「労働者派遣法改正法の政省令・告示等に関する主な検討事項(案)」⑤(終)
6月18日、午後6時より、厚生労働省12階にて
「第176回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会」が開催されました。
同日も引き続き「労働者派遣法改正法の政省令・告示等に関する主な検討事項(案)」についての検討が行われました。
主な議題は、
1
「派遣元事業主が派遣労働者として雇用しようとする労働者に対して、待遇に関する事項等の説明する方法」について
① 賃金の額の見込み
→ 書面の交付、FAX又は電子メール
② 待遇に関する事項(①を除く)、事業運営に関する事項及び労働者派遣に関する制度の概要
→ 書面の交付、FAX、電子メール等
の案に対して、「賃金の額、社会保険の適用など重要事項は書面交付を」「インターネットによる方法も含めるのは」「インターネットでは、見た・見ていない、などのトラブルに」などの意見がありました。
2
「日雇派遣の原則禁止」の例外として認められる「場合」の「副業として従事する者」「主たる生計者でない者」の基準等について
「主たる生計者でない者」かどうかは、どうやって確認するのか
収入確認ができるのか
収入証明を派遣元が保存しておかなければならないのか
世帯全体の収入が「一定額」以上であるとはどのような場合か
事務局提案の「標準生計費の2倍」という案に根拠は
(3倍や1倍でもいいのではないか)
根拠がしっかりしていないと制度の根幹がゆらいでしまう
日雇派遣は原則禁止なのだから、例外が多くならないように
――などの意見が出されていました。
特に日雇派遣の原則禁止の例外については、難しい線引きの問題でもあり、今後も検討が続きそうです。
次回は、6月22日に予定されています。
引き続き「日雇派遣の原則禁止の例外」、「グループ企業派遣の8割規制」について検討される予定です。
今回は、「派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善」の2~5番目と「その他」について掲載します。
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派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善
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2. 均衡待遇の確保(法第30条の2、法第40条第3項関係)
<検討事項と規定案>
○ 派遣元事業主が配慮すべき事項 【派遣元指針事項】
・ 派遣元事業主は、派遣労働者の賃金の決定に当たり、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者の賃金水準との均衡を考慮しつつ、派遣労働者と同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準や派遣労働者の職務の内容等を勘案するよう努めること。
また、派遣労働者の職務の評価等に関する情報を派遣先より入手し、派遣労働者の職務の成果等に応じた適切な賃金を決定するよう努めること。
・ なお、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者の賃金水準との均衡を考慮した結果のみをもって、当該派遣労働者の賃金を従前より引き下げるような取扱いは、法第30条の2第1項の趣旨を踏まえた対応とはいえないこと。
○ 派遣先が努めるべき事項 【派遣先指針事項】
派遣先は、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者の賃金水準、教育訓練等に関する情報を派遣元事業主に提供するよう努めること。また、派遣元事業主が派遣労働者の職務の成果等に応じた適切な賃金を決定できるよう、派遣元事業主からの求めに応じ、派遣労働者の職務の評価等に協力するよう努めるものとすること
3.マージン率等の情報公開(法第23条第5項関係)
<検討事項と規定案>
○ 情報公開事項 【省令事項】
法第23条第5項の規定により情報公開が必要とされている事業所ごとの派遣労働者の数、派遣先の数、マージン率(派遣料金と派遣労働者の賃金の差額の派遣料金に占める割合)、教育訓練に関する事項のほか、以下の事項を定めること。
・1日当たりの派遣料金の額の平均額
・1日当たりの派遣労働者の賃金の額の平均額
・その他の必要な事項
○ 情報公開必の要方な法事項 【省令事項】
事業所への書類の備付け、インターネットの利用その他の適切な方法により行うこと。
○ マージン率の算定 【省令事項】
・毎事業年度ごとに、以下の計算方法により算定すること。
[計算方法]
(1人当たりの労働者派遣に関する料金の平均額
-1人1日当たりの派遣労働者の賃金の額の平均額)
÷ 1人1日当たりの労働者派遣に関する料金の平均額
※ 端数は四捨五入
・ ただし、事業所ごとの独立性が弱い場合には、一体的に経営を行なっている範囲内で算定することを妨げないこと。
4.待遇に関する事項等の説明(法第31条の2関係)
<検討事項と規定案>
○ 説明事項 【省令事項】
派遣元事業主が派遣労働者として雇用しようとする労働者に対し説明すべき事項として、以下の事項を定めること。
・当該労働者を派遣労働者として雇用した場合における当該労働者の賃金の額の見込みその他の待遇に関する。
・事業運営に関す事項
・労働者派遣に関する制度の概要
○ 説明の方法 【省令事項】
書面の交付、FAX、電子メール等の方法により行うこと。
5.派遣労働者に対する派遣料金の額の明示(法第34条の2関係)
<検討事項と規定案>
○ 明示すべき派遣料金の額 【省令事項】
派遣元事業主が派遣労働者等に対し明示すべき派遣料金の額は、以下のいずれかとすること。
・当該労働者に係る1日当たりの派遣料金の額
・当該労働者の労働者派遣を行う事業所における1日当たりの派遣料金の額の平均額
○ 明示の方法 【省令事項】
・書面の交付、FAX又は電子メールの方法により行うこと。
・ただし、雇入れ時に明示した派遣料金の額と労働者派遣時の派遣料金の額が同一である場合には、労働者派遣時に派遣料金の額を再度明示することは要しないこと。
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その他
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<検討事項と規定案>
○ 施行期日 【政令事項】
労働者派遣法改正法の施行期日は、平成24年10月1日とすること。
○ その他 【政令・省令・運用事項】
法律名の改正に伴う規定の整備など、所要の改正を行うこと。
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