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2012年12月13日 (木)

「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」の報告書

~全国の企業・従業員を調査し、パワーハラスメントが発生する要因や予防・解決に向けた課題を検討~


 厚生労働省は、職場のパワーハラスメントに関する実態調査を委託事業(事業委託先:東京海上日動リスクコンサルティング株式会社)により実施し、この委託事業の報告書を取りまとめ公表した。
 この調査は、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」(座長:堀田力 さわやか福祉財団理事長)が今年の3月15日に公表した「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」を踏まえ、職場のパワーハラスメントの実態を把握するとともに、この問題が発生する要因の分析や、予防・解決に向けた課題の検討を行うことを目的として実施された。調査は企業調査と従業員調査からなり、今年の7月から9月に行われた。企業調査は計4,580社から、従業員調査は計9,000名から回答を得た。

パワーハラスメントの発生状況

 実際に過去3年間にパワーハラスメントに関する相談を1件以上受けたことがある企業は回答企業全体の45.2%で、実際にパワーハラスメントに該当する事案のあった企業は回答企業全体の32.0%であった。
 一方、従業員に関しては、過去3年間にパワーハラスメントを受けたことがあると回答した者は回答者全体の25.3%と、およそ4人に1人の割合であった。

パワーハラスメントが発生している職場とは

 企業調査において、パワーハラスメントに関連する相談がある職場に共通する特徴として、「上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」が51.1%と最も多く、「正社員や正社員以外など様々な立場の従業員が一緒に働いている職場」(21.9%)、「残業が多い/休みが取り難い」(19.9%)、「失敗が許されない/失敗への許容度が低い」(19.8%)と続く。なお、従業員調査においても同様の傾向が示されている。

パワーハラスメントの予防・解決のための企業の取組と効果

 回答企業全体の80.8%が「パワハラの予防・解決を経営上の課題として重要」だと感じている一方で、予防・解決に向けた取組をしている企業は45.4%にとどまり、特に従業員99人以下の企業においては18.2%と2割を下回っている。
 パワーハラスメントの予防・解決に向けた取組として実施率が高いのは、「管理職向けの講演や研修」で取組実施企業の64.0%で実施され、「就業規則などの社内規定に盛り込む」(57.1%)が続く。実施している取組の効果が実感できるかという点については「講演や研修」など直接従業員に働きかける取組の効果の実感が高い一方で、「就業規則に盛り込む」といった事項では相対的に低くなる傾向が見られる。「就業規則に盛り込む」といった対応は企業規模に関わらず実施できるものの、「講演や研修」といった対応は一定程度の従業員規模がないと実施しにくいこともあり、特に従業員99人以下の企業での実施率が低くなっている。

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