過労死・過労自殺など過重労働による健康障害を発生させた事業場に対する監督指導結果について
~87%の事業場に法令違反を指摘~
東京労働局は、管下 18 の労働基準監督署(支署)が平成 23 年度に実施した、過労死・過労自殺など過重労働による健康障害を発生させた事業場に対する監督指導結果の概要を取りまとめ公表した。
この監督指導は、東京労働局管内で長時間労働等により脳・心臓疾患(脳出血、心筋梗塞等)や精神疾患(うつ病等)の労災認定事案を発生させた事業場を対象に実施し、法違反が認められた場合にはその是正を指導しているが、東京労働局では、その多くに基本的な労働時間管理、健康管理の不備等の法令違反が認められたことを重くみて、長時間労働の抑制及び過重労働による健康障害防止に向け、今後一層積極的に監督指導を行うこととしている。
【監督指導結果の概要】
1 監督指導時における違反状況
監督指導を実施した 54 事業場(過労死 26 事業場、過労自殺 8 事業場を含む)のうち、47 事業場(87%)に何らかの法令違反が認められ、是正勧告を行った。
違反率の高い事項は、
(1) 労働基準法では、労働時間(同法第 32 条)に関する違反が最も多く、31 事業場(違反率 57.4%)であった。
(2) 労働安全衛生法では、衛生委員会の設置(同法第 18 条 1 項)に関する違反が最も多く、7 事業場(違反率 22.6%)であった。なお、法定で衛生員会の設置を義務づけられている事業場は、常時 50 人以上の労働者を使用する事業場である。監督指導を実施した 54 事業場のうち 31 事業場がその対象事業場である。
2 被災労働者に係る健康管理状況
監督指導を実施した 54 事業場のうち、
(1) 21 事業場(38.9%)では、過重労働による健康被害を受けた労働者(以下「被災労働者」という。)に対し、発症前の1年間に健康診断を受診させていなかった。
(2) 19 事業場(35.2%)では、被災労働者が発症した時期に、医師による面接指導等の制度を導入していなかった。また、健康診断を実施した被災労働者 33 人のうち 15 人に所見が認められた。
(3) 6 事業場(40.0%)では、発症前に受診した健康診断で何らかの所見が認められた被災労働者に対し、健康診断の事後措置を講じていなかった。
3 以上のとおり、過労死・過労自殺など過重労働による健康障害を発生させた事業場については、労働関係法令違反の比率が高く(一般の監督指導における違反率約71%)、かつ、被災労働者に係る健康管理体制の不備が少なからず認められた。
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