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2012年11月 5日 (月)

【第1回 厚生年金基金制度に関する専門委員会】 基金廃止がいかに厚生年金に影響しないようにするかが課題か!

11月2日 午後8時から開催された【第1回 厚生年金基金制度に関する専門委員会】は大変注目されていたようで、冒頭に多数のテレビカメラが入り、会場はほぼ満席となりました。

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同委員会の 「設置の趣旨」「構成等」「検討項目」は次のとおりです。

1.設置の趣旨
「代行制度」をはじめとする厚生年金基金制度の今後のあり方を検討するため、社会保障審議会年金部会に「厚生年金基金制度に関する専門委員会」(以下「専門委員会」という。)を設置する。

2.構成等
(1) 専門委員会の委員は、社会保障審議会年金部会に属する委員から部会長が指名する。
(2) 専門委員会に委員長を置き、委員長は部会長が指名する。

3.検討項目
① 代行制度の在り方
② 持続可能な企業年金の在り方
③ いわゆる「代行割れ問題」への対応
④  その他

同委員会の委員長には、
神野直彦(じんのなおひこ)氏 東京大学名誉教授 が指名されました。

そして、委員として
柿木厚司(かきぎこ う じ)氏 日本経済団体連合会社会保障委員会年金改革部会長
菊池馨実(きくちよしみ)氏 早稲田大学法学学術院教授
駒村康平(こまむらこうへい)氏 慶應義塾大学経済学部教授
花井圭子(はないけいこ)氏 日本労働組合総連合会総合政策局長
宮本礼一(みやもとれいいち)氏 JAM書記長
森戸英幸(もりとひでゆき)氏 慶應義塾大学大学院法務研究科教授
山口修(やまぐちおさむ)氏 横浜国立大学経営学部教授・付属図書館長
山本泰人(やまもとたいと)氏 日本商工会議所社会保障専門委員会委員
――が参加しています。

当日は、事務局(厚生労働省)から、
 代行制度の現状(基金数、組合員数は、ピーク時のおよそ3分の1となっていること、平成23年度末(速報値)のおける基金数577のうち、代行割れ基金数287となっていること(※ 資料は平成23年度末時点のAIJ投資顧問への投資分は全額毀損したものとして計上)など)が説明され、
 その後、「厚生年金基金制度の見直しについて(試案)」が発表されました。

この試案については、
  「代行制度」を基本的な枠組みとする厚生年金基金制度の今後の在り方について、広く国民の論議に供するため、(あくまで)「議論のたたき台」として厚生労働省がとりまとめたもの。
 
  この試案について、今後、社会保障審議会年金部会「厚生年金基金制度に関する専門委員会」で議論いただくとともに、成案が得られれば、所要の法律改正案を次期通常国会に提出する予定。
――とされています。

そして、冒頭では、
  「代行制度」を基本的な枠組とする厚生年金基金制度の今後の在り方について、本試案では「代行部分は公的年金の一部である」という基本認識に立って、
① 早急な対応が求められる「代行割れ問題」への対応
② 企業年金の持続可能性を高めていくための選択肢の多様化
③ 代行制度の持続可能性の検証とこれを踏まえた代行制度の見直し
という3つの観点から、今後の方向性と具体策を取りまとめた。
――とされています。 

基本的には、同試案は、次回以降の委員会で議論されるとのことでしたが、
当日は、委員から、
厚生年金にいかに影響しないようにするかが課題だ。
厚生年金に傷をつけることは避けるべきである。
厚生年金基金制度の廃止はやむを得ない措置だと思うが、健全な運営をしていた基金のヒアリングは必要ではないか。
廃止以外の選択しはないのか、という意見もある。
基金の運営努力をもっと強く促すべき。
基金の代行制度が現状のようになってしまった(多数の代行割れ基金が生じたこと、要件の5000人を下回る基金が過半数となっているであろう)経緯を説明して欲しい。
労働側には、(厚生年金の)代行しているのかどうかの情報すら入ってこない。しっかり基金に情報を開示してもらって、しっかり議論してもらいたい。労使のガバナンスが基金の設立当初から足りなかったのではないか。
基金の要求はどのようなガバナンスによるものなのか。
何をもって健全な基金と言えるのか。
(試案にある)特例解散制度の対象になるためには、代行割れになった方がいいのか。
基金制度を残すのはなかなか厳しい。
約60年前にこの制度(厚生年金基金制度)はつくられたが、この制度を続けた場合には、同じ過ちを繰り返さないように、制度を変えなければならないだろう。
――などの意見がありました。


次回の【第2回 厚生年金基金制度に関する専門委員会】は、11月19日(月曜日)午前10時から開催される予定です。
なお、同委員会では、年内のとりまとめが目指されているようです。
 社会保障審議会年金部会での議論は、年明けになりそうです。

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