦2号、昭63・3・14 基発150号)
【特殊の遊興的接客業務の範囲】
昭和22年11月11日発婦第2号通達法第62条関係に「特殊の遊興的接客業における業務」とは、「カフェー、バー、ダンスホール及びこれに準ずる場所において客に接する業務」としているが、「これに準ずる場所」とは風俗関連営業全般を対象とするものではなく、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第1項第7号及び第8号並びに第4項第3号及び第4号にいうものまで含まないこと。
(昭24・6・7 基収1594号、昭63・3・14 基発150号)
――上記にいう「業務」とは、ただの接客業ではないようで、この点については、労働基準法を厚生労働省労働基準局が分かりやすく逐条解説している「労働基準法(下)」(厚生労働省労働基準局編)―労働法コンメンタール3― を参照すると、
「最近、社会風俗の変化等に伴い「特殊の遊興的接客業」に該当するかどうかが問題となるような事例が増加する傾向にあるが、昭和50年代に流行したいわゆるノーパン喫茶については、喫茶店は労働基準法上は一般的には「飲食店」に該当するものであるが、ノーパン喫茶であって、ウエイトレスの服装、サービスなどにより個々の客に対する「積極的なもてなし」といい得る行為を行うことを営業の主体とするものは、「接客業」に該当し、また、ノーパン喫茶は、一般的に、客に性的な慰安歓楽を与えることを1つの目的とするものであることから「特殊の遊興的」なものであると解されるので、「特殊の遊興的接客業」に該当する。
なお、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律にいう「客の接待」の意味について、「客の接待をするとは、社会的儀礼といわれる客の接待と意味合いが異なり、営業の対象としての客に対し、その慰安歓楽を求める気持を迎えて、客の気持に沿うべく積極的にこれをもてなす行為を指称している。」(大阪高裁判決 昭45年(う)第1219号 風俗営業等取締法違反被告事件 昭46・3・10)とする裁判例がある。
――とある。
キーワードは、「客に性的な慰安歓楽を与えることを1つの目的とするもの」であろうが。
一般的にみて「年少者の接客業としてはいかがわしい」「これは明らかに問題あるだろう」と思われるサービス(?)は、問題となる可能性が高いと言えるのではないだろうか。
illustration by Y.Yuki
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